Monday, March 16, 2020

Old But Gold 単行本化、希望

しばらく、Old But Goldを送ってもらって読んでいるが、素晴らしいクライミングの記事と言うのはこういうことか~と納得中だ。

であるからに、検索していたら同じ意見の人に出会った。

https://seeyou44.exblog.jp/21640311/

この方が言うように、現代のロクスノは、私のような入門者が読んですら、楽しむところは少なく、あまりに稚拙な記事が多く、読みどころが少なくて買う気になれない。

ロクスノ087号で、デイドリームの初登記事が出た…30数年ぶりの初登だ。初々しい中学生のような記事だったが、それは良い。デイドリームの記事はページ数1ページだ。

その後ろに出ているチョークの製品比較記事は? もう大量。

クライミングにおけるチョークの存在感は?せいぜい5%くらいなもので、なんでそんなものにこんなページ数を割いているのか?というのが、まぁ買わない理由、になるということだろう… 

同じことなら、クライミング史におけるデイドリームの位置づけを調べれば、あっという間に一冊分の特集くらい埋まるだろう。

インタビューすべき人はそれこそたくさんいるわけで。吉田さんのMarsにまでさかのぼることができる。

まぁ編集部自体が、クライミングの世界で起きていることの、

事の大小

を判断する能力が無くなっている、ということを示しているとしか思えないんだなぁ。

残念だ。

Friday, March 13, 2020

シークリフクライミングの安全管理

■ 新情報なし

杉野保さんの死から数日…。ネットの情報収集は怠らないようにしているが、あらたな情報というのは出てこない…。

フリーソロ中ではなく、偵察中で、落ちた高さも5m程度だったと聞いているが…

しかし、城ケ崎かぁ…。

■ シークリフ 大波や強風のリスク

こちらは、ベテランクライマーが送ってくれた海岸における予期せぬ高波のリスク映像。




私も、城ケ崎などのシークリフクライミングをやってみて、気が付いたのは、シークリフは当然だが、山やのおなじみのリスク管理とは、ちょっと違う、ということだ。

外洋=すごいうねりが強く、数回に一回ざっぶーんと来る
内海=比較的穏やか

潮の満ち引きも、山にはない要素だ。岩との対話以前に、海との対話があるってわけだ。

まとめると、

・天候 特に強風に注意
・潮の満ち引き 満潮時は渡れなくなる?
・塩害 カムは使ったらすぐ洗う ボルトはケミカル
・紫外線 下からも焼けます 
・下地の悪さ 下地が土でなく岩なので墜落が致命傷
・懸垂によるアプローチ 懸垂下降ができないクライマーは行ってはいけない
・登り返し技術によるお帰り 

逆に携帯電波は、沢登りと違って、比較的入りがいいようです。

■ 城ケ崎はどうなるのでしょう…

今年の年初に週に1回の割合で重大事故が起きてしまった城ケ崎…

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[1件目]12/16 シーサイド
60代男性、「サザンクロス」をトライ中、1本目で振られ落ちして、アキレス腱断裂。防災ヘリにより搬送。
[2件目]1/1 ファミリー
40代男性、「マザークラック」最上部からフォールし、プロテクションが外れてグランド。防災ヘリにより搬送。頭蓋骨骨折ほか、重傷。
[3件目]1/5 シーサイド
40代女性、「気分は最高」で約6mの高さからグランドフォール。右上トラバースからの核心でフォールし、セットしてあった複数のカム、ナッツがすべて外れた。防災ヘリにより搬送。肋骨、骨盤、頭蓋骨骨折の重傷。
その他、ボルトの破断事故なども発生しています。
来週の3連休から二月にかけては、城ヶ崎を訪れるクライマーはますます増える時期になります。城ヶ崎を訪れる予定のクライマーは「城ヶ崎一帯の岩場は公にクライミングが認められたエリアではない(=そのためリボルトもできません)」ことをまず念頭におき、「事故を起こさない(=これ以上重大事故が発生すると、再び登攀禁止の話も出てくるかもしれません)」「少しでも技術や体力に不安のある方は同エリアの利用を見送る(=城ヶ崎は上級者向きのエリアであることも忘れない)」「ヘルメットの着用など考えられうる安全対策を最大限に講じる(=地面はすべて岩で、平坦ではありません!)」などの対策を行なうようにしてください。
よろしくお願いいたします。
NPO法人
日本フリークライミング協会
安全委員会・環境委員会

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杉野さんの事故は、杉野さんに非がありそうな事故には見えませんが…。

岩場がアクセス問題でホットスポット化していただけに、城ケ崎のアクセス問題の行く末が気になります。

世界的、といえる課題を多く持つ城ケ崎…。その価値を地域住民にどう伝えていくことができるのでしょうか?それともできないのでしょうか?

