Wednesday, July 1, 2015

読了 『俺は沢ヤだ!』

■ 読了『俺は沢ヤだ!』成瀬陽一

この本は、以前立ち読み(スイマセン…)したときに、ちょっと読んで、「全然、関係ないなー」と秒殺された本だった(笑)。

あんまりにも書いてあることが凄く、世界が違いすぎて、一般登山者には何の参考にもならない、と思ったのだった。内容が凄すぎ。

今回は、そう言う意味では再読だが、面白かった。もちろん、こんな凄すぎる沢はしないのだが、それでも、参考になったり、共感したりする部分があった。なんだか登山者としての成長を感じるなぁ…。

沢に行くときは、地図を見る。

沢ヤさんたちは、ステキで快適な沢を見つけるのに、滝やゴルジュを探すことを目安にしているそうだ。ということは、私の場合は、逆に滝やゴルジュは避けることを目安にすればいいわけだ(笑)。

だって基本的に、同行者が得られないことが前提。『ウォーター・ウォーキング』という名の本も持っているくらいだ。まぁ、易からスタートして難への流れをすっ飛ばすことは許されない。

この『俺は沢ヤだ!』で、フムフムと思わず、しっかり頭に入ってしまうのは

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どうしても納得がいかない不可解な地形がいくつか存在していた。そのひとつに、源流から高度差1000mも流れ下った沢が突然消えてしまう場所があった。150m分の等高線が消失している
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などだ…。

こういう本は基本的に自叙伝、紀行文で、自分の山ヤ道を紹介しているもの…その中に、ちらりほらりと知恵が含まれている。

例えば、CSの説明は、チョックストーンは登攀が困難なことが多い、と書いてある。それを聞くだけで、チョックストーンを見たら、身構えることができる。

こういう本を読んでいれば、色々なピンチに出くわしたとき、どうすれば良いか分かると思う。たとえば徒渉で流されてしまったとき、ロープを「流せ!流せ!」と叫んでいる。

そりゃそうだ。流れに落ちたのに引っ張ったら身動きとれずに死んでしまう。経験がない人はたぶん、引っ張り上げようとするだろう。そんなの人間の力じゃできっこない。

だから、こうした本を読むのは、大事だ。

■ 地図を見ることは大事だ

地図を見る、だ。私はいつも、地図とガイドブックを行ったり来たりしている。

地図を見ていると、”ここってどうなっているのかなぁ…”っていう地形がたまに現れる。沢を遡行した後に、なんとものんびりした地形が出ていたり… 不思議な地形。それで「行きたいな~」となる。

板敷渓谷は、ガイドブックに載っていない。あの辺りはアイスで凍ることで知られているので、北面の滝がありそうで、それで目をつけていた。アイスクライミングだったら、滝が北向きでないと凍らない。でも、北向きの沢より、南面の沢のほうが気持ちが良い。

滝を登ってお終い、というようなスポーツ的な捉え方は私はしていない。岩も同じ。だから、岩登りはそんなに面白くない。地理的な発見が何もないからだ。

しかし、いきなり適当な沢に行って、怪我でもしたら…困る。だから、むしろ、一人で行けるような沢はないかと地図を見る。つまり、登攀要素がなく、歩けるような沢。登攀を目的にすることが多い人から見たら要するに”ツマラナイ沢”。そのために地図を見る。

伝丈沢は、私が持っているガイドブックには載っていない。金石沢はさらに載っていない。山岳会の会報に報告があって、家族山行に使われていたので、それで一人でも歩けると確信した。ベテランが書いていたし、家族を連れて行くところは、家族に見てもらいたいきれいな場所のはずだからだ。それで、金石沢に大滝があった時は、ちょっとうれしかった。ので、冬にも行ってしまった。

安心できる場所だと分かっていたからだ。冬は、晴れていないと尾根では遊べないが、アイスクライミングなら、多少の悪天候でも遊べる。夏も同じだ。

沢登りで、滝があるのは、沢の屈曲部だ。屈曲すると言うことは、素直に流れることができない何か堅いものがある、と言う意味だからだ。それで、屈曲がなく素直な流れの沢を探しているけれど、そういう視点で探すと全然ないものだ。

大事なことは、縦走路しか歩かないから、何で必要なのか、全然意味が分からなくても、ちゃんと地図読みができるスキルを培っていくことだ。

地図を見る習慣。地形図を見る、というのは、登山の基礎なのだ。冒険は地図を見て、その場所に行きたいと思うことから始まるのだから。

■ 行きたいと言うモチベーション

『沢登りルート120』も見ているが、大体、登山の方も、ガイドブックにある山を片っ端から行くような山はそそられないし、百名山も全然興味が持てない。

じゃあどういう山だったら行きたくなるの?という訳だが、雨乞岳に行きたくなった。理由は、そこの笹の沢という沢を詰めると、ちょっと不思議な地形に出るから。鬼の窓と言う。

その隣に水晶ナギという地形がある。ちょっと興味をそそられる場所だ。でも一人で未知の沢を遡行することは許されない。ので、どうするか?普通に登山道で歩ける。

だから、雨乞岳に行って見たくなった。そんな感じに偵察という意味で、一般登山は捉えている。


■ 面白くない

一方、洞井孝雄さんの『安心登山の技法』も再読しようと思って図書館から借りてきた。実は、以前この本は読んだのだけど、その時は洞井さんの辛口批評に胸がすく思いだった。

ところが今回、また目を通してみると、全然面白くない…(汗)

ヒヤリハットが武勇伝になっていないか?など、わが意を得たり的エッセイもあるが、よまなくても内容が予想できると言うか…本間沢F9みたいなものですね…

洞井さんの本は、でも良い本だ。

一般登山で、山小屋に宿泊する登山には、もう全然魅力を感じられなくなってしまった…困ったものだ。

でも、未知の大冒険に赴くつもりはない。私の力量を越える。でも、分相応に小さくても、未知の場所を求める山、発見の喜びがある山をしたいなと思っている。



2 comments:

  1. 成瀬さんの文章力は引き込まれるものがあると思います。
    実際に会ってみると、その人間臭さにもっと引き込まれますよ〜
    でも酔ったときの成瀬さんは・・・それは私もか。週末の天気が気になりますね〜

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    1. 遠目に拝見して、イケメンだな~と思いました(笑) 酔ったらどうなるのかな~興味あるな~(笑) 

      週末晴れますように・・・

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