労山主催の『雪崩講習会』の机上講習に夫と二人で参加しました。
雪山…土曜日は、アイスクライミングで赤岳の南沢小滝に行きました。
滝にほど近い場所に少々開けたギャップがあり、テントが4~5張、張ってありました。しかし、友人によると、そこは以前雪崩があったところ…
「ここはね、前に雪崩があったところだから、いまみんなテント張っちゃってるけど、自分たちが張るならこっちね」
テントを張るロケーション選びなどは本当に知識と経験、それになにより観察力が必要です。
■ 学ぶタイミング
私は雪稜が好きです。
ただ今までは雪がある山でも、保守的に判断して、雪崩のリスクが少ないか、もしくは、ない、と言われるところや時期を選んで出かけて行っています。
ただ、初級の雪山で行けるところは、おおむね近所の八ヶ岳でも行ってしまったし、さらに八ヶ岳の山に出かけたいとなると、人が歩かないルートとなり、八ヶ岳たりともラッセルもあり、雪崩のリスクもあります。さらに他の山域の初心者向け、谷川岳や唐松岳などになると雪の量が多いので、雪崩のリスクが高まります。
どちらに進化しても、雪崩をリスク判断する必要が今後出てくる可能性が濃い、わけですね。
そういう訳で、雪山を始めた時点で当然ながら、『雪山100のリスク』などは読了していますが、これから向かいたい山が
・太平洋気候以外に属す可能性が射程範囲に出てきた
・バリエーションも想定の範囲に入ってきた
ので、本格的な雪崩リスクの知識とトレーニングを入れることにしたのでした。
■ 4つの要因
雪崩事故、先日立山で大きなものが起こりました。
が、あれも雪崩が発生する条件に詳しい人にとっては、”しばらく悪天候で雪が降り積もった後の大快晴…つまり気温低下というのは、やはり雪崩発生の好条件”ということ・・・で、それは経験則などの曖昧なものでなく、少し勉強した人ならば、合理的推測の範囲内にあることだったようです。
そういう日は「行かない」 という判断ができなくても、せめて「谷筋を滑らない」という判断をすれば雪崩に遭うリスクはかなり低減できたようです。
雪崩れ事故が起こるには4つの要因が必要です。
1)雪の量
2)天候
3)地形
4)人
今回の立山はその4つがすべてそろってしまったのでした。
■ 雪崩れそのものは頻繁に起こっている
雪崩が起こっても人がその中に存在しなければ、雪崩れ事故とはならないため、雪崩れそのものは自然現象としてしょっちゅう起こっているのだそうです。ただ事故にならないと報道されない。
なので、経験則のみによる判断に頼るのは危険なのだそうです。
「この場所で雪崩が起こったことはない」というベテランの言葉は信用してはいけない、のだそうです。
つまり、雪崩事故が起きて報道されていないだけなのです。
十分な雪の量があり、天候により弱層ができ、雪崩れたときの流れに当たる地形の下に人がいれば、
当然雪崩事故になる。
■ 天候判断
去年、私と夫は、お正月は天候を判断して、鳳凰三山に出かけました。
その日は温かく、年末なのに雨が降り、その後強い冬型の寒気が入って翌日凍結。
私には、この正月の鳳凰三山は、それまで雪の山に傾けてきた努力が実ったともいえる山でしたが、一方で責任というものも痛感させられました。夫と二人で行く場合、私が二人のパーティでは判断担当だからです。
実際、同じ日に、北アルプスに入山したパーティ4つあり、3つ撤退、残り一つは、尾根に取り付く間もなく、標高1300のあたりで雪崩に飲まれました。去年はお正月の遭難がとても多い年でした。
私たちは雪崩には合いませんでしたし、素晴らしい山行を愉しみましたが、基本的に天候判断して山に行くと言う行為は同じ。
私だっていつか自分が雪崩のリスクを回避できる知恵があると勘違いし、同じような過ちをしないとも限りません。
もちろん、鳳凰三山に出かけたときも私は天候の崩れも知っていたし、鳳凰三山はこの時期、積雪量が少なくほとんど雪崩れのリスクがないことも知っていたから出かけたのでした。私は悪天候の初日は、ほとんどが樹林帯歩きだと知っていたから、出かけたのです。
つまり
≪雪崩条件≫ 鳳凰三山 北ア
1)雪量 × 〇
2)天候 〇 〇
3)地形 × 〇
4)人 ○ ○
というわけで私と夫は雪崩には合っていない。
けれども、お天気や地形、雪の量などを判断して出かけているという1点においてはやっている行為は同じです。
つまり、判断の優劣が生死を分けた、のです。
■ 心配
最近、私はあまり心配されなくなりました。このブログで勉強している成果かもしれません。
が、登山を始めた最初の頃はみんなにアブナイと心配してもらいました。
私自身は、危なくないと判断しているので、ちょっとその評価には不服を感じていましたが、心配はありがたいものです。
最近、山友達ができました。が、彼女も 「アブナイアブナイ」と周囲から言われているそうで(笑)、
私も本当を言うと「ちょっと心配だな~」と思うことがあります。
それはなぜか?
その人が登山においてどうリスク判断しているか見えないからですね。判断の根拠とプロセスが見えないと人は心配になるわけです。
たとえば、
・行っている山にふさわしくない服装で行っているんじゃないか?とか、
・ろくに地図も持たずに行っているんじゃないか?とか、さらに
・登山計画もなく、何時間かかる山(ルート)かも知らずに行っているんじゃないだろうか?
とか・・・
その人の性格を知らないと余計心配になります。ビビりの性格の人はすぐ帰るので心配になりませんが、負けず嫌いの性格の人は無理をして突っ込むので心配です(笑)し、あとは家族に告げてこない人も心配になります。平たくいうと、無計画&無防備に出かける人が多い。
なので、心配は、
1)心配してくれる側が心配する相手をよく知らない
のがひとつの原因です。それ以外の要因として・・・未組織登山者が心配なのは、やっぱり、
2)登山に計画や防御が必要だということを一般登山者に教えてくれる機会や場所が今の日本では、ほとんどないのを登山業界みんなが分かっている、知っているから
ですね。
なので心配される人は、「○○山に出かけてきました」だけでなく、何時に下山したかも話してくれると周囲の心配は減るかもです。下山時間が分かれば、その人の山常識度はほぼ分かるので(笑)
私たち夫婦は、登山1、2年目、定説の3時下山どころか2時には下山もしくは行動を終了していました(笑)。
ちょっと話が逸れましたが、雪崩についてリスク判断する、ということは雪山に赴く人みんなの共通の知識であるべきだと思いました。
要するに
1)雪について知る → 弱層のでき方
2)天候について知る → 弱層のでき方
3)地形について知る → 雪崩の通り道について知る
4)人について知る → 心理について知る
です。4つの要因であっても結局、勉強することは1つです。 地形は谷筋ならすべて可能性があるからです。
弱層のでき方
天候も雪ついて学ぶのもすべては弱層のため(笑)
雪崩れ講習会のススメ
雪崩れ事故を防ぐための講習会 Day1
机上講習 感想
ヤマレコ
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