山岳会は、無料の登山教室ではないので、教えてもらうことを期待して入会するところではない。
が、山岳会は山仲間を得るための場なので、教えたくない、という負のインセンティブはない。
教えてもらうのを待っている → 自ら学ぶ
あくまで、教わるという自分の側の主体性が大事だ。
■ 主たる問題点
山岳会での基本的な問題は、
本人一人が分かっているつもり で 教えても教えた内容を教わらない
という点だ。最も大きな問題点は、本人が
自分は何が分かっていないか、分かっていない
とことで
教える相手の言っていることに聞く耳を持たない
点にある。 確保器が上下反対だよ、と教えても直さない。あるいは、だらりんビレイを指摘しても直さない。登攀方式は沢の教科書に載っていると教えても、自分が知っているやり方を主張する。
これは、”教えていない”のではなく、”教わっていない”のだ。
教える側の問題より、教わる側の問題の方が大きい。そのような場合時間の無駄だ。教える側の怠惰はない。
■ 時間の無駄を避けるべし
一方、教える側は、権威の失墜に気を付けなくてはいけない。教わる側が教わらない主たる要因は、相手を見くびっている、ことだ。フレンドリーさが仇になる。
多くの人は、体力や登攀力が上であれば、安全管理力が下でも、山の総合力が上だと勘違いしている。そして大抵の男性は体力が上だ。何もしないでも身長や握力の優位で登攀力が上だ。
そのような相手に教えようとしても教わらないので、時間の無駄だ。
■ 自分がいかに学んだか?
登山では(歩き)と(登攀)は分けたほうがいいかもしれない。
歩き
ロープが出る個所=登攀
歩きについて学ばないといけないことの第一点は
地図読み
だ。どこへ行っていいか分からなければ、道があるところに行ってしまい、とんでもないところにたどり着く。
多くのクライミングの上手な人が、地図読みはおろそかだ。地図読みだけを意識した山をした方が良い。そこで学んだプロセスを検証する。
■ 地図読み山行の経歴
初心者時代
2010.12.15 高川山(地図読み講座)
・この時点で、尾根も谷も読め、磁北線も引いて行った。
・参加者のレベルの低さにびっくりした。
・自分自身は教えられたことはすでにやっていた意識の高い参加者だった
2011.12.5 三つ峠
・尾根を一つ地図読み
・その必要を感じていないため、嫌々だった
2012.12.16 南ア 八頭山
・小さな里山を地図読み山行
・こんな山は楽しくないと思っていた
初級者時代
2012.3.20 鍋倉高原 2泊3日 スノーシュー ルートファインディング練習
・雪山へチャレンジ山行。
・目的地には達成できないで帰る
・それでも楽しい
・雪山なので足跡をたどれば、帰れる
2012.4.7.ツルネ東稜 冬山2シーズン目
・雪山で下りの尾根を地図読み
・地形を早めに読みすぎてしまう。
・しかし、尾根の下りは初級とは言えない、中級クラス
2013.1.9・10 ソロ一泊2日 厳冬期 北八ヶ岳
・読図より、ルーファイの力が必要な山。
2013.3.2・3 白川郷 スノーゲイン オリエンテーリングの大会
・コンパスの使用法をマスター
・大会初参加で準優勝
脱・初級者
2013.4.15 奥秩父 中津森 地図読み 講習会
・この時、ルートを作る考え方をマスター
・ベアリング図も用意
・降りる尾根を一つ間違う
2013年11月27日(水) 日帰り 奥秩父 黒富士 単独
・消えかけた登山道
・成功体験を積む
2014年1月10日 奥秩父 バリエーション 茅ヶ岳 東尾根 単独
・地図読みの力そのものには、単独でも問題を感じなくなる。
2014年10月16日 金峰山 伝丈沢・金石沢
・同行者がいたので、GPSを持たないでやってみる
・成功
2014年10月26日 地図読み 兜山講習会
・天野和明さんの講座
