Friday, January 15, 2021

各登攀スタイルによる違いのまとめ

項 目        アルパイン
クライミング(注1)
フリー
クライミング
スポーツ
クライミング
ボルダー(外)
墜落の意味 死。墜落は許容されない 落ちながら登る。
墜落は当然視される
日常 頻繁
確保の意味 墜落時、ボディを見失わない グランドフォール
を避ける
ムーブの失敗を許容し、技術向上に資する ムーブの失敗を許容し、技術向上に資する
クライマー側の責任 200%
クライマーが登攀の全責任を負う
100% ビレイヤーの吟味もクライマーの責任。ビレイヤーが悪いと登れない 0%
どこで落ちても確保に失敗するのはビレイヤーのミス
無限大
落ちなければエルキャップを登っても良い
ビレイヤーの責任 0%
落ちなければ確保はスキル不要で形式的になる
100% 良いビレイを提供しないとクライマーは登れなくなる 200% どのような時も落としてはならない。原則、クライマーのミスはありえない 不要
落ちたときのリスク 死もしくは 大怪我。大規模なレスキュー前提 グランドフォールすれば大怪我。しかし、死に至ることを稀。捻挫等は頻繁 よほどのことがない限り、負傷に至ることは稀 上手に落ちること自体がスキル。スキル不足だと捻挫等が頻繁
ヘルメット 着用が当然 着用しない人とする人がいる。ベテランほど着用しない傾向があり、着用しないことが自己PRになる 着用しない 着用はありえない
クイックドローのタイプ アルパイン
ヌンチャクやスリング+カラビナの組み合わせ
(場合によってはスノーバー等)
通常のドッグボーンタイプ。
ドッグボーンが固いスポーツクライミング寄りと柔らかい外岩寄りがある
壁に固定されている 不要
中間支点の在り方 プロテクションとして信頼できることは稀。

クライマー自身が作成
プロテクションとして信頼できることが前提。(日本ではそうなっていないことが多い)
クライマー自身が作成することは、ボルトルートではない(トラッドではある)。
プロテクションとして、当然信頼でき、施設管理者により保証されている 該当せず
ピッチ数 通常、複数回、ロープが出る。途中歩くことも多い。歩きでもロープはつけっぱなしが多い ショート(1回)
マルチピッチもあるが通常はクラッギングと呼ばれる1ピッチのみの登高を目指す
ショート 関係なし
安全マージン 常にオンサイトグレードで登る。ギリギリにはトライしない ギリギリにトライすることが面白みであるので、ギリギリにトライしないのでは意味がない ギリギリにトライすることが面白みであるので、ギリギリにトライしないのでは意味がない ギリギリにトライすることが面白みであるので、ギリギリにトライしないのでは意味がない
終了点 自然物が多い
残置にやむを得ずなる
自然物利用から強固な既成アンカーまでさまざま。残置なし(クリーンクライミング)が基本 強固な既成アンカー以外ありえない
アンカー崩壊はありえない
不要
終了点に必要な強度 クライマーの懸垂下降を支えるに十分な強度
落下係数2は必要ない
懸垂下降だけでなく、ローワーダウンとトップロープに必要な強度 1.7倍 ローワーダウンとトップロープに必要な強度 不要
ビレイポイント セカンドのビレイポイントはパーティの最後の砦 常に地面から。軽いビレイヤーや不安定な大地など必要に応じて後ろにビレイを取る 地面 不要
終了点 非常に強固であれば1点もありうるが推奨はされない 通常2点から取る
脆弱性が高い場合は3点
常に管理下に置かれているので1点もありうる。通常2点。脆弱であることはありえない 不要
終了点に必要な強度 クライマーの懸垂下降を支えるに十分な強度 懸垂下降が出ることは稀。ローワーダウンとトップロープを前提とした終了点強度が望まれる ローワーダウンとトップロープに必要な強度 該当せず
アンカーの数 通常2点だが、強固であれば1点も可能。バックアップを回収つつ下降する 通常2点

強固であれば1点もありうるが通常2点 不要
支点ビレイ セカンドは常に支点ビレイ。 リードを支点ビレイすることは勧められない。ハーネスがない時の緊急用 通常ありえない。やってはいけない危険なビレイとされる。例外はマルチのセカンドのビレイ。 考えられない 該当しない
ギアに対する思想 軽量化のために限られたギアを効率的に活用する能力が求められる 通常ギア不足は、怠慢とされる 通常、ギア不足は初心者の無知以外ありえない。必要なギアは少ない クラッシュパッドは一人一枚持ち寄る
多いほど安全なので多人数が集まると安全性が高まる
スタイル オンサイト重視。
初登は常にオンサイト
困難重視。オンサイトは重視されるがグランドアップのルート以外では、初登者もオンサイトはしていない。RPなど様々な価値観が混在 オンサイトにこだわることは、コンペ以外稀 ビデオトポがあるほどで、ビデオトポを見れば、オンサイトはありえない
ロープ 通常はダブル
例外的にシングル
通常シングル
例外的にツイン
シングルの太径で墜落前提 不要
ロープの軽さ 重視される クライマーの体重との兼ね合いによる 軽さより耐久性が重視される 該当しない
ロープは誰が持ってくるか クライマーとビレイヤーがそれぞれダブルを持ち寄る 自分が登るために持つ 自分が登るために持つ 該当しない
プロテクションは誰が持つか 各自が自分用のプロテクションを用意する 各自が自分用のプロテクションを用意する(人のプロテクションでは登らない) 壁に付属 該当しない
外的要因 山岳気象と隔離性に大きく左右される 山岳ではない気象に左右されるだけで隔離性は高くないことが多い 外気温程度の左右されるのみ 場所によるが多くは平地
アプローチ 数時間、長くは数日 1時間未満の場所が多い 平地で歩くことが問題になる距離はない 場所によるが大抵は1時間以下
岩登り(クラッギングの位置づけ) 本番に対する練習 クラッギング自体も目的とされる。登頂が目的でないクライミング。 コンペなどを主体とするクライマーにとってはご褒美。 人による
両方を楽しむ人もいる
初心者像基本は18歳男子大学生が前提現代の初心者は年齢性別も様々。
子供でスタートすれば有利
高校生でスタートすることが多い。子供でスタートすればするほど有利高校生でスタートすることが多い。子供でスタートすればするほど有利
初心者の取り扱い リードが取れるようになるまで3~5年 初心者はトップロープからスタートし安全なルートを選んでリードへ進む
初心者が登る課題の選び方 2グレード下をリード。

敗退を前提とする。
1本目から落ちれることが原則だが、現実的には3ピン目以上から落ちれないことが多い。課題の見極め力が必要。特定の課題への愛情があることが多い。 自分に合ったグレードを登れば良い 自分に合ったものを登れば良い
結び替え
(通し八の字)
アルパインでは出てこない必修技術出てこない不要
懸垂下降失敗が許されない必修技術大抵はローワーダウンで済ませられる出てこない不要

注1)アルパインクライミングは山岳地帯における山頂を目指すクライミングという意味なので、岩登り以外にも、沢登り、雪稜、アイスなどの様々な形態がある。ここでは一般的な無雪期の岩稜のマルチピッチを想定 スノーバーやボラートなどの確保は比較のため、例外的としている。

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