Thursday, April 7, 2016

初冬の足慣らし

1)メンバー: 2名(男・女)
2)場所: 八ヶ岳ライトアルパイン
3)目的: 冬のアイゼン慣らし・小滝その他、凍結具合の偵察
4)計画: 前夜泊日帰り

5)報告

■ プランニング 

12月1日は大同心稜へ行った。この日は、晴れの予報で、山が呼んでいる!と思われた。

Kimiさんが撮ってくれた写真
アルパインを始め、1~2年目というような、ちょうど段階が似ている友人がいる。二日間の平日休みが珍しく取れたそうだ。一日はゲレンデで岩をするとして、さて問題は、二日目だ。

岩登りは2日連続でやると、とても体の動きが良くなる。でも同行者は一日は歩きたいらしい。

もう冬に入り、岩ではなくアイスのシーズンインだし、もっともなことだ。私も冬に向けて少し歩いておきたい。新しいダブルブーツを買ったので、慣らしておく必要もあった。

どこか長めのルートはないか?11月、八ヶ岳はグランドが中途半端でとても悪い。12月1日と言うあたりもあまりアイゼンサクサクではないのは分かってはいたが、11月のつるつるが標高が下の部分だけになるのは知っていた。

以前11月末に阿弥陀中央稜へ師匠と行ったことがあり、その復習山行がまだ、だ。

なので、中央稜を提案してみた。ここは私はロングな足慣らし用のルートとして毎年使いたいなと思っているルートだ。易しいルートだが、1ピッチロープを出すので、相手がいないと行けない。

彼は赤岳主稜へ行きたいそうだったが、赤岳主稜は、中級クラス。まだ初心者同士では行けない。

それにロープが終始必要、ということは、滑落の危険が常にあり、雪が少ない時期=ピッケルを持っていても、滑落停止などできない時期に行くべき場所とも思えない。

それで大同心稜はどうかと提案してみた。

まぁ大同心稜にしても、稜線近くの岩稜帯で、ピッケルが意味がないのは同じことなのだが・・・ただ滑落停止が意味がないことでハラハラさせられる時間は、主稜と比べて、少ないだろうことは言えた。ロープは出さない前提のルートだからだ。つまり普通に歩けて登れる人には、滑落を心配する必要はないルート。

それに阿弥陀中央稜にしてしまうと、広河原沢の偵察はできるが、南沢小滝の偵察はできない。大同心稜は、小同心クラックや裏同心のアプローチなので、偵察にちょうど良い。

赤岳西面にしたのは、簡易宿泊所がある点も便利だった。前夜泊のためにテントを張ると面倒が増えるからだ。

計画は、前夜泊、6時美濃戸口 8時鉱泉 10時トップアウト 14時行者小屋(または鉱泉)、16時美濃戸口、とした。

進行具合を見て、硫黄へ抜けるか、赤岳方面に縦走するか、選べばよい。

■ 八ヶ岳山荘

夫の帰りが9時ごろだったので、甲府を9時過ぎに出て、10:30頃、美濃戸口の八ヶ岳山荘に着いたら、ガラーンとしていた。

新しいカフェが建設されていてびっくりした。簡易宿泊所は、簡易とはとても思えない立派なベッドが備え付けてあり、布団まであった。中には誰もおらず、我々だけだった。

早速、各自一杯やって就寝。朝は5時起き、6時出発。朝ごはんを食べていたら、出発は少し遅れ、美濃戸へ車を回し、6:37だった。美濃戸口から美濃戸までの林道は、まったく無雪期と同じで、スタッドレスを履いていなかったので、セーフ。

美濃戸で駐車料金を払う時、おばちゃんを大声で呼ぶと、寝ぼけ眼のおばちゃんが出てきた。おばちゃんはいつもあまり愛想がよくないが、呼ばれても怒らないのが意外だった。駐車料金1000円を払う。駐車場はガラガラだったし、まだ冬山には早いのだった。それに今日は平日だ。

■ 北沢コースを1時間半で

鉱泉へは北沢コースを行く。ずっと林道。同行者には、私の別の仲間の話をしたせいか、歩きがとても早い。相手のトレーニングもあるし、適当に先に行ってもらう。

歩き出しはいつもゆっくり暖機運転をしている。同行者のペースが速いと言っても、びっくりするような速さでもないと思ったが、トレーニング目的なので、それぞれ各自のペースの方が良いので、自分のペースを守りつつ、同行者には先に鉱泉に行ってもらう。

