■ クライミングと一口に言っても…
昨今、クライミングブームらしいのですが…
アルパインクライミング
フリークライミング
スポーツクライミング
ボルダリング
インドアクライミング
アウトドアクライミング
…とぜーんぶ違います。で、新人さんには、それを説明するのは大変なので、勝手に理解してほしいのです。たぶん、クライミングが楽しくなると、勝手に本を読みたくなってくるというか、そういう知識の渇望期みたいなものに入るはずなのですが…
それも周囲に先輩が居ない状況だと難しいカモ?と思わないでもない…
ので、ちょっと努力してみます。
フリークライミングがすべての基礎にありますが、フリークライミングという言葉における、”フリー”の意味とは、道具を使わないで登る、という意味です。反対を考えると分かりやすく、エイドクライミングというクライミングは、エイド=人工の道具を使います。
要するに、自分の力だけで登るということです。でも、実際は、ロープとクイックドローは使いますし、ハーネスやヘルメットも、チョーク、クライミングシューズも必要です。
それでも、建前上は、登るのに道具を使わないで、登ることになっています。(チョークのフリクションがエイドじゃないか?ということは言わないって意味です。でも、ホントにすごい粘着力で登る時代も来るのかもしれません…)
スポーツクライミングは、安全性を重視した、クライミングのムーブそのものを楽しむためのルートです。主に人工壁と支点がきっちりと整備され、支点の間隔が近い岩場。
ボルダリングは、ボルダ―(河原の石っころ)に意味を発します。石っころを登るわけで、ロープが要らない程度の高さしか登らないです。どんどん難しくなっています…(汗)。
インドアクライミングは、そのままで、インドア=室内壁と言う意味です。アルパインの人は山が好き、アウトドアが好き、なわけですから、アルパインの人にとっては室内壁は、今の時期のように雨で外で遊べない日用です。が、気軽に山に行けない都会の人にとっては日常のようです。
アウトドアクライミングは、あまり使われない言葉ですが…そもそも、岩って、アウトドアにしかないのですから!!アウトドアが当然の前提ですので…。
でも、インドアクライミングしか知らない人口が増えた結果、”外岩”という言葉が使われるようになり、定着した言葉なのだそうです。
外岩ってのも、正直、変な言葉で…だって岩って外にしかありませんしね?
でも、世の中が本末転倒化してしまった現状から、そう呼ばれるようになったという経緯があります。本来主流、オーソドックスだったものが、少数化、マイノリティー化して、特殊な分野に貶められてしまったということですね。
ジムのお兄さんで、5.13が登れる、すごい人がいましたが、小川山で会って挨拶した時、「最近前穂北尾根行ったんですよ」と言ったら、「僕、山は行かないんです」と言っていて、思わず、私はきょとん?としてしまいました。小川山は山ではない? 確かに麓であり、アルパインの岩場とは異なります。そういうことを彼は言っていたわけですね。
今からクライミングを始める、ということになると、登攀とロープワークをセットで覚えないといけないのですが… 登攀と言う意味では、どの種類のクライミングでも、クライミングなので、どれでもいいので、一冊買って、読んでみることをお薦めします。
私が一番好きだったのは、
1)ヤマケイ アルパインクライミング 保科雅則
2)インドアクライミング 東秀樹
3)かんたんフリークライミング 中根穂高
4)フリークライミング上達法 ギュリッヒ
5)インドアボルダリング練習帳 ロクスノ
です。余り役立つと思えなかったのは、アウトドアクライミングでしたが、チータースティックの作り方とか書いてあり、参考になりますが…
もしクライミングの技術書で一冊だけ、というのなら、
最近東さんが新しく上梓した、
スポーツクライミング教則本
が良いと思います。
全体像は分かりませんが、クライミングムーブの解説は非常に詳しく解説されていますので、これ一冊で他にはいらないんじゃないかと。
