Friday, January 31, 2014

膝は消耗品?

■ 膝は消耗品?

私はヨガを教えていますが、教えている知識のほとんどはバレエで得たものです。

また脊椎外科の医療翻訳をしたことがあり、その時一日8時間、一か月のトレーニングを外科の先生からみっちり受けたので、解剖学は基礎は一通りなぞっています。

もちろん、医師レベルではなく、翻訳者として医師をサポートできるレベル、基本的な誤訳を犯さないレベルと言う意味ですが、医学部生以外でそれだけ解剖学に触れる機会があった人も珍しいでしょう。

ヨガのティーチャーズ・トレーニングも修了していますが、習ったことはすでに全部知っていることでしたし、むしろ付け加えてあげたいくらいでした。

そんな私が登山界を見て不思議なのは、登山と言うのは、

 歩けなきゃ話にならない

アクティビティなのに、骨のアライメントについて、まったく無頓着であり、膝の痛みを

 膝は消耗品

と言って受け入れているように見えることです・・・。

■ 骨のアライメント

支点を作る人ならだれでも知っていると思いますが、

 支点は、ロープが引かれる方向を意識して作るのが大事

です。 なぜなら、支点には抜けにくい方向と、抜けやすい方向があるのが普通だからですね。

それに

  屈曲点には力がかかる

これは常識と思います。

その常識を、なんで脚に応用しないのかな~?

これはネットから拝借した画像ですが、ちょっと見てください。

O客の足は 膝の外側にある靭帯に強い力がかかることが分かるでしょう。

膝でヌンチャクが折れ曲がるように曲がっているわけだからです。 しかし、一般にO脚っていうのは

http://www.ikiikiseitai.com/ より引用
骨が曲がって生えている(構造的障害)わけでなく、足を内転させる歩き方のくせ(機能的障害)、の結果であることの方が多いです。

私も散々O脚だと言われましたが、実際骨自体はまっすぐです。ただ歩くときに、内またで歩く癖が放置されていただけです。

欧米に行くと、人々の歩き方がスマートでびっくりします。

欧米人は子供のころから姿勢について結構やかましく言われます。

『小公女』の話の中で頭の上に本を載せて歩く練習をさせられているのを覚えていませんか?

ドイツに留学した友人は、なんと足をゾロびく癖をしつこくドイツ人の人たちに直されたそうです。





この図でも分かりますが、ほとんどのO脚は、膝を内側に内転させ、股関節を内側に内転させています。足首はこの図とは違い、女性は内股のまま、外側が長いことが多いです。男性はガニ股を男らしさの証とするのか、上図のようになっている人が多いです。夫もこの型です。

で、何より不思議なのは、このように ゆがんだ骨の並び (並びのことをアライメントと言います)をみな、生まれつきのモノとして受け入れていることです。

ゆがんだ骨で生まれついた人はほとんどいません!

例えそうだとしても、骨が 重量のラインに沿って並ぶように使うのが、もっとも楽だということは一目瞭然でしょう。

具体的には、

 ・歩くときは、つま先と膝の向きは常に一致させる

です。さらにいうなら

 ・股関節に力みなく、鉛直のラインに膝を上げる

です。膝を上げさせると、骨盤まで上がってしまう人が多いのです。股関節だけを単純に屈曲させる、というのは意識しないとできないです。 

  つま先と膝の方向が一致していない → 膝の靭帯に負担がかかる

 つま先より、内側に膝が倒れれば、外側の靭帯に負担が大きくなり、(X脚)
 つま先より、外側に膝が倒れれば、内側の靭帯に負担が大きくなります。 (O脚)

です。

 靭帯と、筋肉、どちらが伸びやすく、回復が早いかと言うと当然、筋肉です。

靭帯は人体の中では非常に強いもので、伸びるのにも時間がかかるし、一旦伸びたら回復するのにも時間がかかり、切れたらくっつくと前より固くなります。

すごく強固なのです。 その靭帯が痛い、というのは、どれくらいの力がそこにかかったのだろうか?
ということですよね。 

現代では人間の寿命の方が、膝関節の寿命より延び、繰り返し繰り返し使われることの摩耗は致し方ない、というのが医学界の見解でもあります。

が、それでも摩耗した箇所をさらに酷使するような使い方(要するに屈曲した使い方)は改め、柔軟性の大きい筋肉で、骨のアライメントのバランスを取るようにすることの重要性は高まりこそすれ、低まりはしませんよね。

歩き方を研究するのが登山なのに、どうして骨のアライメント(コツのアライメントと呼びます)は見過ごされているのかなぁといつも不思議に思います。

理論的には、骨のアライメントを正しく鉛直のラインに持って行いけば、筋肉の使用は最小ですみ、それがもっとも疲れない歩き方になるはずです。

これはいわゆるハの字歩きでも同じで、つま先と膝の向きを一致させることで、膝の靭帯の負担が小さくなります。


Thursday, January 30, 2014

イヴォン・シュイナードのアイスクライミング

■ イヴォン・シュイナード

山の先輩がイヴォン・シュイナードの本を貸してくれていたのですが、すごく面白かった!のでした。

≪参考≫
イヴォン・シュイナードについて

アイスクライミングの本としては、技術が古いと、悪口を言われること確定!な本でしたが、山への飽くことなき好奇心と観察による経験談に溢れていて、山好きなら時間を忘れて読める本です。

すごく共感したのは、山の危険と題する章です。

ただ、ただアイスの道具はさすがに古すぎて、まったく役に立ちません(笑)

・・・が、雪のこと、氷のことに関しての、洞察や知識は、何十年たっても、雪や氷の質が変わるでなし…たぶん現代と同じだよな~と思いました。

私にとっては、「そうだよな~、山は、山そのものが面白いんだよ~」と思えたのでした(^^)。

素晴らしい文だと思ったので、引用します。

ーーーーーーーーーーー山の危険ーーーーーーーー

山の変化

地球は、冷却と歪曲によって山を形成する。一方、重力は山を再び平坦な状態に戻そうとする。山、この摩訶不思議な尖塔群は、常に変幻する大気の大海原に屹立している。

大気の変幻とは、太陽熱で蒸発し、雨や雪となって地表に還元する水の循環である。

大気が空中にそびえる山々の岩に突き当たると、方向を替え、上昇し、冷却され、必然的に風や雨となって降り注ぐ。高い山では、結晶して雪になる。降り積もった雪はやがて海へ向かう長い旅を始め、旅の途中で山々の表面の岩を削り取ってゆく。

