大阪でガイド試験を受けてきた。実は、ガイド試験の前日も夜に難波観光に出てしまい、豚足などを味わっていたため、非常にコンディションの悪い中、受験。
知人の勧めにより、ガイド試験は、一番下の職能の登山ガイドステージⅠではなく、登山ガイドステージⅡを受けた。
私はすでに積雪期の経験が豊富だからである。
■ 解説
登山におけるガイドは、海外ではステータスが高く高度な仕事と認知されているが、日本では、交通公社等の団体旅行の添乗員程度の認識しか、一般大衆は持っていない。
が、山岳におけるガイドがカバーする責任範囲は広く、いきおい資格は厳しくならざるを得ない。それは、責任範囲が広いからである。
どういうことか?というと、私は私自身が個人で、単独行で、つまり、全部自分の責任で行くとしたら、と言う意味だが、厳冬期の甲斐駒、厳冬期の阿弥陀北稜(初級バリエーション)まで単独行で済ませている。私と夫は、登山の初年度から、雪の山に行っている。
それらは、自己責任において可能になる山である。それらに連れて行くことは、登山ガイドステージⅡでは不可能。
ガイド資格は、
自然ガイド
登山ガイド
山岳ガイド
国際山岳ガイド
とランクがあるが、この職能の違いは、一般的には全く理解されていない。自然ガイドはもとより、登山ガイドも森林限界を超える山をガイドすることができない。
山岳ガイドの資格取得は非常に敷居が高く、国際山岳ガイドとなると一握りしかいない。
例えば、私は山岳会にいれば、先輩として、簡単な登攀が含まれる三つ峠などに自分の後輩を指導して連れて行くことができるスキルを既に持っているが、登山ガイドという職能では、後輩君を連れて蹴る場所に有料で誰かを連れて行くことはできない。
連れて行けるのは、ただの歩きであり、歩きと言う言葉が山ヤ用語であるのであれば、一般用語ではハイキング。
標高1700mの里山のハイキングに一体だれが、ガイドが必要だろうか?答えは、誰もいない…のである。能力と言う面で見ると。歩行能力だけしか必要でないのだから。
本来、山、登山という活動が、山との対峙、であることを考えると、登山者はこのような程度の山には、ガイドレスで行くべきであり、ガイドをつけるニーズなどどこにもない。
今回、私が受験した登山ガイドのステージ2にしても、その資格で連れて行ける山は、ハイキングの山でしかないため、最初から、雪山を歩いている私は、だるい以外何物でもない資格試験であり、この感覚は私だけのものではない。
ほとんどの受験者が、こんな資格があったところで…と思っている程度のものなのだ。実のところ。
その思いを裏付けさえしているのは、平たく言えばだれでも取れる資格の体制…。高度な職業教育は必要とされていない。というか、提供されていないのだから、そんなものを要求したら、日本にガイドはゼロになってしまう。だからと言って、経験値を測定できるものもないわけで、知識だけを問わざるを得ず、山ではあまり意味をなさない。
知識の中身についても、こう言ってははばかられるかもしれないが、昨今のガイド(添乗員?)不足?を反映してか、大学受験などとは比較にならない。例えるなら、小学校の試験のようですらあった。
■ 山岳会の勉強会に使うべし
ただ、私が思うには、今の山岳会は、入会者全員に登山ガイドレベルの知識の習得を独学でやるように依頼すべきである。
登山者として知っておかなくてならない最低限の知識が、登山ガイド試験の教科書には、コンパクトに網羅されている。これ以上コンパクトにならないのではないか?というくらいにコンパクトに。
このあたりの知識がないことが、昨今の山岳会のレベル低下を招いている原因であり、そのレベル低下が山岳遭難の引き金である。
さらにいえば、そうした、登山者のレベル低下への対策は、ガイドを増やす、ではなく、登山者本人たちの知識レベルの向上、であるべきだろう。
山岳会において、指導者層の高齢化から、指導が得られない、という悩みがあるにしても、登山ガイドの教科書を取り寄せて、全員で勉強会をすることはできるはずだ。
ヤマレコにでも、これらの教科書の内容を乗せてしまってもいい、というくらい、抜本的に知識の普及活動をすべきだ、と強く感じた登山ガイド試験だった。
PS 一夜漬け予定だったのに、前夜飲んでしまったが、合格しました。まぁ、当然か。
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