Monday, December 9, 2013

ロープワークは手段ではなく、原則を覚えよう

取り急ぎと言う形ですが、最近学んだロープワークを忘れないうちにまとめておきます。

クラミング… 私は講習会では手順だけを学んで、基本を学ばなかったと思うのです。だから辞めてしまったわけなんですが・・・ 


だって自分が登るスキルは自分で高められますが、安全確保の基本的な考え方というのは教えてもらうのがいちばん早道です。

最近、山の先輩から、目からウロコの情報をもらいました。熟考が必要ではありますが、忘れると事なのでとりあえずの形でもまとめておきます。



■ ロープシステムの原則

1)支点(アンカー・ビレイポイント)が信頼できるか?
2)体重がかかった時の直線
3)ロープの長さは届くか?

■ 立木での支点の取り方

黒富士ではワンピッチだけどリードしました。 リードして最初に困るのが支点です。

ルートファインディングでもそもそも支点が豊富な所を選ばないと歩けません。

支点には二つ種類があります。ランニングアンカー(ビレイポイント)。

リード中はビレイヤーがセルフビレイしている支点がアンカーです。途中にランニング支点も取りますが、最後の砦がビレイヤーのセルフ。ランニングをとっても安心できません。

でリードする人は何を考えて登ればいいか?と言うと、どこに次の安定した支点(アンカー)を得られるか?です。

ロープの長さの範囲内で、信頼できるアンカーを見つけないといけません。

自然環境では信頼できるアンカーは

1)立木
2)岩角
3)雪

の3つです。 もちろん、ハーケンを打ったり、ボルトを打ったり、カムをかませたりもありますが、それらは人工的な手段なので後回しです。

■ クラミングの基本

岩でのクライミングならば、終了点はすでにセットしてあるので、流動分散でセットしてあるビナに、クラミングして行った自分のロープをクローブヒッチすればとりあえずクライミングは終わりです。
1)終了点に上り詰める
2)セルフビレイ(メインロープ(ベター)またはパーソナルビレイシステムで)
3)ロープアップ
4)セカンドの確保(ATCガイドやムンターなど色々な手段がある)

という手順になります。

■ 立木でのアンカー作成とセカンドのビレイ

自然地形では、支点を自分で作らないといけません。人工岩のように終了点が作ってあるわけではないのです。

その作り方は、クライマーが最も効率的で安全だと思う方法で良いわけです。原則は一つで手段は色々です。

私が講習会で、いらだちを感じたのはその点です。なぜなら、講習会では原則ではなく、手順だけを覚えさせようとするからです。理由も分からず手順だけを丸暗記するのは日本の悪しき教育法…。
私が教わったやり方は、

 A)スリングを巻き付け、そこにビナを掛ける。そのビナにセルフを取る。

でしたが、これは基本であり間違っていません。が、今回はスリングは省略できることを学びました。少しスピードアップです。

 B)メインロープを直接、立木に回しかけ、固定してセルフビレイ。
   その先固定したロープにビナ(または確保器)をセットしてセカンドを確保。

むろん、セカンドの確保は、ムンターでも確保器でもよいわけです。やりやすく確実であれば良い。

私は立木でリードのランニングの取り方は、習っていたので問題なかったですが、終了点ではロープの流れのラインに立っていませんでした。つまりラインの重要性を教えてもらっていなかったんですね。


ちなみに、ランニングは木の間をわざとロープを通して落ちたときに木の摩擦抵抗でロープの流れが止まるようにすることもあるのだそうです。


■ 4人の時のクライミングシステム

その後、阿弥陀中央稜では、4人のクライミングシステムでした。私はせっかく事前にどうするべきか、教えてもらっていたのに、な~んにも分かっていなかったのです(^^;)。 いただいていた指示通りにセットできませんでした。
ーーーーーーーーーーーー
今回のロープはワークは4人で1本のロープです。
トップは支点をとれればとりながら登り、安全地帯でロープを固定します。
固定方法は確保器のロック機能を使います。
セカンドはユマール・ベイシックまたはタイブロックで中間支点をはずしながら登ります。
サードも同じです。
ラストはロープ末端をハーネスに結び、トップの確保で登ります。
ーーーーーーーーーーーー

ATCガイドには、セカンドを確保するときに自動ロックする機能があります。

が、私はセカンドが墜落した時にトップが腕力で支えなくてもロープの流れが止まる機能と覚えてしまっていたので、せっかくATCガイドを持っていたのにロック機能だけで、セカンドもサードもラストも全部同じシステムでビレイできると気が付かなかったのです(汗)。

後で気が付いたくらいでした…(汗)つまりロックさせておけば、ロープは流れないからフィックスロープと同じことになります。


残りの人はユマールにしろタイプロックにしろ、マッシャーにしろ、好きな方法で上がってくれば良いのです。最後はかならずトップロープですし。



こんな初歩的なことも分かっていなかったんです(><)


これはATCガイドのセカンド確保の使用方法です。ロック機能を使ったら解除方法をわかっていないとロックがかかって閉まった後では解除に難儀します。


■ 原則を教えて欲しい

私はロープワークを学びながら、”これでは使いこなすのではなく、ロープに使われている”と感じていました。

それは、手順ばかりをなぞり、原則を教わらなかったからです。 

リードしながら何を目指せばいいのかが分からなかったのは、信頼できるアンカー支点を探すと言う視点を与えられなかったから。
選択肢が立木などでいっぱいある時にどこの支点を選べばよいか分からなかったのは、体重がかかったときの直線を意識する必要があるとはだれも教えてくれなかったからです。

 1)まず原則を教え
 2)考えさせて
 3)システム選ばせる
 4)そして、実行させる
 5)間違っていたら、致命的な失敗でない限り、間違いを経験させる
 6)ベターな方法がないか検討する

そういう形で教えてもらえるとよく頭に入る。

誰もがそうではないでしょうか。

私が思うには、ロープワークは、ビジネスと同じでケーススタディがとっても有効な分野ではないかと思います。まずはケースで考える。そうすると原則を知り、手段を状況に合わせて選ぶ思考が身に付くと思います。

■ 関連記事

リード時の自己確保の考察
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つるべ方式
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