山に登る者は、落石、滝、アイスフォール、雪崩など、自然の循環が引き起こす数々の危険をうまく避けて進まないと、そのいけにえになってしまうのである。まさに山に関する知識は、力であり、命の綱でもあるのだ。

地球上で、山ほど活動的で、自然の営みや変化がはっきりと分かる場所はない。

・・・・略・・・

登山者はまさにこの変化の真ただなかに自分を投入するのである。ロッククライマーは、自分たちが登っている世界は安定しており、自然の造形物は永久的なものと思っているが、実際は絶え間なく、山から剥離していくもっとも崩壊しやすい表面の部分を登っているのである。

一方アルピニストは、山は安定したもの、という幻想はあまり抱かない。氷結した岩の中の水分の膨張や激しい寒暖の差で凍る岩や氷のひび割れは結果として岩や氷を崩れやすくし、ホールドがもろくなったりすることを十分しっているからである。

自然の変化は、激しく過酷なものだが、その中にも一定のリズムがある場合が多い。・・・

・・・略・・・

登山者にとって最善の防御策はタイミングをつかむことである。・・・略・・・具体的には荷を軽くし、早く行動することである。

・・・略・・・
初心者が大氷壁の登攀に必要な技術を身に着けるまでに、それほど時間はかからないが、登攀を安全にやりとげるには、長年にわたる試行錯誤の経験が必要である。雪や氷の登攀実技はかなり直線的で単純ともいえるが、コンディションを正確に把握することは非常に奥の深い複雑な技術であるといえよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー引用終わりーーーー

と書いています。最後はそうした自然の法則を自ら「発見する喜び」を記して終わっています。

アルピニストとロッククライマーはどうも違う人種らしい???

以下は一般の私たちのような登山者にも役立つんではないか?という山の行動規範リスト。

ーーーー要約ーーーー(ほぼ引用)

1)出来るだけ早く移動しようという意思を持つこと

2)トレーニングによって体を良い状態に保つこと

3)嵐のために山にくぎ付けにならないように、天候や気象条件をよく把握しておくこと

4)ルートを暗記しておくこと

5)早朝に出発すること

6)休憩をとったり汗をかいたりせずに数時間にわたって行動できるように、着実なペースを身に着けること。

7)行動中トップは一番強いクライマーが務めること

8)エネルギーの消耗を防ぐために少しずつ食べたり飲んだりすること

9)ザックを出来るだけ軽くすること

10)登攀の進行に応じて必要になると思われる品物が簡単に出せるように、荷物の入れ方を工夫しておくこと

11)氷の上でのビレイの回数を減らすために長いザイルを使うこと

12)着脱に手間取るようなハーネスの使用を避けること

13)ハーケンの代わりにナチュラルプロテクションを使うこと

14)短いピッチのアイスが出てきたら、アイゼンを履く前に、なしで行けないか検討すること

15)2,3分でアイゼンをつけれるよう練習すること

16)道具は常に鋭くしておくこと

17)時間に追われている場合はラストはユマールで登る

18)下降では絶対に必要な時以外は懸垂下降をしないこと

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現代に通じますよね。 

整理してみると、

1)体力 (1~2)

2)天候への知識・判断力 (3)

3)行動規範(規律、ディシプリン) (4~11)

となっています。 昨今、登山者の質の低下が叫ばれていますが、

   ・ルート自体を知らなかったり・・・
   ・着実な行動ができなかったり・・・
   ・必要なカロリーや水分を取らないでバテたり・・・
   ・ザックが不必要に重かったり・・・
   ・要らないものは持っているのに、必要なものはすぐ出てこなかったり・・・
   ・道具の着脱に時間がかかったり・・・・

ということなんだなぁ・・・と思いました。

■雪上技術

この本には雪上での確保技術も一通り解説されていました。

ちょっと雪上での確保をもう一回、誰かに講習してもらいたいな~と思いました。

たとえば、バケツを掘って、そこに座り、腰がらみで確保する、などです。

私はスノーボラートでもやりましたが、これ、セカンドを確保するのは、下向きなので分かりやすかったのですが、リードを確保するのは、スタンディングアックスビレイ以外よく分かりませんでした。

でも、そういう確保が必要な山ってどんな山だか、今のところイメージできません(^^;)






雪山でのルートファインディング

■ 雪崩れについてよくまとまっている冊子

雪崩れについて、よくまとまっている冊子を持っているので、ご紹介します。

これはたぶん、どこかの山道具屋で拾ってきた、小さな無料の冊子ですが、知識としては必要なことが十分にまとめてあって好感しました。

Ortovoxというドイツのアバランチギアの会社が出している“Safety Academy”と題されたガイドブック。

全部翻訳したいくらいでしたが、同じのがネットにないかなぁと探しましたが、ネットのは同じ題でも、見づらく、この冊子の方が優秀でした。





唯一、おすすめの画像はコレです。面発生雪崩れ(スラブ雪崩れ)の発生機序が分かります。



他の動画も見ましたが、どうもドイツ語をしゃべっているだけなのを英語字幕で見ても日本人の視聴者にはイマイチでした。

■ どこを歩くべきでしょう?

私はケーススタディが、山の知識を得るには一番いいと常日頃思っているのですが・・・こんなケースが載っています。

(設問) バツ印から十字のピークに行くまで、どこを歩くのが最も安全でしょう?
      また予想できる危険エリアを当ててください。

 (答え) こちらです。

どうですかできましたか? ずっと尾根ですよね。

左から、

 ・Compacted Snow = 吹き溜まり
 ・クレバス
 ・ガリー
 ・Cornice =雪庇 (コーニスと言えば建築用語で”ふち飾り”ですが、山では雪庇)
 ・急斜面
 ・40度以上のモレーン
 
です。



1)ガリーやルンゼ、急斜面を避ける。

2) 吹き溜まりを避ける

3) 危険を示すシグナルに警戒する。たとえば、非対称な積雪。

4) 地形をよく見つつ、ルートミスがないか地図を見ることを怠らない

5)斜面の角度が 危険斜面の範囲に入るか入らないかを常に考えておく
 30度を超えたら分かるようにしておく

6)30度を超える斜面は、一人ずつ歩き、間隔を5~10m開ける

7)雪崩痕は、明瞭な雪崩リスクのあかし。十分間隔をあける。


■ 最近のスキーヤーは雪崩を受け入れている?

