Tuesday, February 26, 2019

900mのハイボルダー エルキャップフリーソロ

■ フリーソロとインドアボルダリング

”フリーソロ”と言うと、山の世界では、ほとんど”命知らず”と同義語になっています。

”命知らず”なだけではなく、”非常識”などもセット販売。

でも、実はみんな、フリーソロ、いつもやってる…(笑)。

それは、ボルダリングです。インドアジムでボルダリングしている方、呼び方が違うだけで、それはフリーソロと同じですよ(笑)

フリーソロとは、

・ロープをつけない
・ハーネスをつけない

クライミングのことです。

インドアボルダリングは、基本的にフリーソロです。ただし下にマットがあり、インドアなので、高さは高くてもせいぜい5mです。

■ 外岩ボルダリング

インドアボルダリングのクライマーが、外で同じことをすれば、それはだいぶ大きな進化です。

外岩ボルダリングとインドアボルダリングの違いは?

クラッシュパッドに着地 vs 30cm厚の分厚いマットに着地
ホールドを自分で見出す vs プラスチックで色分けされたホールド
高さは色々       vs 高さはジムで設定
アプローチも歩く    vs アプローチなんのこと?
マントリングあり    vs 終了点でジャンプオフ、もしくはクライムダウン

基本的に外に岩でもっとも面食らうのは、ホールドでしょう。自分で見出す、ということが必要です。一般に、ルートファインディング、という言葉で言われています。ボルダーは、とても短い数手のルートファインディングが必要です。

が、誰か仲間と行けば、たぶん、先に登った人が教えてくれるので、問題なしです。というかルートファインディング力はつかないということです(笑)

落ちる場合は、クラッシュパットの上に、上手に着地しないと、アブナイです。クラッシュパッドの厚みは15cmくらいですから、あまり高いと衝撃が強いですし、スキマに落ちて捻挫はよく聞きます。

この現象を見て、ロープクライマーは、やっぱりボルダーのほうがアブナイ、などと思ったりします。

■ ハイボルダー

この外岩ボルダーのカテゴリーの中に、ひときわ大きな岩、ハイボルダーがあります。

ハイボルダーというカテゴリーは正真正銘、”命知らずな方向け”とされています。

日本では、室井登喜男さんなど、マットを使わないで登っています。

それでも、20m超えるハイボルダーがあるのかなぁと思いますがどうなのでしょうか?

■ ビッグウォールのハイボルダー化=エルキャップフリーソロ

さて、アレックス君が登ったエルキャピタンは、約900mの壁です。

私が去年、師匠と登りに行ったインスボンは、250mの壁です。約4倍。

インスボンでも落ちたのは、1、2回です。しかし、ロープをつけていなければ、一度でも落ちれば死ですから、私は2度死んだことになりますね(笑)

■ 偉業を理解する

最近、小さい岩場で10本ノックをしました。登攀のトータル距離は100mくらいです。

私はへとへと。まぁ距離を登る登攀が久しぶりだったということもありますが。半日で100mです。

一日だと200m。私はクライマーの中では女性で体力がないほうに入りますので、例えば、体育会系の鍛えた男性とだと体力差は歴然です。

仮にそういう強い人が、一般女性の倍強いと仮定して、400m、8時間。 

ちなみに世界を震撼させたアレックス君は、900mを登るのに3時間切っています。

アレックス君の偉業を語るとき、落ちれば死、落ちなけば偉業ということで、オールオアナッシング的な面、フリーソロという極端なスタイルの賛美だけが主体で、具体的なすごさが伝えられていません…が、このような比較で分かってもらえるのではないでしょうか?

あいまいに、すごいすごいというだけで、すごさの具体的内容を伝えられないマスコミがちょっとイケテイナイなぁと私などは思います。

■ ボルダリングはフリーソロ

ちなみにフリーソロがすごいと言われますが、インドアのクライミングジムで行うプラスチックホールドを登って遊ぶボルダリングジムは、フリーソロです。

だから、一般人のみんなもいつもフリーソロしている(笑)。

しかし、ジムの壁の高さは、大体5m程度です。5mでも、高所恐怖症の人は高いと言って怖がります。

これを900mでやってしまったというのがアレックス君の偉業です。

ジムの壁を3時間ぶっ通しで落ちずに登る…易しい課題から難しい課題へ。

これをやり続けていけば、エルキャップフリーソロが見えてくるのかもしれません。

若いクライマーの皆さんは頑張ってください。

ちなみにアレックス君は、ベジタリアン、です。

Monday, February 25, 2019

那須岳雪崩事故 被害者のページ

■ 那須岳雪崩事故の被害者ページを見つけました。

https://nasu0327.com/page-148/

この事故は、一般的な山ヤの感想としては、雪崩岳を少しでもかじった人であれば、雪崩は予見でき、このようなルート取りや、よくわからない言い訳など、考えられないというものです。

引率者たちが全くの素人レベルで会ったことをうかがわせる事故、事件だ、というのが一般的山ヤの見解ではありますが…

こういう事故が起こりうる社会システムがあるところが、基本的に日本のアキレス腱となっているかもしれず、また確実に言えることは、事故が起きてからでは遅いということです。

各自で自衛するしかありません。指導者がダメならば、指導者を凌駕する知恵や知識をみにつけましょうということです。

■ いったん失われた命は戻らない

結果とリスクを分けて考える、ということが山では一般的です。

例えば、落ちて死ぬところでは、どんなに登攀が易しくてもロープをつける。

ということは、結果(の重大さ)、と リスク(の低さ)を分けて考えています。リスクは低くても、起きる結果は重大、という事象です。

しかし、一般に、一旦事故になることの結果が重大でも、リスク(そうなる可能性)が低ければ、ロープはつけない、とする態度が日本の登山の世界では一般的です。

分かりやすく言えば、シートベルトに相当するかもしれません。シートベルトの着用が義務付けられたのは、今の世代は最初からそうだったかもしれませんが、私が子供のころはシートベルトは任意着用だったように思います。

また子供を膝の上にのせて運転することも、問題視はされていなかったように思います。

問題が起こらなければ、なんでもないこのような些細な安全対策も、今では、誰もが当然のように行うことになりました。

これは、何かが起こった時の結果が重大であるので、そうなる可能性は小さくても、その可能性を補填する、ということだと思います。

■ 雪崩

雪崩というのは、自然界では、あちこちでそれこそ、しょっちゅう起こっている事象だそうです。

雪崩が起きやすい傾斜、というものも言われますが、斜面があれば、すべて雪崩れると思え、というのが基本的な山ヤの態度です。

なので、雪の山に入るのに、雪崩の知識を得ないで入る、ということがそもそも理解不能ですし、雪崩があるとしたら、どこが起きやすいか、というのは、一つ一つの山に固有なので、その山で過去に起きた雪崩事件は、たぶん知ってから入りたいと思うはずです。
当然、遭難の事例を調べるなどします。

この調べるプロセスで、人が介在した雪崩事故は記録に残されるが、人的被害がない雪崩はどこにも記載されない、ということも理解するようになります。要するに、雪山でデブリを見たら、それは雪崩の痕で、それはそれこそあちこちにあります。

