Tuesday, March 22, 2016

山岳会による新人教育が機能しない理由

■ 時代に会った方法を

山岳会による新人教育は、結論から言うと時代に合わずダメだろうと思っている。

理由は、山岳会は、”技術の向上”や”安全”よりも、”会の存続”つまり組織維持を優先するからである。

逆に言えば、組織さえ維持できれば何でもいい、に陥ってしまう・・・。

伝統がある会には、縛りが多く、若い人には人気がない。したがって、新人が入らないため、ごくまれに入った新人に対しては、上げ膳据え膳の高待遇が待っている。特に若い男子は必要以上に大事にされており、大事にされる方向がかなり間違っている。

だらりんビレイでも叱られず、スタンディングアックスビレイでは両手ばなし、それでも、先輩たちは死の危険を冒してリードしてくれ、おごり作戦で新人確保に努める。どつくなんてとんでもない。そんなことをしたら、あと何年自分が役員をしないといけないのだ?

上位団体が押しつけてくる、面倒な役割を次の者=後輩に押し付けない限り、自分がその役目を降りることはできない。

上位団体と言えば、あまりに新人がこないので、どうせこない客を待つレストランで新鮮なメニューが出せないのと同じことに陥っている。

師匠が驚く杜撰な山行計画書は、どうせ遂行されることがないからの慢心の結果かもしれない。

かろうじて維持されているのは、補助金や助成金でタダで山に行けるうまみがあるからか、結局遭難が起きたときに出動は警察署ではできないからかもしれない。

■ 一緒に行く方が危ない

私が退会したのは、会と一緒にいると、自分でルートに行くより余計に危険だからだ。

師匠に諭されて、会内でパートナーを育成したが、全くダメだった。仕方なく、他会の人と本チャンへ行くようになった。

すると、十二ヶ岳の岩場でリード試験を受からないと本チャンに行ってはいけないというルールができた。そこは私が初年度でリード済みの課題。結論を言うと、会は足かせだった。

1)会自体が足かせ
2)会と行くと単独で行くより危険が増える
3)会にいると高齢初心者の無料ガイド役をしなくてはならない=山の世界の後退に力を貸すことになる
4)会山行が宴会で山行日程をつぶされ邪魔になる(役立つ会話もなく、愚痴とセクハラ)
5)例会が不毛。何も決まらないのに出なければならず、時間を取られる
6)会は山行計画書に的確なアドバイスができない 

でした。実は退会して、余分なことをしなくて良くなったため、逆に山行が充実してしまった。

おそらく新人の目からみると、今の山岳会はメリットは少なく、逆にデメリットが多い組織形態になっている。

男性で、なおかつ技術的に自信があれば、会には属さず、自分で仲間を募って山に行ったほうがむしろ安全という結論になるだろう・・・。

すでに中高年&女性と、決して条件の良くない、私でさえそうなのだから、まして、体力に自信が
ある若い男性にとっては、いくらでも個人でパートナーを見出すことができるだろう。

≪関連記事≫
一緒に行った方が危ないこと ヨセミテさんのコメントに注目

■個人の時代

ベテランが言うには、今は個人の時代だ。〇〇会に属しているから安心とか、よく教育されている、とは言えなくなってきた。

技術(師匠)を得ようとする努力は個人的なもの。組織ではなく、やるかやらないかは、一個人の問題だ。

会に入れば、”会の存続”という理由で、その岳人に努力が一切なくても、一応大事にはしてもらえる。が、大事にされるために、新人側が慢心するので、何年いても、技術は身につかない。

これは同じように講習会仲間がぼやいていた。「みなさん、やってくださるんですよ」つまり、自分でリードしたいのにリードさせてもらえないという話。ロープワークも何もかもお客様待遇でやってくださる。ちなみに、この発言者はそんな会はごめんだ、という相談だった。

私が思うには、アルパインの基礎的な知識(スタカット)を1年たっても、独学できていないなら、有料の講習会に出るべきだ。先輩はすでに教えたのであろうし、そのままで万年セカンドでいいはずがない。熱意はなにがしかの方法で自分で示さなくてはならぬ。

現在の山岳会の新人売り手市場では、当然若さの為、体力で優位がある後輩は、会で技術を身に着けると慢心し、先輩のほうが体力が劣るという理由で、先輩をすぐに見切り、パートナーとしては短命だ。となると、教えた先輩には何も得るものがない。

教える側の先輩から見ると教え損に疲れる。私でさえまだアルパインは3年目なのに、片手には収まらない数の人にマルチピッチを教えて、疲れ気味だ。また最初からか~となる。以前3年目で辞めて来た人にアルパインに誘われたが、仕方ないだろう・・・その人は会から教わっていたから不義理だが、私は会からは教わっていない。

