Thursday, March 19, 2015

アルパイン0.5年生ですべきこと

■ バリエーションルートの入門ルート

バリエーションルートは、一般ルートよりも、”より困難なルート”とされている。

八ヶ岳は、代表的なエリアに、大きく分けて

 西面のバリエーションルート 
 東面のバリエーションルート 

がある。西面は、人気で大都会の様相、東面はそれに対し静かな登攀が楽しめる通なエリア。

■ 安易さの表れ

これは余談だが、赤岳周辺の人気は、率直に言ってしまえば、

 小屋があり、アプローチが近いから

だ。つまり、肉体的に楽を求める人向け。スピーディにスマートに登って降りる、という昨今のフリークライミング感覚の延長にある。”楽・短”ルートだ。

それは、実は”より困難”つまり、”苦・長”を求める、オーソドックスなアルパインの精神とは、矛盾している。

そのことを理解していないと、自分のことを実際以上に凄くてカッコいいと勘違いしてしまう。

赤岳周辺の人気は実際は登山者の軟弱化を示している。バリエーションルートをするような、本格的登山を志向している人たちの間でも、軟弱化が進行している、ということを示しているのだ。残念ながら。

体力不足が目立つ初心者(アプローチが楽だから)や、安全管理があいまいな人(小屋がすぐ近くだから)でも、取り付きやすいからだ。逆に言えば、初心者は行きましょう。

これまた余談の入れ子になって恐縮だが、八ヶ岳という山そのものを愛さないで、百名山行脚と同じルートコレクター的な登り方をすると、「八ヶ岳のバリエーションは全部制覇した。次はどこに登ったらいいですか?」という質問をするようになってしまうだろう。

■ 山域の全体像を把握するのが入門ルートの目的です

さて、一つの山域にほれ込み、一般ルートの山をステップアップして、さて、バリエーションルートに足を踏み入れようか、と言う時、

 先輩は何をするか?

その山域の全体像が把握できるような、歩き主体で困難度が高くないルートに連れて行く。

いきなり岩壁で目の前の登攀でアップアップでは、

 その山域全体の特徴や、
 その山域固有のリスク

などに意識が及ぶはずもないではないか。

ということは、つまり、こうしたルートへ連れて行ってもらった時に、

きちんとその意図を汲める後輩であることが大事

だ。

こうした長いだけで特段困難がないルートは、意図が理解されず、毛嫌いされる傾向にあるが、こうしたルートの目的は、そのエリアの概念を掴むことにある。

例: 阿弥陀中央稜(広河原沢中央稜)、阿弥陀岳御小屋尾根
   ツルネ東稜ー権現
   ジョーゴ沢ー硫黄

というわけで、各エリアの概念図をあげておく。




■八ヶ岳東面バリエーション概念図(地獄谷周辺)

























■ テクニカルルート+地図読み

そのエリアの概念を掴んで山の全体像を知りながら、山に登る。

これをなかなかしてこないのが昨今の登山者だ。それは登山者自身の非になるのかどうか?というと、それがまた難しい…

一般ルートの山が今では地図を書かない、地図を読まないで登れる山ばかりだからだ。ガイドブックがルートコレクター的編纂をしてあるから、仕方ないのだ。

だから、一般ルートで自信をつけてきた新人に期待できるのは、体力だけ、だ。良くて状況の判断力(山を見る力)。地図読みもこれから、ロープワークもこれから、登攀力もこれから、だ。進退の判断力はそのうち最も難しい。

≪登山者に必要なスキルセット≫
 ・体力
 ・山を見る目
 ・地図読み力
 ・ロープワーク力(守りの力)
 ・登攀力(攻撃力)
 ・進退の判断力

一般ルートとバリエーションルートの難易度は連続的でない。一般ルートには、体力的困難があるだけで、スキル的困難は排除され、地図読み的困難はさらに排除されている。

したがって、新人が身に着けるべき最初の一歩は

 山を見る目
 地図読み

であるが、昔から

 ロープワーク
 登攀

を教えつつ、山を見る目&地図読みは、山を歩きながら伝授する。

ところが、昨今は、フリークライミングの台頭で、

 登攀

だけ先にできてしまう人を育てている。今の人の育て方と昔の育て方は違うのだ。

というわけで、一番大事な、山を見る目、地図読み、は、ロープワークよりさらに貶められている。

テクニカルルートに出向くには、それぞれの、段階的なステップアップが必要だ。どれか一つだけ優れても、ルートはこなせない。

そこが、新人には非常に理解が難しいのである。 

かれらは、赤岳の一般ルートの次は、赤岳西壁主稜だと思っているのであるから。それはガイド登山がそのような体系で連れて行くからだ。北岳を大樺雪渓で登ったら、次は四尾根だと思っているのが新人だ。その間に横たわる大きなギャップを理解させるのは非常に難しい。

つまり、自分で行こう、という意識を持つまで、山を見る目や地図読み力や状況の判断力が自分に不足している、と気が付くこと自体が、非常に困難だ。

昔は無かった大きなギャップが存在するようになっているのである。

■ どうやってギャップを埋めるか?

そのギャップを埋める山が、登山道がないという意味の、バリエーションルート、地図読みの山、だ。

だから、テクニカルルートに行きたい人は、地図読みを先にマスターしないといけない。

ちょっと話は前後するが、バリエーションルートには、テクニカルな意味のバリエーションルートと登山道がないと言う意味のバリエーションルートがある。

≪バリエーションルート≫
 テクニカルルート
 登山道がないルート(マイナールート)

大抵のルートは、そのミックスになっている。テクニカルルートは、そこへたどり着く前に、登山道がないルートであることが多い。

例えば、前穂北尾根は、5、6のコルに到達するまで、どうやって行くのか?マイナールートと同じことで、地図読み力が必要なのである。

とは言っても、昨今は薄い踏み跡程度はついてしまっている。原始のままの自然のままの姿はもうない。

それでも、地図読みでどこに行くのが分かっていないと、5,6のコルに行ったつもりで、別のコルに行ってしまうのだ。

実際、アプローチ核心というのは良く聞く話で、そういう場合は、結局、テクニカルルートを地図読みやルーファイ力で敗退しているのだ。 例:ツルネ東稜敗退された方の事例

つまり、踏み跡依存=他人依存の山をしていると、そうなる。

■ 依存性を排除するにはどうしたらいいか?

その依存性というのは、目の前に道があるから歩く、みんなが歩いているから道なんだろう、という一般ルートの登山で培われる。

だから、一般ルート歴が長いほうが依存的な登山をするリスクが大きい。

これは精神論の話だから、初心者の登山者は、まずその依存精神を取り除くところから、始めないといけない。

先輩に連れて行ってもらおうっていうのは無しだ。

それにはどうしたらよいのか?