こちらのビデオは雪崩エアバッグのプロモーションビデオです。 

これを見ると、雪崩を誘発しつつ、雪崩と競争で滑っているのですが・・・(汗) 

 

YouTubeには同じようなビデオで、ガンガンとカッコよく挑発的な音楽をバックにして、雪崩を引き起こしつつ滑っている画像が一杯あります。

そうした画像を見てしまうと、それがかっこいいこと、と言う風にプロモーションしてしまっているような・・・??? ・・・うーん、どうなんだろう???

カッコ良さそうに見えても、真似してやると、一巻の終わりではないかと・・・(^^;)

この動画も、FBで回ってきたのですが、いいね!を押していいのかどうか、かなり迷う画像でした・・・

スタントですねぇ(汗)

このように命知らずなことをしないための、アバランチ(雪崩)知識でありたいものです・・・。

■ 一般登山者の雪崩と遭遇レベルが違うのではないか・・・

これを見ていて思うのですが、一般の冬山登山での雪崩と、バックカントリースキーでの雪崩を同一レベルで考えることは、ちょっと無理が発生しつつあるかもしれませんね。

登山者はこのような斜面を駆け下りることはまずありません。

谷地形も登山では避けます。尾根なので雪庇があるところを歩く危険はありますが、雪庇を乗り越えて、反対側の斜面に降りると言うことは少ないです。基本的には尾根の直登で自分の頭上には斜面はないのが登山です。

なので、同じ自然を相手にしていても、雪崩を受容する感性がバックカントリースキーヤーには生まれつつある、という印象を受けます。

これと同じレベルで登山者がリスクを受け入れているか?というと、決して受け入れていないと思います・・・が、思ったのは、バックカントリースキーヤーが上部にいるときに、下部にある直登の登山道にいて、上で誘発して起こした雪崩に巻き込まれたら、目も当てられない・・・バックカントリーの人たちが入るのとは違う山に行きたいな、ってことでした(^^;)

12月の立山は登山の山ではなくて、バックカントリースキーヤーの山のようですので、スキーヤーの行きたい山をチェックして、登山者は外したほうがいいかもしれません。

バックカントリーというカテゴリーは円熟して、雪崩を受け入れつつ、スレスレで避けながら行動するのが上級者の証し・・・そういう方向に進化しているような気がします。



Wednesday, January 29, 2014

昨日もボルジムへ


■ お天気に合わせる

今日はこれ以上ない、美しいお天気で、山並みは美しく、朝の散歩でため息が出てしまいました・・・こんな日に山にいないなんて・・・。

人間側の都合のスケジュールではなく、お天気に人間行動を合わせるのが、山では肝心なんですが・・・残念なことに山梨は明日は雨の予報です。

お天気は要研究です。実は、猪熊予報士の講習会で学んだことをまとめたいと思ってすでに2週間って感じですが、アバランチと同じく、知識の復習が継続的に必要なエリア。

1)事故予防に関する知識

 ・お天気の知識
 ・雪崩れメカニズムについての知識

2)事故が起こってからの対処に関する知識

 ・アバランチギアの使用法
 ・救急救命法
 ・凍傷、低体温症などについての知識

事故に遭わないことを目指す、一般登山者にもっとも必要なのは、お天気と雪崩のメカニズムについての知識で、ビーコンやプローブを使いこなす方ではない・・・

そこのところは誤解しがちですね。 対処(つまりレスキュー)は、プロに任せ、絶対に雪崩に遭わない行動をするほうが賢明です。

プロが到着できない緊急事態に巻き込まれないとも限らない、という考え方もできますが、基本的に雪崩を予知して入山するような慎重な登山者であれば、雪崩現場に居合わせること自体が限りなく少ないはずです。

逆にいうと、居合わせたことが、”自分も運が悪ければ・・・”ということなので・・・。

■ クライミング能力

考えてみると、クライミング能力を上げることも、予防的措置かもしれません。

大抵の易しいルートは、クライミング能力が上がれば、さほどの危険がなく通過できるところ、です。

基本的にクライミング能力がある、というセリフは 5.12より上を指すので(^^;)、ジムのピンクのシールや黄色のシールで遊んでいる人は、”クライミング能力がある”と称することは憚られる実力ですが、それでも、クライミングジムに全く行っていない人より足さばきも、動きも良いです。

なので、結局、クライミングをしていると縦走路での安全につながります。 

・・・というわけで、昨日は火曜日だったので、またボルジムへ行っていました。



こんな木のホールドが到着していた・・・















≪クラミングジムの上手な利用法≫

・クライミングジムでは、安全が確保されている状態なので、自分の限界ギリギリまで頑張る

・現場(ゲレンデなど)で困難だったり、敗退したりなど、で、克服したくなった課題をジムにリクエストしても良い

・ジムでは、考えずに一番楽なムーブで、その課題が登れるまで登り込む

・疲れるとき、それは正しいムーブでは動いていないことが多い。腕が疲れる=ムーブが正しくない。

・初心者は、優しい課題をラクラクでこなせるまで、量をこなすことが上達のカギ

・どんどん難しい課題に行く必要はない

ということをピラニアジムの人に教えてもらいました。 私は基本、アウトドアをエンジョイしたいと思い、なんだか登れないとマズイらしいというので、ジムに行っているので、どうジムのクライミングを外につなげていくか?をアドバイスされると、動機付けになります。

■ クライミングとヨガ

ヨガをしているせいで体が柔らかいので、よく「すぐ上手になるよ~」と言われますが、どうかな~?

あんまり関係ないような・・・(^^;) 私はクライミングセンスは、ごく標準、偏差値50の人です・・・。

ただ、クライミングジムに行っていると、ヨガをしたい!という人には、登山に行っているより頻繁に出会います。

どうも、クライマーは柔らかくなればもっと登れる!と思っているらしい・・・???

