大日岳の雪庇崩壊の遭難を知っていた人は多くの人が教訓が生かされなかった、と感じたと思う。
繰り返された登山講習事故
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/266976.html?utm_int=detail_contents_news-link_001
日本は山国であるのに登山者教育が遅れている。今回の那須岳登山を指導された指導者が雪崩の知識を知っていたのか?知らなかったとしか思えない。少しでもかじれば、初心者でもリスクを分かるからだ。
①生徒に登山を教える指導者が登山におけるリスク管理を知らない。
②指導者が必要性をそもそも知らされていない。(要するに登山なんて簡単だと思っている)
③登山学・雪崩学等、登山のリスクは、学校教育内で触れられていない。
■ 考察
大日岳の教訓が生かされなくて残念だ。
登山知識(雪崩学を含む)の普及を考える場合、取れる戦略を数えあげてみました。
1)義務教育で教える(課外授業)
2)山小屋等 直接教える
3)山道具屋などが登山教室を開催する モンベル、好日など
4)山岳会 教える機関としては衰退か逆効果中
5)その他 労山個人パートナー、ヤマレコなど
6)NPO等 自然学校
7)個人
8)教えない 普及しない → 現状この路線
他にあるでしょうか?以下それぞれ。
1)義務教育での登山教室
実現可能性: 低い
効率:悪い(実現したら効率良い)
問題点: 動かすのに圧力が必要 圧力団体(日本山岳会等)に力がない
2)山小屋で直接
実現可能性: 高い
効率: 悪い
問題点: 小屋の負担が大きい
燕山荘では、雪山入門の話を登山者に夜してくれます。これは非常に良かったです。
例えば、燕山荘までは稜線で風に吹かれるのは50m程度ですが、それで凍傷で死んだ話など。汗をかかないで登るため、通常3時間程度の尾根を7時間かけて上がるなど、雪山では汗をかかないことが大事だという話などをしていました。
ただ昨今の山小屋のおやじは、ご本人が山を知らない方も多いですが…
毎週土曜の夜に登山教室を開催すれば、夏山ワンシーズンでかなりの量の人に登山知識を授与することができると思います。
現在、山小屋は登山教育の普及拠点(教育機関)と言うよりは、その逆の働き(食事の豪華化、居酒屋化による商業施設化)のゆきすぎで、安全登山にとって見ると、逆にマイナスの推進機関となっている場合がある。
例: 弾丸登山の富士山登山客
良き例: キャパオーバーは受け入れない完全予約制の小屋
この分野は、各山小屋オーナーのビジョンによる。
3)山道具屋でのレクチャー
実現可能性: 高い
効率: 悪い
問題点: 経済性を至上価値とすること
好日、モンベルなどでやっているもの。問題点は、否定的な情報(ガイドレシオの問題等)を淫靡する点。商業的には、大勢=善、となっていますが、登山では大勢=悪、なので。利益誘導に偏らないことが難しい。
4)山岳会
実現可能性: 低い
効率: 悪い
問題点: 陳腐化
かつては最高の効率で登山を普及させたが負のスパイラル中。組織登山者のほうがアルパインでは事故率が高い。多くの会が、高齢初心者もしくは高齢過信者のハイリスクグループの集まり、となっている。
全国に広がる無数の山岳会…かつては登山学校としての機能が働いていましたが、岩崎元朗師匠によると、その機能は期待できないそうです。
第一人者の岩崎さんが言うならそうなのでしょう。
5)その他
実現可能性: 高い
効率: 比較的良い
問題点: 安全意識・ビジョンの欠如
ヤマレコのブームは記憶に新しい。雑踏がネットにあるのと同じである。登山知識の普及を理想に掲げることが難しい。
6)NPO等 自然学校・登山学校
実現可能性: 高い
効率: 悪い
問題点: 経済的に成り立ちづらい
昨今ではガイドが主催したりしていることも多いが…そのガイドが遭難を起こしていたりもする。
7)個人
実現可能性: 低い
効率: 悪い
問題点: 知識を体系化しづらい
これは山の知識を個人の関係で学ぶと言うもの。師弟関係。完全に個人とのつながりの為、個人の資質による。
過去にも、山岳会などであったとしても、個人間の技術の伝承…積極的に教えるということではなく、教わる側が盗むと言うことだが…。今では盗む能力がある人材が減り、教えてくれる人材がいても、見るだけで所作から盗むということが後進は能力不足でできない。
これは登山界の歴史的経緯が エリート→大衆化 と一致する。
現在も歴史的経緯から、登山知識・技術は属人的で個人の創意工夫に因るところが大きい。
例:雪庇を避けるときは、他の人より1m大きく避けるなど
が、一方である一定のレベルに達した者には、共通の原理原則思考がある。それが共有されていない。個人の努力に任せられている。
原理原則化、好意的な言葉ではないがマニュアル化が遅れた分野とも言える。
9)教えない
実現可能性: 高い
効率: 最悪
問題点: 入山前遭難、講習会遭難
現状。登山者の遭難数は毎年過去最高を更新中。一方で山岳救助メンバーは減る一方。
■ 現状のまま進むと、どうなるか?
このまま10年経過すると、現在、主力の65歳以上は、75歳以上となる。したがって体力に適した山は低山化が進む。低山の雑踏化が進行する。低山の方が道迷いリスクが高いため、低山の道標整備などが遭難を未然に防ぐ観点からは、重要化する。
現在、高度な山(アルパインクライミング)をする人材はかなり少数だが、指導者不足の為、個人で精進する形となり事故は減らず、ただでさえ少ない人材が山で死ぬことは防ぎようがないかもしれない。さらに少数化が進む。
今後、高度な山への入門者の入り口は、ハイキングや登山ではなく、クライミング(ボルダリングジム)となるだろう。
そのため、さらに入山前遭難というような、計画段階での山という自然に対する無防備による遭難は増えることになりそうだ。
ただし、この年齢層での遭難者は若いので、致命的遭難(死亡など)につながることは少ないと思われる。夏山のマルチピッチへ出かけて、寒くて懲りる、程度だと思われる。
大学山岳部等、組織された若者への指導は現在、遭難の温床化していることがまま見られる。(例:学習院大学等)これは指導者の不在による。適切な指導者を適切な山岳部へ派遣する仕組みが望まれる(現状はOB制 OBに適任者がいない場合もある)が、指導者がいたとしても活用されていない現状もある。
今後はインターネット等を介した同好の士同志のネットワークが強化されるだろう。
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