Monday, May 14, 2018

これから山をスタートする人へ2

■ これから山をスタートする人へ

急がず、目の前の課題を丁寧にこなしていく(例:山に慣れる、歩き方をマスターする、長い距離を歩けるようになる、ザックを少しづつ重くしていく、テント泊に慣れる…などなど)という方法論で、各自のペースで成長していくことをお勧めします。

最初から、山岳会へ入ったり、ガイド登山を行うことは、お勧めできません。せっかくの、味わい深い山の世界を味わいそこなうと思います。

私の登山&クライミングですが、

1)一般登山 3年 
  ・歩くだけ 
  ・ハイキングの山からスタートして徐々に山を大きくしていく(一番大きな山を済ませる)


2)リーダー講習 1年 
  ・山を困難にしていくには、どのような技術が必要かを知る


3)山岳会   1年半  
  ・実践

4)海外登攀

という流れで、自立への道へ進みました。

登山でたどるべき成長の方法論は、登山史がそのまま提示してくれています。1)山を徐々に大きくしていく、2)すべて済んだら、困難にしていく です。今は登山史の中で、2)の後ろの方にいます。

■ 具体例

歩きは、3時間のハイキングの山からスタート、しました。
登攀は、5.9がオンサイトできるまで2年半、です。

今の人は急ぎすぎなのかもしれません。おそらく、周囲の人が、槍に行った、穂高に行ったと語るので、うらやましくなってしまうのでしょう。

ただ、急いでいなくても、山の世界の全体像を知るまでには、そう時間がかかるものでもないのかもしれません。

もちろん、私自身もまだ全体像が分かっているほど、全体を知っているわけでは、おそらくないでしょう… 

とはいえ、登山を始めた人の多くが、1)の段階で、「もう山は分かった」と終わってしまうのよりも、数歩レベルで先へ行っているのは真実です。

せっかく山をスタートしたのに、山の何も分かった、とは言えない1の段階で終わってしまう人が多いことは残念です。

1)の場合は、一般に、”富士山で初め、北鎌尾根を登って終わり”、だそうです。

それは、周囲に自慢できる、すごい山、を目指すから、です。自己顕示欲の山、ということですね。

残念ながら、北鎌尾根は、3)の地点からみると、まったくすごくありません…。まだ初歩の初歩です。それを分かる状態になるだけでも、視野が、文字通り一段広くなるでしょう。

2)へ進むと、山の楽しい面だけではなく、厳しい面、困難な面が出てきます。そこからが本当の山です。

山という大自然の中では、どのようなスキルや力が必要なのか?について、おおよそ理解できるまで、だいぶかかります。ロープワークやレスキュー、ビレイなどの防御の技術が中心になり、短く見積もって2年程度です。

3)実践のだん階へ進むには、仲間が必要です。その時点で、山岳会を検討するのが良いと思います。しばらく自分で歩いたことがある人でないと、山岳会でも何もしてあげることができません。

■ 山に対する理解

具体的で的を得た、山に対する理解、登山行為に対する理解がないと、登山の成果に対して、間違った評価をしてしまいます。例えば、高い山に登れるほうがすごいですか?違いますね。

そして、間違った評価をしてもそれに気が付かないで終わってしまいます。

現代社会では同様の現象が、別の分野のあちこちに出ているので、仕方がないかもしれません。

が、”登山道を山小屋を数珠つなぎにして歩くだけの山”を登山だ!と思ってしまうような、底の浅い理解のまま、それが登山だ!と信じてしまうのは、もったいないことです。

そのような登山では、登山ごっこ、補助輪付きの登山、ということが分かったにすぎません。


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