それは誰が誰に託した置き土産なのでしょうか…。


Monday, March 9, 2020

杉野保さんの文章から。その2 ボルトを整備する場合の方針まとめ

■ 方針のまとめ

1.終了点=チェーンタイプ
2.ルーフは要注意

深刻なロープドラッグやリップとの擦れなどを起こす場合、初登者と話し合いの末、終了点の位置を変更する

3.変更がない場合「このルートは最後はたちこんで終了とする」といったように情報を伝える
  
4.プロテクション用  最低10mm以上のステンレス もしくは、ケミカル
5.ロングフォールの危険=OK (※グランドフォールの危険ではない)

6.位置変更
 1.あきらかな設置場所のミス
 2.最初からドローやスリングが、かかっていることが前提
 3.あきらかに「とりあえず」の位置決め
 4.不自然なクリップムーヴ

7.ボルトや終了点は「適度に」カモフラージュする。

以上、まとめ終わり。

■ 終了点

一本120円程度のカットアンカーで済ませようとする誘惑は強い。

そこを耐えられるか?どうか?が、責任あるかっこいいクライマーになれるかどうか?の境目でしょう。

マウンテンジャケットに5万払えて、なぜボルト1本に1000円払えないのか?というような、真相の、心理を深く問う必要がありますね。

自分が岩に登る理由は何なのか???

ということがそこに表現されうるということです。

杉野保さんの文章からポイントまとめ

以下は、杉野さんの ボルト打ち替え人夫顛末記 から、ポイントを抜き出したものです。

■ ポイント

1)上級者の岩場と入門者の岩場は分けるべき

シーサイドや二子、鳳来のように、ある程度フリークライミングのことが分かっている人が行く岩場なら何の問題にもならないようなことが、幕岩ではおこっている。

2)”フリークライミング”であって、”アルパインクライミング”でないことをきちんと教育する。”フリークライミング”であって、”スポーツクライミング”ではないこともきちんと教育する。

対物ビレイ全盛の、リングボルト1本で対物ビレイしていた輩に注意した藤原雅一氏が、「アルパインやったこともない人にそんなこと言われたくないね。」と罵られたというのは有名な話

3)ノーモアスリング活動

生と死の分岐点博覧会状態

4)結び替え習得

終了点のビナは持って行かれてしまうんですね、これが。ひどかったのは幕岩の「蟻さんルート」周辺の終了点

5)ぬんちゃく2本で終了点を作る

やはり気になるのが、終了点リング直がけトップロープ軍団

■ 考察

やっぱり、フリークライミングの文化圏にアルパインクライミングの考えを無理やり押し込んで、価値観の転換に失敗していたというのが、フリーの岩場から、残置ビナが持っていかれて、支点がいい加減で、残置スリングだらけになってしまった原因なのではないでしょうかね…

クリーンクライミング

っていう言葉は、アルパインでは全然聞かないので。アルパインは、エベレストがゴミだらけなのと同じように、どっちかと言うとダーティクライミングです…


追悼:杉野保さんの文章から。 支点構築の方針 まとめ

以下、追悼のため、ポイントを整理します。赤字当方。

■ まとめ
昔のクライマーの方針
1)ルートを整備するということがあまり好きでない
2)初登者のこだわりとか主張とかが感じられる
3)終了点はなくてもいい
4)終了点は登るためには必要ない
影響を受けた岩場
1)ヨセミテ
2)ジョシュア・ツリー