普通の人は、この時点で、自分には雪崩が起きそうな箇所が見極められる経験値が足りない、と実感することでしょう…。

そうであれば、比較的安全と思われる日に、どこが雪崩が起きる可能性があるのだろうか?デブリはどこにあるか?という目で、雪山を見る習慣をつけて、雪山に入る場合は観察が主な関心となることでしょう。

そういう関心をもってして雪山を見れば、状態が一様ではないことは、数回の山との接点で明らかなので、観察量の不足、つまり、経験値が溜まっていないことを感じるでしょう。

となれば、リスクに十分に備えたとは言えないという自覚が生まれるので、それなりの緊張感をもって雪山に入ることでしょう。

那須岳の雪崩事故については、この緊張感が皆無、という点で、山やの起こした事故とは全く本質が異なり、単純な無知と行政の責任逃れを露呈している事件にしか思えません。

このような態度で国民は接せられているという事例で、対策としては、自衛する以外あるのだろうか?というのが私の感想です。

人命という大きすぎる犠牲を払っても、国民が全員戦死するまで戦争を辞めない、というか辞めることができない狂信的な国だったわけですから、同調圧力の強さは並ではなく、人の命を何と思っているんだと糾弾したとしても、和の精神というものは裏を返せば、責任の所在をあえて不明瞭にしてしまうことだ、ともいえるわけなのです。

このような場合は一人一人が賢くなり、知識武装するのが、唯一個人が取りうる自己防衛手段と言えるのでは?と思える事件でした。

亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りしています。

また残されたご遺族への誠実な謝罪、このような愚かなミスを繰り返さない対策が施されることを切に願います。




Wednesday, February 20, 2019

ビレイループはちぎれる!トッド・スキナーの事故

■インスボンで…

韓国インスボンで、私がギアを落としてしまい、それを拾いに下降した。すると、なんと落としたギアではなく、ちぎれたビレイループを発見した。

古くなったハーネスを皆に指摘されながら、「大丈夫、大丈夫」と言って、買い替えないでいた相方が真っ青になっていた(笑)。

事故の話は当然知っているが、ビレイループってホントにちぎれるんだ~ 

そして、その後すぐに旅の帰りにハーネスを新調した。

■ ビレイループ2重

この話を先日、一緒にいたベテランにしたら、自分のハーネスを見せてくれた…

なんとビレイループ、もう一個手作りのループが付け加えてあった。

50年山をやって、死なない秘訣は、ここにあると見た。


https://www.climbing.com/news/loss-of-a-legend/?fbclid=IwAR0rpmomib5T67a4IHApdd-QY6OHjs0G6caX_B-Xref3Ocxz7_i8RjN9Q2c

Tuesday, February 19, 2019

分かっていないクライマー事例

■先日見かけた自立していない初心者

先日、とある岩場を登攀中、隣のパーティをみたら、懸垂下降しているのに、ロープの末端が地面届いていない!ロープの末端も結ばれていない…

どうするんでしょう~

下からほかのクライマーに

「ロープが地面まで届いていないぞー」
「2本で降りろー」

と叫ばれていました(笑)

こんな流れ。

「もう一本のロープはどこだー?」
「ザックの中でーす」

…(一同)。

「そこの中間支点にセルフを取るんだー!」
「ザックを絶対に落とすなよー」
「ロープを出して連結するんだー」

クライマー「ロープ連結しましたー」

そのあとがズッコケ。

上の人に「ロープ引いてくださーい」とクライマー。いや、どっちの末端を結んだか、上の人が分かるはずないでしょ。そういう時は自分が引くしかないでしょ。

このクライマー何も分かっていない人なんだなーとみんなも思ったはずです。

これは序の口で、懸垂で無事降りて、次は中間にいる初心者をローワーダウンで下で確保しておろすことにしたらしいのですが、当然2本を連結しているので、ザイル通過があります。

他のクライマー:「ザイル通過あるよ」
クライマー本人: ?

確保器がない=プルージックで仮固定が必要ですが、そういうことは期待できないだろうと、明らか(笑)。

他のクライマーが確保器を貸していました(笑)。

要するに初心者の時ほど高度なロープワークが必要という事例です。ちゃんと全部必要なことは教えてから外岩に連れて行きましょう。

あとオマケのズッコケ話がありますが、それは、また。

Sunday, February 17, 2019

山では臆病に徹しろ

■臆病

山では臆病に徹しろ‼️という格言を雨宮崇氏にいただきました。

このことについては、思い出があります…

師匠の鈴木さんは、”臆病”という言葉を使わずに、”弱気”、という言葉を使っていました。

私は、”保守的”、という言葉を使っていました。

 臆病>弱気>保守的

という感じがしますよね(笑) なので、私のことを鈴木さんは、「強気すぎる」と思っていたみたいです。

■ ジョーゴ沢オールフリーソロ…

実は、知らなかっただけ(笑)。

3月後半のジョーゴ沢は氷瀑も腐って柔らかくなっており、傾斜が寝ていて登りやすいというのを前年度の記録を見て知っており、そうした時期をわざわざ狙っていきました。

それで核心はF2と大滝ですが、F2は解け解けで登れず、巻いたのでノーザイル。

大滝もワンポイントしか怖いところがなく、しかもトップを登ってくれたS熊さんは、ロープを出してリードする習慣がまだない初心者でした(笑)。この時は、それすら分かっていない状態だったのです。あとで沢に行って判明しました。

彼は、たまたまトップを歩いていたのですが、サクサクと超えていき、私も特に登攀上、難しいことは無く、サードで登ってきた講習会同期、かやさんも、一瞬 ”え~”という顔をしていましたが、女性が登ってしまった手前、ノーザイル。

私が本当は、「え~ザイル出してよ」というべきだったんですが… 

大滝を超えたところ

これです。この写真を見ると、やっぱりザイルは出した方がいいように見えますよね。

しかし、その当時は、

 登攀の難易度ではなく、落ちたらどうなるか?でロープを出す、

という原則を学ぶ以前だったのです。登攀が易しいから要らない、と思っていました。

アルパインルートでは登攀が易しくても、地面が不安定だったりして、不確定要素に備えるのにロープを出すわけですね。たとえば、ヒドンクレバスとか。

しかし、この当時は、そんなことも知らないものだから、全員、何も不安を感じることなく、オールフリーソロで超えました。

師匠の鈴木さんには、エライ怒られました…(汗)

「そんな山は教えていません!!」

と…。ハイ。本当にすみませんでした…。しかし、3月のジョーゴ沢・・・初めて初心者だけで挑んだバリエーションルートでした。楽しかった。

■ バランスを理解するのが難しい

かやさんの会は、初心者だけでいくことを許可せず、一体だれがリーダーか?というので、ホントは私がリーダーをしたのですが、会の同期のS熊さんが最年長で50代だったので、彼をリーダーということにして会の心配をかわし、なんと、かやさんの会はそれでも心配だというので、我々にビーコンを持たせました(笑)。

ビーコン、絶対要らない…と私は八ツ岳のことは詳しく分かっていたので、思っていましたが、まぁ、ないと行けないというので、携帯しました。カヤさんの会は、中央アルプスをホームとし、遭難者が出たのです…ビビっているんだろうと理解しました。やっぱ、あぶないですよ、中央アルプスは。何しろ、かやさんの会のもっている雪山のイメージは宝剣ですから。

そして、朝からパプニング…。ダブルロープを指定したのに、会のS熊さんが持ってこない!!

