Friday, March 6, 2015

ヒヨ太のおねだり

■ ヒヨ太のおねだり

厳冬期2月、さすがの裏山にも食べ物がなくなって、野鳥たちが物欲しそうに、軒下の枯露柿を眺めているので、美味しい枯露柿は、人間用に室内に取り入れた。小鳥たちがあらぬ勇気を出して、枯露柿をつつかれては、互いのためにならない。

それで、物欲しげな鳥たちのためには、ちょっと古いミカンを出しておいた

すると、すぐにヒヨドリがやってきた…おとどし我が家のベランダから巣立って行ったひなだろうか…? 

家の前の銀杏の木の梢から、こちらを見るでもなく、なんとなく、枝に止まっていたのは、「もしかして、ここにオヤツ置いてくれませんかね~」という淡い期待、ヒヨ太のリクエストだったのだ。やっぱり~!

言葉を話さない野鳥が、どう思っているのかをどうやって確認したらよいだろう、と、ちょっと思案して、ためしに、ミカンを置いてみたら、あっという間に消費されていた、と言う訳。

それで夫にその話を報告する。

ヒヨドリは、貪欲らしく、置いたミカンを、丸ごと軒下に落として、安心できるようにしてから、食べる。

皮を下に落とされてしまうと、回収に階下まで拾いに行かないといけないが、しばらく前から通用ドアに鍵がかけられていて、洗濯物をうっかり落としたときなど、管理会社に電話して鍵を出してもらわなくてはならず、めんどくさい。

それで、木の板に釘を打ち付け、そこにミカンを指して、皮が下に落ちないようにした。

最初、この木の板だけでやっていたら、欲張りのヒヨドリは、その板ごと羽ばたいて持ちあがようともがいていた(--;) 

たしかに動くんだが、小鳥の体重と板では板のほうが重そうで持ちあがりはしない。けれど、何度もチャレンジしていると、動かして落としてしまいそうだったので、対策として煉瓦を積んで固定。これでヒヨドリもあきらめるだろう。

そういう様子が、とてもコケティッシュで面白いので、写真を撮って、夫に見せたら、夫の心の琴線に触れたらしく(笑)、私が楽しくアイスクライミングに行ったりしている間に、夫は何をしていたかと言えば、ヒヨドリのお食事風景を隠し撮りするのに、マイクロカメラをセットして、切磋琢磨していたのだった…もっとましなことはないのか?一体どうしてそんな機材を持っているのか?

夫は、小さき者、か弱き者を愛する人だ。近所の猫とか、大体お友達…。私が猫アレルギーがあるので猫は買えない。以前住んでいた大阪の町は猫が多く、散歩に行くといつもどこかに猫がいた。今いる甲府では、あまり猫を見かけないが、猫屋敷になっている家が近所に一軒ある。犬は庭がないので買えない。それに私は旅行好きで、家を空けるのが好きなのでダメ。

我が家は子供には恵まれなかったので、夫を見ていると、ちょっと悪いな、と思う。でも、実際の赤ん坊や幼児が目の前にいると、どうしたらいいのか、分からないみたいで、アタフタしている。近所のちびっこ3歳を、母親がほんのちょっと買い物に行く間に預かっていたら、彼はびっくりして、どうしていいのか、分からない気の毒なほどの慌てよう。彼は見るのが好きなのだ。世話を焼くのより。

それで、一緒に行く山は自然観察系、と思うのだが、それはそれで苦手らしく、イマイチ乗ってこない… 夫と登る山ってテーマ設定が難しい。

友人の一人に女の赤ちゃんが生まれた。彼にとっては、大事な大事な宝物。携帯の待ち受けにしていた。男性は小さいものを庇護したい、と思う遺伝子情報がちゃんと組み込まれているのだ。ほほえましい。

■ 愛娘

最近、山パートナーが必要なので、色々と気の合う人の共通項を見出す努力をしている。

それで、山のパートナーで気が合う人は大体、同じように愛娘を持っている人が多いということに気がついた。

女性に対する見方が、”愛する子供”がいる人では違うのではないか?結婚して、女性に対する横暴さが増す人と、逆に尊敬の念が増す人がいる。 

最近、ドーダ理論と言うものを学んだ。それは人間は「ドーダ俺(私)はすごいだろう!」という気持ちに突き動かされて、生きているという理論。まぁ、自己愛については、ない人間がいたら、逆に怖い。けれど、それだけでもないだろう。尊い気持ちと言うのは、おおよそ自己愛を越えたところにあるのだ。

そして、赤ちゃんがいる男性は、”ドーダ心”よりも、”守ってあげたい”という気持ちが勝るようなのだ。良い意味での責任感だ。

■ 男性像1と2

父親は、イケメンで、飲んだくれの助べえだった。いつも酔っぱらって帰り、浮気のために母親と離婚した。夫婦喧嘩は、今でいうドメスティックバイオレンスでお皿が飛んで、窓ガラスが割れた。朝は寝ているので父親をみない生活。男性像1.

