Monday, January 9, 2017

The quiet triumph

■ 静かなる勝利

阿弥陀北稜の単独は、静かなる勝利だった。

12の力をつけて登る8の山だったからだ。登れて当然なので、チャレンジではなく、ほとんど復習山行に近く、さっさと片付けておこうという感じだった。

行くときが来たのも、おのずから分かった。だから、何の恐怖も緊張もなかった。

■ ギリギリとアルピニズム

アルピニズムには、自分の限界を押し上げる、という要素がある。

でも、単独行では、ギリギリはない。仲間と行く場合に許される安全マージンの厚みが1だとすると、単独では、3必要だ。倍ではまだ足りない。

さらに年齢や性別を考慮して、安全マージンを決める。

高齢者には、若者よりも大きな安全マージンが必要だ。

女性には、男性よりも大きな安全マージンが必要だ。

なので、女性の、中高年者の単独行の場合、若い男性の単独行者よりも、大きな安全マージンが必要になる。

イメージ:

 若い男性のグループ山行に必要な安全マージン 1

 若くない男性のグループ参考に必要な安全マージン 2 (年齢係数で2倍)

 若い男性の単独行に必要な安全マージン 3 (単独行係数で3倍)

 若くない男性の単独行に必要な安全マージン 6 (年齢係数 × 単独行係数)

 若い女性のグループ山行に必要な安全マージン 2 (性差係数で2倍)

 若くない女性の、単独行に必要な安全マージン 12 (年齢係数×性差係数×単独行係数)

つまり、山では、女性、高齢者は、弱者グループに入る。

一方、判断力と言う意味では、一般的傾向にすぎず、本人の知能知数の係数が大きいが

  若い人< 若くない人 

  男性 < 女性

であり、実際、もっとも遭難者として多いのは、

 高齢男性の単独行
 若年男性の単独行

であり、遭難者率が少ないのは、40代女性、50代男性である。これは、知的な判断力と体力のもっともバランスしている年齢が、女性に40代、男性に50代にあるためであろう。

20代男性は、判断力の稚拙さにおいて、リスクグループである。

平たく言うと、20代男性は、一般的に、50代男性よりも、判断力の信頼性に欠ける。

私は、40代、中高年の女性登山者なので、安全マージンは最大に必要であり、若い男性は安全マージン1で行ける山に、理論イメージでは、12のマージンを取って行かなくてはならない。

しかし、そうすれば行けるということだ。

誰も彼もが、同じスタイルで山をしなくてはならない、という訳ではない。

■ スタイル

今回、大学山岳部の三人組が赤岳主稜をやっており、赤岳山頂、行者小屋前、南沢の下山、で一緒になった。

彼らは、80リットルくらいありそうなザックを背負っており、意気揚々と歩いていた。靴はみなおそろいのプラブーツ。部活のおさがりだろうか、一番安いからだろうか。

きっと赤岳主稜ということだから、きっと、初心者同士で、ワクワクしながら挑んだ初のバリエーション、などという位置づけだろう。

帰りに南沢で、「どちらまで」と聞かれたので、「阿弥陀北稜」と答えたら、主将と思しき彼の顔が曇った・・・

気持ちは分かる。 自分たちのやった山が小さくなってしまったように感じたのだ。

でも、私は、何キロもある荷を担いでいない。スピード重視で軽量化した。

私には彼らの重装備スタイルでは、主稜も北稜もない。そんな荷を担がなくてはならないのなら、登れなくなってしまう。

練習の山のときは・・・たとえば、南沢のアイスの時など・・・できるだけ重い荷を担ぐようにしているが・・・本番でわざわざ重くするっていうのは、ない。

軽く、早く・・・こういうスタイルしか、今後もおそらくできないだろう。それにあったルートを選んで行かないといけないのだろう。

長さのある、体力勝負のルートではなく・・・

そして、普通の若い男性が、安全マージン1で挑む山に、安全マージン12ができるまで、時間を掛けて、地道に実力を蓄積して、挑んで行かなくてはならないのだろう。

大きな安全マージンが必要になることは、時間がかかるが悪いことではない。

時間なら、たくさんあるのだから(笑)。

12の力をつけて、8の山に登る。静かな、安定した勝利だった。誰のものでもなく、私の完全に個人の勝利だと感じた。

今回最も満足感を覚えたのは、自分の足跡を見たとき



 

 

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