ので、私の車に常設してあった、重たいシングルロープを担ぐ羽目に…。3人で、1人がリードの予定だったのでダブル2本だったのですが、シングル1本とダブル1本。

しかも、その日私はレディースデーになってしまい、鉄分が足りないのか、いつものように歩けなかったのです…。でも、この日は逃したくない!

この日は気温も高く、雪はしっとりしており、もうすっかり春山でした。

鉱泉前で身支度していると、ガイドさんが好奇のまなざしで私たちパーティを見ていました…。

いったいどこぞのヒマラヤに登るねん!っていう重装備だったからです…ロープ2本、それぞれ、アイススクリュー、ズラリ、アックス2本、スノーバー、ガチャ類、そしてビーコンの受信テスト中…(笑)。

ほぼ冬山全装…このあったかぽかぽかの春の日に…(笑)。なんだー、こいつら!と思うのが普通なので、恥ずかしかった…(笑)。

そして挑んだジョーゴ沢…これはアイスクライミングのルートの予定で、ショートではないので、全部の滝を詰めて、山頂へ抜ける計画でした。

もう山は、おいでおいでしているようにしか見えず、全員が興奮モードでした…。

実はこの時、同期のS熊さんは、マルチピッチの手順を全く分かっていない人だったのですが、そのことも判明する前だったので、彼が核心のF2でロープを出さなかったのは、登攀を易しいとみて、要らないと思ったのだろうと全員が思っていたのですが…実は彼はまだマルチのリードどころか、ショートのリードもしたことがない人だったのです。リードが何かを分かっていないので、ロープを出せるはずもなく…(笑)

プロテクションを取ってリードする、というアイスのリード経験があるのは、たぶん、私だけでした…けど、そこは男子2名は、俺が登ってやらないと!と思っているわけですからね(笑)。

それで、ノーザイルのオールフリーソロになったわけです。

ロープが重くて、男子2名の歩みが遅くなって、私にはちょうどよかったです…

最後は、腐った雪のラッセルで山頂に詰めました。

あとで写っている写真で振り返ると…かやさんは生まれたばかりの赤ちゃんがいるパパだったから、やっぱりロープを出すべきだったなーと思いましたが…

あの時は、登頂がうれしすぎて何も分からなかったんですねぇ…(笑)

今となっては初々しい時代の思い出…。当時の私はイケイケでした…。

当時は、ビーコンや、余剰のギアを持っていることで、保守的な判断、をしているつもりだったんですね。ただの重しなのに。

成長したなぁ… 今では、山のリスクへの理解が深まり、ランナウトはバカっぽいと思うようになりました。かけなくていい命なら、かけなくても…。

山って遊びなんですからね。

フリーソロで登っちゃった大滝

Monday, February 11, 2019

RCCとデシマル

■ 見た目より難しいRCCグレード

昨今のクライマーの育ち方は、岩に入門するとビレイの習得のために、人工壁でリード壁に通うことになる。そして、基礎ということでフリーに進む。その場合、通常使っているグレーディングはデシマル。ムーブ習得のために、インドアジムに通う場合、グレードは段級システムで日本独自。

という事情のため、アルパインのルートに行くようになると?これがRCCのグレーディングに遭遇する。とよくわからないので、デシマルへの変換表を使う。

この変換表が信頼性に欠ける(笑)

あるトポにあったものーーー

Ⅲ+ →5.1
Ⅳ 5.3
Ⅴ 5.6
Ⅵ 5.9
Ⅶ 5.10c
Ⅷ 5.11b
ーーーーー

ーーークライミングインストラクターに貰ったもの
Decimal grade vs RCC grade(Japanese grade)
Ⅵ=11a
Ⅵ-=10d
Ⅴ+=10c
Ⅴ=10b
Ⅴ-=10a
Ⅳ+=5.9
Ⅳ=5.8
Ⅳ-=5.7
Ⅲ+=5.6
Ⅲ=5.5
ーーーーーーーーーーーーー

ーーーー別の方に貰ったものーーーー
5.5=5-(ゴマイナ)
5.6=5級
5.7=5+(ゴプラ)
5.8=6-(ロクマイナ)
5.9=6級
5.10a=6+(ロクプラ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーアメリカのクライミング雑誌にあったものーーーー
1960年以前 → 現代
5.3 → 5.7
5.6 → 5.8
5.7 → 5.9-
5.9 → 5.9~5.15c(笑)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(昔の人の感覚のⅣ級)=(5.3)= (現代の5.7) 

ということを昔の人は知らない。それは、フリーをしないから、ではないかと思うのだが…

昔のV級=5.10bというのが、フリーで基礎を作ってからの私の感覚に最も近い。

アルパインでは決して落ちれないので、

  落ちないグレード=2グレード引き算

です。

今日はアルパインでも落ちること前提みたいで、驚きました。

マルチなので、グランドすることは無いですが、どう考えても落ちても大怪我することはあっても、死なないよとは言われましたが、それは違うような気がします。

フリーでは落ちて死んでいる人は見ないけど、半身不随程度の大怪我は見ています。

参考サイト: http://nozakimakoto.hatenablog.com/entry/2015/01/08/173637

Friday, February 8, 2019

穴の開いた桶、もといプロセスを丁寧に

■ プロセスを大事にする

穴の開いた桶、というのは、誰もが圧倒されるような優秀さで世間を黙らせるスーパーヒーローの反対ということです。穴の開いたという形容詞が、欠陥、を物語っていますが、それがまさに桶、本人の気持ちを代弁中。

このネガティブ思考…と思いました(笑)。桶としては、私なんて穴が開いているんで・・・と自己卑下している。

さてどうやって、ポジティブ思考にしましょうか?

私は、

 プロセスを大事にしなさい、

と教わりました。一般世間では、今を丁寧に生きる、と表現する人もいます。

山では、心・技・体・知・経のバランスをとって成長するのが大事だと教わりました…

ので、例えば、それは、フリーをやるなら、フェイスも、スラブも、ワイドも、クラックも、やるオールラウンド。

山だったら、テント泊縦走もやるし、沢もやるし、雪もやるし、岩もやるし、氷もやるし、ボルダリングもやる、ということでしょう。

あるいは、スポーツクライミングだったら、インドアもやるし、外壁もやるということ。

■ 技術習得のひと段落

というのが私の念頭にあり、アイスでゲレンデ経験を積み上げ、ゲレンデのサイズばかりを大きくしていくことには躊躇がありました。

60m登れれば、ロープスケールからして、ルートを楽しむには十分です。100m登れるようにトレーニングするより、60m登れるスキルでルートに行くほうが、技術と、知識&経験のバランスがとれる、と考えます。

技術だけ上がって、知識&経験値の上がっていないクライマーが基本的には遭難事故をおこすものだからです。

100mを一気に駆け上れるスキルと、山の知識や雪崩を避け得る知識は違うからです。いくら100m駆け上がれても、雪崩の巣にそうと、気がつかないまま、突っ込む山ヤでは…。これは特に若い男性クライマーには理解が難しいことかもしれません。