・2日間の机上講座を含む
・教えられることはもうないことを確認
・ココはどこ?はすでに正確に指摘できた。
2014年11月4日 地図読み 兜山 復習山行
・伝達講習
2015年2月1日 節刀ヶ岳 北尾根北西尾根
・特に問題なく地図読みできている
中級者
2015年3月30日 棚山・兜山
・楽しく冒険
・地図読み力が楽しさに結び付いた山
2015年5月31日 板敷渓谷から中津森 沢登り
・シナリオ想定について再認識
2015年6月13日 奥秩父 青笹尾根
・シナリオ想定ができることを確認
■ ポイントとなった点
これらをまとめると
1)必要性の認識 ~ 読図力が必要だと認識する時期 = 初心者・初級者
2)自ら取り組む時期 =脱初級者
助言や機会を与える必要がある 例:講習会等
3)楽しかったという感想や達成感
が重要だと思う。 キッカケ→行動→ご褒美 のサイクルが回らないといけない。
■ 期間
私は現在、地図読みを意識し始めて、5年目だがもう大抵の場所は、現在地を同定しながら歩ける。次に出ている地形をあらかじめ予測している。
1)初心者時代 1~2年
2)初級者時代 1年
3)脱・初級者時代 1年 このあたりで山岳会に入会
4)中級者へ 1年
5年間の地図読みをマスターしようという試みのうち、最初の読図するニーズを理解するための時間が長い。地図読みについては、大事だ大事だと大連呼されているが、一般道にいる限り、なぜ大事なのか?は分かりようがないからだ。
ここは時間を掛けるべきなのか?それとも、山岳会のメリットで、一足飛びが良いのか?悩ましいところだ。
■ やるべきこと
学ぶ者の主体性が何より大事だ。
したがって、まず第一にやらないといけないのは、地図読みの大事さを教えることだ。初心者は地図読みが必要な山に、そもそもいかないからだ。念のためにGPSを持ち歩いているような場合も同じ。
地図読みの必要性では、
安全のため
をよく言われる。
しかし、私が地図読みを身につけたのは安全をきっかけにしても、動機にはしていない。地図読みは自分で出来た方が楽しい。
安全を目的にした場合、GPSがあればいいやとなってしまうだろう。そうではなく、自分で地図読みをして面白いと思う、きっかけは何だろうか? 私の場合は、踏まれていない雪山を歩くと言う目的があった。また登山に自由の拡大を求めていた。
動機は色々であっても、個人的な動機を持つことが大事だ。
人に、いつもついて行っていれば、ルートを自ら見出す楽しみについては知らずに済んでしまう。それではルート発見やルート維持について、個人的な動機を持つことができないだろうと思う。
■ 目標・成功を定義する
これらは努力であるので、報われる体験がないと、つまりご褒美がないと、挫折となり、次のエネルギーに続いて行かない。何が成功か?は本人による。定義次第だ。
私の場合は地図読みは、
1)コンパス使用法
2)ルート作成
3)尾根の下り
4)シナリオ想定
などを達成の目安にしていた。
・林道などのフェールセーフ付 (本物の遭難には失敗してもならない)、または
・同行者がいる
が重要な点だった。現在はあまり必要とはしていない。
私の場合は記録を付けているので、個人的な成功がきっちり定義できているのだと思う。
おおよそ、このようにしたらよいのではないか?という提案はこのようなものだ。
初心者 地図準備がきちんとできる
初級者 コンパスが使える
脱・初級者 ルートを作れる
中級者 シナリオ想定ができる
■まとめ
・読図のニーズを理解する
・自ら学ぶ
・機会を与える
・成功は自ら定義する
≪素材≫
・三つ峠
・八頭山
・中津森
・茅ヶ岳
・黒富士
・兜山
・雪山ならどこでも
・川俣尾根
・カンマンボロン
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