Monday, January 11, 2016

冬山仕様

■ 岳人の”冬山仕様”のまとめ

またまた古い岳人の記事で恐縮だが、良い記事と思ったので、まとめてみる。 色々な人にアンケートを取って知恵をまとめているもの。

■ 雪山体力作り

・会として、荷物を背負い、アイゼンを履いての岩場の上り下り練習を複数回

・年間山行数を確保し、累積トレーニング時間を長くする

幕営やロープワークなど、団体で共有されるべきシステムについては事前の検証機会の設定が欠かせない

・雪山での体力作りは、まず無雪期にテント山行を行うこと

・そこそこの荷物を背負って、何日も山を歩くことが基本

・雨天時のテント山行は精神的にも良いトレーニングになる

・沢登りで、体力とルートと地形図を見る目を養う

・岩登りで瞬発力と垂直方向への体力をつける

・9月の歩荷訓練界では、男性20kg女性15kgを背負って20km歩き、会として決めた制限時間以内に歩けないときは、冬のアルプスは参加不可。10月に再度行って、年末年始のアルプス行のメンバーを決定する

・夏と冬の合宿前に週1で3~4回の歩荷トレ。

・合宿のために各6回のトレーニング 岩登り、歩荷、カモシカ山行、雪上訓練、アイス

■ 雪山へ入るうえでの心構え

・9月下旬から偵察山行

・11月遭難対策訓練、12月雪上訓練、2月深雪訓練

・会として、無雪期・積雪期を問わず、非常食と非常用セット(ビバークシート、メタ、コッヘル)の持参、火器、燃料のセット、テント、ツエルトなどのビバーク可能な共同の装備や食料を分散して各自に持たせる

・自分の実力からかけ離れた山には行かないようにするなどの注意を喚起している

・体を寒さに慣らしておく

・冬季初期に簡単な雪山に入って、装備を実際にチェックしておく

・軽量化を徹底し、荒川三山の縦走で、個人装備は靴を除いて13kg以下。ガスと食料は2倍を用意。

・ビーコンを持って行く、アイゼンの爪が尖っているか確認する

・判断を間違えると取り返しがつかないことになるので、雪崩や凍傷についての学習をシーズン初めにしておく

・最悪の状態を想定した装備を持つ。特に手袋、帽子、目出し帽、サングラス、ゴーグル、アイゼン、ピッケル

「山屋基礎力」 = 「山行に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つ

・救助、雪上技術、雪崩れ、気象、食料・装備、遭難対策、ルート研究の机上ゼミを分担して行っている

■ 予想される危機とその回避

・滑落しないだけの歩行技術と体力をつける

・雪質、雪面の変化を読む力をつける

・悪ばを通過する前は一息入れるなど、緊張を途切れさせない

・弱層テストを行う

・湯気がたくさん出る調理をしない

・一般的な困難要素としては、風、ルートミス、雪崩。 

・行動中では手袋や帽子などのマッチング。

・幕営地の選定は妥協を強いられることが多い

・ルートミスリカバリーは登り返さずにリカバリーしようとすると、返って致命的な事態に陥ることが多い

・樹林帯やホワイトアウトで、GPSも持っていないというような条件では、時間をロスしても、体力を温存すると言った判断も必要

・雪庇の通過ではコンティニュアス

・継続的に活動する場合は、予想外の事態が訪れることを考えなくてはならない

・雪崩れに関しては、夏道通りと言うような安易なルート設定をしないこと

・テントの喪失に備えて、ツエルトを二人に一つ持つ

・火器の取り扱いについては、テント内では必ず声を掛ける

・目の前の雪崩れそうでも楽に通過できそうな場所は避け、時間がかかっても安全なルートを取る


■ 実際に雪山であった危険な事例

・爺ヶ岳からの下りで、重い荷物を持っていたため、30mほど滑落

・北アの稜線で猛吹雪 肺水腫となりヘリで救出

・ブナの木の周りにできる溝に落ちた

・テントシューズで出たら、アイスバーンでちょっと滑落

・稜線に出る前に、フードをしっかり被る、ボタンを締めるなどできていないために低体温症に

■ 当方まとめ

荒川三山で、13kg以下、食料は2倍を持つ、ツエルトを二人に一つ、など具体的な数値が、とても参考になります。

私は雪の山に行くときは手袋長者で、手袋いくつ替えがあるんだ?!って状態ですが、それは、昨日会った歩荷のお兄さんも同じようで、その話で盛り上がりました。

ツエルト、コッヘル、ダウン、コンロと火を熾す道具、は標準装備で日帰りでも持って出かけていますが、それでもそれほどは重くないので、20kgの重さにするには、何を入れるかと言うと、やっぱり水かなぁということになりそうです。

3 comments:

  1. 理想的なやり方とは思いますが、ここまで会員が足並みを揃えて冬山に行ける会はそうそうないと思います。
    大学山岳部ではまさにこんな感じでしたが、社会人の山岳会では個々の会員の志向がまちまちで複数の会員
    が長期休暇を揃って取得できるなんて元日営業も当然になった今の日本社会では夢のまた夢でしょう。
    九州在住なので雪訓するのにもアルプスまで出かけないといけませんが、雪訓だけで1回の遠出が終わって
    しまうのではたまったもんじゃないので、結局はぶっつけ本番になってしまいます。
    雪訓をいやというほどやらされてきた身としては結構危なっかしいとも思いますが

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    2. この岳人記事は読んだ記憶あります。現体制になってからの岳人はつまんなくなったので、
      最近は東京新聞発行の岳人バックナンバーを物色しています。山田哲哉氏のコラムとか、高桑信一氏
      関係のベタな社会人山岳会のムードに凄く憧れますが、こうした登山スタイルが結局は中高年登山
      とPEAKS的登山に駆逐されさびれてしまったのが、東京新聞が岳人をやめるに至った背景なのかと推察
      しています。関東あたりだと山岳会もまだ盛んなのかもしれませんが、すくなくとも九州ではアルパ
      イン志向で会員の大部分が合宿に参加するようなスタイルの会は聞いたことがありません。

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