■ 教わろうと思ってくる人は依存的な人

山岳会に来る人は、無料で教えてもらえることを期待して入会するので、教えてもらって当然という依存的な人しかそもそも来ない。

その点については、普通のハイキングの会でも、リーダークラスは、最近入ってくる人は、山岳会を無料のガイドと間違っている・・・とぼやいている。

そういう状況下で、何がなんでも山岳会でやるのであれば、「うちの会では教えません。」と言ってから、来てもらわないと、結果的には依存的な人だけが残ってしまうことになる。

例としては、
・3年間、懸垂下降も自分では出来ず、ローワーダウンしてもらって本チャン。
・8年沢リード一回もせず、沢山行。
・8年山岳会に居て、ワカン履いたことがなく取り付け練習もしてこない。
・30年山をやっていて、地形図を持ってこない。
など。

正直に言って、現代は有料の講習のほうが、学びたい意欲がある人材が集まる。

学ぶ意欲があり、金銭と言う犠牲も払う覚悟がある人は、そもそも精神的に自立しているので、会は不要だ。入っていても、在籍しているだけで、活動は自由にやっているようだ。

パートナーも教育も、山行アドバイスも会には期待していないので、例会に出なくて良い、しがらみがない会のほうがいいと言う結論になる。

結局簡単に言うと、古い革袋には新しいワインは合わないのだろう。

とこのような理由で、新人教育をやりたくても、山岳会という組織継続を目的に行うのは、教わる側の依存性を排除できないので、無理である、と考えている。

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Friday, March 11, 2016

トップロープは安全か?

■ トップロープと言えども安心してはならない

FBで、こちらの記事がシェアで回ってきた・・・

安全と思われるシステムに潜む危険

この記事では、

 ”トップロープと思っても安全ではないよ”

という警鈴になっているが、私は

 ”コールは重要”

と違う感じ方をした。 ビレイ解除した理由が、聞き違い だからだ。

■ コールが一定化されていない

昔は、みな山からアルパインに入ったそうなのだが、現代では、フリークライミングから外岩へと進化する人が多いそうだ(よく知らない)。

そのためか、現状、コールが一定化されていない こと。

アルパインから入った人はコール(=クライミングの手順)をきっちり習う。が、フリークライミングから入った人は、習っていないことが多いらしい。

しかも、フリークライミングから入った人のほうが当然なのだが、クライミング力が上なので、リードしてトップロープを掛けてくれることが多い。

その時に正しいコールをしないで、意思疎通が粗雑になると、ビレイされていると勘違いして、ノービレイで、ローワーダウンを開始したりすることが起ってしまうかもしれない。

コールのミスについては、ありうる、と言う認識でなくてはならない。

 知っているだろうという前提 → ×
 知らないだろう → 〇

■ コールはシンプルに

コールは突き詰めると、ON と OFF しかない。

≪基本≫  L:リード F:フォロー

1)L 登ります  ⇔ F どうぞ。     (ビレイしている状態) 
2)L ビレイ解除 ⇔ F 解除しました (ロープアップ中でビレイしてい ない状態) 
3)L 登っていいよ⇔ F 登ります。  (ビレイしている状態)

これの2)で、ビレイの解除作業していると、返事が遅いので、”聞こえていないらしい・・・”と思って、 何度も「ビレイ解除~」と叫ぶクライマーが多いです。

仕方ないので、「了解」とか 余計なことを言うことになりますが、必要がないです。しばらく待てばいいだけです。しばらく待ってから、「ビレイ解除」が聞こえてこなかったら、「ビレイ解除」ともう一度叫ぶことにしましょう。

コールは英語にすると、すごく単純になります。  

1)L Climbing! ⇔ F BeleyON! (Beley ON) 
2)L BeleyOFF  ⇔ F BeleyOFF!(Beley OFF)
3)L BeleyON! ⇔ F Climbing!(Beley ON)

大事なことは、

 ・クライミング中に余計なことを言わないこと 

です。

聞き違いの恐れが生まれてしまいます。

■ 文化の差

話はもとに戻りますが、フリーとアルパインの文化の差をあげておきます。

                 アルパインの人   フリーの人
最初のアンザイレン      する           しない
コールのルール         あり           なし
メインロープのセルフビレイ  当然          しない
2つめのセルフビレイ      する           しない
ぬんちゃくセルフ         簡易的なものと認識  いつもやっている
宙吊り登り返し          知っていて当然     知らない
懸垂下降             知っていて当然     知らない
タイオフ              知っていて当然     知らない
流動分散             知っていて当然     知らない
固定分散             知っていて当然     知らない

確保器のタイプ         ATC-XPガイド     バケツ型、もしくはグリグリなど

と、フリーの人のほうが、”知らない”オンパレードになってしまいましたが・・・、知らないというより、フリークライミングしかしなければ、”必要ない”というほうが大きいかと。