当時の考え方の結果
ルートは、自分の事しか考えず、どうしても最低限の物資で作られている
 《現在の考え方》

現状認識
1)時代は流れている
2)上から開拓されたルートなら、ボルトは新しくて頑丈なのに越したことはない
3)つまりグラウンド・アップで打たれた訳でもないのに、その貧弱なボルトを使い続ける理由はない
4)レッジ・トゥ・レッジのクライミングの発想どころか意味も薄られてしまった
5)終了点のないルートはルートでない
6)講習会で使っているエリア
7)グチャグチャな汚いスリングの終了点が美しくない 
8)ステッククリップOK
9)現代のルート整備は、”整備”ではなく、”岩場美化”であり、”岩場再生”。

影響を受けた岩場
・鳳来
・城山南壁

現在の考え方の結果
カモフラージュされたボルトときれいな終了点

■ 文章から抜き出したあるべき姿

1)シーサイドや二子、鳳来のように、ある程度フリークライミングのことが分かっている人が行く岩場なら何の問題にもならないようなことが、幕岩ではおこっている。

→ 上級者の岩場と入門者の岩場は分けるべき

2)対物ビレイ全盛の、リングボルト1本で対物ビレイしていた輩に注意した藤原雅一氏が、「アルパインやったこともない人にそんなこと言われたくないね。」と罵られたというのは有名な話

→ 九州でも支点ビレイをするクライマーが時代遅れとは気が付いていない。危険だと指摘されても、言うことを聞かない人は昔の山岳会の自慢話をする。

3)

生と死の分岐点博覧会状態

→ ノーモアスリング活動

4)終了点のビナは持って行かれてしまうんですね、これが。ひどかったのは幕岩の「蟻さんルート」周辺の終了点

→ 終了点のビナを持って行かない →残置ビナ文化を辞め、結び替え習得させる

5)やはり気になるのが、終了点リング直がけトップロープ軍団

→ ぬんちゃく2本で終了点を作る

■ 方針のまとめ

1.終了点=チェーンタイプ
2.ルーフは要注意
深刻なロープドラッグやリップとの擦れなどを起こす場合、初登者と話し合いの末、終了点の位置を変更する
3.変更がない場合「このルートは最後はたちこんで終了とする」といったように情報を伝える
  
4.プロテクション用  最低10mm以上のステンレス もしくは、ケミカル
5.ロングフォールの危険=OK (※グランドフォールの危険ではない)

6.位置変更
 1.あきらかな設置場所のミス
 2.最初からドローやスリングが、かかっていることが前提
 3.あきらかに「とりあえず」の位置決め
 4.不自然なクリップムーヴ

7.ボルトや終了点は「適度に」カモフラージュする。

以上、まとめ終わり。



-----引用‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

大体において、私の場合は、前からルートを整備するということがあまり好きでなかった。

なぜかというと、初登され、発表されて、作品としてルートが公になったものには、初登者のこだわりとか主張とかが感じられるまま、ボルトがさびようが、終了点がなかろうがそのままの状態にしておき、そのルートにトライしたいのだけれどもボルトに不安があると感じた人が初めて、初登者に了解を取った上で打ち替えなどすればいいのではないかと思っていた。
 今となっては、理解できない人の方が多いとは思うのだけど、私は終了点はなくてもいいとすら思っていた時代もあった。(ここでいう終了点とはボルトアンカーなどの岩に残置した支点のこと)終了点は登るためには必要ないからだ。 うわっ何いってるんだこいつ、という声が聞こえてきそうなのでもう書くのやめようか、いや、でももう少し書こう。
 私がクライミングの影響を受けたのは、どうしてもヨセミテで、そして実はジョシュア・ツリーなのでもある。ジョシュアにはルート中、登るために必要な本当に最低限の残置物しかなかった。ナチュラルならその岩には何もなかった。終了点もない。岩の頂上には木もない。大体ナチュプロで終了点を作り、フォローしてもらうか、ロワーダウンで回収したりするのだが、ではその終了点はどうするかというとその岩塔の他のやさしいルートを再度登って回収し、そのルートをクライムダウンするのである。とまあ恐ろしく面倒くさいことをしていたわけだが、でもこれが妙に気持ちいいのだ。今登ったこの岩には人が登った痕跡が全く残らない。
 だから、私のルートは、自分の事しか考えず、どうしても最低限の物資で作られている場合が多い。

