Wednesday, November 29, 2017

UIAA Alpine Summer

■ UIAA

ロープが出る山をしていないと、UIAAの名を聞くことはあまりないかもしれず、ロープももし会に属していると、最初のうちは、おさがりを使っていると思うので、UIAAと聞いても、さっぱり何のことか、わからないかもしれませんが、UIAAは、登山の世界で、最も権威ある組織です。世界の山岳会の親玉みたいなところ。

UIAAについてはこちら。
https://en.wikipedia.org/wiki/International_Climbing_and_Mountaineering_Federation

■ Alpine Summer

そこが出しているアルパインクライミングの教科書を、インスボンに登攀に行ったときに見たのですが…、韓国語でした。

そこで、イギリスから、英語版を取り寄せてもらいました。英語版はフランス語版からの、英訳です。

現在、日本では、技術的に信頼のおけるスタンダードな技術が文書では伝えられていません。

これまで、最も信頼おける技術情報は、ペツルのカタログというのが実情でした。それは海外でも同じだったようで、この本にそう書いてあります。本の中にも、どこかで見た的なイラストがいっぱい。

ここ2年ほど、ペツルはカタログを紙で支給することがなくなりました。これはペツルだけでなく、ロープなどのギアを出している各社同じで、ネット上のPDF化されたカタログで済ませようとしているような様子がうかがえます。

それはそれでいいのですが、新人に教えるとき、紙媒体って、やっぱり便利なのです。というのは、山で、小さい画面のスマホ見ながら、ってのもねぇ…と思うからです。たとえ人工壁でも、ちょっとヤな感じ。

これ読んでおいてね、と貸す本があると、先輩は楽です。

また、ペツルのカタログに書いてあることは、最新情報だということは、クライミング歴が長ければ、わかりますが、そうでないと、たかだかギアの一メーカーが言っていること…とも受け取れてしまいます。ちゃんと読まないかもしれない。

どこか権威ある団体が、これがスタンダード技術ですよ、という本を出してくれないか~と思っていました。

日本では、国立登山研究所の出していた『高みへのステップ』みたいなものですね。しかし、『高みへのステップ』も取り寄せてみてみましたが、残念ながら、一番新しい版でも、8環の時代から、技術的内容が更新されておらず、使い物にはなりませんでした。

今回、紹介するUIAAのAlpine Summerは技術的に、世界で最低限知っておかなくてはいけないことが書かれていると思います。

例えば、流動分散は、日本では、まだ、普通に120cmのスリングを2つのカラビナにかけ、真ん中をねじった、マジックXスタイルが標準的に教えられていると思いますが、こちらの教科書には、オーバーハンドノットをそれぞれの側に結んだバージョンが載っています。確かこれには名前があったと思います。YouTubeで出ているビデオを以前、紹介しました。

オーバーハンドノット付きのだと、片方の支点が壊れた場合も、スリングの伸びが最少で済みます。(がノットを作るとスリング自体の強度が半分程度まで下がるなどの検討は必要かもしれません)

支点として、どういう結びがベストなのか?

ということは、それこそ、ケースバイケースなので、状況を設定して、様々な検討を加えないと最善の解は導き出せませんが、

ただ、この結びは、多分、日本では教えられていないのではないか?と思います…。

おそらく日本では、スタンダード技術というか、標準的に教える内容を定めるのに、議論をすると、議論に収拾がつかなくなるのではないか?とか、そういう事情があると思います…。

それは、主義、主張があるからです。例えば、懸垂下降を、新人に教える時、バックアップつきを教えるべきか、教えないべきか?など…。私はバックアップ付きで教わり、最初から空中懸垂ですが、今ではバックアップを使うことは、めったにないです。斜度が寝ているところで、教えたほうが安全か、そうでないか、も意見が分かれるだろう、ことは容易に想像がつきます。

かといって、いっぺんに全部教えたら、新人が吸収できないだろ、というのは、ほぼ全員一致の意見であるように思いますが…。でも、個人的には、部分的に教えられるより、全体を教わったほうが最初がアップアップでも、後々良いと思いますが。

というような意見の相違や困難を避けているため、日本には、権威ある団体が発行している技術書がないのではないか?と思います。

ので、新人さんは自己防衛のために自分で勉強しないといけないです。それにおすすめの本が、このUIAA Alpine Summer です。

いくつか、この本の内容を映した画像をアップしますので、ぜひご自身で、取り寄せて読んでみてください。 ネット検索で、ヒットします。すでに日本の山岳団体には翻訳を依頼していますが、翻訳が出てくるのはいつになるか、わかりませんし、難しい英語がでてくるわけでもないので、普通に読めると思います。

ちなみにガイド協会が出してるロープワークの本もおすすめだそうです。
http://www.jfmga.com/kyujyomanual.html

本でおすすめはこちら!














■ 参考リンク

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%AB

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