自分と同じくらいスキル的に頼りない相手と山行を共にして、失敗を共有しながら、互いに成長するしかない。

頼れる相手がいれば頼ってしまう。それが人間だからだ。






20 comments:

  1. おはようございます。 yosemiteです。

    Kinnyさんの過去ブログを沢山読んできたので(沢山ありすぎてまだまだほんの一部ですが)、研究熱心はよくわかります。 また、現在所属する会のレベルと状況も知りました。
     
    がしかし、南八ヶ岳の冬期バリエーション・ルートをまだ1本も登ってないうちから、”楽・短”ルートだと言うのはいかがなものかと思います。 少なくともV・ルートと言えるレベルのものを3,4本は自力で登ってから、自己評価および他人評価をしましょう。

    クライミング履歴を拝見すると、4月初めのツルネ東稜(好天で雪安定、小屋泊りのガイド登山)、12月初めの阿弥陀岳中央稜(雪少なく暖かく日帰り)、3月末の川俣尾根から権現岳(好天で雪安定、小屋泊り)、の3つです。 
    これらは一般登山路ではないという点で、一応「V・ルート」のカテゴリーに入りますが、荒天下でない限り危険度・困難度がほとんどない易しいルートです。 同日同時刻の赤岳・横岳・権現岳などの縦走路や他の登路の方が、より強い風を受けたり、滑落などの危険度がある箇所があったりで、むしろ厳しい・難しいと言えます。
    冬山では、夏道がどういう状況になってるかが問題です。 無雪期には藪で近寄らないような尾根(V・ルート)を夏道より雪崩や滑落などの危険が少ないために登下降路に求めることがよくありますので、V・ルートの方が難しいとは一概に言えません。

    この山域のアイス・クライミングもされていて、リードしてるところも見えます。 しかし、そのほとんど安全が担保されたところを衆人環視の中順番に交代で登る、小川山のフリークライミングみたいなものです。 落氷や塵雪崩、などのObjective Danger を回避コントロールしやすいところと思われます。

    腰以上の深雪ラッセル、アイスバーン化した稜線歩行、強烈な風を受けての稜線歩行、降雪と風で視界不良の稜線歩行、雪庇の危険がある稜線歩行、マイナス20度くらいの低温下の幕営、ベース付近ではなくルート取付や森林限界直下での雪洞泊またはツエルト泊、塵雪崩を受けながらのルンゼ・氷瀑クライミング、
    などなど、「冬山の洗礼」をたっぷり味わってから、コメントするべきです。

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    1. Yosemiteさん、いつもありがとうございます。 

      ヨセミテさんの考え方は、自身にとって易しいか易しくないかです。私はそういう話をしているのではないのです。 八ヶ岳西面が人気なのは、東面よりリスクが少なく、つまり易しいから、というのは客観的事実です。私の取っては当然易しくないです。 
      易しくないかは、客観に基づくもの、主観に基づくもの、2タイプあります。私にとっては全部のバリエーションが難しいものです。今行こうとしているルートは、おそらくヨセミテさんならノーアックス、ノーザイルで行くくらいのところですが、ビーコンまで持って行く念の入れようです(笑)

      山の世界で一つ問題だと思うのは、登れない奴は黙っておれの風潮です。それを突き詰めると、K2に登らない限り誰も客観的に難度を評価できません。

      冬季の黒部横断をするような人たちとヤツのバリエーションを日帰りで落として、いい気になっているような人が同列で語られるような事態を招いているのではないでしょうか?

      ちなみに、私は、「冬の洗礼」を受けるような山は一生涯する気はありません。期待をいただいているのにスミマセン。私はそのようなスゴイ登山者になる予定はゼロです。

      しかし、そのような洗礼を受けた人とヤツのVルートに宴会しながら登って凍傷を作るような人との、実力の違いは分かる登山者にはなろうと思っています。

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    2. yosemiteです。

      「ヨセミテさんの考え方は・・・・・全部のバリエーションが難しいものです。」
      は、論理的でなく、何がいいたいのかいまいち分かりません。 再説明頂ければと思います。

      ◆「問題だと思うのは、登れない奴は黙っておれの風潮」
      これは、登山に限ったことではないし、何が「問題」なのか理解できません。
      例えば、登れない(なかった)奴が、実態と乖離したことを語り、登った奴が、それに違和感や疑義を感じた場合、それは違うだろ、と指摘するのは自由です(言わないのも自由)。
      ただし、いきなり「黙ってろ」と言うのでは喧嘩になりますが。

      ◆「それを突き詰めると、K2に登らない限り誰も客観的に難度を評価できません」
      飛躍し過ぎで論理的ではありません。 そんなことを突き詰める人はいません。 だいたいK2を登ったからと言って難度を評価できる訳ではありませんし、K2を登らなくても難度の評価ができる登山者は沢山います。 Kinnyさんお気に入りの山口耀久さんや山野井泰史はK2に登ってませんが、難度を評価する「尺度」というものが備わってます。 分野の得意不得意により、バイアスはあるでしょうが。

      ◆「冬季の黒部横断をするような人たちとヤツのバリエーションを日帰りで落として、いい気になっているような人が同列で語られる」
      そういう事態を知りませんが、たとえあるとしても、「2ちゃん」の いかれコメントや祭りのようなものです。 そんなものは無視しても、なんら弊害・災厄・不利益はないと思います。 
      これこそ、「登れない奴は黙っておれ!」です。 がしかし、喧嘩するだけ時間の無駄です。
      放置プレイでかまわないでしょう。

      ◆「 私は、「冬の洗礼」を受けるような山は一生涯する気はありません 」
      これは、Kinnyさんの自己欺瞞です。 石橋をたたいて5年、ステップ・アップしてるのですから。 

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    3. Yosemiteさん、いつもコメントありがとうございます。

      小屋が近ければ安全地帯が近く、安全地帯が遠い山より、当然難易度は低くなります。それは経験しなくても、常識で分かることです。その程度の話です。

      難度を計る尺度は、このブログで紹介ている書籍で色々と出ています。それで良いにも関わらず、最近は難度は混乱中です。その最大の原因はガイド登山です。ガイド登山では、バットレス四尾根は体力さえあり、クライミングジムに一二回行ったことがあればOKとされています。そうすると、それを読んだ人は、自分に当てはめて行けると思ってしまいます。それが遭難の温床、少なくとも大渋滞の温床になっているのでは?と想像します。ホントにクライミング力はみなあります。するとそれだけで出かけてしまいます。