 そんな私が、幕岩と城ヶ崎の整備をしようなどといいだしたものだから、D助はそれは驚いていたようだ。
 私が整備をする気になったのには訳がある。
 まず第一に時代は流れているということだ。スーパーイムジンの最後のボルトはどうしてもうち変える気になれないが、上から開拓されたルートなら、ボルトは新しくて頑丈なのに越したことはない。つまりグラウンド・アップで打たれた訳でもないのにその貧弱なボルトを使い続ける理由はないということ。それにレッジ・トゥ・レッジのクライミングの発想どころか意味も薄られてしまった今、終了点のないルートはルートでないといっても過言ではなくなってしまった。
 二つ目として、鳳来での美化活動に少しだけだが関わって、ルート整備(美化)の意味と必要性をあのような方向からも再認識し、カモフラージュされたボルトときれいな終了点を見て妙にスッキリした気分になったこと。そしてやはりJFAの他メンバーによってほとんどケミカルに打ち変えられた城山南壁を見て、それまで感じていたボルトの違和感を感じなくなったこともある。岩場再生という言葉がぴったりだった。
 第三に、自分が講習会で使っているエリアでもあるわけだし、私のような職業の人はすすんでやらなければいけないことだと今更ながら思ったこと。講習会をしながらいつも思っていたこのグチャグチャな汚いスリングの終了点早く何とかしなきゃの思いは、今は岩場のノーモア・スリング運動につながっている。
 そして最後に自分も変わった。スティッククリップも投げ縄ならOK。こうやって人は時代に流されていくものなのですね。
 ジョンバーカーは今でもジョシュアの終了点を抜いて歩いているのだろうか。(わけないか)
 さ、というわけで何日かD助と幕岩、城ヶ崎の整備をおこなってきた。しかしこれはまだ始まったばかり。城ヶ崎などほとんど手つかずのままであるが、気になったことをいくつか書いてみたい。
 シーサイドや二子、鳳来のように、ある程度フリークライミングのことが分かっている人が行く岩場なら何の問題にもならないようなことが、幕岩ではおこっている。
 対物ビレイ全盛の、リングボルト1本で対物ビレイしていた輩に注意した藤原雅一氏が、「アルパインやったこともない人にそんなこと言われたくないね。」と罵られたというのは有名な話だが、そんな時にくらべればここやJ山での、生と死の分岐点博覧会状態は激減したものの、それでもやっぱり終了点のビナは持って行かれてしまうんですね、これが。ひどかったのは幕岩の「蟻さんルート」周辺の終了点だ。
 整備1日目に終了点をチェーンタイプに交換し、カラビナ2枚をとりあえず残置。その3日後再び訪れるとその間は平日だったにもかかわらずきれいさっぱりカラビナはなくなっていた。まあ予想はしていたけどこんなに早く無くなるとはなと思いつつ、今度は終了点の一部であることを強調すべく結束バンドできちきちに固定し、ヤマタケ作製の注意点を記したカード(写真)をチェーンにつけた。今度は大丈夫だろうと新しいロックビナを残置。しかし、その一週間後そのロックビナもあっと言う間になくなってしまったいたのである。このときのD助の落ち込みようといったら無かった。私もこの日は整備する気が失せた。結束バンドから強引に抜き取ったあとを見ると間違って回収したとかは考えられない。あきらかに取ろうとして盗っている。だったらいっそのことFIXEのチェーンごと持っていけばいいのにと思うがそこまではやらないようだ。(やらないか普通)
 このビナや、終了点はみなさんの会費で買ったものだ。それが、当然会員ではないであろう誰かによって持ち去られるというのはまったくもってやるせない気持ちになる。
 それから、やはり気になるのが、終了点リング直がけトップロープ軍団だ。これは、カードを付けなかったJ山ではかなりの人がやっていた。まあ、そうすればいつでも回収できるし気持ちはわかるけど、リングは減るし、他ルートと共有の場合とかロワーダウンできないわけだからやめましょうね。でも、これ読んでる人はすでにそんなこと百も承知なんだよね、読んで欲しい人ほど読まないんだよな、FFみたいなこういう雑誌って・・。
 終了点のセットは難しいことは何もない。それぞれのハンガーにヌンチャクを1本ずつかけてロープを通すだけでいいのだ。よくわからないのが支点を自分で作っておきながらも、リングにも通しちゃってる人。リングや残置ビナは最後に回収するとき以外は空けておいて下さい。
 さあ、というわけでルート整備もまだ始まったばかり。最近整備したルートは別紙の通りだが、まだまだほんの一部。これから城ヶ崎や小川山、そして鳳来と手をひろげていかなければならない。この辺で支点整備の方針をあきらかにしておく必要があるだろう。