■ ゲレンデとルートのバランス

本来、もっとも楽しいアルパインの成長論は、山が舞台であるルートで成長し、練習の場であるゲレンデは、ほんのちょっと、ということではないかなと思うのですが。違うのかなぁ。

山の規模を徐々に大きくしていく、ということは大事ですし、困難度を徐々に上げるということも、大事です。

分かりやすいように、極端な事例を上げましょう。

例えば、自分の得意なフェイスの5.13を一本だけ200便出して、レッドポイントして、ワイドになれば、5.8も登れない…というのは、あまりバランスの良い成長とは言えないということです。

これは、アルパインのクライマーが遭遇する技術的課題は、山にあるあらゆる要素ですので、山ではフェイスだけとかワイドしかない、とかありえないからです。

もちろん、現代ではルートの情報がありすぎて、このルートにはワイドしかないとかクラックしかないとか、情報が出そろうので、そればかりを練習してから行くというのは可能です。実際、私もインスボンに行ったときは、スラブとクラックばかりを練習していきました。

が、基本的にアルパインクライマーの目的は、

未知なる山に備える

ということです。未知の山で、練習していないクラックの岩が出てきたときに、「おれクラックは苦手だからやらない」というのでは、即、敗退です。

ということで、多くのアルパインクライマーが、あらゆるタイプのクライミングを練習して備えています。

フリーの課題はアルパインのクライマーにとっては、目標ではなく、道具です。なので、練習になれば何でもよいという感覚です。ちなみにフリークライミングはアルパインの基礎と言われています。フリーしかしないクライマーと比べ、アルパインのクライマーは、課題に通う時間が少なく、目標として一つの課題に通い詰めるという精読というような活動が欠如している人が多いので、すこしはしたほうがいいよ、かもしれませんが、それはまた別の話です。

一本だけ5.13。そういう成長の仕方では、オールラウンドな成長とは言えないため、ほとんど一発屋、と言ってもいいかもしれません。そう思っている人は多いと思われます。

もちろん、これはその方が、”その1本のルートに掛けた思い”を否定するものではありませんが、基本的にフリーに掛ける努力とアルパインに掛けるのでは、ルールも厳しさも違うはずです。

現代は、時代的背景から、アルパインのルートに掛ける思いを語る情報は少なく古いです。フリーの課題に掛ける思いを語った情報ですら、30年前が主体で、岩と雪は現代の図書館整備システムから抹消されつつあります。

入手のしやすさという意味では、ボルダリングの課題に掛ける思いをつづったものは比較的手に入りやすいのは、現代クライマーの最高難度の到達が、今の時代はボルダリングに向けられているからです。手に入りやすい情報に人は流されるということでしょう。

Thursday, February 7, 2019

現代クライマーのエイドデビュー と 古典クライマーのビレイ習得

■ 古典的アルパインクライマーの成長プロセス 

1)一般縦走で足腰を作る、生活技術と山の基礎を学ぶ
2)沢でロープワークデビューする
3)初級の岩登りルートに行く
4)エイドを教わる 登れない時用
5)フリー化
6)積雪期
7)徐々に山を大きくしていく
8)徐々に山を困難にしていく
9)到達できる最高到達点は人それぞれ

■ 現代まともな人
1)一般縦走で足腰作る (フリークライミングだけの人はここがない)
2)人工壁でロープワークとクライミングの基礎を作る
3)外岩ゲレンデデビュー
4)スラブ、フェイス、オーバーハング、クラック、ワイドとそれぞれ登れるようになる
5)最高グレードを上げていく
6)マルチにデビューする
7)大きくしていく
8)5.12が登れるくらいになったらビッグウォールへ
9)初めてエイドを学ぶ
10)5~6000m級アルパインへ

■ ビレイがダメな古典クライマー vs エイドがダメな現代クライマー

という具合で、

1)古典的クライマーは、スポーツクライミングを経由しないためビレイ習得機会がない

2)現代クライマーは、エイドが出てくるのがヨセミテビッグウォールからなので、5.12に到達する以前には、習得機会がない

クラックさえあれば何とかはなる、というのは、カムエイドがあるからです。5.10cのアダモは登れませんが、カムエイドなら簡単です。

■ プロテクションのスキルが磨けない

ハーケンはエイドによる前進用ですが、そのような技術が必要なルートが、ほぼ国内にはないため、現代のクライマーがハーケンを含め、リムーバブルプロテクションの習得を行う機会は、ほぼ皆無です。

その結果、カムでのクラックリードはフリークライミングのスタイルでエイドを経ずに行われるため、プロテクションは習得しないまま行われることになり、ギリギリのグレードで落ちて、プロテクションが3つ飛ぶなどの事例となります。

それはエイドでプロテクションの設置技術を磨くプロセスを端折っているからです。

クライミング力が上がってしまうと、エイドの必要は低く、さらにフリーの世界ではエイドに対しては否定的な空気がありますので、フリーのルートでエイドすると怒られるでしょう。

まぁフリークライミングというのがエイドクライミングの対語なのですから(笑)

…というので、私はしばらくはカムエイドを磨こうと思っています。

エイドができるということは、リードにおいてクライマーにとっての、かなり大きな精神的武器と思います。

Wednesday, February 6, 2019

山のスーパーおじいちゃん

2月5日は、カルロス・ソリア・フォンテンさんの80歳のお誕生日だそうです。

こちらのイケメンおじいちゃん ↓


日本では世界の情報が不足しているように思われますね。

ということで、この御年80歳の方の実績。

カルロスさん、スペイン人マドリッド生まれ。1939年生まれ。
ーーーー

Born on this day; 1939.02.05; Carlos Soria Fontán aka 'Himaal Baaje' Spanish Madrilian climber, who ascended

Nanga Parbat in 1990,   ナンガパルバット
Gasherbrum II in 1994,   ガッシャーブルム
Cho Oyu in 1999,  チェオユー
Everest in 2001,  エベレスト
K2 in 2004,  K2
Shisha Pangma Central-Peak in 2005, シシャパンマ
Broad Peak in 2007,
Makalu in 2008,  マカルー
Gasherbrum I in 2009,  ガッシャーブルム
Manaslu in 2010,  マナスル
Lhotse in 2011,  ローツェ
Kangchenjunga in 2014 and Annapurna I in 2016. カンチェンジュンガ とアンナプルナ

He also finished the

Carstensz-version of the Seven Summits in 2010.
He is the oldest person in history to have successfully climbed the

K2 (65 y),   65歳でK2
Broad Peak (68 y),  68歳でブロードピーク
Makalu (69 y),  69歳でマカルー
Gasherbrum I (70 y),  70歳でガッシャーブルム
Manaslu (71 y),  71歳でマナスル
Kanchenjunga (75 y)  75歳でカンチェンジュンガと
and Annapurna (77 y).  77歳でアンナプルナ

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わーお!としか言えないが…。 マナスルなどは、もうユマールで登る山。

