Wednesday, May 29, 2019

他の人の山がちっぽけでバカバカしく見えるとき

■ 人を馬鹿にする心理 Bad版

山岳会の新人さんを馬鹿にする、という心理的な習慣は、日本の山の世界に、とても根強いですが、それは、先輩後輩システム、によります。

後輩=目下の人間=馬鹿にして良い 

前回のブログでの、ガイドさんが「みんなにはアップにならないかも」というのは、

 みんなにはアップにならない ⇒ 下手くそねぇ
 自分にはアップになる ⇒ 自分の実力自慢

と言うことでした。この心理は、

5年目の社員が新入1年目の社員のポカを蔑む、と同様

https://road-to-raoh.com/20160106/ より引用)
で、人間としてどうかな?と思うレベルのものです…。

誰にでも初めての時があるから、です。

私も、初めてのころは、5年前は、5.7でもひいひい言っていました… 今では同じ水準のヒイヒイが、5.10bです。(今でも5.7でもヒイヒイ言っていますけど、ストレス具合は全く違います)

つまり、クライミングという活動は、一生、ひいひいが続く…ということが予想されるわけですね(笑)。

なので、一番、頑張っているのは、もしかして、新人さんかもしれないですね?

■ Good版の ”馬鹿に見える”

これは、こちらのサイトの考察者さんによると、自分のステージが上がったためにそう見えるものです。

・中高年登山者が「丘しか登らないから」と言ってヘッドライトも持たず、地図も持たないのを見て、バカに見える

・高川山に登っている人が「甲斐駒なんて無理」と言っているのを見て馬鹿に見える

・里山しか登らないから地図はイラナイと言っている人が馬鹿に見える

・5.7しか登らないからクラックはしなくていいと言っている人が馬鹿に見える

などなど…ステージを上がると、誤解に基づいた根拠のない思い込みについては、ゲンナリすることが多くなると思います。

■ 気を付けたいこと

山の世界は、現代は後退して、その県でトップクラスの山岳会でも、初級アルパインに行くのがやっとこさ、指導者もいない、というレベルに陥っていることが多いです。

したがって、きちんとした山ヤの若者は、個人的に師匠につくということになります。山岳会に入っていたとしても、会横断的に、自分の気に入った師匠と登るというのが、通例となっています。

選ぶのは、弟子の側で師匠の側ではないようです。

山がステップアップしていくと、陥りがちな精神的陥穽は、

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自分は違うんだ。世の人とは異なることを知ってるんだという気になる。それまで自分がいた場所をすら、言わば全否定し、可哀想な目で見るようになる。

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です。これは特に、コンペ参加者ではないアイスクライミングの人に強くみられるような気がしました。アイスアックスは非常に高価だからですね。

■ 差はほんの少し

さて、私が言いたいのは、このような幼稚な思想が、山の世界では、蔓延しているということです。

AがBを登れないやつ、と馬鹿にし、BがCを登れないやつと馬鹿にし…という連鎖現象が起きています。

これは、価値観を変えても同じで、初登ということが価値と考える人は、5.15が登れたとしても、しょせん初登じゃないでしょ、となる…

しかし、そうした競争の世界観で山を見ている限り、すでに山には、残された栄誉の余地はないと思います。

■ 大衆化とはインクルーシブと言うことです

海外では、多くの人…一般にクライミング弱者?である子供や女性を含む…が、すでに外岩で、クライミングを楽しむ世界が出現していました。

私はラオスと台湾の事情しか知りませんが、女性や子供が外岩に参入していることは、男性の側から見て、「ちっ」と舌打ちをするような、”由々しき事態”とは考えられておらず、ごく普通に、ボーリングを楽しむような形で、あるいは、ダイビングを楽しむような形で、クライミングを楽しむ姿が出現しています。

アルパインにおいては過渡期であるのではないかと思いますが、それでも日本におけるアルパインの姿…大げさすぎる…とは、少し違った捉え方をされているのではないか?と言うことです。

例えば、レーニア山には、昨日会っただけのスコットから一緒に登ろうと誘われました。

日本では、山の仲間として認められるだけのことに数年はかかります。

もちろん、山には山の知識が必要ですので、それが不要の、ただただ楽しいだけのレジャーが広がっているのではなく、知識と技術習得が必要だという認識のもとに、きちんとステップアップできる仕組みが確立されているのではないかと言うことです。

現代の、日本の山の世界に欠いているのは、このステップアップをどうやったら安全に行えるか?という具体的な指南であるように思われます。

そこが、すでに山を分かっている人からは、得られない。自分の時もなかったのだから、自分たちで勝手に成長してくださいとなっています。

■ 古い雑誌を活用しましょう

私は雪の山で、運よく古い岳人を得たのが、大きなラッキーでした。一冊の雑誌との出会いが、私の山を本格的なものにしたのです。

皆さんもぜひ、古い雑誌にこそ情報が出ていますから、のぞいてみてください。

そして、くれぐれもそうした情報がないだけの差で、一般登山者レベルから、脱出できない登山者を馬鹿にしないようにしてください。

岳人 2004年2月号

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