私もこれで、5級の壁を乗り越えて、3級が登れるくらいにならないかなぁ~などと夢想していますが…でも、しばらく5級でもいいかなぁ。
■ ボルダリング
ボルダリングのグレードは、フリーのデシマルグレードとは全然違います。大体、初心者向けの10~9級は、初日に10人いたら10人登れる設定になっています。8~7級でも、数日、通えば登れるような気がします。私がそうだったので。
ただ登れだけなのと、キレイなムーブで登っているというのは違っていて、キレイなムーブが出てくるようになったのは、ジムに一か月の定期券を買って通うようになってからです。
一般的には、デシマルで5.10a以上は、フリークライミングのムーブを使って登る必要があると言われています。が、腕力で登ってしまえる人も中にはいます。
前傾壁となった場合、側体というムーブを使わないで正対で登ると、すぐに腕がパンプして登れなくなります。側対を使えば、私のように虚弱な女性でも、相当長い時間、パンプしないで登ることができます。
要するに、前傾壁と言うのは、ムーブを無理強いする効果、があるのです。それが薄被りが初心者のムーブ習得に最適、と言われるわけです。
■ クライミングは足で登るものです
たとえ前傾壁にせよ、クライミングは足で登るものです。
しかし、私の場合ですが、足で登ることを覚えられたのは、スラブです。
そして、インドアクライミングに、スラブはないです。
インドアで登っていると手を使う登りばかりしてしまいます。でも、本来の岩場で、いつも探しているのは、ハンドホールドではなくて、フットホールド…
特に今回インスボンに行き、フットフォールドを探すように知らない間に意識改革してしまっていました。
相変わらず、インドアでは、手数で色々と考えていますが…。
■ 5.9アンダーとアバブ
大体、山岳会に入ると新人さんは、3年くらいは5.9アンダーです。それくらいの時間がかかるもの、と考えた方が良いと思います。私は初めて5.9をオンサイトするまで、1年半かかりました。
5.9がオンサイトできたとき、先輩に「フリーはこれからだね」と言われました。まさにフリークライミングの入り口が、5.9から上なんです。
たとえ、一つだけ5.9がオンサイト出来ても、それで十分という訳ではなく、クラックでは、まだ5.8しかオンサイトしていません。それも一本だけです。城ケ崎ではオンサイトとは言えないと思いますので…。
スラブ、クラック、フェイス、ワイドクラック、前傾壁、と異なるスタイルの登攀が必要になります。
とくクラックは、カムといわれる特殊なプロテクションの設置技術の習得も必要になります。
というわけで、グレードだけを見ると、ちっとも進捗しません。
例えば、ボルダリングジムだけに通い続けると、ジムでのグレードはどんどんと上がるようになり、上達が楽しい、と感じるようになるのかもしれません。
ただ登攀の世界はこんな感じに、なかなか色々と細分化され、でも、そこには一種の常識的な理解のライン、というものもあり、それを記事で伝えるのは少々難しいと言うことです。
私は、アイスクライミングに行っていて、若い男性と知り合い、一緒に登るようになりましたが、ロープも私が出し、支点作成ギアやアイススクリューも私の方が出し、行く場所に案内するのも私であり、車を出すのも私でした。この時点で初心者だなぁということが分かるわけです。
彼が「ボルダ―ジムに行ってきました」と報告してくれた時に、これは全くのクライミング初心者だったんだな~と理解しました。
正しくはボルジム、か、ボルダリングだからです。そう言う風に様子が分かると、どちらが先輩役で意思決定をしないといけない立場か?ということも明らかになりますし、ビレイの習得がまだ未習得であろう、ということも、大体、伺えます。
習得にはインドアジムに通う必要があるからです。少なくとも、そのような用語使いが変だということが分かる程度の期間は…。
なので、ここら辺の解説を聞かないでも、ある程度話が通じるようになる、というのが、クライミングを始めてすぐの新人さんの、最初の目標となるのかもしれません。
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