ただし、これは私が勝手に考えたもので、JFAの総意ではないので念のため。

1.終了点について
 スリングなど貧弱なものの場合はチェーンタイプにうち変える。
問題は場所だが、基本的にオリジナルの位置を尊重する。
 しかし、ルーフなどでイグジットムーヴがあきらかにそのルートの一要素であり、
そのために終了点を高くしたことによって、深刻なロープドラッグやリップとの擦れなどを起こす場合(以前の「鳳来/クライミングショウ」など)は、初登者と話し合いの末、終了点の位置を変更する。

 そのために、そのルートのオリジナリティが失われてしまう場合は、新規トポや、各メディアなどを通じて「このルートは最後はたちこんで終了とする」といったように情報を伝えることで対処していく。
  
2.プロテクション用のボルトについて
・アンカー
 10mm以上のステンレスで、錆や変形の発生がなく確実に打たれているものならそのまま使用することも考えられるが、それ以外は打ち替え。ハンガーは変形や腐食したものはもちろんだが、形状自体が危険なもの(不必要に大きい、バリがあるなど)も交換したい。
 しかし、比較的やわらかい岩質や、城ヶ崎など腐食の激しいエリアのものは、ケミカルに打ち直す。
・数
 よっぽど理不尽な理由でランナウトを強要するものでなければ、例えロングフォールの危険があろうとも、初登者の意向を尊重し打ち足しは行わない。
(逆に数が不必要に多い場合は、撤去することはありえる)

・場所 
 やはり、場所は基本的にオリジナルの位置を尊重する。ケミカルの場合はできるかぎりオリジナルのボルトを撤去し、その穴を利用して設置する。

同じ場所に打てない場合は、最低でも20cmは離す必要があるので、多少の位置の変更は
 初登者に了承してもらう。また、ロープの流れや岩質の問題上、オリジナルの位置から大きく離れてしまう場合も同様。

 しかし、オリジナルの位置が次の場合は積極的に位置を変更する。

1.あきらかな設置場所のミス
2.最初からドローやスリングが、かかっていることが前提になっている位置決め
3.あきらかに「とりあえず」の位置決めで、それが習慣的に使われてきた場合
4.本来のルートとは無関係な、不自然なクリップムーヴを強いられる場合

以上に該当しないのであれば、そのルートの本質と初登者の意向を尊重し、例えロングフォールの可能性があろうとも大幅な場所の変更は行わない。

初登者が、位置の変更を依頼してきた場合はその限りではないが。

・ボルトや終了点のカモフラージュ

 全ての人工的支点は、一般観光客やハイカーに目立たないよう、
岩と同色にペイントすることなどにより、「適度に」カモフラージュする。

(「適度に」というのは、目の前にあってもわからない位見事にカモフラージュ
されるのも、それはそれで問題だから)


ーーーーーーーーーー以上引用終わり



■ 考察

印象に残っているのは、やはり、レッジToレッジを基本としなくなったクライミングスタイルのことです。終了点でローワーダウンすることが前提だと、ルーフでロープドラッグが起こってしまい、下からビレイするスタイルだとロープがこすれて危険です。その場合、リードフォローで上で確保したほうが安全です。

去年はしばらくアルパインのオールドクライマーと登っていましたが、オールドクライマーはルート整備をしてくれたとしても、登り方のスタイルが現代のクライマーのスタイルでは、登らないので、ルーフの後に終了点を作ると、ロープがこすれてアブナイ、という発想自体が持てないのだと思います。



Friday, March 6, 2020

杉野保さんの死

■ 杉野保さんの死

今日は衝撃のニュースで幕開け。杉野保さんの事故死のニュースだ。ご冥福をお祈り申し上げる。

ーーーーーーーーーーーーー

ロッククライミング中、転落死亡 命綱つけず 静岡・伊東

2020.3.5 22:26社会事故・火災

 5日午後3時20分ごろ、静岡県伊東市八幡野の海岸で、ロッククライミングをしていた神奈川県横須賀市のロッククライミングインストラクター、杉野保さん(55)が約5メートル下の岩場に転落した。杉野さんは約3時間後に崖の上まで引き上げられたが、その場で死亡が確認された。