ので、一応ヨガの先生の立場から、アドバイスしますと・・・

  クライミングは、猫背になります!

それは広背筋ばかり伸び、胸筋は縮んだ状態で開かないからです。そして、腰は丸くなります。クライミングが要求する動きがそういう動きだからです。

これは、ジムクライミングではとても顕著で、足で登る外岩主体の人は、鉛直のラインがないと落ちてしまいますので、姿勢のきれいな人が多いです。

なので、体をクライミングという、不自然な運動から回復させ、調整させる意味で、ヨガは自力整体ともいうくらいですから、良いと思います。

太陽礼拝A3回、B3回くらいがいいではないでしょうか・・・。ブジャンガやアップドッグなど、上半身をそらせるポーズも必須だと思います。 何しろ、猫背が・・・

■ クライミングにおけるヨガの効用?

そして、私の憶測ですが、世界的クライマーがヨガを愛好するのは、たぶん、ヨガが今に集中することを教えるからではないかと・・・

実は、私は高いところがまだ怖く、上のほうにいると、恐怖感で、登れる壁も登れません・・・

恐怖心はよくよく考えるとなぜ起こるのかというと、墜ちることを想像するからです。 目の前の壁に集中していれば、想像する、という余地がないはずです。なのでちゃんと集中できていない。

人間の場合、苦しみはホンモノと想像上のモノがあり、8割は想像上のモノで、私の恐怖感も想像上のモノです。

たとえば、私は握力が弱いのですが(片手17kg)それを知っていると、握れないのではないか?と思ってしまい、小さいカチ持ちホールドを見ただけで怖くなります。

が、良く考えると、まだ持ってもいない~(笑) 

仮に猿がいたとしましょう・・・猿は自分の握力が〇〇だから××できない、などと考えるでしょうか?
考えないでしょう・・・そうすると、猿は自分の100%の力で常に行動するはずです。

人は動物と違い、知識があり、知識や想像力、その他、色々、知性が能力開発を阻害します。

たぶん年齢とか、体重とか、あるいは、性別とかもそうですね。あるいは、昔の自分、というセルフイメージから行動できなかったり、逆に過去の栄光、というセルフイメージから脱却できなかったりも、同じことです。

そういう風になっているよ、だから今だけを問題にしなさい、そう教えるのがヨガで、ヨガでは繰り返し今に集中するよう言われます。 

これがなかなかできないんですが・・・。



アイス用クランポン再調整

■ アイス用クランポン再調整 

こないだは、アイスクライミング、ちょっとつま先に乗れず、「おかしいな~」という感じでした。

実際、2度もフォールに近い感じで踏み外したのですが・・・なんだかおかしいな~というのはアイゼンの前爪の出方のような気がします。

リンクスはブーツの長さで、調整しますが、サイズ38のブーツで、長めのDで合せていたのですが、Cに合わせ直しました。どちらでもしっかりついていますが、もちろん短めのCのほうが、ガッツリつきます。

しかし・・・そうすると、親指側の、側面の一番前の爪が、氷に噛まない! 



 これだと親指の延長上に一番右の爪がなく、ブーツの先端が氷に当たってしまいます。ガッチリはついていますが・・・



















横から見るとこれ。

前のバインディングを爪ひとつ前にずらしたかったのですが、硬すぎて無理!

なので、サイズ合わせをDに戻しました。
 これだとちゃんと親指の下に横の爪の一本目が出る。

微妙すぎますかね?

でも、これだけで全然氷への乗り具合が違います。

体験したので本当です。












つま先はこれくらいで親指と最初の横爪が一致していないと・・・靴ばっかりけり込んで氷に乗れない。

氷に乗るのは、サイドの最初の爪と、2本出ているオレンジの爪の内側の爪の2本です。


アイスではクランポンの調整は何より重要だな~と分かった、前回のアイスクライミングでした。

まだモノポイントは試していません。

バイポイント(またはデュアルポイントと言う・・・)より、登りやすい場合が多いそうですが、そうなのかなぁ~

試してみてもいいですね。

とりあえずなんとなく2本が安心感あって2本ですが。

≪参考≫

リンクスの取説

登攀具の取説はツカエル!

■ 取説に最も信頼できる情報があります!

私は、山の道具の取説は今まで小さなファイルフォルダーにまとめていました。服もです。何しろ高いので・・・。

ところが、この1年、登攀具の取説が一緒に入るようになり、ついに最近、大きなファイルに替えました。

取説から得る情報の重要性が今までになく、高まったからです。

スリングや、カラビナ、アイスアックス、プロテクション、確保器、などの取説は、縦走用アイゼンやピッケルの取説とは全く違う重要度があります。

ズバリ!登攀具の取説、これは使えます!! もしかして、一番信頼置ける情報が載っています!!!

ので、みなさん捨てないできちんとファイリングしましょう☆

たとえばこんな感じです。

アイスクライミング用のスクリューの取説。 ちょっとピンぼけですみません。


どうです?この分かりやすさ! 下手な解説書の比ではありません。何しろ文字ではなくイラスト!

ここにもPDFがメーカーからあげれられていますが、うんと実物のほうが充実しています。

なんでおなじファイルじゃないんだろう・・・?

これによると、アイススクリューに詰まった氷は、口で吹いて出せってありますが・・・みんな、つんつんする棒をぶら下げています。お箸をブラさている人もいました(笑)

私は主婦なので、菜箸でもぶら下げますか・・・これは個性が演出できるところ。 

タイオフがどこならOKかも書いてあります。


 こんな感じにファイリングしています。

特にスリングの取説は、支点の取り方が書いてあることを発見!

これは一番信頼できる情報かも?

まずは基本からということならば、取説からスタートするのも一案かもしれません。






60℃ ~ ‐62℃の温度域ではOK、ということがすっごく分かりやすいですね~!!

分かりやすさとは何か?ということが学べるのが、国際的なクライミング用具の取説って訳かも?









