Sunday, February 3, 2019

沈殿19日

■沈殿のこと

昨日は、屋久島開拓者と”沈殿”について世間話をしました。

知らない人のために解説すると、”沈殿”というのは悪天候で一日中テントから出れない、という日のことです。

黒部横断でピオレドールを取った伊藤さんは牛首尾根で19日間の雪洞泊での沈殿をしていました…ので、あるとき宴会で、伊藤さんに「そういうときって何をするんですか?」と聞きました。答えは「大マッサージ大会」 好天が3日連続しないと行動不能なそうです。

屋久島開拓者の方は5日間の沈殿の経験があるとこのこと…。もう高齢の方ですが、往時は地域山岳会でトップクライマーだった方です。

翻って一般クライマー。クライマーに人気の夏の小川山合宿ですら、雨が3日も続くと苦痛です…。山岳用テントの狭い中に3日。雨だと行動が不能ってわけじゃありません…外に出て歩くくらいはできて、登攀が不能なだけです。それでも、師匠の別荘に、「雨だから助けて」と駆け込んでくる人はいっぱいいました…

私は沈殿ではありませんが、ほとんど雨の後立を5日間縦走したことがありますが、無雪期だからいいけど、冬季ではなぁと。冬季のテント泊で3日以上って結構つらそうだと思います…。そういえば、ビバーク訓練で、雪のかなのビバーク経験が1日ありました。私だけがシュラフを持ってきていない人でしたっけ…。あの時は日中は普通に動けました。

 1)現代の世界的トップクライマーがやっていること(雪洞泊沈殿19日)、 
 2)伝統的な山岳会のトップクライマーがやっていること(沈殿5日)、
 3)山岳会の中堅レベルがやれること(ノーシュラフの雪中ビバーク1日)

の差が、分かるでしょうか?

私はよく、「そんなハードコアな山はしなくても」とか勘違いコメントを貰いますが、まったくハードコアではありません。こんなくらいでハードコアって言ったら、ハードコアが笑われます。

何が起こっているのか?ハッキリ言って一般のハイカーのレベルが低下しているのです。

私は厳冬期のテン泊も縦走も、一人でやっちゃう系ですが、その程度の人ですら、一般市民レベルの登山”者”クラス(冬季山小屋泊ができる人:一般市民の登山からすると1割の上級者)から見ると、かなーり高いレベルです。 

さらに冬は山はお休みで、夏しか山をしないハイキングレベルの登山”客”レベル(全体の9割)から見ると、かりにそういう人が私がやっている山をすれば、ほぼほぼ遭難、です。

 1)現代の世界的トップクライマーがやっていること(雪洞泊沈殿19日)、 

・・・大きなギャップ

 2)伝統的な山岳会のトップクライマーがやっていること(沈殿5日)、
 3)山岳会の中堅レベルがやれること(ノーシュラフの雪中ビバーク1日)
 4)山岳会の新人レベル(無雪期のビバーク)

・・・大きなギャップ

 5)中高年登山 (山小屋泊)
 6)一般登山 歩くだけ

現在、どんな物事でも二極化、ということが言われますが、山の世界の二極化、が分かってもらえるように解説できたでしょうか?

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