私自身の足で、6:37スタート8:00鉱泉着だった。別に早くもないが遅くもない、と言うところだろう。標準コースタイムは2時間。

■ 大同心稜

そこから普通に登山道を行くと一つ目の沢に出る。大同心沢だ。ここはジョウゴ沢への入り口と同じなので、前にも来ている。同行者は大同心稜は2度目なので、先へ行ってもらう。

硫黄岳方面 ジョウゴ沢は見えない

大同心稜は半分は普通の尾根だ。樹林帯を出るくらいから、一歩がとても大きくなる。

硫黄岳方面を見ると、間にはもう一本尾根があり、ジョウゴ沢からは大同心稜は見えないことが分かる。稜線を詰める距離もジョウゴ沢の方がだいぶ長い。つまりそれだけ大同心稜の方が急だということになる。

樹林帯を出る前にハーネス、ヘルメット、アイゼン装着。1本取る。



そこからは、岩稜に入るが、おおむね三級で、急だが、難しくはない。めまいでも起こさない限り、落ちることはないだろう、という斜面だが、明らかに一般ルートにはない斜度だ。沢には良く出てくる程度の傾斜。

傾斜のきつさ・・・これが一般ルートとバリエーションルートのひとつの大きな違いだと思う。

もちろん、バリエーションルートは、地図読みが必要なルートでもあるが、名前が付いているようなルートには踏み跡があるので、地図読みと言うのは実は有名ルートではほとんどいらない。

大同心稜もしっかりした踏み跡が付いていた。

残る違いは傾斜のきつさだ。

傾斜きつければきついほど、剥がされやすくなるわけで、剥がされる傾斜になると、ロープを出すことになる。

三つ峠は段々が出来ているがロープを出さないと登れない。

大同心稜はロープをギリギリ出さないで登るレベルだったが、しりもちをつくような人だと出さないと行けなくなる。

核心部は、稜線に抜ける手前のほんの一瞬だったが、凹角をステミングで上がる。

アイゼンを履いていると、しっかり効いているか怪しいところだ。

私は超えるとき、ザックの重さが不安になり、ザックを外して先に上げてもらった。

すでに取り付いていたから、片手でザックを外す。ちょっとの馬力で行けそうだったが、万が一落ちたら下まで落ちれてしまう。万が一を取らない方針でいるに越したことはない。


ここは、クライミングの慣れや体幹の強さなど、人によっては、お助けを出しておいた方が保険があると思った。

出した方が良いだろうなという人の顔が浮かんだ。

その上はまた普通に歩け、稜線に抜けて、10時だった。2時間でトップアウト。

ジョウゴ沢の時は、稜線に抜けるのに、鉱泉出発9:50で、11:30トップアウトと少しジョウゴ沢の方が早かったようだ。

距離はジョウゴ沢の方があるのだが。

相方は大同心南壁などの野心ももっているようだった。

私は、まずは自分で前穂北尾根が確実に登れるようになることを目指そうと思う。







大同心の頭へ向かう
























■ 縦走路

まだ時間が早かったので、大同心の頭に立ち寄る。

大同心の頭で、相方がロープを持ちましょうと言ってくれる。素直にロープを出す。

重さのせいでバテているのではない気がするが、ゆとりのある方がゆとりを歩荷に回すのが理にかなっている。


今回は空気が薄く感じた。

帰ったら生理が始まったのでヘモグロビンが少なくなっていたのだろうか?

単純にオーバーペースだっただけだろうか?

その辺は個人課題として確かめておかなくてはならない。人にはそれぞれ快適ペースというペースがあるのだ。

横岳方面への縦走路は快適だった。小さいアップダウンが続くほうが呼吸が楽になる。三叉峰で、杣添尾根を見る。今年無雪期に花を見にこようと思っていて来なかったところだ。

杣添え尾根
奥ノ院、石尊峰、鉾岳、日ノ岳、二十三夜峰、この縦走路は梯子が多かった。

石尊峰、鉾岳で、諏訪側へ行くとトレースが消えていた。少し戻って、野辺山側を見ると梯子が隠れていた。

ここは遭難があったことで知られているので、なるほどと思った。同行者は先を行っていて、わたしから見えないので、ちょうど単独のような気分で稜線を歩け気分が良かった。

足の速さはそれぞれだが、10分20分なら、先に行ってもらって、ポイントポイントで待っていてもらうようなのも良いかもしれないな~と思ったりした。地蔵の頭で、11時30分。赤岳の急な登りを眺める。