      放置プレイ、了解です(笑)。心強いお言葉ですね!そういう人はとても多く、たぶん、それが私は嫌なんですね。自己顕示欲のために登山を利用している人たちです。

      何も知らない一般ルート専門登山の人は、バリエーションから登ってきただけで、すごいすごいと言います。それの無知に付け込んで、自分の凄さを印象付ける為、2度も3度もトップアウトして見せて、凄さをアピールする人も最近はいるのだそうです。そのような行為は私には、浅はかさと見えます。

      私は、誰でもちゃんと勉強して山に向き合えば、できることなんだよ、といいたいのです。登山が、集合して、人の後をついて歩いて、山頂でおにぎり食べて、小屋でおしっこして、終わりの行動に矮小化された世界は、どうしてそうなっちゃったのかな?と想像すると、商業主義、コマーシャリズムに負けてしまった、という人間の弱さを原因としているように思えます。

      海外のアウトドアメーカーが日本に進出して、すぐ撤退し、残した言葉が、「日本にはアウトドアアドベンチャーはない。あるのはマウンテンサイドピクニックだ」だそうです。言い得て妙と思いました。

      私は初級のマウンテンサイドアドベンチャーをめざし、わたしより体力・登攀力のある強い人には、さらに上を目指してほしいなーと思います。そういう人をしっかり評価できる登山者が一人でも増えれば、まだアウトドアアドベンチャーとしての登山という世界の命脈をつなぐことになるかもしれません。

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  2. yosemiteです。 返信ありがとうございます。

    ◆ 「最近のガイド登山はルート難度混乱の原因であり、それが遭難と大渋滞の温床になっている」
    というKinnyさんの「 想像 」に異議ありです。
    「ミキヤツ登山教室」を見ましたが、「ジムに一二回」ではなく、「基礎的な外岩講習」になってます。
    ムーブが主のジム1,2回が参加条件なんて信じられません。 
    本当に催行してるガイドガイドがいたら、具体名を教えて下さい。

    初めて北岳バットレスに行こうと思うレベルの人は、ガイドに確保された登山と、自分で安全を確保する登山の違いは理解してます。 そして、ガイドの案内文を読んで、ガイド付なら私にも登れると思う人は多いけれど、ガイドレスなら代わりにリードしてくれる人と一緒でないと無理だろうと思うのが普通です。。 
    Kinnyさんのように、ゲレンデで複数回マルチ・ピッチを練習していても、北尾根3峰の核心部ではリ―ドしなかった(できなかった、させなかった)ですね。 これが普通なんです。 
    「クライミング力がみなあります。するとそれだけで出かけてしまいます」 とおっしゃいますが、
    Kinnyさんの周囲には出かけた人は何人いましたか? 御坂山岳会にはいないでしょう。 

    ◆ 「無知に付け込んで、自分の凄さを印象付ける為、2度も3度もトップアウトして見せて、凄さをアピールする人も最近はいるのだそうです」
    これは「・・・のだそうです」、つまりKinnyさんが直接見た訳ではなく、いつどこの山かも分からないただの伝聞じゃないですか。 ガセじゃないですか? 仮に本当だとしても、放置プレイで問題なしです。

    ◆ 「登山が、集合して、人の後をついて歩いて、山頂でおにぎり食べて、小屋でおしっこして、終わりの行動に矮小化」
    すべての人がそんな登山をしてる訳じゃありません。 
    そういうパック旅行的登山がいいという人もいるわけなので、問題はないと思います。 
    公序良俗に反したり、迷惑を掛けない限り、登山者それぞれの自由です。
    商業主義・コマーシャリズムに負けてしまった、というなら、三浦雄一郎や竹内岳洋のように、企業ロゴをべたべた貼った羽毛服を着て登頂でござい!とする方が私は嫌いです。 

    ◆日本に進出してすぐ撤退した海外アウトドアメーカーの言葉は、ビジネスに失敗した負け犬の遠吠えにすぎません。 日本の登山・アウトドア文化を理解できず、マーケティングもろくすっぽできなかったにちがいありません。 

    ◆ 「マウンテンサイドアドベンチャー」とはどういう意味でしょうか? 

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    1. Yosemiteさん、おはようございます。Yosemiteさん、どうぞ平静に。山岳会を取り巻く環境は、門外漢が予想するより、数段レベルで”限界集落化”的な現実が待ち受けていました・・・

      1)外岩講習1回ニアイコールジム1、2回 です。外岩講習ではロープワークを習いますが、クライミングを習うわけではありません。セカンドならエイトノット以外要りませんから、ジムでムーブをやった人のほうがクライミングだけでみると外岩講習1回より良いくらいです。とあるガイドさんの3か月の外岩講習を受講済みの人にマルチを教えましたが、全然ダメでした。ゼロと一緒のことでした。リードするとクライマーを引っ張り落としそうにします。メインのセルフも取りません(取る意識がありません)。懸垂下降では、ロープを支点に通す前に、ロープを投げそうになっていました(汗)。

      初めて北岳バットレス…は、私の以前の相方です。意識がなかったと結論した経緯は読んでいただいたらお分かりになったでしょう。ホントに胃の痛い思いをしました。バットレスは、相方とあうんの呼吸が出来上がってから行くところだと思います。最後まであくまで登攀力を問題点としてアップしていました。それに一緒にテント泊できないのです。二人だけでテント泊できなくても良いけど、それならもう一人仲間を育てなくては。

      御坂は良い会です。先輩たちのそこはかとない配慮を感じます。違う会にも所属していましたが、どちらの会でも、男性同士はなかなかストレートに「そこは君にはまだ無理」とか「そのビレイでは危ないよ」とは言いにくいようです。でも、御坂でない会のほうが、新人の意識も技術も、御坂より上でした。毎週クライミングウォールで練習しているからです。だから、たぶん、属している会ではなく、個人に因るのです。相方も行き先が飛躍していた以外は、きっちり技術も身に着け、クライミングの努力もして、しっかり登れ、体力もある良い人でした。ただ新人にはどこに行って良いのか、状況が分かりにくいのです。それが共有できませんでした。

      トップアウト・・・実存の人です。そういう態度をたしなめるのではなく、もてはやす風潮が実際にあります。ロープを出すべき場所でフリーソロをすると褒められる風潮がフリーの世界にはあるのでしょうか? 放置プレイに徹したいと思います。

      気になるのは、私が行きたいと話していた目標ルートへ、黙って先に行ったこと。ノーザイルがかっこいいのは分からないでもないですが、相手への気持ちの尊重というのは、あまり大事にされていないようです。でも、ルートって行くまでのプロセス、努力が喜びを作るので、そうやって見つけた行先ではあまり感動しないのではないか?と思い、心は寛大に・・・と思っています。こういうことは、アルパインの人はやらないけど、フリーの人は、誰かが行こうとしていたルートに抜け駆けして、先に行くのは、悪いなぁとは思わないみたいです。この会では2度ありました。

