■横山勝丘さんのトークショー
昨日は横山ジャンボさんのトークショーがパタゴニア川上村であったので、出かけてきた。
本当は、廻り目平で一泊でも・・・と思っていたのだが、家で充足してしまい、では日帰りハイキングで横尾山でも・・・と思って登山口まで行ったら、それも強風であまり快適でなく、川上村往復。
新しい車の試乗会という感じになった。
夫と車に寝転がって、それぞれ好きな本を読んだり昼寝したり。講演が始まるまで、岩と雪を読んだ。
風が強く、頭上高くの木々から、枝が降ってくる・・・スゴイ強風だ。横尾山では、まだ桜が咲いていた・・・下界とは1か月違うようだ。
ただ上から小枝が落ちてくるので、頭上に何もないところへ行こうということで早々に移動した。
■ 危険との向き合い方の差
横山さんの『アルパインクライミング考』は、モンベルになる前の『岳人』連載中は、正直言って世界が違いすぎて、興味自体が湧かなかったので、ほとんど読まなかった。
しかし単行本になったので、全部を読み通すと、さわやかな読後感だった。
興味を引かれたのは、たまたま同時期に読んだ、森田勝さんを描いた本、『狼は帰らず』との読後感の差が際立ったから・・・。こちらはさわやかな読後感とは行かず、悩ましい読後感だった。まぁ山で死を迎えた人の話だから仕方ないのかもしれない。
登山の初心者の頃、「昔の人は、結婚したら奥さんから”山はもう辞めてね”と言われるのが普通だったんだよ~」と聞かされ、それは、とおーい、むかーしの、道具が不備の時代の話で、今の時代の登山はちゃんと登山者が普通に危険予知していれば死ぬことはないのだろう、と想像していた。
今は時代が違いますよ、と・・・。
ところが、私の周囲では、知人程度の人だが、すでに死者3名である・・・これは、なんらかの警告であるように感じられた。
趣味で登山しているのに、死ぬような羽目にあっては本末転倒・・・というのが、私が真面目に登山を勉強しようと思い、山岳総合センターの門をたたき、山岳会に所属した理由なのだが・・・。
なんだかむしろ、死に近づいて行っているような気が・・・(汗)。
特にクライミングのシステム自体をよく分かっていない人たちとともに、登山をしていた頃は、このような状態で登山を続けていては、安全管理不在であり、つまり、ロシアンルーレットであり、いつか大事故につながるかもしれない、と感じた。
危険をコントロールしているというよりは、危険に振り回されている感覚だ。
■ ビレイの確実性が生む信頼
さて、そういうこともあって、現代のアルパインクライミングが、どのように実際行われているのかを直接知りたいと思って出かけたのだが、とても、参考になった。
やっぱり、というか・・・フリークライミングによる防御力が前提にあった。
パタゴニアと言う場所は、落ちたら確実に死ぬような傾斜のクライミング・・・だって、かぶっているんですよ・・・
でもって、確実な確保は前提であった。確保が確実でない人とでも登る、ということはありえなかった。確実なプロテクション技術も同じ。カムが確実に決まっていない(決めれない)のに、バンバン落ちるということはアリエナイ・・・
そうですよねぇ!と思ってしまった。
だって、落ちたら確実に死につながるところで、フリーで行けるかどうかという試みをしているんですよ~ 5.12dのピッチを3時間掛けてフリー化にこだわって登った話には、なんというか、そういうことをやるのが現代のアルパインなんだ~と思った。
普段フリーでゲレンデでやっていることを、山でやっているわけだった。
フリークライミングでは確保があるので、落ちても死なない。落とされたらビレイの失敗と言うことになる。
もちろん、自分で設置したプロテクションが外れるということもあるが、それは自分のミスである。
しかし、プロテクションがあるから、落ちても死なないという確実性があるから、登れるか登れないか分からないところを登れるわけである。
逆に、ビレイが信用できない状態だったら、落ちても死なないところ、もしくは、絶対に落ちない自信があるところ、しか登らない。
だからやっぱり、落ちながら登り、ビレイヤーとの信頼関係を深めていくことがチャレンジの大前提になるのだ、ということが分かった。
信頼できないビレイヤーだったらやっぱり登れないし、登らなくていい。
だって山でも落ちながら限界値を高めていくんですから・・・
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