なので、高齢になっても可能性がある。最盛期はどこなのかなぁ。チェ・オユー当たりなのかなぁ? 65歳でK2はすごい。

K2はどんな山やに聞いてもすごい山という話です。登攀グレードが高いのでしょう。

高所登山という登山カテゴリーは、山の世界ではすでに登られつくしており、また高所という環境のシビアさを味わうもので、登頂のスタイルやプロセスは問われない傾向にあり、これはお金さえかければ登れる山に繋がる結果となり、そのため、玄人以外は、登頂の価値が判断できない、ということになっています。

とはいえ、世界のピオレドール賞が高所登山に受賞者を当てようとしていないことから、現代登山の登山史をめくる1ページは、もはや高所登山には見いだせないことがうかがわれます。

ちなみに高所登山は、まったくルールなし!なので、下手したらヘリで山頂に下ろしてもらっても、高所登山です。

有名な栗城さんは、エベレストは、ベースキャンプにもたどり着いておらず、亡くなってしまいました。もともと、マラソンの日本人男子平均の体力もなかったようです。ので、無謀だったという見方が山を分かっている人の間では支配的です。

栗城さんの件はいかに現代の登山価値を理解することが若い人にとって難しいか、ということの事例であると、私などは思います。私は、いわゆる本格的登山、というカテゴリーに入るロープを出す山をしていますが、そのカテゴリーに入ることを躊躇する若い人は多いです。しかし、それではロープが要らない程度の傾斜のところしか登れません…

ロープが出る山をするようになると、急、という感覚が新たに塗り替えられます。なにしろ90度以下は、すべて”寝ています”。

しかし、このような記録は、年配の山やさんにとっては、希望になるところでしょう。

また参考にもなるのかもしれません。


日本の山やさんも多くの方が若かりし頃の思い出をしのびに、ネパールへトレッキングに行かれているようです。トレッキングと言っても高所。お体にお気をつけていかれてください☆






最近ヒマラヤはトレッキングパーミットが緩くなり、まぁ処女峰はいっぱいあるみたいです。落穂ひろいと言われても…ロマンはありますよね。




Tuesday, February 5, 2019

ネイリングの習得 いきなりヨセミテ?!


これは大人の山岳部からのQ&Aです。この中では

実際のことろ、現在、国内では、ネイリングを駆使するルートは限られています

とあります。要するにハーケンを打つルートということです。

実際、私の先輩でアルパイン歴が10年ほどの人がいますが、ハーケンを打つことは沢ではあっても、岩ではほとんどないとのことです。私自身もハーケンは沢には持っていきますが、岩には持っていったことがありません。

私自身も、これまで行ったルートでは、ほぼほぼボルトが整備され(落ちれないボルトだとしても)、それは、基本的にフリーで登り、落ちない力をつけてから行きます。つまり…行こうとするルートの2段階上のグレードが目安です…例としては、5.7のルートに行くなら、5.9が登れる…をつけてからしか行かないです。

ので、ボルトの存在意義が限りなく低いために問題になっていません。要するに落ちる人はいないという意味です。

現代のクライマーの登り方です。

■ いただいたコメント

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ヨセミテでいきなり練習?

シングルピッチのフリークライミングを十分していない人が、例えば瑞牆のマルチピッチでフリーの練習をしますかね。

国内でピトン打ちをしないで、いきなりヨセミテのビックウォールでネイリングなんかしたら大迷惑です。

初級ルートでネイリングなんかするところがあるんですかね。クラックをトップロープで登っただけでは、カムをセットし、それが墜落に耐えられるかわからないのと同じです。

エイド経験者と同行しても、たいしたことはわからないです。

ピトンは自分で打って荷重して効きを感覚として覚えるものです。

トップロープでクラックを登っても、カムのセットや墜落したら大丈夫かは分からないのと同じです。

この回答者は自分でろくにハーケンを打ったことないでしょう。

GWの奥穂にスニーカーにアイゼンを付ければ登れますくらい、いい加減です。
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全くその通りだと思います。ネイリング=ハーケンを打つこと、は、やり始めて2~3か月かかるスキルのようです。

こちらに別のベテランの意見がありますので、ご参考にしてください。

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 随時、ルートの状態でハーケン打ちやボルト打ちも適当にします。

ランニングビレイやアンカー作りは野北や日向神が一番良いと思いますよ。

毎週通えば、2〜3ヶ月で不安を払拭できると思います〜。
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2,3か月というと土日で、8回から12回。それくらいの練習が必要ということで、現代のフリークライマーだと、野北なんて、フリーで楽勝で登れてしまうので、ただ退屈してしまうかもしれません。こんなに通う気になれないかも。

■ リムーバブルプロテクション

ハーケンはエイド用です。つまり、静荷重には耐えられますが、衝撃荷重がかかる墜落に耐えれるか?は打つ人や岩の質にもより、耐えることは最初からあまり念頭にあるプロテクションではありません。

一方、現代のリムーバブルプロテクション、つまりカムは、基本的には、墜落に耐えることが前提です。

ハーケンもカムも回収が前提ですし、それならハーケンよりも、カムで行くほうがより安全ですね。

マイクロナッツという選択肢もあります。これについては、まだよく知りません。ハーケンよりもナッツのほうが高額なのではないかと思いますが。

■ 2グレード下のルートに行く

どちらにしても、現代のクライマーは、ルートに出る前に高い登攀力…5.9がオンサイト出来る…程度を人工壁と外岩ゲレンデで身につけてから、外岩デビューすることをお勧めします。

理由は、バリエーションルートの易しいルートでも原則落ちれない、腐敗したハーケンやリングボルト、あるいは、オールアンカーと言われる現代の安全水準に満たないボルトが、易しいルートでは主体だからです。

これらのボルトは墜落には耐える設計強度はありません。

一般に現代のクライマーは5.7などでは落ちないですので、そう言ったルートの腐食したボルトを、墜落可能な強度があるボルトに打ち替えようとは、誰も思いません。

ちなみに落ちそうになったら、Aゼロしてください。

■ お勧め初級ルート

落ちない前提で、ですが、三つ峠は、一般にハーケンとリングボルトで構成された、マルチピッチの登攀ルートで、基本的に北アでのアルパインルートの練習場所とされています。

三つ峠を落ちずに登るには、ですが、まぁ背が高い一般的な運動能力の男性だと、最初から特に練習を必要とせず、登れるのではないかと思います。

が、例外もあります。例えば学生時代から運動神経はイマイチだという自覚がある人だったり、50代になてクライミングをスタートするなどだったり、慌て者の性格だったりする人は、事前にクライミングジムや人工壁に3か月程度通うほうが良いかもしれません。ジムグレードで、6級程度の登攀力という感じでした。

6級なんてものは、20代の男子であれば、ジムに来た初日に登れますが、それでも腕は張るし、ムーブはこなれてはいないというような感じです。女性であれば腕力がないので、ジムでは被りが出てくるので登れたり登れなかったりですが、三つ峠では傾斜が寝ていて、腕力が必要な個所はないと思うので、そう問題にならないと思います。

三つ峠は決して落ちれないマルチピッチですが、登山靴で開かれた岩場だけに、三つ峠で落ちる人というのは、結局のところ、よほどの人か、もしくはロープワークを理解する前に来てしまい、自分でセルフを外すような人です。