      パック旅行・・・その通りです。そういうのが良いと思う人が増えた結果、山では中高年の道迷い遭難が増えました。山岳会は一人二人の出来る先輩が、計画から何から何まで面倒を見て、他の人を連れて行く、”無料のガイド会社”と同じことになっていました・・・(”いましたというのは、最近、当会は変化の兆しだからです。) 本気の冬山なのに、なんで不必要なオヤツがザックからいっぱい出てくるか?というと、連れてきてもらって悪いと思っているから、オヤツで許してもらおうと思っているわけです。ハイキングの価値観を登山の方に持ってきています。家族的な会は、それではダメよ、と言えない空気があるからです。

      コマーシャリズム、同感ですね~。三浦さんは中高年の永遠に若くありたいという夢の具現化のようですね。今の若い人には夢がない、とネパールに10回も行った師匠が良く言うのですが、それはこういうものしか目につかないからかもしえませんよね・・・。私もちっとも何がかっこいいのか、分かりません。

      マウンテンサイドアドベンチャーって イメージ、沢です(笑) 近所の探検です。近所の低山は、夏は暑くてやってられないので、涼しい沢がいいな~って思っています。 夏の高山は混んでいて、大都会で、とても行きたいような場所ではないのが分かってしまったので。涸沢フェスはテントサイト400張のところ、1200張だったと聞きました。GWの同じく涸沢は知人がヘリで運ばれたし・・・有名な所に行くのは、辞めておこう、という感じなので、近所の自然を楽しむことを頑張りたいと思います。



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  3. yosemiteです。 返信ありがとうございます。

    ◆ 「最近のガイド登山が難度の混乱を招き、遭難と渋滞の温床だ」に異議あり、に戻ります。

    「ジムに一二回でOK」という案内文を読んで、「ガイド登山の人」は、登れると考える人も多いでしょう。 
    ガイドのバックアップで猿回しよろしく連れて行かれるのですから、登れる可能性は高いです。
    しかし同じ文を読んでも、「ガイドレスの人」は、自分達がリードしないと登れないので思い悩みます。
    Kinnyさんも言及のように、ジムで5.9(=Ⅵ)をリードできても、外岩のⅤをさくっとリードできる人は少ない。
    どこが登れたか登れなかったかがクライマー最大の関心事で、ジムでもゲレンデでも集会でも、それが話題にならないことはない。 なので、「ジムに一二回でOK」という甘いお誘い文を見ても、それを鵜呑みして四尾根にガイドレスで向かう「おバカ」はめったにいません。
    Kinnyさんが取り組んだように、経験者に聞き、ヤマレコを検索し、解説本を見たりなどで情報を集め、相方や上級者とゲレンデで練習し、そして四尾根にテイクオフです。 これがガイドレス・クライマーの道筋です。


    ◆ 四尾根で渋滞が起きるのは、そこに集まるクライマーの「パーティー数」と「練度不足」および「ルートの構成」が原因です。
    登れるけど諸動作が遅い初級者がいるパーティーが沢山やって来るので渋滞が起きます。
    上級者と初級者が組んでも、初級者はリードせず(セカンドで登るのが普通)、尺取り虫のように登ります。
    初級者同志が組めば、取付で迷う、岩場で逡巡、間違ったラインを登って戻る・トラバースする、ランニング取りが稚拙でロープが絡む・流れない、カラビナやテープを落とす、ヌンチャクを取り忘れて登る、カムやチョックが外せない、テラスやレッジを間違えてピッチを短く切る、懸垂ロープが絡む、初心者は落下&振られ防止用に補助ロープをつけて下りる、などさまざまな減速・遅延の原因を私は見てきました。
    バットレスには下部岩壁があり、四尾根主稜にはその5ルートからパーティーが集まるので、ボトルネック状態になります。 途中のマッチ箱の懸垂もボトルネックの原因です。 


    Kinnyさんのブログは頷ける点が多いのですが、ときどき飛躍しすぎの「想像」があって、驚かされます。
    未体験のゾーンやレベルへのコメントは慎重にお願いします。   

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  4. yosemiteです。

    スミマセン。 いっしょにバットレスを目指していた相方さんの話はどこにあるのでしょうか?

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    1. ヨセミテさん、おはようございます。
      ガイド登山に異議 ⇒ 前の相方がガイド登山出身者だからです。
      相方との破局 ⇒ 必携!日本の岩場ルート図集 の記事です。 http://stps2snwmt.blogspot.jp/2014/09/blog-post_7.html?showComment=1426388623906#c736377838284388568

      四尾根は三つ峠マルチに3P2時間半もかかるという事実を伝えて、プロのガイドさんにも相談しました。行っておいでという話でした。私の判断は、それの意見を踏まえても、時期尚早というものです。

      私の相方に必要なのは、Yosemiteさんみたいなアドバイザーでしょう。 

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  5. yosemiteです。 返信ありがとうございます。

    ◆ 「必携!日本の岩場ルート図集」が、「前の相方さんとの破局」の記事だったのですか。
    記事からは「破局」までは読み取れませんでした。 スミマセン。
    でも、その人が「ガイド登山出身者」だからといって、ガイドに八つ当たりするのはやめましょう(笑)。

    今読み返してみると、この記事に対する3/15のコメントで、
    「太刀岡山で5.9のあるマルチ・ピッチ・ルートが1回登れても、そこはただの低山クラッグであって、「岩遊び」の域を出ません。 本当のObjective Danger がある「本チャン」とは違います。 」
    と書いており、そこから 英用語の方へ話題がそれたままでした。

    しかし、太刀岡山左岩稜に至るまで、Kinnyさんと元相方さんは、なんだかんだと言っても、外岩訓練をきちんと重ねてるではありませんか。 元相方さんが「ガイド登山出身者」ということで、たくさんの不通や葛藤があったようですが、「自覚させる」までもって行ったのはKinnyさんの力です。 
    私の経験からすると、こういう凸凹コンビ(失礼)が、「本チャン」には向いているんです。
    コンビ解消は残念ですね。
    でも、「自覚」があってもなお、Kinnyさんから見て看過できない事由があったということですね。



    ◆ 中央カンテ3ピッチ&懸垂で2時間半x2回 + 一般右&懸垂で1時間 ですか。
    昔の山岳会には、「リーダー会」というものがあり(今もあると思いますが)、会員の山行の可否を判定しましたが、この段階でテイクオフOKというのは出と思います。  
    プロガイド氏が連れて行くなら結構ですが、ここで離陸OKを出すのは、いかがなものかと思います。
    中央カンテなら、だい3バンドまで登り60分下り20分くらいで合格と思います。


