Wednesday, September 6, 2017

クライミングアーカイブとつながる 

今年もやるみたいですね~小川山クリーンクライミング。

こちらがチラシ。

http://www.kawakami.ne.jp/ogawayama/top_photo/2017CC/CC2017-01.pdf

先週小川山へ楽しく登ってきたんですが…、死亡事故などの重大事故のニュースが流れていました。

小川山で重症事故多発
http://www.kawakami.ne.jp/ogawayama/top.html

■ リスクの因数分解

例えば、一番簡単なクラック、5.8の”愛情物語”で、考えてみます。

グレードは5.8だから、ジムでは超簡単。けっ!って軽蔑さえされるようなレベルです。(大体ジムを登っている人たちの尊敬は、5.12から上で発生しますので)

私も、クラック全くの初心者の時に、先輩に登らせてもらいましたけど… 初めての一本目でも、「この課題なら何とかリードできるかも?」と感じました。登攀そのものはやさしいと。

ですが、先輩にそれを言うと、「このルート、見た目より死亡事故多いんだよ」とのお達し。

 登攀の簡単さ=リード可能 

ではない。 ちなみに、これは、小川山レイバックも同じです。

■ 想像力

そこのところの因数分解する思考能力が、最近の人には欠落しているんじゃないか?と思うのです。

クライミングもしばらくやっていると、特に落ちてフラれるような人を見ると、何が危険で何が安全か分かるようになります。トラバース、超怖いじゃん!!って。

そういう経験値を積まなくても、想像力、一つの経験から色々と想像する人なら、振られると危険と言うのは、初心者の時からすぐ分かる。ビレイ習得時に分かります。

が危険というのも、教えられなくても、誰だって分かるようなことだし…

プロテクションが外れたらどうなるか?ということも、わざわざ言葉にしなくても分かるような事でしょう…

けれども、死亡事故になってしまう。

ということは、実力を蓄える以前にリードでとりついてしまう。

なぜか?

リードしない奴は、ヘタレ、という空気感でしょうか?

もちろん、それはその通りですが、5.8で死んだら、ものすごくもったいなくないですか?命が。

実力が蓄えられるまでは、後ろからトップロープ張れる課題とか、十分やさしい課題とかでいいじゃないですか。

≪初心者向けリード課題≫
1.ボルト間隔が適切  1ピン目が遠い課題が多い ピンの前に落ちたらグランドです
2.直上 素直な課題
3.プロテクションが確実 ペツルの課題 リングボルトやハーケンではなく
4.脆くない 脆い岩場では叩きながら登る
5.レベル選択が適切  自分のジムグレードの2~3グレードぐらい下

これらを満たす課題が何か?ということは、見れば分かるようになるハズ…

ちなみに私はまだ、プロテクションの設置の確実さには、少々難ありだったので、愛情物語はピンクにしてもらいました。

■ プロテクションが先で登攀が後

落ちないけど…、落ちないから逆にプロテクション技術は磨かれない。磨かれていないプロテクションで落ちてみるわけにもいかない…というジレンマに今いますが、それはそれ、これはこれ。

■ 先輩=アーカイブ

愛情物語が初心者のリードに不向きなのは、結構有名で、普通の先輩だったら、連れて行ってくれた時に教えてくれるはずです。

私は山岳会に今入っていないですし、山岳会だけが山を教わる場とは思わないのですが、(山岳会の先輩でも、こうした知識がなくて教えられない人もいますし…)、しかし、知識を持っている人が集まっている可能性が高いのは山岳会…

どのような手段であったとしても、過去に蓄積された安全情報や事故情報と言うアーカイブに、何らかの方法でつながらなくてはなりません…。そのためのチャネルが先輩なのです。

そういうクライミングの延々と続く流れ…コンテキスト…歴史とか伝統とか言う言葉でもいいかもしれません…に乗って、登っている、ということが今の時代は壊れてしまって、なんとなく、みんなも行っているから行こうぜ、という初心者同士の集まりで行くと、過去の経験値の蓄積=アーカイブから切り離され、思っても見なかった事故となるのかもしれません。

■ ジム?

そういうアーカイブとつなげる役目は、現代では山岳会ではなく、クライミングジムが担うべきなのかもしれません。

なにしろ、クライミングに入門する人の人口は、圧倒的に山岳会上りではなく、ジム上がりの人が多くなってしまったわけですから…

ジムで登っているだけだと下地が良く、危険はあらかじめ取り除かれているので、危険音痴になります。

それは、親が敷いたレールに乗って生きて、リスクフリーの生き方しか知らずに生きているのとなんだか似ています。

自分でリスクを取る、そのために頭を使う、考える、そういうところが、クライミングの面白さでもあるので、登攀テクニックだけでなく、

リスクを中心に考える力

も、養っていかないと… ナインアンダーで死んでしまうようでは、何の楽しみも知る前に死んでしまうと言うようなことですから、本当にもったいない!

登攀スキルをあげるだけならジムでいいですが、外岩に行くための予行練習がジムですから、そのことを意識して練習するのとしないのでは、だいぶ中身が違うと思います。

カシオペア軌道 フラれるけど上部は簡単、下部スラブが核心

No comments:

Post a Comment