登山界ではよく知られていますが、外国では、一般登山者と本格的な登山をする人は、まったく歩くトレイル自体も別です。一方、日本は混在しています。
同じことが、岩場にも言えます。
スポーツクライミングの岩場で、アルパインクライミングの論理をかざしたり、アルパインの岩場でスポーツクライミングの理論をかざしたり…と、ややこしい…。
■ 段階的にリスクを大きくしていく
アルパインへ行くにも、最初は、スポーツクライミングの人工壁でビレイを覚えないと、落ちる人をキャッチする経験値は積めません。
落ちた人を止めたことがないビレイヤーが「私はビレイできます」と言ってきたからって信頼できます?できませんね?
ちなみに、落ちた人を止めた経験がない人は、人工壁がなかった時代の年配のクライマーには、一杯いそうです。(ついでに言えば、自分が落ちたことがない人もいそうです。)
そののちに外岩に行きますが、最初から瑞牆なんていかないでしょう?
最初は、Ⅳ級のゲレンデからです。
そして、Ⅴ級、つまりフリーのグレードになってからは、最初はボルトがしっかりした城山などのスポーツクライミングの岩場に行きます。
そこで登りが上手になってから、小川山などのフリーの岩場へ。
《まとめ》
1)人工壁で、ビレイとキャッチの経験値を上げる
2)ゲレンデで、初歩的な登攀を覚える (落ちないクライミング、手作りの支点)
3)スポーツクライミングの岩場で、落ちても死なないクライミングになれる
4)フリークライミングの岩場で、危険を避けて困難に迫ることを覚える
5)マルチを覚える
そういうリスクとスキルの段階的なステップアップをしていかないと、リスクを積極的に取るアルパインクライミングはできないと思います。
安全にギリギリに迫るスポーツクライミング、困難を追求するフリークライミング、リスクを能動的に取っていくアルパインクライミング、と背後にある価値観や思想が違うのに、日本では、きちんと色分けされていません…。
結果、どのクライミングでも、肝試し大会みたいになっているし、互いが理解しあえないで、否定しあっているように見えます。
私はラオスに行ってとても楽しかったのですが、スポーツクライミングとはいえ、5.13もちゃんとあり、毎年通ってくる、強つよクライマーもいます。
そのクライマーは困難を追求しているので、安全でないと困難は追及できないです。
日本では、初級グレードが足りておらず、安全に困難を追求できるクライミングのフィールドが限定的なので、世界へ足を伸ばさないと、安全vs困難の追及のバランスが、各クライマーの成長段階によって適切に選ぶことができないです。
そこが、ボトルネックになって、クライマーにとっては、安心してクライミング力を伸ばすことができない、と言うことになっているように思えます。
これが登れないんだったら来るんじゃねぇ!という岩場で、その一番易しい課題が登れない人はどこに行ったらいいんでしょう?
その易しい岩場に行ったら、今度は大ランナウトだとすると、その人にとってはどこも難しすぎるか、危険すぎるかと言うことになってしまいます。
多くの人がそういう意味で、ボルダリングジムでだぶついてしまいます。もちろん、インドアジムでクライミングをしている目的が、痩身、とかでもいいのですが。
都会ではボーリングのようにボルダリングが受け入れられており、それはそれでいいと思います。つまり、その先に発展性がなくてもいいという意味です。
しかし、もし、さらに頑張りたいという人がいるのなら、その道は残してあげるべきかなと思います。
今すでに登れる人は自分が登れるから、それでいいということになってしまいますが、その状態になるのに梯子を外されているのが若いクライマーたちです…
それだと、若い人はどうしたらいいのか?となります。
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