この方、スニーカーで富士山、なんですよね。
一般に雪を目指している”本格的という形容詞がつく”登山をしている登山者にとって、この時期って行くところがないです。
雪を楽しむことを目指すなら、北アの西穂山荘とかくらいまで行かないと、10月後半では、雪の量が少なすぎて、アイゼンも効かないし、ただのベルグラだと滑るだけ。滑ってもOKな樹林帯とかなら、まぁ、それでも行ってしまいますが…。富士山ちがいますよね?あきらかにただの氷の滑り台。少し想像力があると分かることです。
11月の八つ、阿弥陀南稜も考えたことがありましたが、まだ地面が確実にコンクリートされていないと思い、やっぱり行くなら、もう少し雪がついてからだな、とか考えます。
11月の八つ、阿弥陀南稜も考えたことがありましたが、まだ地面が確実にコンクリートされていないと思い、やっぱり行くなら、もう少し雪がついてからだな、とか考えます。
無雪期と積雪期の端境期って、道具(アイゼンなど)があっても肝心の氷や雪が少ないので滑るし、きちんとは地面が凍っていないので、石ころも地面から外れるんですよね。ようするに、ただただ滑りやすく、得るところが少ない。
ので、こんな時に富士山に行くこと自体がド素人さんです。
■ 山を選ぶ能力がないのが一般登山者
ので、こんな時に富士山に行くこと自体がド素人さんです。
■ 山を選ぶ能力がないのが一般登山者
でも日本の山は、”登山は自己責任”を旨としているので、山を閉鎖しないのです。
北アに挑んで遭難した韓国の登山者が、それはゲートが開いていたためだと、日本の国立公園を訴えた事例があるそうです。韓国では国立公園は管理されているのでしょう。
いわゆる”本格的がつく”登山をしている人たちは、国の権力が山を封鎖し、自分たちの山ができなくなることを恐れていると思います。それもそうですよね。
ところが一般登山者が、来てはいけない時期に来てしまいます。一般登山者というのは、この方のように、スニーカーです。スニーカー&ジーパンがデフォルト。山が危険なところだという前提がまだまったくのところ入力されていない状態で、旅行の延長戦で登山をしている人たちです。
こうした登山者からすると、雪が少なく、凍り始めの山が、危険なだけで、何もいいことがない、面白くない山だとは、わからないです。
無雪期=簡単、積雪期=難しい なら、降り始めとか解けかけの頃=中くらいに簡単、つまり易しいのでは?とか思ってしまっても、不思議でないのかもです。
この辺の大誤解は、自然と人間が遠くなり、人間が自然のことを知らないので、想像力すら、働かなくなって、50年みたいな状況なのかもです。昔は寒くなったころは、霜柱がはったり、水たまりが凍ったりして、その頃が一番滑りやすいと平地でも実感できたでしょうが、昨今は温暖化で下界は、凍らないので分からないのでは?
端境期が一番登りにくい、なんて情報、ネットにも、山の本の教科書にも、書いていないです。
一般的に山は小さい山から段々と大きくしていくのがセオリーなので、かつての登山者たちは、ずっこけても、大したことにならない低山で、すこしづつ状況に対する想像力をつけていくものだったのでしょうが、現代の登山者は、いきなり富士山、です。
私も、ダイヤモンド富士を見に行ったお正月の竜ヶ岳で、暗い中、ずっこけながら、登り降りして、このことを理解しました。低山で経験したことを高い山に適用する、というのも知性で、想像力がないと、応用できない… 山は応用力が必要です。
私も、ダイヤモンド富士を見に行ったお正月の竜ヶ岳で、暗い中、ずっこけながら、登り降りして、このことを理解しました。低山で経験したことを高い山に適用する、というのも知性で、想像力がないと、応用できない… 山は応用力が必要です。
この応用力も現代人には欠けているようで、戦後の暗記一辺倒の詰め込み教育の成果がでているのでしょう。
ので、現実を見渡してみると、山に入ることが不適だということが明らかである時期…この時期の富士山は、国の権力でゲートを閉鎖しても、やむを得ないかも、です。
ので、現実を見渡してみると、山に入ることが不適だということが明らかである時期…この時期の富士山は、国の権力でゲートを閉鎖しても、やむを得ないかも、です。
素人さんと山ヤさんは別にして考え、差別的だと思う必要はないと思います。むしろ、素人さんに山ヤ並みの知性と知識を求めて自己責任論を主張するほうが無理があります。
何しろ、ちゃんとした山ヤであるはずの人でも、毎年一人か二人、2月とかの冬富士にチャレンジして死んでいます。分かっているハズの人ですらそれなのです。
何しろ、ちゃんとした山ヤであるはずの人でも、毎年一人か二人、2月とかの冬富士にチャレンジして死んでいます。分かっているハズの人ですらそれなのです。
冬の富士山は、突風がほとんど唯一のリスクなので、富士山のおひざ元に住んで、毎日富士山を眺め、今日こそ無風だ!という日を確実に選んで行かないと、登れない山です。「今日休みだし、晴れているから」って山じゃないです。
私は5月の積雪期に富士山に登っていますが、真夏と真冬が混在する山で、雷から逃げるように走っておりました(笑)。
私は5月の積雪期に富士山に登っていますが、真夏と真冬が混在する山で、雷から逃げるように走っておりました(笑)。
登り6時間だったのに、下り2時間30分。あんまり早く降りすぎたので頭、痛くなった。雪山としては傾斜はゆるゆるで、寝ています。丘にしか感じられず、こんなでコケる山やいないと思う斜度です。
でも、いったんこけたら、氷の時は、摩擦係数ゼロです。
だから、アイスクライミングは、60度の斜度しかない4級の登攀でも落ちれない。ロープをつけ、プロテクション取ります。
60度のスラブなんて、ノープロで歩くようなところですよ?地面の質によって傾斜の意味も違うってことです。
そういうことを学んでいくのが楽しい!っていうのが登山をする、っていうことです。
決して獲得標高で山自慢とか、獲得ピーク数で山自慢することではないです。
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