    ◆ 小川山や太刀岡山といった80年代以降に開拓された岩場のフリールートは、それ以前に開拓された岩場のルートとは「質」が違うので、いわゆる「本チャン」のトレーニングには基本的に向いてないです。
     
    いわゆる「本チャン」は、ナッツやカムがない時代に、基本的にハーケン(ハングにはリング・ボルト)でプロテクションを作った、From the Ground (上から懸垂で下りてボルトなどを打たない) なルートなので、ピッチグレードの上限はⅥで、現在のフリークライミングに比べるとムーブはさほど困難とは言えません。
    しかし、残置ハーケンやボルトのランニングやテラス・レッジの確保条件では不安定さ・不確実さを甘受しなければならない箇所があり、今のフリ―ルートにはない「悪さ」に緊張します。
    また、基本は『山登り』なので、ルートでの外的危険要因(Objective Dangerの訳はこれだったかも?)に注意を怠らないのみならず、取付点までのアプローチと終了点から安全圏までに、侮れない障害があることがあります。 

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    1. Yosemiteさん、非常に役立つ情報ありがとうございます。 

      ・ガイドさんについては、見聞きした内容を別途記事にまとめました。ガイドさんの講習って、たぶん、ガイドさんがお客さんをセカンドで連れて行く用の内容を教えているのかな?どうも、みなさん、メインのセルフを取らないのですが。
      ・相方は太刀岡のほうが好みだったのです。想像するにクライミング力がある人は、それを使うようなルートのほうが面白いのでは?わざわざ、重いザックを背負って山に行かなくても楽しめる岩場がアr場、その方が近くて楽でいいのかもしれません。

      太刀岡や小川山などフリー系のマルチピッチは、おっしゃるように、本チャンとは質が違います。相方と私では行きたいところがそもそも違う、と結論しました。私はフリーは下手くそなので・・・。

      ・リーダー会、って初めて聞きました。私はそういうので、きちんと判断してもらいたいタイプです。(今の人は、ウザいな~と思う人が多いのかもしれません。) 師匠にも、他のリーダーにも意見を聞いて、皆が時期尚早と言っていました。 登り60分、下り20分!頑張ります。今年は三つ峠に行く相手はいませんので、行かないかも・・・

      正直、私は岩はまだ怖いので、ボトムアップのルートはまだ、かすかな可能性がありますが、ラッペルダウンで作られた課題は、わたしには難しすぎて、とても楽しくは登れません。前穂北尾根では、前後のほうが大変でクライミング自体はそれほど困難とは思いませんでした。太刀岡のほうが大変でした。

      私はへたくそなので、あくまで、”山登り”の延長のルート、それも、山を登る人ならば、ぜひ知っておきたい、というルートに、長い時間をかけて憧れを温めながら登るのが良いと思っています。

      フリーは私にとっては遊びです。アイスゲレンデが遊びなのと同じです。高い山に行けない日や曇りの日用です。山って感じではないです。クライミング力は重要ですから、少しずつは身に着けて行きたいですが、今すぐ5.11登れるようにならなくても、一向に山には差し支えないです・・・。

      外的危険要因(Objective Danger)は、本当に強調しないとフリーで登れることばかりを主眼にしているとうっかり忘れちゃうのかもしれません。フリーの人がアルパインに行って、遭難多発という流れも他所で見かけます。その違いのところは初めて山の世界に来た人にはとても分かりにくいのです。

      私は下手くそ組です・・・

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    2. yosemiteです。 返信ありがとうございます。

      ◆ 私は80年代前半に岩登りと沢登りの講習会講師を務めました。 年8回くらいで、毎回の単発ではなく連続講習なので、生徒さんは同じで、やり易いです。 講師がリードして生徒さん2名にセカンドで登ってもらうので、ガイド登山に近いものです。  
      鷹取山で制動確保と懸垂とトップロープ>黒岩でセカンド登攀&確保と懸垂>三ツ峠でマルチピッチと懸垂>二子山中央稜クライミング、といったとこです。 ただし、教え方は山岳会の新人指導と同じで、本気のリードを見てもらうのですから、省略や隠しは一切ありません。 
      もし、生徒がメインでセルフを取らなかったらすぐ「指導」です。
      三ツ峠では、アルパイン・ガイドの講習会ともかち合いました。 ガイド1名に対し生徒4、5名、あるいはガイド1名助手1名に対して生徒7,8名というのが多く、生徒の安全監視が足りないなあと感じる場面がよくありました。

      ◆ 「リーダー会」は、どんな山岳会にも不可欠の「機関」です。 
      伝統ある御坂山岳会にない訳がないと思いますが、もしなくなったのであればその機能と責任は代表やリーダーが負うものです。 

      ◆ 三ツ峠での「本チャン」向け練習に関する考察 ◆ 
      中央カンテのあと、続けて右フェースを天狗の踊り場まで3ピッチx2回、つまり合計9ピッチをAlternate Leads(=つるべ登攀) で登下降するのが、「本チャン」に向けた非常によいトレーニングです。 
      第一や第二バンドまでを同数登下降しても、降りるたびに緊張が解けてしまうのでダメです。 
      第二バンドから第三バンドを経て天狗の踊り場まで(*)は、傾斜の緩いⅠ~Ⅱ級のところがあり、三点支持は要るもロープなしでも登れるラインがいくつかあります。 しかし、同箇所の下りでは滑落したら止まらないで致命傷になる可能性を孕んでます。 そういったまさに「本チャン」的な、易しいけれども緊張を解いてはいけない箇所繋いで1本のルートとみなして登り、それを3本やるのがとてもよいのです。 
      土日休日は懸垂や人気ピッチには先行パーティーがいるので、待ち時間がありますが、そこを織り込んでの9Pです。 
      ただし、これを最低でも6、7回はやって、いろいろなタイプのピッチを経験しながら次第にピッチ・グレードを上げて行くことも必要です。 なお、岩の形状には人それぞれの得意不得意があり、難易の感覚はトポと違うことがよくあるので、登れた・登れなかったやグレードへの異論があっても、一喜一憂はしないことです。 
      いずれにしろ、6、7回(すなわち50~60ピッチ)登り懸垂すれば、登攀力・懸垂術・ロープワークは大いに進歩して自信がつきます。 また、胸肩腕握力も強化されることでしょう。 

      Kinnyさんの現在の登攀力を推測させていただくと、観音・地蔵・ク―ロアール・紅葉おろしといったⅤ級はリード無理かと思います。 なので、トップロープでの攻略や練習も致し方ないと思います。 ただし、小川山などのフリークライミングのように、ハングドックしたりしてムーブ解決のベクトルが強くなってしまうと、「本チャン」練習としては本末転倒なので、気をつけて下さい。

