懸垂下降には、様々なスタイルがあります。その場その場の状況に応じた懸垂のセットを使えることが大事です。
■ スタンダード技術
1)自己確保
2)ロープセット
3)すっぽ抜け防止
4)ロープダウン
5)懸垂下降のセット
・下降器セット(エイト環、確保器)
6)下降
7)コール
8)ロープ回収
■ デラックスバージョン
デラックスバージョンは、余計に用心したい時用 です。
・様子の良く分からない空中懸垂
・初心者で制動手を離してしまいそうな人
・末端が届いているか分からないシビアな懸垂
・懸垂下降中に、ロープジャムを取る、写真を撮る、など両手を離す必要がある場合
などシビアなケースに用います。
5)懸垂下降のセット
・下降器セット
のところに、
プラス バックアップのセット
を行います。山岳総合センターでは、このセットで初心者には覚えさせます。
■ 簡易バージョン
簡易バージョンは各種あります。
その1 カラビナ懸垂
カラビナにムンター(半マスト)を付けて懸垂します。半マストでの懸垂をカラビナ懸垂と言います。
半マストでの懸垂はキンクしやすいため、指でロープを割り、末端は別々にすっぽ抜け処理します。
その2 肩がらみ
・ハーネスがなく
・緩い傾斜
である時に限って、肩がらみ懸垂、腕がらみ懸垂も可能です。しかし、洋服が傷む、という欠点もあります。
フリクションを増やすには、太ももにロープを巻きつけます。
■ 下降器の選択
下降器は、
・ビレイデバイス
・エイト環
・カラビナ
・使わない
という選択があります。 すべて練習してセットを覚えておく必要があります。というのは、落とすことがあるからです。
■ すっぽ抜け防止
すっぽ抜け防止には
・まとめて結束 → 安全性が高い
・バラバラに結束 → キンクに強い
とありますが、大事なことは、
バルキーなこと
です。
結んでも、確保器を通り抜けられる、エイトカンを通り抜けてしまう、小さいサイズの結束では意味がありません。
エイトノット、
ダブルのオーバーハンド
などを使います。
■ ロープダウン
ロープダウンは、スタンダード技術では、2本をまとめて、振り分けでまとめ投げます。これだと一人でしか、ロープ振り分け作業ができず、時間がかかります。
投げ方各種
1)2本まとめて投げる (重い)
2)半分だけ投げる (早い)
3)投げずに繰り出す (引っかかりにくい)
4)片方ずつまとめて投げる (二人が同時に作業できる)
■ 支点に負担を掛けない
支点に負担を掛けないためには、ゆっくりと同じペースで降ります。
スーッと降りてしまうと、確保器が熱くなり、ロープへの熱が気になります。
またバックアップが付いていると、支点に衝撃がかかり安くなります。支点がしっかりしている時以外は、できるだけ同じペースでじわりと降ります。
■ 作業効率をアップする
2本を別々にまとめると、二人で振り分け作業ができ、時短につながります。
■ ロープとロープの結束
2本のロープを使って懸垂下降するときは、ロープ連結が必要です。大事なことは
・絶対に解けない
・岩角にあたったとき、結束が上を向く
です。ロープ径が異なる時は、本結びしてから、ダブルフィッシャーマンで末端処理します。
・ダブルオーバーハンドノット
・丸めたエイトノット
・ダブルフィッシャーマン
・対面エイト
・本結び
などのノットを使い分けます。
■ その他
赤引きか青引きか、分からなくなりますから、引くほうに、セルフのカラビナを掛けておくことにすると、忘れても大丈夫です。
セットで大事なことは、必ずセットを確認してから、セルフを外すということです。
バックアップ付きの懸垂 |
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