Tuesday, January 28, 2014

支点の研究 1

■ 原則思考がないと

これはこのブログも読んでくれている人の作ってくれたトップロープの支点です。実をいうと悪い例なので、出すのがはばかられ、もう2か月以上も温めていました・・・・読者の方、ごめんなさい。例として挙げさせてください。

悪い例と言っても、落下したりしていませんから、無事に生きて帰っていますから、及第点の支点です。(支点は究極に言えば、壊れなければ何でも良いので)

設問) この支点のどこが問題でしょう?




まず ツッコミ・・・ 「バックアップのほうが太くて丈夫な木やないか~」 です。

これで丸一日、クラミングして遊びました。 ので、実証実験としては、日本の木は丈夫で、片手で握れるほどの太さでも十分丈夫だということが、これで分かります・・・(^^;)。

もう一個の欠点は、バックアップがメインロープではなく、メインロープと連結しているカラビナにとってあることです。

何のバックアップなのだろうか?と考えると、ロープのバックアップなんだな。

だから、メインロープにバックアップを掛けなければバックアップにならないです(^^;)。 

≪問題点≫
 
 1)支点の選び方 (もっとも信頼できる支点を選んでいない)
 2)バックアップの取り方 (もっともクリティカルなケースに対応していない)

■ では リスク中心思考で検証!

ということなので、リスク中心思考で、検証します・・・

この場合リスクは

  1)立木が倒れる
  2)スリングが切れる
  3)カラビナが壊れる
  4)ロープが切れる

の4つです。

ロープを通しているカラビナにバックアップを取っても、

 1)立木が壊れる、と 
 2)スリングが切れる、

までしか補てんできません。カラビナが壊れたら?バックアップしていても意味なしです。(まぁ起こりにくいことと思いますが・・・安環付ビナを2個でトップロープ支点を取る人もいます)

■ 暗記式の弊害

私が思うのは、やり方しか教えない、「支点はスリングでタイオフで取りましょう、カラビナは安環付を使いましょう」以上終わりな暗記式教え方では、肝心の考え方が身に付かないのでは?ということです。

原則を考えさせないで、「俺の言うとおりにしろ!」なのに、「最近の登山者は考えない」なんて悪口言うなんて・・・ 

私には「原因と結果の法則」は一致しているように思えるのですが・・・。

やはり、ロープワークは原則を教え、考え方を学ばせるべきではないでしょうか? 考えないで言うとおりにしろと教えるから、そうなっているんだろうな~。

原則から考える力があることが、結局はその登山者を危険から守ります。

■ 原則

以下は、この事例から導き出した、こう考えたら、正しく支点設置できるのではないか?という素案です。 もっと良い考え方があれば、ぜひ考えるのに協力してください。

≪思考法≫

 1)もっとも信頼ができそうな支点を探す

 2)どれも信頼できそうになかったら分散、バックアップを取る

一つの支点が十分信頼できることが確信できれば、バックアップはいらない。

このケーススタディでは、リスクは

  1)立木が倒れる
  2)スリングが切れる
  3)カラビナが壊れる
  4)ロープが切れる

で、4)ロープが切れる、はもうどうしようもない、1)~3)を手当てする。

1)の立木は右の立木を使えば、十分信頼できる支点なのでバックアップ不要
2)スリングが切れる可能性はあるので、バックアップ必要
3)カラビナが壊れる可能性はあるので、2枚使う

結局、一番大きな立木にスリング2本、カラビナ2枚で、支点を作る。スリングとビナが同時にこわれることは考えにくいので、同じビナにスリングを掛けてかまわない。

■ 参考

参考までにこちらは師匠が作った同じくトップロープの支点です。シンプルで美しく出来ています。












































これを作った人は超有名なクライマーさんですので、百戦錬磨と言えるでしょう。

残置のスリングは二股の木の一本だけに掛けていますが、百戦錬磨は2本もろともスリングを掛けています。これで立木が折れる心配はかなり少ないですね。2重使いのスリング1、2枚のビナ、それも安環付です。

悪い例の支点を作った人は、百戦錬磨氏の講習を受けています、が、受けているからと言って、弟子が同じスキルを自動的に得れると考えるのは間違いで、やはり、支点作りと言うのは考えて身に付くものだと言う気がします。

私はケーススタディが有効な学習法のように思います。 

≪関連記事≫

ロープワークは手順ではなく、原則で覚えよう!

山の落としどころ

■ Push the limits?

私はまっとうな登山者なので(^^)、勉強熱心で感心感心と言われて、ちょっといい気分ですが、まぁ本当は、私が知っていることくらいは、登山者みんなが知るべきことですね。

最近、山の落としどころ、というのを考えています。

ラッペルのところでコメントいただいたパンダさん・・・私のように熱心だと誤解を受けます…

私は

     限界を押し上げるような登山 (攻めの登山)

をしたいわけではなく、単純に 

     安全登山 (守りの登山)

をしたいだけなんです。

「知らなかった~」で済まないのが山。単純な「知らなかった~」が致死的失敗になるのが山なんですよね…

雪崩れも知っていれば、避けることができたリスク。

知っていれば避けることができたリスクを避けなかったら、

 1)天災? 
 2)人災?

さて、どちらでしょう? 


もし私がバックカントリーに入るなら、一つの山域に狙いを定めて、毎日アメダスと気温の変化を記録し、グラフ化すると思います…それは「勤勉ね~」と感心されることと言うより、ボトムラインであるような?

それをしないと言う方が「勇気あるわね~」という感じなんではないかと… だってしなければ、ロシアンルーレット…(汗)

■ 目的を見失うのが現代人の悲しい性

大人の趣味は、高じてくると、要警戒です。

たとえば大人からバレエを始めて去っていく人は「バレエは報われない」といって去っていく人が多いです… 報われないって…コンクールで優勝するとか(笑)?