      あとひとつ追加したいのが登下山道です。
      昔、御坂峠側からの道は、我々の間では『裏口入学』と言われ、チーフ・リーダーから、新人は使わないようにと言われてました。 「本チャン」は一般登山者以上の脚力と少しくらいではバテない体力を必要とします。 なので、三ツ峠駅からの往復をお奨めします。


      (*)  社会人山岳会の1年目のとき、同期の者がこの第三バンドから第二バンドへクライム・ダウン中に、第1クラック上部で滑落し、約15M落ちて、奇跡的に第一バンドで止まりました。 幸いにも骨折や打撲または大きな外傷・出血はなく、擦り傷と鼻血のみでした。 この事故は実際に見ていた者はなく、本人のそのときの説明・報告だけでしたが、本人にとっては大ショックだったらしく、その後集会や山行には来なくなり、結局退会してしまいました。 

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    3. Yosemiteさん、丁寧なご指導ありがとうございます。
      三つ峠、裏口入学知っていました(笑)。どうも昨今は、クライマーたちにはアプローチは短ければ短いほど人気のようですよ(笑)。一時間=長い!と言われます。

      ヨセミテさんに教えていただいたことを実行に移せるかどうかは、かなり濃厚な確率で低いです。というのも、今年はパートナーがいません。さらに、作るとなると、結び目の結び方から、一から教えないといけないので、教える負担があるうえ、教わりたいという人も今のところいません。このアドバイスは私の周辺の人たちにも役立ちそうですが、聞いて実行するような奇特な人はいないような気がします・・・。みな、山に行く前の手前の努力は無しで、結果だけもらいたがっているような???気がします。

      基本的に先輩たちは、登れる上、危険を回避したいので、フリーで長々とハングドッグ系が正直な所、このみだと思われます。また、ロープワークを覚えたてのクライマーが基本的に求めるものは、”練習台”相手なので、実のところは、パートナーではないのかもしれません。もしかして、それが女性が人気となる理由なのかも?

      アイスを教えてもらった有名ガイドさんは、その前の月に三つ峠で死亡事故を起こしていました。墜死です。三つ峠は登るのは易しいけれど、高さは高いので落ちられないです。こういう話を聞いたのは、すでに3度目です。私は三つ峠は他の理由でも通っていましたので・・・。はぁ~です。

      今年は岩ではなく、沢を頑張ろうと思っています。岩をとりまく世界は、どうも野心や煩悩と相性が良いように思います。わたしにはちょっとしんどいです。 

      槍穂、剣、それに山梨で言うと、鶏冠山などが、嫌いなのは、登れること、登ったこと、登れちゃったことの吹聴、自慢話をする人ばかりだからです(主に中高年)。

      かといって若いクライマーの側や先輩たちはボルトやケミカルのフリーのほうが好きみたいだし。登れる人は登る力を伸ばすようなルートが好きなので面白く感じないのです、きっと。というわけで、この分野は”開くドア”ではなくて”閉じたドア”です。 

      それがわたしではなくても、アルパイン指向の人がいても、機会が恵まれず、他の分野に流れる事情なのでは?

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  6. yosemiteです。 年寄りの自慢話をお聞きいただきありがとうございます。

    ◆ 三ツ峠での「本チャン」向け練習に関して (追加) ◆ 

    岩登り講習会の3期目が終了した後、生徒たち数名が年長の某講師を代表に祭り上げて山岳会を作りました。 私も参加させてもらい、翌年夏、若手を連れて槍穂高縦走と岩登りをミックスした4泊5日の合宿でリーダーを務めました。 そのために4月末から合宿前まで行ったのが、三ツ峠練習です。 

    初回は私も同行しましたが、皆初リードなのでシステムの理解不足やロープワーク稚拙のため、一番易しいラインを繋いでも2回目の登りが第三バンドで時間切れとなり、5Pしかできませんでした。 でもその後はクライミング力とスピードを次第に高めてリード数やグレードを少しづつ上げてゆき、確か4回目で9ピッチできたとのこと。 そして合宿前には私も参加して1泊2日のミニ強化合宿を行い、1日目の夜は第一バンドの隅でビバーク訓練をやり、最終日は地蔵左とク―ロアール右をリード(A0もあるが)する者もあらわれました。   
    本チャンでは核心ピッチ(Ⅳ+)だけは私がリードしましたが、他はすべて若手が交替でリードして完登。
    スケール・難度・構成はバットレスの4尾根ぐらいでした。

    以前、三ツ峠で1日20ピッチ、という話がありましたが、これは初級者には無理です。 
    私が入った社会人山岳会の先輩たちが70年代初めに欧州アルプス遠征前のトレーニングで25ピッチやったと言ってましたが、彼らのその訓練の先にあったのはグランドジョラス北壁(高差1200m)の完登でした。
    登山靴で25Pは半端ないです。 まあ登山靴で登るが当たり前の時代ですが、
    なので、初級者の目標としては高過ぎます。 



    ◆ 「基本的に先輩たちは、登れる上、危険を回避したいので、フリーで長々とハングドッグ系が正直な所、このみだと思われます。」
    これよくわかります。 私は、70年代にいわゆる「本チャン」文化で育ち、80年代半ばには完全にフリークライミングへ移行しました。
    30台ともなると仕事の量と責任が増し、体力も次第に自信が持てなくなり、フリークライミングという時代の趨勢もあって、体力的に楽で危険の少ない方角へ移りました。 冬の3スラ登攀が、私にとっては冬壁(3スラは壁というよりはルンゼ登攀の部類)の終わりの始まりでした。 学生時代からの息の合ったパートナーが結婚して山から足を洗ってしまったうと、なかなかその穴を埋める相方は見つからず、パートナーの大切さが良く分かりました。

    ◆ 「有名ガイドさんは、その前の月に三つ峠で死亡事故を起こしていました」とは、生徒を死亡させたということですか?

