最近、登山力と言うのは、リスク判断力だ、と結論しはじめました。
一般に登山力と言うのは”体力”のことだと誤解されています。もちろん、体力がないと登山はできないけれど、体力だけでも遭難してしまいます。
リスクの判断力というのは、一朝一夕には身につかない。けれど、考えない人はどれだけ長い時間登山をしても一生身につかない。
経験は、リスク判断の必要条件であるが、十分条件ではない。
結局は、リスクが何かについて考える人が、経験を積んだときにだけ、十分なリスク判断力が出来上がり、さらにそこに体力という土台があると立派な登山家が出来るわけですね。
著名な登山家の多くは、若い間に怖い目に合ってリスクについて学ぶ。だから、リスク判断はヒヤリハット事例から学べるものです。
前回のアイスクライミングは楽しくクライミングできました。が、私たちの安全管理が十分であったかと言うと、どんな山行も反省があるわけなので、反省を忘れてはいけません。私たちは初心者だったので、大目に見られつつ、さらに近所の人たちの好意で見守ってもらいつつのビギナーズラックだったと思います。
■ リード
滝についてすぐ…トップロープを貼るためにガイドさんがリード中でした。講習生が握っているロープはだらーんとしていました。
私の最初の言葉は「あんなにだらんとしていていいんですか?」でした。 ”だらりんロープ”と言うのだそうです。
ガイドさんは無事ロープを貼り終わりましたが、やはりリードのロープがだらりんロープというのには見ている方もびっくりしました。
そのガイドさんの当日の記事は「アイスではリードは落ちれない」という記事でした… 私たちはこのロープを使って登ったので、やはりアブナイ橋を渡ってもらって、その上に成り立っていた楽しいクライミングでしたね。このロープがなければ登ることはできなかったのです。
一方、トップロープを登るだけでもリスクがゼロではありません。
こちらの記事によると
・グランドフォールのリスクが高いのは登り始め
・フォールすると大けがの可能性が高い
がアイスクライマーのリスクです。
■ 落氷
振り返ってみると初心者の私たちの認識が甘かったのは、落氷です。
氷が降ってくるラインにヘルメットなしで立ち入ったりですね。アイスクライミングでは落氷は当然なので、それには備えておくしかリスク対策はありません。ヘルメットは必携ですね。
同じガイドさんのブログにアイスクライミングのリスクが書かれていたので簡単にまとめておきます。
1.フォール
アックスやアイゼンで登る → 骨折、打撲などのリスク
テラス →グランドフォールの可能性
2.氷
支点の信用度が低い
3、ビレイが難しい
落氷の危険があるため、ビレイヤー真下に入れない。
私はトップロープのビレイで体重差がありそうだったのでアンカーを取ってもらいました。これは正しいリスク判断でしたが、落氷であぶなかったのでセルフビレイ(アンカー)は使わず取り外してしまいました。が、やっぱりローワーダウンで浮きました。問題なかったですが、予想どうりです。
■ 脇を締めるべし
このガイドさんはアイスクライミングの参加要件を
「ジムで、5.10cがリード出来ること」
としています。私はまだジム壁は5.8リードレベルです。
10cとははるか上方のスキルです(汗)。ここは気持ちを引き締めて、ビギナーズラックにうぬぼれずジムに通わねば!と思うべきシーンですね。
数値はどうであれ、謙虚さというものを失わない、ということが山ではたぶんもっとも大事なことです。
人は気を良くすると脇が甘くなる生き物なので…
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