自分が楽しみを何に見出すのか?を定義しておかなければ、”成長”や”数値的目標”を目的にしてしまうと、必ず行き詰まります。

良く考えると、そもそもバレエのプロが引退している年齢でその趣味を始めておいて「報われない」も何もないよなぁ(笑)…と、よく考えれば分かるはずですが、自分の愉しみを見いだせないで、人に褒められることを 頑張る根拠にしてしまうと、成長の限界点に来た時=その趣味の終了点となります。

興味関心が持続できず、他の趣味に移らざるを得ない。

ヨガも同じで、ヨガをしていると最初は成長が著しいので誰でも楽しい。ところが、だんだんポーズにも慣れ、そうなると、今度はもっと難しいポーズを・・・となり、体の声を聞くのがヨガなのに、嫌がっている体を屈服させて、もっと成長しようとしてしまう。結果、筋を痛め、健康のためにヨガをしているのに、整骨院に通う羽目になります。

ぜんぜんヨガじゃない・・・ ポーズ依存のヨガはヨガじゃないですね。

■  プロセスを愉しみましょう 

どうも日本人は勤勉すぎて、目線が結果だけに向きすぎ、

    ・そもそも何のための趣味なのか? 答え 楽しむため。

    ・どうすれば楽しいのか?        答え プロセスを愉しむ。

の2点を忘れてしまう傾向があるようです。 

要するに目的意識が自家中毒を起こして、楽しかったことが楽しくなくなり、挫折して行くわけですね。

まぁそういう人は、そもそもその趣味の活動自体を好きではなかったわけです。単純に”成長すること”が楽しいワケ。 

逆に言えば ”成長すれば何でも楽しい”わけです。

■ 成長神話

人間は永遠に成長するというのは基本的に神話ですし、成長だけが素晴らしい人間性って訳ではなく、成長に存在意義を求める思考の枠組み自体が、西洋社会の21世紀的な拡大主義的思想の名残です。

が、それに気が付くことができないと、老いというのは本当に悲しいプロセスになってしまいます。

本来は循環という思想が日本にはあって成長局面ではない、ダウンサイジングな局面も、循環という思想で受け入れることができたはずですが・・・

すべてはめぐりめぐると言う発想です。だから、成長しないことを悲しむ必要も無ければ、失うことを恐れる必要もありません。

まためぐってくるだけですから。 それを自然から学ばなかったら、何を学ぶのでしょうか・・・


■ Love☆静かな山

ちょっと話が逸れましたが、山を愉しむ、という面で見たとき、私が目標にしていたのは、

   団体ツアーのハイキングのおばちゃんたちが来ない山に登れる自分になる

でした。 ウルサイ山はキライです。 混んでいるゲレンデも嫌いです・・・

クライミングで難しい冬壁に登れるというのは、「限界をプッシュする」志向の人の山です。 

私が求めるのは「秘境」です(笑)

ただ秘境に行くには、多少のクライミング力は要りそうなので、(たかだか5.9です…それにもまだ達していないのが私です。どこが”プッシュザリミッツ”なんだ(笑)?)

とりあえず、山は、初級のVルートが登れる、というところで、私は満足です。

それだけできれば、人が来ない山に行くだけの力があります。(昨今、登山者のレベルが下がり、初級のVルートは大混雑の渋滞なのですが・・・)

あと必要なのは、体力ですね。

なぜなら、秘境=体力のない人が来れないところ だからです。昨今は山もマクドナルド化しており(早く短く)、長い時間がかかる山は最近は嫌われています。

人がいないのはそちら、ということで、目指すのはそっちだな~。

Monday, January 27, 2014

雪崩れ事故を防ぐための講習会 Day2

■ Day2

夜の机上講習で、みんながあんまりふらふらなので、夜の懇親会は 「10時で中締めしますので寝たい人は寝てください」と言われていましたが、結局大盛り上がりし、結局中締めはなく、全員12時就寝でした。楽しい山の仲間と話すと話題が尽きません。

朝は7時朝食。 この日は、前線の通過があり、雨の予報でした。ので、前線通過中と思われる午前の早い時間帯は、机上講習に回し、1時間ほど、講習をしてもらいました。

雪崩れ事故に遭遇して救助を求められた際、具体的にはどのような行動をとれば良いのか?

そのチェックポイント、手順がまとめられていました。

■ 雪崩れ事故が起こったら?

埋没者をどこで探すか? もちろん、デブリのあたりが埋没可能性が高いところですが、二次遭難を避けるのも重要です。

仮に 3人いれば、一人は見張り役になります。

遺留品が残っている場合は、遺留品は拾わずにそこにおいて置く。

これは知らなければ、持って歩いてしまいそうです。

デブリ以外にも、本流の流れが変わるところや、岩や木の上を流れれば、その下なども可能性があります。

・デブリ
・流れが変わるところ
・岩や木の下

そして、やっとビーコンです。 ビーコンは、きちんとサーチモードに切り替えます。他の人が発信になっていれば、埋没者以外を探索してしまいますので、全員がサーチにするか、オフにしないと行けません。

一人がビーコン探索をしたら、一人はプロービング担当をします。そして一人が掘り出します。掘り出したのちは、救急救命法に従いますが、注意点は以下。

・頸椎保護
・雪は保温材にもなっているので全部避けず、ツエルトをかぶせてから避ける
・窒息がいちばん大きなリスクなので人工呼吸と胸骨圧迫をする。(町の救急救命では人工呼吸はなしで良いというのが最新の手法ですが、山では違う。血流酸素量が分からないため。)

 土合の家の裏山斜面で行います。

「仲間が埋まってしまいました!助けてください!」

とリアルな演技で講師がケースを作ってくれます。

さっそく走ってゆき、掘り出しです。 V字の体制を組んで掘り出す。

埋没者より1.5mほど下を掘る。上から下ではなく、斜面の横方向に掘る。
 ツエルトをかぶせ・・・安静の姿勢を取らせるために頸椎を守りながら、肩、腰をもって、仰向位にする。

あとは救急救命法に従う。

・意識の確認
・呼吸の確認
・外傷の確認
・胸骨圧迫


6人で搬送もしました。ヒューマンチェーンです。

これは私は日赤の救急救命でやっていたので、しっていました。 

まずは膝に挙げて、持ち上げる。

ヒューマンチェーンでラッセルだと大変。
 4人1チームになり、ビーコン探索実験。

一人がビーコン、二人目がプローブ、三人目がショベル、4人目が見張り役。

で、講師が埋めてくれたビーコンを何分で探せるか?実験します。

ビーコン探索はとりあえず、方角は気にせず距離が短くなる方向に最短でたどり着ける道を行く。

ラッセルになるよりは、歩かれている場所の方が早く埋没者にたどり着ける。

0.5mまで近づいたら、プロービング担当者にバトンタッチ。

スパイラル法でプロービングする。

ヒットしたプローブは抜かない。 コレ、重要!

