丹沢早戸川本間沢は先輩がヒルにひるんでいたそうだ。私には丹沢は全般になじみがないが、以前1月に本間の頭までバリエーションルートを雪稜を地図読みで歩いたことがある。その時は霧氷がとてもきれいだった。
本間沢は南進するから北面の沢。地図で見るとゴルジュ。屈曲は3つだった。滝は大体沢の屈曲部にあることが多い。地形図にトポを手書きで写しながら、沢をイメージする…。南進する沢ということは、日当たりは弱いだろう。ゴルジュということは、暗い沢だろう。明日は雨のち曇り。…ということは、寒いだろう、と予測し、寒い日用の沢ウエアにして行った。ファイントラックのアクティブスキンメッシュに、ラッシュガードの上下。その上に登山ズボンと山シャツ。足ごしらえは、沢靴にすね当て。
ヒル対策は、手首はテーピングで覆い、襟元は手ぬぐいでガード。さらに虫除けネットを被った。さらに、登山口で山ビルファイターを噴射してもらった。20%食塩水を持参した。寒さ対策にサーモスにコーヒーを入れて行った。
失敗は、救急セット(医薬品以外にも針金や火の道具)を忘れたこと。それでリーダーに登山口で忘れたことを申告。沢では怪我が多いし、怪我になった場合、ビバークになってしまうことも多い。まさかの時の備えがないのは、不安要素を増やす。装備表に書いていなくても、いつもツエルトは持参している(普段の山でも)。
行って見ると、駐車場から降り立つ前に、すでにヒルがいた…。先輩はすでにワーワー言っている。すごくヒルが嫌いらしい。まぁ好きな人はいないけど。ヒルは麓のほうで多く、枯葉の上などがヤバいらしい。先頭ではなく、3番目が喰われやすいのだそうだ。痛くなくて、出血が止まらないのだそうだ。
■ 遡行
遡行してみると、直登が多い沢で初心者も大満足、というガイドブックのふれこみは、なるほど、と言う感じだった。易しい滝の直登が続く。シャワークライミングで、ずぶぬれで楽しい。暗く寒い日だったので、寒がっている人もいた。
核心部のゴルジュF9で、15mほどのトイ状滝が出てきた。ここは樋なので、段々になってはいるが高さがある。ロープが欲しい。そうでないと15mの人工壁は、5.7を登るならロープはイラナイことになってしまう。落ちて死ねる場所は、やっぱりロープが要る。
当会は初心者揃いなので、出す練習は登攀が易しいところでやらないと、いざ本当にロープに頼らなくては登れなくなったときには、本物のピンチになってしまう。易しい箇所で出せないロープが、より難しい箇所で出せるはずない。
トップはひょいひょいと登ってしまったが、上からザイルを投げても届かず。傾斜が寝た滝では、投げる方式はダメなのだった。セカンドもフリーソロで登り、フィックス工作をしてくれた。3番4番はタイブロックで登ったが、ラストがアンザイレンしていなかったので、ロープが弛んで、中間者は登りづらかった。
登攀方式は、沢では大体3つある。
1)普通の確保をしてはロープを投げるを繰り返す。
2)ピストン方式。
3)アセンダー方式。
どの方式で登るか、あらかじめ、相談してから登り始める。
大体、1)は傾斜が寝ていると、引っかかるのでダメ。垂直にのみ有効。基本はリードで引いていく。2)はロープが2本必要。3)は落ちて振られたときに、水流に停滞すると、窒息死の危険がある。
今回は、登攀は易しく、テンションの必要はないので、3)で良かった。
次のF10は私は一目で巻くことに決定。落ち口に男性陣のためにスリングを垂らしてフィックスにしておいた。ところが、男性陣はしばらく滝つぼで相談の末、巻いて来た。後で調べたら、ここで遭難が起きていた。
次のF11は立っていたが、別に段々で登れそうだった。私は、右のガレで巻いた。
これも後で調べたら、本間沢はヒルを避けて、夏以外に登る攻略法もあるらしく、そうなると、濡れるのは、歓迎できないので、濡れそうな滝は巻くのだそうだ。直登しても難しくはなかったが、さらに易しくなるそうだ。そういう使い方もいいのかもしれない。
下山したら、一人は4匹、一人は3匹喰われていたが、あとの3人は無傷だった。ヒルとの戦いは勝ったのか、負けたのか…。
帰りは、楽しく温泉に入って終了。今後の成長を期待させる良い山行でした。
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