Tuesday, May 17, 2016

黒戸尾根8時間 + 5.12

■ プロへの入口 黒戸尾根8時間 + 5.12

登山で、プロの世界を目指す人に必要なスキルとはどのようなものでしょうか?

それは、ずばり、

 厳冬期の黒戸尾根を単独なら、8時間程度で往復できる体力

 +

 5.12 

です。

今冬、私は単独で厳冬期黒戸尾根を登り、ヒマラヤキャンプ参加者たちに会って確認しました。パーティで登っても、9時間半だそうです。

また、登攀力は最低ラインで、5.12です。これも最近、伊藤さんから教えてもらいました。これは必要最低限ですから、ここまでは登れないと、プロ参加資格もありません。

もちろん、男性ではなくても、女性でもチャレンジ可能です。登山は性差が出にくい世界ですし。

これは、もちろん、趣味ではなく、

  ・登山の限界を引き上げる行為をする、
  ・登山史を推し進める行為をする、

という山のプロフェッショナルのために必要なスキル、という話です。

テント泊・雪洞泊などの山での生活スキルや危険予知力、歩荷力、など山では、ほかにもスキルが必要ですが、そういうものは、これら、(歩き)&(登り)という、二つの基礎スキルを目指している間に勝手に身に付くと思われます。

■ 山岳会への入口 ・・・アマチュア登山の世界に必要な体力

一般に、本格的登山と世間からは思われている山岳会ですが、アマチュア登山です。

プロとは違います。

アマチュア山ヤで、最低限”現役”と言える体力はどのようなものでしょうか?

 必要な装備(10~15kg)を背負って10時間連続行動ができる

 +
 
 5.9

です。これは、それくらいの体力が、最低限、ガイドブックにある体力度5の山に登るのに必要だからです。山岳会にいて、ガイドブックで入門の2とか3のルートしか登れないのであれば、それは市民登山レベルと言うことになります。

人は老いてくると体力が下がるのが当然ですから、これだけの体力が維持できなければ、1泊二日を2泊3日にするなどして、難易度を下げる必要があります。

■ ベンチマークの山

一般のガイドブックでベンチマークになるのは、雪の赤岳です。雪の赤岳が登れる程度の、基礎的知識と装備、体力は備えていることがアマチュア登山での活動にも必要です。

赤岳は体力度としてはラクラクの山なので、冬季バリエーションに出ようと思ったら、体力的には、まったく不足します。

その場合、次に大きな山で、冬季に一般ルートを歩ける山としては、甲斐駒があります。これは標高差2200mだから、体力の山です。

これを一般コースタイムで登れる程度の体力はないと、より整備の悪いVルートでは、景色を見てうっとりするゆとりがなくなるでしょう。

冬季バリエーションに出ようと思ったら、登攀力も必要です。5.9程度では落ちない登攀力が必要です。

■ ハイキングの会・・・楽しみながら体力をつける?

ただ山岳会にも色々あるそうです。ハイキングが主体の山岳会もあるそうですし、ハイキングの同行者で集まるのも楽しい活動だと思います。

ただ、入って活動しようという人の場合、なにもかも面倒を見てもらおうという感じで、白紙状態で来ても、困るかもしれません。山好きの集まりなのに、山好きでない・・・山好きになるところからですか・・・という訳になります。当然、まったく知識がゼロですから、話についていけないかもしれません。

話が弾む会が良い会と言えるのかもしれません。

一般的に山岳会に入会する前に

 ・ガイドブックで難易度最上級の山に自分だけで登れる

 ・一番簡単な雪山に自分の力で登れる

 ・テント泊が一人で出来る
 
 ・アルパインクライミングが何かくらいは知っている

くらいは、最低限できないと、なんというか、何しに来たんだ的な、お門違い感が生まれてしまうかもしれません。

一般的に、山岳会で行う程度の登山に必要な体力は

 ・15kgくらいを担いで8時間歩ける

 ・それより軽いなら、12時間くらいは歩ける

 ・一般コースタイムに遅れず歩ける

 ・標高差300mを1時間で登れる

です。新人さんとして入会する目安はこれくらいです。これくらいは歩けてくれないと、連れて行ってあげたくても、どこにも連れて行けないかもしれません。

一般に体力は、50代まで伸びる、と言われています。(逆にいうと50代からは下る、ということかもしれません)


■ 登攀

登攀は、普通の登山者の人なら、したことがないのが普通なので、誰も登攀力は問いません。

一般的に、登攀の初心者は、5.7~5.9の力です。 

なので、5.9が安定して登れるようになることを最初は目指すことになります。

 5.9 の エキスパート
 = 5.10A の初級者
 = 5.10B の初心者

です。多くの人の最初の登攀力は、

 5.7で楽に登れる
 =5.8 の初級者
 =5.9 の初心者

という状況だと思います。体格・体力差などにもよらないような感じです。

先輩クラスの人は、おそらく若い頃より実力が下がった時点で

 5.10d の エキスパート
 = 5.11A の初級者
 = 5.11B の初心者

くらいで、かつては5.12が登れんだけどなぁ・・・というくらいかもしれません。また登攀力は体力とは無関係ですので、先輩は知識があって登れても、体力的に厳しい山はもうしたくないなーという状況にあるかもしれません。

登攀と体力、この二つが山の基礎力ですが、ロープが出る山をするだけなら以外に敷居はそう高くありません。

しかし、山でフリークライミングをしながら、登れる限界をあげて行こう、という話になると、つまり、プロレベルと言う話になると、必要となる体力とスキルの量は一気に難しくなります。

しかし、今20代、30代という若者には、ぜひそこを一度は目指してみてもらいたいものです。




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