掘り出しまで、5~7分でした。ただ0.5m下程度だったので
これがリアルなケースだとどうなるかは未知数。

ビーコンに頼りすぎて、そもそも遺留品を見つけられなかったら、本末転倒。



 さらに雪面観察です。この日はザラメの層がありました。
 再度ショベルコンプレッション。

顕著な弱層が分かるでしょうか・・・
 この通り。 大まかに3つは層があります。


ひとしきり、観察を終わり、ヒット君による探索も済ませ、終了です。

雪崩れ救助犬は、ビーコンがない場合の救助方法です。

ヒット君は必死に掘り出してくれます。

見つけてくれたら、よしよし、してあげるのが重要とのこと。

最後に反省会をして終了です。

この講習会は、

 ・机上もあるし

 ・宿題もあり・・・

 ・記入しなくてはならないことも多く・・・

 ・実技の日も講習が合って・・・、

大変勉強熱心な講習です。
 
問題意識をいかに持たせるか? とてもよく考えられている、と思いました。

問題意識というものは、問われないと湧いてこないもの・・・


■ 悪天候でした

 帰りは吹雪・・・(汗)
 と思ったら 西(山梨方面)は晴れ・・・
 同じタイミングで、車窓から東側は厚い雪雲・・・
  ホントに妖しい雲ですね~ 大気が不安定。
地上でも風が強く、埼玉の乾いた畑から土が舞い、砂嵐の中を通る場面も・・・

高速は50km規制・・・

ガンガン飛ばして帰ったのですが、4時間強かかった・・・ 行きと同じですねぇ。

とっても勉強になり、谷川岳の地に夫と一緒に出掛けられて良かった。

私にとって山は、山梨にいるからこそのアクティビティであり、山梨にいるのは夫に付き合ってのことなので・・・

来月は谷川岳で雪洞泊をしますので、さっそく学んだ知識が役に立つと思いました。

■ 来年行く人のためのアドバイス

・ビーコンを買ってから参加しなくても、買う前に参加しても良い

・装備は大げさなものはいらない。ヘルメットは埋没体験用。2人で参加なら二人で一個でもよい。

・手袋は雪堀で濡れがちなので、登山用より、腕の部分をすっぽり覆う長さがあるものや、寒冷地用ゴム手「はなな」がおススメ。

・装備のうち、ショベルは必携。 わかん、アイゼンは念のため。プローブは借りれる。

・行動食は一日目と二日目は半日分で良い

・お宿の食事は十分だが、お酒とおつまみ類はあまり充実していない。余裕があれば持参がベター

・天気の勉強は大まかで良いのでしてきた方が、よく話が理解できる

・講師陣は山のオタクぞろいなので、ここぞとばかりに色々質問すべし!

・夜の歓談用に登山ズポン以外にリラックスズボンがあると楽。ほかは山小屋泊と変わらない。

・雪山未経験者で参加するより、雪山数回くらいは経験してからの方がより実感できると思われます。
地形を地図を見て読めることなどがその理由。

・一人で参加するより、山行の仲間と参加がベター。知識共有がレスキューのミソです。

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雪崩れ事故を防ぐための講習会 Day1

机上講習 感想

ヤマレコ

雪崩事故を防ぐための講習会 Day1

■ 週末は雪崩講習会でした

週末は雪崩の講習会に出ていたので、詳細をリポートします。

正確には、 

第21回関東ブロック 「雪崩事故を防ぐための講習会」 

が正式名称。  主催は日本勤労者山岳連盟 関東ブロック協議会です。 
こちらが去年のヤマレコ

山梨は関東にかろうじて入るのですが、谷川岳は遠い。”近くて良い山”、谷川岳は、”遠くて遠い山”…(汗)。朝は8:30集合でしたので、前夜泊で夜移動しました。

■アプローチ

Google先生によると、約250km、3時間17分で着くはずでした。
中央道から青梅経由で埼玉へ入り、関越道で行ったのですが、全部、高速道路でも、4時間17分かかりました…(汗)。朝は混むので、早朝移動はおススメできません。

前夜泊は土合の家でシュラフで寝せてもらいました(無料)。

■当日

朝は車窓から、日山協のほうの雪崩講習会が、駐車場わきの雪原でやっているのが見えました。


 我々は、谷川岳ロープウェーで天神平へ。

ロープウェーに乗車中も、雪崩の痕跡を目を皿のようにして探すべし!と講師の弁。

リスクマネジメント=

(リスクを認識する力) + (観察力) + (対応力)


(リスクは認識する力)がないと、対応力だけつけても、意味がない。

つまり、

(雪崩に遭ってからどうにかする力) < (雪崩れに合わない力)

ということです。予防が重要。


 天神平到着。

こんなお天気でした。高曇り。

時々日差しも出て、風はそよ風、平和な日です。

足元の雪もツボ足で。
 ビーコン、プローブはレンタルできます。無料。

私はピープスを借りました。

ビーコンを買う時の注意点:

① 手袋をした手で、ON、SEND、SEARCH に切り替えが楽にできるかどうかをチェックするのが重要です。

アンテナはトリプルアンテナ。

私は自動復帰モードはキライなタイプです。

機械系はおせっかいな機能は排し、シンプルが好みです。


 天神平からの眺め。

このようにのんびりしています。
 早速ですが、トマ耳、オキの耳直下の斜面は、岩が露出しています。

よく見ると破断面が出来ており、すでに雪崩があった痕跡があります。
 拡大しました。

ぼわーとした日だったので、写真だと見づらいですが、
肉眼だともっと顕著に破断面が見えます。

要するに、雪崩と無関係の山ではない、という意味です。

この山では、雪崩れは、すぐそこで、日常的に起こっているってことですね。

下が岩場になっているのは要注意です。

岩場=急斜面=雪がつきにくい=上部の雪の重さを支える支持力がない=雪崩れる

逆に、灌木や樹林だと、支えがあるので、雪が安定して、雪崩れにくいです。



気温は2度。あったかい・・・厳冬期とは思えません。

というわけで、体に着いた雪が水滴になってしまいます。
 まずは雪面観察に、ピットを掘ります。

掘る場所は、歩こうとする(滑ろうとする)斜面の代表となるのにふさわしい場所を選びます。

特殊な場所を選ばないように。

斜面の上部の平坦な場所が適地です。斜面に向かうように掘ります。(当然ですが・・・)