死者はガイド山行ですら出ていますので、現代の高齢化した初心者の方は、ジムで保険をかけてください。

昔の新人というのは、ほぼ20代の若者です。こうした人たちに楽勝で登れたとしても、現代の高齢化した新人は、きつい可能性があると思います。50代の男性新人で、登攀力を磨く前のスタート時の能力が42歳でスタートした私よりもはるかに低い人を2名、すでに見ています。30代の男性、20代の男性でも、人工壁で私より登れずに落ちている人というのは結構います。自分のタイプを見分けてください。

■ セカンドなら墜落もありのルート フリーのマルチ

三つ峠の後は、私は春の戻り雪3Pでデビューしましたが、こちらは、セカンドで行くなら墜落は許容できます。アンカーも、中間支点もしっかりとしています。

ところがリードとなると話は別です。核心は大ランナウト、です。この意味するところは、落ちると大怪我という意味です。ので、いくらグレードが5.7とはいえ、きちんとリードする能力を磨いてから、リードで登るべきです。

ので、5.9がショートでリードできるようになってから、行けば、リードにもゆとりがあり楽しめるでしょう。直上ではなく、右上したり、立木で懸垂したりも出てくるので、
ショートとは違う危険個所もあり、勉強になると思います。

これに取り付く前に十分な登攀力を持っていかないと、リードで落ちれば怪我になります。

■ ハーケンを打つ経験値を積めない

ハーケンを打つ経験値を現代のクライマーは、ヨセミテが視野に入る登攀能力がつくまで、積むことができません。

が、それは、どれくらいの登攀能力か?というと、5.12くらいです。

5.12が数本RPできる…というくらいになれば、ヨセミテのビッグウォールが視野に入ってきます。

その程度の登攀能力ができないと、ヨセミテビッグウォールは時期尚早ということですが、ビッグウォールではオールフリーは要求されていません。

あくまで、スピードが優先になり、セカンドはオールユマールも許されています。またリードであってもピッチ数が多く、とてもオールフリーでこなすのは大変すぎるので、この時になって初めて、ネイリングという技術が前進のために必要になる、ということになっています。

昔の新人が入門1年目にやったようなことを、入門して10年目でやっと必要が出てくる、ということです。

このような状況に現代のクライマーはあります。

どんな山やさんも、言ってくださることは、それぞれ真実なのですが、現代のアルパインで成長する人の困難は、言われた通りにしたら死ぬかもしれないので、自分で客観的に自分の実力を見て、最善のパスを見出すということです。

■ ハーケンを打っても良いゲレンデ 

越沢、葛葉川、松木沢などが関東エリアではハーケン打ちの練習に使用可能なゲレンデです。


Sunday, February 3, 2019

沈殿19日

■沈殿のこと

昨日は、屋久島開拓者と”沈殿”について世間話をしました。

知らない人のために解説すると、”沈殿”というのは悪天候で一日中テントから出れない、という日のことです。

黒部横断でピオレドールを取った伊藤さんは牛首尾根で19日間の雪洞泊での沈殿をしていました…ので、あるとき宴会で、伊藤さんに「そういうときって何をするんですか?」と聞きました。答えは「大マッサージ大会」 好天が3日連続しないと行動不能なそうです。

屋久島開拓者の方は5日間の沈殿の経験があるとこのこと…。もう高齢の方ですが、往時は地域山岳会でトップクライマーだった方です。

翻って一般クライマー。クライマーに人気の夏の小川山合宿ですら、雨が3日も続くと苦痛です…。山岳用テントの狭い中に3日。雨だと行動が不能ってわけじゃありません…外に出て歩くくらいはできて、登攀が不能なだけです。それでも、師匠の別荘に、「雨だから助けて」と駆け込んでくる人はいっぱいいました…

私は沈殿ではありませんが、ほとんど雨の後立を5日間縦走したことがありますが、無雪期だからいいけど、冬季ではなぁと。冬季のテント泊で3日以上って結構つらそうだと思います…。そういえば、ビバーク訓練で、雪のかなのビバーク経験が1日ありました。私だけがシュラフを持ってきていない人でしたっけ…。あの時は日中は普通に動けました。

 1)現代の世界的トップクライマーがやっていること(雪洞泊沈殿19日)、 
 2)伝統的な山岳会のトップクライマーがやっていること(沈殿5日)、
 3)山岳会の中堅レベルがやれること(ノーシュラフの雪中ビバーク1日)

の差が、分かるでしょうか?

私はよく、「そんなハードコアな山はしなくても」とか勘違いコメントを貰いますが、まったくハードコアではありません。こんなくらいでハードコアって言ったら、ハードコアが笑われます。

何が起こっているのか?ハッキリ言って一般のハイカーのレベルが低下しているのです。

私は厳冬期のテン泊も縦走も、一人でやっちゃう系ですが、その程度の人ですら、一般市民レベルの登山”者”クラス(冬季山小屋泊ができる人:一般市民の登山からすると1割の上級者)から見ると、かなーり高いレベルです。 

さらに冬は山はお休みで、夏しか山をしないハイキングレベルの登山”客”レベル(全体の9割)から見ると、かりにそういう人が私がやっている山をすれば、ほぼほぼ遭難、です。

 1)現代の世界的トップクライマーがやっていること(雪洞泊沈殿19日)、 

・・・大きなギャップ

 2)伝統的な山岳会のトップクライマーがやっていること(沈殿5日)、
 3)山岳会の中堅レベルがやれること(ノーシュラフの雪中ビバーク1日)
 4)山岳会の新人レベル(無雪期のビバーク)

・・・大きなギャップ

 5)中高年登山 (山小屋泊)
 6)一般登山 歩くだけ

現在、どんな物事でも二極化、ということが言われますが、山の世界の二極化、が分かってもらえるように解説できたでしょうか?

Friday, February 1, 2019

真砂尾根の思い出

■人気

この一か月ほど、真砂尾根の記事が人気で、一日に80PVくらいの閲覧数を稼いでいるようだ。

真砂尾根…渋いルートで良きルートだった。

ここを大学山岳部の雪稜経験が少ない人たちにお勧めするのは、良い事なのか悪い事なのか分からない…ので詳細に解説しておこうと思う。

このルートの位置づけとしては、難易度としては、ルートグレード1級の本チャンルート以前、という感じの場所だ。

危険度としてはロープが出る、ということでジャンダルム以上。したがって、一般登山者クラスはお呼びではない。

また体力度としては、雪稜で2泊3日の行程は長く、当時同行者だった先輩(50代)がよれたために、参考は短縮になったため、体力度としては高く設定してあると思う。

しかし、私(40代女性で体力は平均)の体力では、まだまだゆとりがあったため、そうやみくもな体力が必要なわけではない。

また要所要所で、人工的に人に会う施設(例:駅、山小屋)があるため、比較的安全地帯との接触があり、危急時の保険が多いと言える。

したがって、きちんとした雪稜…スタンディングアックスビレーや雪洞泊、滑落停止技術が必要な山・・・・をまだやったことがないアルピニスト候補者のような人が、ほぼ確実に落ちないだろうと見込める易しい難易度の場所を長時間かけて歩いて、雪稜慣れする、というようなことに向いている。

一般に、初心者のトップは、誰でも支点の選び方が下手であり、墜落に耐えることができる支点を作ってくれるかというと、そうではない。なので、後続に落ちてもらっては困る。

