最近、本当にありがたいことに
雪上訓練した方が良いよ!
とアドバイスいただいています。 私も本当にそう思います。
私は山岳会に所属していない去年は二つも雪上訓練出ていたのに、所属している今年は一つも出ていません(汗)。
■ 地方山岳会
御坂山岳会は、オールラウンドな会です。オールラウンドな地方山岳会、ということは、
・ハイキングの人
・フリークライミングの人
・アルパインクライミングの人
が混在しているということです。
地方山岳会は、幅広く地域の登山愛好家を受け入れるのが使命ですから、アルパインの人はむしろ少数派で、特殊な山をやっている、と目されます。(何が本来オーソドックスな登山か?というのは、長い議論になるので割愛。)
そのような会においては、雪山に行く、という人がそもそも少数派です。さらにバリエーションルートを志向する人は、その中でもさらに少数派です。その上、そのために犠牲を払うつもりがある、という人も少ないです。
私は、一般登山では仲間を求めているわけではありませんが、一般登山に行かない、と言うつもりも毛頭ないです。ハイキングはハイキングの良さがあります。
しかし、いわゆる”山岳会”に入ったからには、仲間がいないとできない山をしたいです。ひとりで行けるところに仲間と行かなくても(行ってもいいけど)いい。
アイゼントレーニングや雪上訓練、レスキュー訓練、クライミング岩講習、と、そういった年間行事的なトレーニング山行が生きる山には、ぜひ行きたい!と思っているので、訓練はしてほしいのですが…今いる会での開催は、現実的に無理だろうな~と分かります。
≪理由≫
・教えられる人がいない
・教えられる人がいたとしても忙しくてその時間が取れない
・教えられる人がいたとしても、参加者が少ない
・教えられる人がいたとしても、普通に山に行った方が有意義だ
・そもそもそのような技術が必要な山に行く会員はほとんどいない
・そのため特定の人に少ない資源(先輩と言う人材、時間)が偏ることになる
開催する実力がなく、また開催したとしても頭数が揃わないのは分かります…。
■ 岳連?
山岳会をまとめる組織に岳連というものが各県にあります。上部団体は2団体あるそうです。
日本山岳協会系列の山岳会は、岳連に所属していると思います。その上は体育協会です。
一つの山岳会が、自前で雪上訓練をする実力や体力を持たない場合、次善の策としては、岳連が主催して、たくさんある山岳会の中から、雪山に行きたい人を募り、意欲ある人に技術を伝授する、ということが考えられます。
が、高齢化や会員数の減少は、今に始まったことではなく、現時点でかなり歴史的に長い時間たっており疲弊していて、現状は、過疎化を通り越して、”限界集落”を思わせる事態になっていそうです。
知り合いのある人は役員を引き受けたら10年間誰も変わってくれる人がおらず、なし崩し的にずっとやらなければならなくなり、それは大変な目に遭ったのだそうです。
役員等を引き受けるとそれに忙殺され、自分の山ができなくなるので、ある意味、他のより若い登山者の盾になっている、と言えるかもしれません。
このような目に合うのが、先輩後輩の盾のつながりがまだ生きていて、恩を感じている人であれば、まだ本人も「今ある自分は組織のおかげだから」と考え、我慢ができるかもしれません。
が、そうでない人が長い間そのような奉仕を要求されれば、たぶん、ただ退会するだけでしょう。
ということは逆に言うと、恩を売ることのできる、若い人が山岳会に入会しない時点で、もう前途は見えています。
というわけで、岳連による訓練の開催も難しそうです。
≪理由≫
・岳連としてまとめ役・発起人がいない
・その役目を担うような意欲・時間がある人がいない
・岳連も高齢化している
・そもそも、そのような措置が必要だと幹部が思っていない
・どれくらい人数が集まるか分からないので、外部講師にどれくらい払えるか分からない
まぁ高齢化に伴って、意欲も減退しているというのも原因ではないかと思います。
しかし、それは人間としては普通のことです。誰でも高齢化すれば、激しいアルパインには行けなくなります。それは当然のことです。
■ ガイドによる講習?
一方山を教わる新たな機関として、一つの選択肢に上がっているのが、ガイドによる講習です。
ガイドは厳しい試験を潜り抜けていますから、しっかりとした技術であることは確実です。
しかし、雪上訓練に関しては、ガイド講習も、あまり期待できる内容にならないだろうと予測できる。
実際、私はガイドさん主宰の雪上訓練で富士山5合目まで登山初年度に行きましたが、何もしないで帰ってきました。参加者は2名。それでもお金は払わないといけないので、2回目は参加していません(笑)。
≪理由≫
・お客さんとガイドという間柄では、危険が少しでも及ぶことはさせられない
・お客さんが期待するのが ”登頂”という結果だけであることから、ガイドが行う講習は限定的技術になる(つまり雪上歩行だけ。相手の確保技術は含まない)
・ガイド自身が募集する場合、集客力がないので、頭数が揃わない=採算が取れない
・継続的には開催されない
ネックは、ガイドが教えることは、技術的に限定的だということです。セカンド専門化育成です。
■ 登山学校?