結構深く、180cmほど掘り下げましょう。3人で15分くらいかかりました。

この日はこの時点では顕著な層は出てきていません。

つまり、圧密がゆっくり進んで安定化へ向かっている状態。
斜度を図ります。 ここで13度ほど。私は5度くらいかと思いました・・・斜度の感覚はまだ育っていない・・・。

刷毛で雪面をきれいに整えていくと、層がより見やすくなります。
 10cmごとに割り箸を差し、食品用の精密な温度計で雪の温度を測ります。


大体40cmから下は、ー7度から0.1度下がっていくくらいで安定していました。

さらに雪面に、げんこつ、指5本、指一本、と刺してみて、

固さ

から、

弱層の存在

を探ります。 均一に見える雪にも層があることが分かります。 顕著な弱層はない、ということもすごく良い情報です。
 これは、CT(ショベルコンプレッション)テスト。

ショベルに切り出した雪の塊を乗せ、下から叩いて安定度を見ます。

崩れない安定した雪質。
 CTのための 雪柱を切り出し中。 30cm角で。

スノーソーがないとできませんので、スノーソーを買いましょう。

スコップの柄に内蔵できるものもあり、便利そうでした。

登山では、基本的な冬道は尾根なので、沢地形や斜面の下を歩くことはないし、雪洞泊もテントが軽い今、あまり利用されることはないと思いますが、弱層の判断のために、テストをするには必要です。


 これは、ショベルコンプレッションテストです。

スコップの面を斜面と同じ斜度で当て、上から荷重します。

1)そっと手首から下だけで10回たたいて荷重

2)肘から下で10回

3)方から下で10回


破断面が横につながって一気にはがれないか?がチェックポイント。

つながらず崩壊すれば、面発生にはならない。
 この日は非常に安定した雪でした。
 ああ~きれいだな~☆

谷川岳、普通に登山できそうでした。

人喰い山とか、魔の山とか言われますが・・・

谷川に通い詰める人は一ノ倉沢に通うクライマーさんたちなんでしょう。

それは海外の高い山を目指す人たちでしょう。

私たちはそういう山は目指しておらず、積雪期の雪山に快適に登りたいだけですが・・・

それでも、行き先は同じ山。同じ自然

クライマーか、ハイカーかで、天気が変わるわけではないので、知識としては同じものが必要です。

ただ、岩場に行く気はないだけで。

冬は尾根専門。(アイスクライミングも始めちゃったけど・・・(^^;) アイスは冬の沢登なので尾根よりさらに寒いし危険!)


 これは、簡易的な形式で、円柱テストです。

直径三十センチの円柱を手で掘ります。

手で掘れるところが優位性。

他の人がラッセルしていて、自分が暇な時などに、サッと掘ってみて、雪の安定性を見ます。
 背景が白なので見づらいですが、こんな感じ。

だっこするように抱えてみて、後ろからそっと叩き、ずれる面を発見します。

指の跡が付いてますが、雪の固さを観察した跡です。

ちなみに雪の結晶も、ルーペなどで観察すると良いのですが、この日は気温が高すぎ観察に不向きでした。

なにしろすぐ溶けちゃうので。それでも円柱テスト、CTなどでは、かなりただの白い塊って以外のことが分かる。
 これは雪庇の断面観察です。

奥に見えるのはガイドの雪山講習らしき一団。 こんな快適な雪面だと歩行練習にはイマイチだろうなぁと思いました。歩きやすすぎて、危機感ゼロになりそうです。

どれくらいフリクションが効くかというと、この2mほどの雪壁を高所恐怖症の夫が登れるくらいです(笑)。

この日は本当に安定していて雪庇が崩れる気配ゼロ。
 これは、最初に掘ったピットに戻り、プローブで人を探索した時の感触を知る体験。

刺しても、分からなかったら、意味がないので。

ヒットしたプローブは、残しておく。これ鉄則。

入ってくれているのは講師です。

肩とか、腰とか、ヘルメットとかで感触が違います。
 埋めちゃいます。
 救助犬ヒット君、雪崩れ埋没者を救助中!

3歳になるヒット君は去年より成長し、ちゃんと人を見つけたら、ワンワン!と吠えます。

けど、リーシュでつながれている間、通過する登山者に媚び売りまくり(笑)! 人間が大好きなヒット君でした☆

(実は人間を家来だと思っている模様・・・)

埋没者をプローブでヒットしたら、

スカッフ (左右 で雪を搔き)
コール  (おーい!と言う)
ヒアリング (耳を当てて聞く)

で号令で3名が同時に同じ動きをします。

基本的に3名でのコンパニオンレスキューのシチュエーションです。

 閉所恐怖症がない、それぞれの参加者が埋没体験をして、埋没したらどんなに暗いか、寒いか、怖いかを経験し、16時ごろ下山。


 帰ったら熱い風呂が待っていました。正直、熱すぎて湯船は10秒が限界。

夕飯は18時。なんとカニが出た!

カニ剥きスキルの差が出る瞬間でした・・・

美味しかったけど、ビールそっちのけでカニと格闘です!
19時からは、21時まで2時間みっちり復習です。

雪崩れのリスクマネジメントは

① 天候を2~3週間分把握し、天候から弱層の存在を予測する

② ルートの地形から、リスクを予測する

③ 弱層テスト結果から、リスクを予測する

の3つです。

まず

①で行くか行かないか判断し

②で行くか行かないか判断し

③で行くか行かないか判断し

さらに アバランチギア(三種の神器)を携帯する。

いくらアバランチギアが合っても、①~③で判断していなければ、リスクマネジメントしたことにはなりません。

そこのところが、アバランチギアがあるから大丈夫、などと勘違いしないことが重要です。

①は手間がかかり、めんどくさがりは省きがちですし、

②は地形図を読む力が必要で、勉強しない人は分からないですし、

③は教えてもらっていないとできません・・・

アバランチギアはお金がありさえすれば買えるけれど、重要な知識はお金では買えない価値、なのだ・・・と思った一日目でした。


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