後続が落ちることは考えにくいような簡単な場所をスタート地点として、経験値を積んでいく必要がある。

私が真砂尾根に行った当時、Mさんは、私より入会年度が早かったが、クライミングにはしり込みしており、まったくやらないため、5.9の人工壁でも私が彼の代わりにトップロープを張ってやらないといけない状態だった。

ちなみにMさんは、30代前半で180cm近い大男の若者である。が、登攀は見るからに下手くそであった…。

しかも、雪稜のことも、山のことも分かっておらず、雪割れがあり、そこの通過が容易に回避できるときに、ジャンプ!と後続に強要する程度の分かっていなさ、リスク認知程度の低さ、だった。

その彼が、この山行ではトップを登り、案の定、彼においついたら、スタンディングアックスビレー中に両手を放してスマホをいじっている最中であり、これが、本気モードの山だったら、「こら!」とか、げんこつ、では済まない大失態であろう・・・が、そこはさすが先輩で、彼の甘ちゃん下限はよくわかっていらしたので、大失態を大失態とならない程度の山が選んであるのである。つまり、そこは、歩いて到着できる難易度…私としても、あきれてものが言えないわ!という程度で済ませた。

あとで彼については別の山の記録で、読者にコメントを貰った…山のセンスがない人、という評価だった…。

才能がない人は、要するに山のリスクがよくわからない人、見えない人、ということだ。たぶん、下界でもリスクは管理しておらず、人任せなのだろう…親がお金を出して店を持たせてやっているという人だったが‥‥山もずっと才能がないものかもしれないと思う…。自己責任という感性が育っていないのだと思われた。

こういうところで才能が見え隠れして、才能がない山やだなーと烙印を押されているとは、彼も気がつかなかったかもしれないが、そのこと自体が才能のなさを物語ってしまうかもしれない…というような性格の尾根だ。

■ 山は弱い者に合わせるもの

一般に、山岳部、山岳会というものは、基本的に、パーティの中で一番弱い者に合わせる、という不文律がある。

この山行では、春山合宿2度目の私のほうが、3度目の彼よりも先輩に位置づけられており、彼を一人前にしてやるために、フォローをしてやらないといけないという意味だった。

他の先輩らはみんな、当然ながら彼よりも登れ、ヨセミテ経験者すらいるわけで…。通常は入会年度が少ない人のために、山の計画を作るのであるが… 結局、2年目ですでに私の名前が彼の名前より前にあるので、私は先輩側として、彼の面倒を見てやる側に入らないといけないということだった…

じゃあ、いつ私自身が、自然物を使った支点構築を勉強する私自身のための機会を与えられるのだろうか?というと、この会にいれば、一生Mさんが”一番弱い者”扱いと決まっているということなので、私にはトップを先輩の確実なビレイで歩かせてもらえる機会はめぐってこないという意味だと理解。

この会にいては、人の成長を後押しするばかりで自分の成長をないがしろにしないといけないのだということが理解できた…。という非常に悲しい理解を伴った山だった。

山の世界では、人は優しい。というか遠慮しており、分かっていない人に、君は分かっていないよ、とは言わない…。教えてあげたほうが結果的に親切だと思うのだが。

前回の春合宿も、彼のリードで登らさせられたが、トップを行かせるのであれば、それにふさわしい知識や責任感を彼に植え付けてからにしてほしいと思った…。が、ルートは簡単だったので、そこで目くじらを立てるのは大人げない、という程度だった。鎌尾根は。

30代の男性と言えば、社会ではれっきとした大人であるが、50代の先輩たちに交じれば、坊やという位置づけになってしまう… そんないい加減なトップが作った支点であるので、セカンドで登るにしても絶対に落ちれない…。まぁ、雪稜ですから、いい加減なアイゼン歩行くらいしか落ちる要素はない。が、それにしても、責任感のないトップの確保で登るということは、確保意味なしって意味なので、むしろ、フォローで登っている側のほうが責任重大になってくる。

この話を持ち出したのは、それくらい、真砂尾根という尾根が歩き主体で易しい、ということを理解してもらうためです。ピッチグレードはないですが、あえてつけるとすればⅢ級からⅣ級マイナスくらいでしょう。デシマルで言えば、昔のではなく、現代の5.2程度です。

まったく信頼度ゼロのMさんのビレイで事が済むような雪稜という意味です。当然、後続も落ちることは全く考えられないような、易しさであるのです。

途中Mさんと先輩の一人が、懸垂を一回出していたが、そこは私と別の先輩はノーザイルで普通にクライムダウンで降りてきたところだった。

なので、ロープは念のため、だ。

■ 黒部横断

黒部横断は、日本らしいアルパインが味わえる渋いルートと思うが、

http://yukiyama.co.jp/mountain/2016/03/kurobe-oudan-ito-gyouji-sato-yusuke-miyagi-kimihiro.php

大谷原→赤岩尾根 →鹿島槍→牛首尾根→十字峡→トサカ尾根末端壁(ゴールデンピラー/11P 380m Ⅵ)→黒部別山北尾根→真砂尾根→別山尾根→剱岳→早月尾根から下山

という行動の一部分を味わうことができます。

大谷原→赤岩尾根→鹿島槍 は一般ルートです。前年度の春山合宿が鹿島槍鎌尾根でしたので、黒部横断のルートのうち、鹿島槍登頂の部分を切り取って、一番易しい難易度の部分をつまみ食いする、というルートでした。

■ 『鹿島槍研究』

昨今、アルパインのルートをする人は少ないようですが、それには、ルートの調べ方を知らない、ということもあるかと思います。

ネット全盛時代、ネットで手に入る情報だけで済ませようという人たちが多いことは残念なことですが、基本的に山の難易度や困難度などは、主観であるため、その主観の把握で間違ったことになると、大きく当てが外れることになります。

それを修正するには、多くの記述や文献を読むに限ります。一つ一つは主観の集まりであっても、それが3つ4つ、あるいは10と集まると、大体のラインというのは見えてくるものだからです。

私のお勧めは、『鹿島槍研究』を読むことです。この本は、多少議論の余地がある本だそうですが、登山体系に加え、地域研究の本を読むことで、その山の中での複数のルートの困難度が困難度順に並べてありますから、一つでもそれを知ることで、自分の中の基準とマッチさせていくことができます。

ちなみに、春山では、一般ルートの赤岩尾根のほうが、バリエーションルートの鎌尾根よりも困難と思われます。

■ 体力度

また体力度は、標高差と時間を計測することで、自分なりの数値データを持つことが可能ですので、標高差何メートルを1時間で歩けるのか?は比較的体力の目安になります。

このルートでは、一時間に標高差300mが17~8kg背負って、8時間程度、歩けない体力の人は、お呼びではないと思われます。要するに冬山最低ライン。

がちなみに、私はこの山は楽勝でした。

標高差300を1時間で歩くのは、ごく一般的なコースタイムですし、17~18kgはかなり冬山としては軽いでしょう。ロープを持った先輩は、20kgくらい行っていた可能性がありますが、その本人が最初によれて計画短縮になったような(笑)? 昨今のロープは軽くダブル60mで行くのが正しいと思われます。まぁ練習でピッチを短く切って支点工作の時間が増えても良いというならば、軽量化で40mでもありと思います。体力度を下げたい場合ですが。

このルートをご検討されている方のご参考になれば幸いです。

2013.11.23 立山 真砂岳 雪崩直後

ジャンの奥様

■ 「危険」か「困難」か?