では登山学校はどうか?というと、これも良く良く吟味しないと、登山学校とは名ばかりで、トンデモ、はいっぱいあります。
ですから、まずはまともな山ヤをきっちり見つけてくる、というとこから始めないといけないです。
ところが問題があるのは、どの山ヤさんも自分のことはまともな山ヤだと思っていることで、全くの初心者には、どの人が言っていることが正しく、どの人の言うことを聞けばいいのか分かりません。
そもそも、そこから自己責任で選ばなくてはならないのです。最初は何も分かりませんから、多少の運もあると思います。
≪実力がある?山ヤさん選別のポイント???≫
・長い間山をしていても、死んでいない
・考え方に合理性がある
・自分で考えている
・人道主義的・温情主義的
・誠実
・正直
・人の功績を盗むなどしておらず、尊敬できる
・自分を押さえることができる
・視野が広い
・登山史にも造詣が深い
・安全に対するポリシーを言葉にして表すことができる
・地図が読める
・若い登山者に的確なアドバイスを与えることができる
うーーーん、この辺は研究中ですから、まだまだありそうですが・・・。ホント教えて欲しいです(^^;)。
この問題点は、そもそもそこから?!というくらい、もとに戻って、信頼できるORできない、を判断しなくてはならないことです。
ヨガでもバレエでも最初の一回は無料体験です。ガイドや登山学校ではそれはできません。
お客は、いきなり見知らぬ他人に命を預けなくてはならないのです。
それが嫌なら、自分の側でお金を払って相手が信頼できるガイドかどうか?を見極める時間を作らなくてはなりません。
余談ですが、それが一般に、個人のガイドではなく、会社組織のガイドや受賞歴などの裏付けをお客さんが求める理由なのではないでしょうか?あなたが信頼できるってどうやって分かるの?ってわけです。
■ 公立登山学校?
日本で一番すぐれた登山学校は、文部省の登山研究所です。略して、文登研。
しかし・・・岐阜にあります。日本の各地のリーダークラスが行くところで、一般に門戸を開いているわけではありません。大学山岳部のリーダークラスはまともに育成されていると思います(たぶん)。
文登研に似た組織に、
長野県山岳総合センター
があります。こちらは文登研と違って、一般に公開されています。
東京都山岳連盟
神奈川県勤労者山岳連盟
なども、登山者育成コースを持っています。登山学校で検索すると、大きい岳連は、登山学校を持っているのが分かります。
これらも講師の資質の面で、高齢化により、人材の層が薄くなっているのは否めません。教わることが
・間違ってないか?
・古くないか?
は、教わる登山者個人個人が一人ひとり判断しないといけません。
■ 私立登山学校?
このような公立の登山学校に対して、私立と言えるのが、石井スポーツや好日山荘などが主催する登山学校です。無名山塾も私立の登山学校と言えると思います。
ICI登山学校
好日山荘登山学校
無名山塾
オリソンテ登山学校
マウントファーム登山学校
マウンテンゴリラ登山学校
このような登山学校は、カリキュラムが場当たり的という問題があり、登山を体系的に理解するのが難しいかもしれません。
それでも、先輩について金魚の糞をしているよりは、主体的な学びの機会である、とは、言えるかもしれません。
■ ・・・結果、八方塞がりです
というわけで、いわゆる趣味として登山を始めた一般登山者、無組織登山者が、組織に属して、いわゆる昔から言われている”本格的登山”を、体系的に学びたいと思った場合の受け皿としては、現代は(もしくは私が居住している山梨県は)
八方ふさがり
というような状況です。
いかんせん、それが
ソロ
へつながって行く、後押しになっているのではないか?という懸念は、免れ得ないのかも知れません。
雑誌の特集では、若い人が読むものに、ソロが大変よく目につきます。私も夏山の一般縦走なら、ソロがいいなと思ったりします。危険個所ないし、人とつるむの面倒だからです。
硬派な会から、スピンオフした人に会いました。会って思ったのは、会社組織でも”優秀な人から辞めていく”という現象でした。
会社に残るのはヘッドハンティングされることのない、勤務年数ばかり長くて、能力のない者ばかり…という現実が以前いた会社にはありました。
というわけで、無組織登山者に、安易に山岳会に入った方がいいよ!とは薦められない現実があります。
何がメリットなのか?と聞かれたとき、即答できない(^^;)。
特にガイド登山歴が長い人は、山としては高度な山に、安全管理はお任せ、地図読み・ルートファインディングはお任せ、で登ってきた実績や実感があります。
そういう人が地方山岳会に入った場合、
ハイキング⇒ え~こんな地味な山?それも団体で?!
フリークライミング ⇒ ビレイなんかしたくないよ~ 登りたいよ~ トップロープじゃないの~
アルパインクライミング ⇒ え~こんなところしか行けないの?なんで荷物こんなに重いの~
危ないからロープ出してよ~ え~エイトノット?知らないよ~
となり、どの派に属しても不満に陥る、という事態が予測の範囲にあります。
逆に硬派な会に入れば、やたらそんなことも自分でできないの?と言われて、しょげてしまうでしょう。
相手の安全を確保してあげるつもりがない人を山行に誘うような奇特な人はいません。
誘ってもらえないから会に所属していてもいなくても同じということになり、自然消滅というのがお決まりのコースです。そして、こういう会は各自が自立しているから、合宿山行などというものはないのですから。合宿がなければ集まり理由もなくなり、会としては個人と個人のつながりをベースにする、ことになり、ますます孤立が高まります。
つまり、これらを総合すると、個人で山に行っていても、会に属していても、山行そのものには差はあまりないってことです。
どっちにしても、
自分の仲間は自分で見つける、
技術は自分で身に着ける、
分からないことは自分の力で調べる
のは一緒です。
山岳会は、会費5000円~1万円くらいで、山友達が見つかるチャンスが広がる、と思うのが、一番無難な山岳会への所属の仕方、ではないか?と思います。
間違っても、毎年の雪上訓練、ではないという現実が待っているような気がします・・・。まぁ雪上訓練したからって、歩きが上手になるわけではないです。
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