    ◆ 昨年、私も鶏冠尾根のぼりました。 高校2年以来44年振りです(自慢)。
    しかし、昔はなにもなかったのに、鎖や道標や蛍光テープがあり過ぎで、がっかりしました。
    甲武信小屋は昔日の面影があり、よかったです。
     

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    1. Yosemiteさん、こんばんわ☆ いつもありがとうございます。

      70年代が本チャン文化なんですか。80年代の文化は私はソリが合わないみたいです。時代背景的に70年代の物はクライミングにかかわらず愛着を感じます。

      三つ峠の2012年9月の事故です。

      鶏冠は、鎖があり、その鎖の根元が番線という本末転倒ぶりと聞いています(笑)。

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  7. yosemiteです。 

    ◆ 鶏冠尾根がおかしくなってしまったのは、山梨百名山に指名されたのが原因だろうと想像してます。
    二俣の吊橋脇と木賊山の縦走路の両入口に立ち入り禁止の立て看とロープを張りながらも、尾根に道標・山名標識・鎖などを設置するのはどう考えても矛盾です。 槍穂高や妙義のようにしたい勢力と、登山事故を恐れて入山禁止にしたい勢力のせめぎ合いがあるのだろうと思います。 
    Kinnyさんの知り合いの山梨のガイドさんはその辺の事情をご存知でしょうか?
    私は、今からでも遅くないので、百名山指定を解除して、設置した人工物は全て取り払ってもらいたいです。
    ここは奥秩父のど真ん中で、奥秩父らしい貴重な自然が残るところなので、何もない山に戻すべきと思います。 


    ◆ 「三ツ峠の死亡事故」

    ネットに残っている記事だと、

    ロッククライミング講習の59歳、滑落して死亡
    9日午前10時50分頃、山梨県西桂町の三ツ峠山(1785メートル)の屏風岩で、ロッククライミングをしていた東京都世田谷区大原、会社員須藤由美さん(59)が、約20メートル滑落した。
    須藤さんは全身を強く打ち、約4時間半後に死亡が確認された。
    大月署の発表によると、須藤さんは同日朝から、神奈川県のクライミングスクール主催の講習に参加。
    同スクールによると、事故当時、須藤さんは落下防止用のロープをつけていたといい、関係者は
    「何らかの原因で外れたのでは」としている。

    原因は分かったのでしょうか? ガイドの過失?


    ◆ 「本チャン」という品のないコトバに関して  ◆
    「本チャン」というコトバ、ほんとは嫌いで、使いたくないです。 少なくともとも70年代、80年代には、こんなコトバ、聞いたことない。 「本チャン」とは「本番」のこと、すなわちストリップ劇場の用語です。 こんな下品なコトバを使った奴は「パチンコ」というコトバも使う。 RCCⅡが「連続登攀」としてアジって実践したきちんとした登攀用語・概念を、安っぽいコトバに言い換えたのは、おそらく品も知性もない野郎に違いない。
    しかし、悪貨は良貨を駆逐する、である。 『岩と雪』のようなクライミング文化と伝統を伝える良き媒体がなくなってしまうと、用語の是非に関する論争も起こらないようだ。 

    ○ 松浦隆康氏のいわゆる『松浦本』三部作によって近年広まった「バリエーション・ルート」も、従来からある由緒正しき本家「バリエーション・ルート」の概念を侵食するコトバの乱用だ。 ハイキングなのにバリエーションと呼ぶのは矛盾してるが、本家「バリエーション・ルート」には手が出ないひとにとっては、「バリエーション」は心地よい響きなのだろう。

    ○ 「アルパイン・ルート」も、廣川健太郎氏の『チャレンジ・アルパイン』が元凶で広まったコトバの乱用だ。
    ウェストンが「日本アルプス」と名付けた擬似アルプスがあるにはあるが、氷河は消えてなくなってるし、アルプス登山のスタイルで登るわけでもないのに「アルパイン・ルート」と呼ぶのは、いかがなものかです。

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    1. Yosemiteさん、いつもありがとうございます☆

      鶏冠尾根、そうですよねぇ・・・。おそらく岳連の上の方の人は知っていると思います。ただここ、中高年登山者の”登ったぜ自慢の終着点”になっており、山の良さを大事にするより、人間界の事情的にそういう人たちのエゴの噴出先を作っておかないと、噴出先が別のところに行くだけになってしまいます。鋸や笹山、笊ヶ岳とも似ていますね。山梨県民的、煩悩の終着点となっている山です。

      三つ峠。原因は、遭難者が自分でセルフを外したことです。”何はなくともセルフビレイ”と習った私からは謎の遭難です。

      本チャン。そうなんですね!!ストリップ用語とは知りませんでした!本チャンという言葉については、私も別のを使いたいな~とは思うのですが、例えば太刀岡さ岩稜と前穂北尾根を区別する言葉が見当たりません。どちらもマルチピッチのバリエーションルートです。この違いを一言で表すとしたら、本チャンしかいまのところありません。残念ですが。

      松浦氏の著作がスタートで”バリエーション”の”マイナールート”という意味合いが含まれるようになったんですか?それも知りませんでしたが、著作は持っています。 人の歩かない道はマイナールートでいいのではないか?と思うのですが、それだといわゆるバリエーションルートと区別がつかない・・・御坂の会報は、例えば女山北北西尾根はバリエーションルートとして出しています。ので、まっとうなロープが出る山はすべてより困難という意味でテクニカルルートとでもしたらどうでしょうか。ちなみに、この本には、広河原沢中央稜は載っています。バリエーションハイキングで、です。いいのかしら?
      また、打田さんの『藪岩魂』には、”ハイグレードハイキング”、という言葉がありますが、こっちはバリエーションという言葉が含まれていないのに、ロープ必携の山です。西上州です。

      アルパインルートの由来もそうなのですか・・・もう先人が後輩にこうしたことを教えなくなった久しくなるのでしょうか・・・。アルパインスタイルって何?って私もいつも思います。日本アルプスを至上とするならそれはそれで定義してもらいたいです。

      まぁ全体的に山の新参者が以前はたどっただろう正規ルートで成長して行けず、山の先人が困惑するような方向に成長してしまうのは、様々な点での、先人の手抜き、山文化の衰退の帰結でしかないような気がしますねぇ。

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  8. yosemiteです。

    ◆ 「山梨百名山」の本家山梨日日新聞社本を見てませんが、ネットWikipedia(これは常に疑って読まねばならない)などを見ると、1997年に県が選考委員会をつくって 「山のある市町村から文句が付かない様無理やり」 百選んだものです。 問題惹起の元凶は難易度を付けた『百名山手帳』や『登頂記念状(証明書)』をさしあげますよと、世間にあまねく登山を煽っていることです。 その中で最上級とされているのが鶏冠山他3山で、登山者、特に「コレクター気質」の方のこころに火が付かざるを得ないのでしょう。
    私は高校2年のときに『山と渓谷』の記事に触発されて単独で登ったし、その後クライミングの世界にどっぷり浸かったので、どうしても上から目線で見てしまいます。 ”登ったぜ自慢の終着点”は、私にとっては始まりの始まりなので、「優越感」を持ってしまうのは否定しませんし隠せません。 ただし、当時は「百名山」なんてなかったので「優越感」ではなく、はじめて体験したとてもプリミティブな、原初的な山にいたく感動してました。 これが昔の先蹤者たちの分け入った本当の「奥秩父」なんだなあ、と。 まあでもそれは「妄想」ですが。 木暮理太郎の時代とはちがい、接近できる車道があり、目と鼻の先には観光客でいっぱいの西沢渓谷があるのですから。