男性像2.私は2歳年下の弟がいた。小学校辺りまでは、蹴ったり殴ったりの、取っ組み合いの喧嘩も普通に二人でしていた。中学に入ったら、勝敗がやらなくても見えているので喧嘩しなくなった。弟が小さいころ、近所の餓鬼大将の家来にされていたときは、同級生の餓鬼大将に私が勝負を挑みに行ったくらいだったのに…。

まぁ、男性の方が肉体的には大きく力は強い。ときどき、神が、女性を産む性にしてなおかつ、男性より肉体的に大きく、強く作っていたら、今頃世界はどうなっているのだろう?と想像する。

きっと理屈においても力においても、女性に隷属せざるを得ず、世界はひどいことになっているのではないだろうか?

ともあれ、夫は、私がいない間に、ヒヨドリのVTR撮影に成功した。

■ おねだり

数日、温かい日が続き、甲府も雪ではなく雨。 オオイヌフグリは、そもそも甲府では枯れていないんじゃないか?という厳冬期から咲いていたし、もう梅の花も咲いて、ろうばいの黄色は、春をとっくに告げた。

それで、おいしい虫が一斉にわき出したのだろう、ヒヨ太はしばらく来なかった。

我が家のヒヨ太ブームも終わり、と思っていたら…

つい3日ほど前、朝5時半ごろ、「ギー、ギー」とうるさい。 なんとヒヨドリが、「なんでミカンがないんですか?」と怒っているのだ…

まさか、置いていないことを咎めに来るとは…(^^;)

いや、すいません。 

小鳥が本当にそう思っていたのかは不明なので、とりあえず、今度はリンゴの端きれを置いておいた… 下の方がちょっと痛んでいるんだが…満足げに皮まで完食。 みかんより、リンゴのほうが皮が残らなくて人間側としては助かる。

しかし、おねだりに来て、早朝から文句まで言うとは…(^^;)目覚ましが鳴る前から起こされてしまった。

今日も同じで、新しいミカンを置かなかったら、「ギーギー」だ。

どうでもよい情報だが、一緒に米粒を撒いておいたのだが、蹴っ飛ばすんです、米粒… 米粒はキライらしい。


■ 欲張り

ヒヨドリを見ていると、おいしいものが大好きな先輩を思い出す。ちょっとコケティッシュだからだ。

美味しいもの大好き。モテたい。

二人用テント、米3合、日本酒1合を2ビン、ワイン、プラティパスに1本、ビール350mlと500mlを2缶づつ、それに二人分の行動食、冷凍の刺身(しかも夏山なのに30%オフのもの)、さらにパスタなど、2泊三日分の食材…、これだけが私の分担だった。

後でびっくりしたのは、先輩のザックから出てきたのは、コッヘルセットだけだったことだ。ランタンまで軽量化で置いてきたのだ。

というか、軽量化ってあるの?というのは、食材の重さは全部私が背負っているんですけど?

私は北岳は日帰りできる。その北岳、大樺雪渓から上がり、草滑りで降りるだけのコースに2泊3日だった…だからと言って、よく自然観察した訳でもない。歩いた時間は、ほんのちょっと。後はテントと小屋の談話室で寝転んでいた。

つまり、私は人の分の酒まで背負って上がったのだった。海鮮丼も、ペペロンチーノも、ラーメンも、まぁおいしかったけど、食当費が4000円もするのだから、それは当然の成り行きだろう。高すぎる。

その後、紀行に「次回も遠慮なくどうぞ」とあったのにはあきれた。先輩の分の食料だけでなく、行動食と酒まで担いで、「またいつでもリクエスト聞くよ」はないだろう。それはこっちのセリフだ(笑)

どっちが連れて行った側か?は、一緒に行動した同士には明白だ。でも、そんなことは写真からは分からない。

女に担がせて、女にモテたいというのも謎だ。自分が男より重い荷物を担いで、「また一緒に行きたいわ、連れて行って!」と、言う女性がいるのだろうか? 

私は別に自分の分を担いでもらいたいとは思わないが、人の分を担いでまで一緒に行ってもらわなきゃ北岳程度に登れないことはない。

いくらパートナーに困っても、自分より弱い男の人とその人の分を担いであげてまで、山に登りたいとは思わない。人には得意不得意があるから、別に苦手があってもいいんだが、それでもなぜ彼の酒まで私が担がなくてはならないんだろうか?

でも、正直、こうした人は憎めない。

思慮が浅いが悪人ではない。美味しいものが大好き。美人が大好き。かっこつけたい。ものすごく直線的で原始的だ。

なぜかヒヨドリのおねだりで、この先輩を思い出すんだな(笑)。

 

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