Tuesday, June 18, 2019

日本では易しい課題が危険なことが多いです

またクライミングに行ってきました。

この写真は軽さを重視したドリルです。

私は現代のクライミングルートというのは、全部ラッペルで作られているのか?と思っていました。

違いました…驚いた。

ラッペルではなく、グランドアップで作っているルートもあるそうです。

それならば、オンサイトの重みが重くなります。


■ 歴史上 ラッペルのルートができてクライミング能力が飛躍的に伸びたこと

リン・ヒルの『クライミング・フリー』という著作にも、グランドアップの時代に、ラッペルのルートを受け入れる苦悩が描かれています。

もう40年くらい前の話ではないか?と思いますが… 

アメリカのヨセミテを開拓した人たち、初期の開拓者たちはグランドアップでルートを開いていくことに大きな意味を見出していたため、クライミングそのものの、グレードとしては、5.8止まりだったようです。それ以上になれば、エイドです。

そうでないと、重たいプロテクション用のギア…ピトンだったり、カムだったり、のちには、ボルト?だったり?が持てないからです。

フリークライマーは、何も持たないで登りますが、それは終了点やボルトがすでに整備されているから。

現代では、クリーンクライミングの流れを受けて、ピトンが外されるようになり、カムを取らないならば、ランナウトと言うことになりますが、そうなると命綱は命綱として意味をなさず、落ちたら死ぬという意味ですので、死なないためには落ちれない=易しいところしか登れない、のジレンマに陥ります。

■ ラッペルルート

それがないのが、ラッペルでのフリークライミングの世界で、落ちること前提です。なにしろ、開拓者も、オンサイトしていません。ロープにぶら下がって、ボルトを打ち、ボルト打ちの適正さを理解するために、開拓中に何度も登るので、しまいには暗記してしまうのだそうです。

そのため付与するグレードも一般的にどうしても辛くなってしまうのだとか…。ボルトを打つ頃には、もう慣れてしまって、自動化でゆとりで登れるようになるからですね。

そのようにしてできたルートであれば、トップロープリハーサルで登るのは惜しくありません。

一人で登る場合は、当会がお勧めしているトップロープソロという仕組みでリハーサルできます。

フリーソロのアレックス・オノルド君も、トップロープソロで、リハーサルを何度もしたようです。そりゃそうですよね、一度のミスが一巻の終わりになる1000mのフリーソロなので。

■ 適正ボルトになるのは、最多価格帯

一般に、開拓者は現代では、高グレードが登れる人たちと相場が決まっていますが、以前は、クライミング自体のレベルが低かったため、易しいグレードしか登れない人も開拓していたそうです。

5.9しか登れない人が5.9を開拓すれば、適正グレードと適正ボルトになると思いますが、現代ではそのようなケースは、稀で、高グレード登る人が、自分用に開拓するのが、普通ですので、既存ルートを登りつくした人として、5.13以上を登る人からすると、5.9は、ボルト自体が要らないくらい簡単、ということになってしまいます。

これで初心者には危険なルートとなってしまうわけです。

この理論で行くと、訂正なボルトの配置に収束するだろうと思われるのは最多価格帯です…多くのクライマーが落ち着く先、と言うことになると思われます。

■ 5.12当たり?

おそらく、努力して5.12みたいなところが、多くの男性クライマーがクライミングを趣味として打ち込んだ場合に、落ち着く最多価格帯なのではないかなと思います。一昔前のリーダークラスのレベルです。

逆に言えば、それくらいまでは、セーフクライミングと言うのが、なかなか得難い、というのが日本での実情です。

■ 上で落ちれる課題

その実力をボルダリングジムで換算すると、たまに2級が落とせる、と言うくらいではないかと思われます。

私はボルジムでは4級でギリギリ、6級で快適ゾーンです。これくらいの人はもっと人数的に多いですが、外岩デビューするのに最低限必要な能力かもしれません。

これくらいの人は、外岩では5.10台ですので、ランナウトがやはり危険を招く可能性があり、登る課題の選択は慎重さや見極めの目が必要です。

しかし、リン・ヒルが葛藤したように、上手になるには、ラッペルルートにトライ…つまり落ちることも内包しながら登らないと、落ちないクライミングだけを重ねていては、1950年代の往年クライマー並みにしか登れるようにならない、成長の阻害要因である、ということは否めませんので、落ちても大丈夫な課題を持っている必要があります。

外岩のいいところは、課題全体のムーブが11ってわけではないことです。初心者は確信が上部にあり、下部は易しいという課題を選ぶ必要があります。私が先日登った5.11は、核心へ行く前までは、5.9か5.8くらいのように見えました。

その課題の隣の課題は5.9ですが、ピンの配置から、クリップが核心化しそうで、クリップ前に落ちると1ピン目で落ちることになり、怖そうでした。

両方を比較すると、5.9で2ピン目以前が核心と5.11aで長いけれど上で核心、下は易しい課題では、後者のほうがより安全そうです。

このような情報が十分共有されれば、フリークライミングも、初心者同士で組んで、徐々にステップアップするということが可能かもしれませんが、そうでない場合は、やはり経験者と同行するほうが良いと思われます。

経験値が一番必要なのはルート選び、のほうです。


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