登りはコースタイムで40分だが、文三郎道の下りは、1時間30分。あと2時間10分だと13:40で、14時行者小屋は可能だ。

16時美濃戸も可能で、17~18時には甲府に着けそうだったが、稜線トップアウトの時決めた通り、同行者は地蔵尾根を下り始めた。安全を見ているので安心感がある。


地蔵尾根はまた階段が増えていた。鉄パイプの手すりは滑りやすく、あまり補助にならないので慎重に降りたが、30分ほどで行者小屋についてしまう。下りはあまり体力はイラナイ。

これだと、文三郎道で降りても大丈夫だったかな・・・と少しよぎるが、まだ小滝の偵察があるので、ゆとりはありがたいもの。


行者小屋で30分ほどランチ休憩し、1時前に、出発する。小滝は、全然凍結していなかった。南沢も少し、ルートが変更になっていたようだった。最初は飛ばしたが、あとの方は、時間も余っているのでのんびり行く。


■ 冬壁

全体にかなりペースを速めて歩いたが、同行者にベテランの話をしたからかもしれない(笑)。

知り合いに冬壁をしたがっている人がいるが、私は冬壁はたぶん実力に満たないと思う。

冬壁は、ザ・山男の世界だ。でも急いでザ・山男になると、何でもないところで落ちて死んでしまう。

私の講習会仲間だった人は、西穂奥穂の稜線では落ちなかったのに、涸沢岳西尾根で落ちて死んでしまった。36歳、身重の奥さんがいた人だ。

野田勝さんという山野井さんのパートナーさえ務めたホープがいたが、鹿島槍の東尾根のなんでもないところで落ちて亡くなってしまった。

その後に山野井さんが書いた『アルピニズムと死』を読んだ。

というわけで、長期熟成が良いと思っている。山では急いではならないのだ。

それに、私は雪稜は好きだが、壁にはあまり適性がないみたいなんだなぁ・・・。

「クライミングは今からだね」と皆に言われている。確かに・・・。

今、リードできるの、せいぜい5.10Aだもんなぁ・・・。それもすべての5.10Aが登れるわけではなく、全然ムーブが浮かびさえしない課題もある。むしろ、登れる5.10Aはラッキー、お得~という感じだ。


まぁ登攀については同行者の方が少し登れる5.10Aが多いが、リーチの差を考えると、実力の差ではなく、体格の差かもしれない。

同じことで、体力の面でも、同行者の方が少し早いが、男性と女性で、小柄な方が同じ速さで歩けるのであれば、小さいほうが能力的には上と言うことになるだろう。

かと言って、自分より登れず、自分より歩けない男性と組みたい女性がいるか?というと、いないかもしれない。

そんなことを考えつつ、同行者には計画を縮小させて悪かったが、相手の方が上でホッとした。これが逆だと、かなり気まずいことになるのは違いない・・・。

それにしても、今回は空気が薄かった・・・普通に横岳赤岳を歩いて、自分のペースを確認しておかなくては。




横岳はまだ縦走路の中で歩いていない場所だった。2年前は赤岳が足慣らしの山になった。今年は横岳だ。まだ一般縦走路。

このペースで行くと来年は中央稜へステップアップできるだろうか?

この山域では、1月の初めに峰の松目沢のアイス、2月の雪が深いときに、御小屋尾根でラッセル山行をしておきたいなと思っている。

山は、山煩悩化せず、きた山に登るのが大事だと思うようになった。

向こうから山はやってくる。

その時、十分準備が出来ている登山者でいることが大事なことだと思うようになった。

≪関連記録≫
南沢小滝の偵察
ジョウゴ沢
広河原沢左俣
阿弥陀中央稜
赤岳
無雪期赤岳
1回目の赤岳

≪今回の費用のまとめ≫
八ヶ岳山荘 簡易宿泊所 2000円
朝の缶コーヒー 150円
駐車料金 1000円
コンビニ 1200円
高速 片道 960円
交通費 およそ2000円

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