こんな話です。 (赤字当方)
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とある日のお話、ヨーロッパのハイソなご夫婦が日本の「ビギナーズロッククライミングルート」であると聞きつけて西穂からの縦走に挑みました。

次々と現れる「困難」というより「危険」というべき難所に段々とイヤ気がしてきたらしいその若奥様を、旦那さんはなんとか宥めすかしながら、それでもようやくジャンダルムを越えてあと少しで奥穂という所までこぎつけたのです。

ところが最後の難所”馬ノ背”を前に彼女は「こんなアブナイ所を行けるワケないでショ! ワタシハモウイヤヨッ‼︎」と動けなく(動かなく?)なってしまったのです。

困り果てた旦那さんはとうとうレスキュー要請を出すに至ったのですが、通報を受けて僕たちが駆けつけてみると先のような事情であったので特に怪我をしているわけでもなく「まぁ、ほんならロープ確保しよか…」とルート工作することになりました。

そうこうする所へやはり西穂からの縦走のおじさんたちが4、5名ほどポツリポツリと馬ノ背に差し掛かってきます。

救助活動中であるので先に行っていただくことにして「どうぞ〜」と声をかけます。

すると「えぇ…」と答えるどの方も、その足取りは重くかなりお疲れの様子。

「コレ越えればもう難所はないですヨ。奥穂もすぐソコです!」という僕の言葉に頷きはするものの、何だかもうヘロヘロでみなさん通過して行かれます。

やがてロープセットも完了し、念のためショートロープで確保しながら彼女を促して馬ノ背へ取り付くと、なんと見事なバランスと身のこなしではありませんか。

そのことを後で彼女に尋ねると、ヨーロッパのドロミテなどでロッククライミングの経験はかなりあるとのこと。

でもそれは全てプロガイドとロープをつないでのクライミングであって、馬ノ背のような岩場をプロテクションもなしにひとりで歩くなんて考えられないということでした。

「うーん… そりゃあ、彼女の感覚の方がもっともなのかもしれんなぁ…  だいたいにおいて、麦わら帽子をザックにくくりつけたようなおっちゃんが、ヨタヨタと馬ノ背を歩いとることの方がオカシイよなぁ」などと思いつつ、その若奥様とロープをつないだまま小屋へと向かいました。

その道すがら、結局は馬ノ背で先行してもらった方々は全て追い抜いてしまい「こらぁレスキューせなあかん人を、オレは間違えとるんとちゃうやろか?」とつぶやく始末。

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http://bochiiko8.blog14.fc2.com/?date=20150903&page=0&fbclid=IwAR1TI5XHMxr_2dExgvfYTTLD7SQwECwKaixKkbPLCUsae0Cky0sPQ9pEVRo より引用

■ 

この事例は、まさに今日本の夏山で起きていることを、如実に物語っていると思います。

私はロープを出す山をしていますが、

 ロープを出すのはどこからか?という判断

が、世界と日本では、少し違います。一般にスポーツクライミングといわれる世界では、クライミングそのものを純粋に楽しむため、「危険」は排除することになっているため、落ちたら一巻の終わり、というような場所では、ロープを出します。

しかし、ジャンの馬の背は、スポーツクライミングのグレード(「困難さ」)からすると、非常に低いのです。ですから、そもそも、大学山岳部などの若くて体力がある人が主流だった時代に始まった日本の登山の基準では、これくらいは体力的余力があって当然なので、ロープは出さないでも、「危険」ではなかったのでしょう…

しかし、現代の登山の主力は、20代ではなく、60代、そして70代です…その方たちの体力は、20代の半分。

ということで、そのために危険が増してしまいます。

このヨーロッパの方が、ロープを出さないなら行かない、という判断をしたのであれば、ヨーロッパでは、年齢が言っていなくても、どの年齢でも、このくらいの危険度であれば、ロープを出すのでしょう…

これで日本の縦走路で起こっていることがいかにリスキーなことかわかっていただけたでしょうか?

■ 本チャン

適切な言葉がないため、本チャンという言葉を使わざるを得ませんが、日本ではロープが出るクライミングで、マルチピッチ、山岳縦走とセットで行われるものを本チャンと言っています。

日本の本チャンは、いまだに命の危険がある、非常に危険なものです。

というのは、岩が脆く、また支点類の不朽が激しく、30~40年前のものだからです。しかし、支点を構築する技術というのを磨くことが難しいです。

また歴史上の経緯として、1960年代以前は最高グレードがV級だったため、V級に5.9から現代の最高難度5.15cまで含まれる、ということになってしまっています。

本チャンルートのV級と書いてあるピッチはフリーで行くと、5.15まで出てくる可能性があるということです。もちろん、かつてはボルト連打でⅥ級で登られているのですが、ボルトを撤去する運動が盛んだったため(フリー化)、エイドルートは少々憂き目にあります。

ので、V級A1と言えども、フリー化の結果、非常に大変になる可能性があるということです。

しかも、現代のクライマーは、時間的制約のために昔のクライマーに比較して、体力で劣る傾向にあります。

私の現在の知見では、5.12は昔の人でもトップを登るクライマーは標準的に登っていたグレードであるように思います。今の人はそのグレードに達するのは、昔と比べると比較的環境(ジムや人工壁)に恵まれているのではないかと思われます。

■ 危険が増せば困難が下がり、困難が増せば危険が減る

登山というゲームの本質として、危険が増せば、困難が下がり、困難が増せば危険が下がるというトレードオフの関係にあります。

ので、ジャンダルムでロープを出さないのは、困難度が低いからですが、誰にとっての困難度か?という面で、現代の登山者はかつてのように若者でないことや、組織された登山者でないため知識的にも自分が登れる段階に成長してから来ているわけでない、という面が色濃いです。

Aさんにとって困難ではなくても、Bさんにとっては困難ということがあり得ます。

■ 40kg 5.12

しかし、それでは統一した危険度と困難度をバランスさせて登山というゲームを成立させ難くなりますから、登山者として本チャンに出て良い、一般的なレベルというものがあります。

それは暗黙知で、大体図られていたようですが…

敢えて言葉にすると、40kg 5.12 です。40kg担げて、5.12が登れる。

若い人には比較的達成が容易なレベルだと思います。60代を過ぎて、登山を始めたような方には年寄りの冷や水ですので、チャレンジするにしても徐々に頑張ってください。

ちなみにどちらか一方で達成している人は、比較的多いです。フリーだけに専念すれば、60代でも5.12は達成可能な気がしますし、歩荷だけ、つまり縦走だけに専念しても40kgというのは長時間でなければ、男性は筋肉量が多いので、60代でも大丈夫です。

しかし、両方というのは、若いころ、トップクライマーで鳴らした人でも、なかなか、それを維持するのは厳しいレベルではないでしょうか。

歩荷に必要な足の筋力は重しとなって登攀にとってはトレードオフの関係にあるからです。