 下田海上保安部によると、杉野さんは正午ごろから、同行の女性とロッククライミングをしていた。事故当時は杉野さんが単独で、命綱を着用せずに登っていた。女性が110番通報した。


 当時伊東市には強風注意報が出ており、風にあおられた可能性もあるとみて、同保安部が状況を調べている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーhttps://www.sankei.com/affairs/news/200305/afr2003050040-n1.html 
より引用

なぜ、杉野さんの死がそんなに衝撃か?と言うと、杉野さんこそは、ほとんど反論する人のいないクライマーの手本中の手本だったからだ。バランスのとれた考え方のクライマーと言うことだ。(関連記事:山のほんとにすごい人

クライマーというのは、基本、ボルダラー、フリー、クラッカー、オールドクライマー、ニュークライマー、などなど、自分のスタイルがすべてだと反目しあっている人たちの集まりである。

事例:
ーーーーーーーー
対物ビレイ全盛の、リングボルト1本で対物ビレイしていた輩に注意した藤原雅一氏が、「アルパインやったこともない人にそんなこと言われたくないね。」と罵られたというのは有名な話だが
ーーーーーーーーーーー引用終わり

こういう登りはクライミングの本質じゃない!という主張が強いうえ、その主張がすべてだと思っている。

それが嫌で、逆に、どんなスタイルも尊重するという人は、ただの節操のない思想に陥っている。例えば、宴会主体の100名山行脚でスタンプラリー登山で山を汚し続けている人などを批判すると、人の価値観を犯すな、と言われたりする。”それが俺の価値観”と言えば、山にゴミを持ち込もうが、一升瓶かついで飲んだくれ、仲間を凍傷に陥れようがOKのご時世なのだ。他人に怪我をさせたらダメ、という不文律すら、”価値観”の一言で犯して良いのだ。

ところが、杉野さんは、どの年代のどのようなクライマーにも好かれる一種の理想像を体現していたクライマーだった。

古くから活躍しているから、オールドクライマーが、なぜ自分さえ登れたらいいという支点構築になってしまうかという事情も、現代は時代が変わり、ラッペルでの支点まで、同じ思想でくくる必要はないのでは?と言う点、クライミングガイドをしながらも、きちんと講習生にはスキルを与えていると思われる点(私は受けたことがない)、様々な点で、この人なら正統な、オーソドックスな山や、と思われた…

杉野さんの文章
http://cliff.world.coocan.jp/story/bolt.htm?fbclid=IwAR3hQX6GJXvv6-3dOxOo1svum9bcsP3ctR_nE3-WbD0bdATnbOp3yz17B-M

安全管理にもスキがなく、登れて、開拓もできる、スマートな頼れるクライマーと言う印象…

の人がまさかの、フリーソロ中?の事故死。(偵察中だったようです)

■ 簡単なところでロープをつける

事故と言うのは、本当に、難しいところではなく、こんなとこ、簡単、という箇所で起こるものです…

事例:5.8の愛情物語で死亡事故 https://www.big.or.jp/~arimochi/info.99.10.18.achp1.html?fbclid=IwAR0xG0TeVl7s6WtZ2X4qTV9df8tj1xhbMRYvKFoxtLOW6-8RNHtr-xJjLBk

ロープは何のためにあるのか?

5.6で易しいところだからイラナイのではなく、つまり落ちないからイラナイのではなく、単純に高いところだから、要るんです…。

杉野さんは、なんと5mの転落でお亡くなりになったようです。5m…これでは、ロープをつけない、ヘルメットをかぶらない、それでも、誰も危険とはおもわないでしょうね。

城ケ崎の行く末が気になります。



■ リンク集

https://micki-pedia.com/sugino-tamotsu.html

http://yukiyama.co.jp/mountain/2020/03/sugino-tamotsu-accident.php

http://climber319.blog89.fc2.com/blog-entry-3209.html

https://ishidatozanjukunisshi.blogspot.com/2020/03/blog-post_7.html

Wednesday, March 4, 2020

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