    ◆ 文屋の文章では、亡くなられた方がどういうクライミング(トップ・ロープ?)をしてたか、どんな理由・状況でセルフを外したのか、支点はランニングは、といった情報が一切分からないのが当たり前ですから、具体的にコメントはでませんが、このガイド氏は危険地帯を監視してなかったのではないかと推測します。 
    私の経験からすると、初心者が「セルフを外す」「セルフを取らない」というのは十分あることです。 
    いずれにしろ、警察が事故検分して客観的事実は分かってる筈ですから、ガイド氏/ガイド協会は事故原因を明らかにして、再発防止策を公表して登山界に警鐘を鳴らすべきと思います。
    黒沢さん(高校の先輩)の翻訳した『生と死の分岐点』は、なんだかんだ言っても登山文化の異なる他国のことです。 本当に欲しいのはわが国の「生と死の分岐点」だと思うのですが。 
    「遭難事故のビッグ・データ」が出来たらいいですね。

    ◆ 「バリエーション・ルート」=variation route (一般) 英語のバリエーション、ドイツ語のバリアンテはともに変形、変種の意で、登山では一般リートに対し、より困難な地点から頂上などの目的地に登るルートのこと。 多くの場合、岩壁や氷壁にとられたルートをさす。 <佐内順>

    これが、『世界山岳百科事典』(1971年、山と渓谷社)にある解説です。
    佐内さんという方は、明星山(みょうじさん)の開拓で有名なグループ・ド・ボエームという山岳会のボスで、RCCⅡメンバーでもありましたが、variation route が英語とする解説には賛成しかねます。 
    英語登山本でそのような表現は寡聞にして聞いたことがないので、これは和製英語だと思ってます。
    先日、Kinnyさんのお師匠さんに、normal route も和製英語ですと言ったら、ネパール6000M峰ガイド本にはあると言われ驚きました。 classic route や standard route は頻繁に見るのですが、ご指摘は初めてでした。 今持ってないのでいずれ確かめたいです。 『Freedom of the Hills』ではいかがでしょう?

    かつて「バリエーション・ルート」といえば、岩沢雪氷の技術難度の高いルートを意味しました。 松浦本に出てくるようなルート、つまりロープは使わず技術難度は高くないけれど、登山道のない、地形図にラインのない、道標のない、踏み跡程度の、廃道の、といったところは別段注目を集めるものではなく、ひっそりと登られていたしたところでした。 その本家「Vルート」をやってた者からみると、松浦本のは、アプローチや下山路で使うようなところで、まあ日常的レベルです。
    しかし、一般ルートを沢山歩いた人、あるいは一般ルートに飽きてきた人、静かなルートを求めたい人、ロープを使えない人などにとって、うってつけのカテゴリーが、「松浦本」の言う「バリエーション・ルート」です。
    そういうニーズの合致が人気を博する素となり、新たな「Vルート」がコンセンサスを得たものと思います。
    「ハイキングなのにバリエーション?」、「ハイレベル(ハいグレード)な(?)ハイキング」など、誰が命名したか分かりませんが、矛盾っぽいけどこころくすぐる命名・コンセプトだと思います。 多くのロープ使わない人からみたら、それまではあこがれの「Vルート」でしたから、ロープがなくても歩ける「Vルート」と呼ばれたなれば、自分がレベルアップしたようで気分も良いんじゃないかと思います。 もちろん後から参入した人は、何の疑いもなくこのカテゴリーに突入して、コトバなんか気にしてないと思います。 
    打田さんのは西上州限定ですが、松浦さんのは関東甲信越と広く3冊もあるので、利用する人の数が違い、影響力大です。

    「コトバ」は生きているのでむずかしいですね。 「アルパイン・ルート」も別途書きます。

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    1. Yosemiteさん、まいどです☆
      そうですね、小暮理太郎の時代の鶏冠、ヨセミテさんの時代の鶏冠、今の事態の鶏冠、それぞれ意味が意味が変わったように、穂高も槍も剣も、事情は大なり小なり、似ていそうですね・・・。人は時代の意味に、左右された登山をせざるを得ないので、私は鶏冠はパスしたい山です(^^;)

      日本版、『生と死の分岐点』本当に誰かが作るべきだと思います。昨今は個人情報保護法が、事故究明をしない体の良い言い訳に利用されているのかもしれませんね。事故統計はみますが、原因の究明はとんと見かけません。御坂の先輩だった、墜落して止めてもらえず、落とされて、事故で入院したりしています。 以後関係が悪くなりお終いだそうです。

      Freedon... そのような視点で見たことがなかったので今度チェックしてみますね。でも登山史はほとんど触れていない本です。技術ばっかりです。私がこの本を買った動機は、あまりに色々な人が色々な技術をこれが正しいと主張するので、本家を自分で見た方が早いと思ったためです。

      私は後から参入した人なので何の疑いもなく、言葉になじみました。言葉は相手に伝えるためのものなので、例えば八頭山地図読み、と言えば中高年寄りですが、八頭山ハイグレードハイキング、と言うほうが若い人に分かりやすく、アピールするでしょう。ちょっとロープを出したりもやろうと思えば出来るので。同じように兜山の地図読みでウロウロするのも、ただ”兜山に行ってきました”というより、兜山バリエーションハイキング、という方が実態をより良く相手に伝えます。昨日はホントにハイキングでしたが、一般ルートは利用しただけで、好きに山を歩いています。

      自分の山を人に広める、というニーズは、基本的にはパートナー期待なのだと思いますが、ガイドブックを出すことで、有名になるのと、そのルートが荒れてしまう、秘境でも、静かな山でも無くなってしまうというのは、天秤ですね・・・私なら、静かなまま取っておく方がいいかな。

      今の時代の人は、パック旅行型を求めているので、こうしたブログで多少の公開をしても、行ける人は限られていて大丈夫かなぁ・・・悩ましいです。最近ヤマレコには山行報告は上げていません。

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  9. yosemiteです。 

    僭越ながら、Kinnyさんにお奨めしたい本 ;

    『世界山岳百科事典』 1971年、山と渓谷社、1019頁
    登山に関する用語をまとめた大辞典です。 巻末にある日本・欧州・ヒマラヤ・アンデス・アラスカの登山史年表、近代日本山岳書一覧、海外主要山岳書一覧、なども良い。
    上梓されてすでに43年で、当然新しい技術や用語は登場しませんし、細かな問題はあると思いますが、その後これを上回るものはないです。 分野毎の新しい辞書はありますが。

    一度図書館で見て下さい。  

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