フリークライミングでは、普通はショートピッチで支点もあらかじめ作ってあります。

なので、一つの課題を登って、終了点にロープを掛け、ビレイヤーにローワーダウンしてもらって、降りるだけです。

例えば、ですが、コンペの選手であっても懸垂は知らないことがあります。あるとき、小川山に行ったら、外国人のコンペ選手がいました。

いいスラブを探しているというので、それなら、ダイヤモンドスラブがある屋根岩2峰がいいと教えたら、「でもねぇ・・・懸垂下降ができないんですよ・・・」という返事・・・。

当時は、山の世界に疎く、懸垂下降ができないクライマーが世の中にいるとは思いもよらなかったので、その返事を聞いて、きょとんとしてしまった。

アルパインの人にとっては懸垂下降は最初に習うことなのです。
       
■  どういうことが起りうるか

私の場合は、岩2回目で組んだ人に教えることになった。(当時の記事)・・・が、組んだ人はフリークライミングから入った人だったので、

 ・セルフビレイをしない
 ・セカンドの確保機能付きのビレイ器を持っていない
 ・メインロープでセルフを取らない

ので、最初はビックリ仰天。 

向こうは向こうで、私がその人のビレイをやたらめったら怖がるのにビックリ仰天。

スポーツクライミング(=人工壁)ではバンバン落ちるので、落ちることは日常で、ビレイヤーはトップロープだったら誰でもいいんですが、

 アルパインでは落ちれば死(もしくは九死に一生)を意味する

んですよ・・・

■ 命を預かっているんですよ!

とはいえ、誰かと組まないと登れないのがクライミング。

信頼できるビレイヤーでなければ、クライマーは登れるところも登れない。

安心できないビレイヤーとは、要するに、

  ”クライマーの命を預かっているのだ!”と分かっていないビレイヤー

のことである。

それさえ分かっていれば、きちんとしたビレイをしよう!と心がけてくれるはずだからだ。

■ ビレイをまずはマスターしましょう

ということを私は最初に教わったので、半年間、ビレイだけをテーマに人工壁に通った。

新人さんは自分が登れないことを苦にしがち・・・ でも、実は登れないことは別に問題ではない。

誰だって、5.6でスタートして、5.7、5.8、5.9と徐々にステップアップするのが当然だからだ。

何が問題か?と言うと、きちんとビレイをマスターしないまま、時間だけが経ち、「5年もクライミングしているなら、ビレイくらいちゃんとできるだろう・・・」と思われてしまうことである。

■ 事例: フリークライミング歴5年でも・・・

これは、私が前に見た人だが、「フリークライミング歴5年です」と言うし、腰にヌンチャクを一杯ぶら下げており(クイックドローはリードしない限りイラナイ)、当時クライミング元年の私よりは色々知っているのだろう・・・と想定した。

私がリードで、彼にビレイをしてもらおうとしたのだが・・・引っ張り落とされそうになった。この時は、隣のパーティの人がビレイを交代しましょうかと言って代わってくれた。ビレイについては理解していなかったようだ・・・不思議だなぁ・・・クライミング歴5年なのに。

その後、この方にリードしてもらったら、中間支点にヌンチャクを掛けて引っ張りながら登っていた(汗)。それでは全然、”フリー”クライミングではない・・・。エイドクライミングだ。しかも、それが当然だと思っている様子だった・・・。おかしいなぁ・・・フリークライミング歴5年なのに・・・。

後で聞いたら、5年と言っても、年に一回しかクライミングには行かなかったそうだ。

よく山の遭難でニュースに「遭難した〇〇さんは、登山歴10年のベテランで…」とあるが、よく聞いたら、”1年に一回登山していた”と言うのと似ている・・・登山歴は年数で聞くと、相手の実力を見誤る・・・回数で聞きましょう・・・山歴はマイレッジです(笑)。

■ 自分のケツが自分で拭けるようになる

汚い言い方だが、クライミングを始めた頃、先輩が言った言葉。

つまり、

 自分自身の安全管理は自分で出来るようになるのが大事

ということ。具体的には

1)セルフビレイを取る習慣がある  → 自分で自分を落として死んでしまわない
2)ビレイヤーの自己脱出ができる →  クライマーが墜落した時
3)宙吊り登り返しができる      → 登れない壁も自分でなんとかする。

ということだ。

まずは、それらが出来てから、クライミングに行くようにしましょう。



















Wednesday, March 9, 2016

感謝の心

■ 自分で自分のココロを満たすと感謝の心が湧いてくる

最近、2年前に行きたいと言い出していたルートに行く機会がやっと巡ってきて、ルートが実現した。

それで、心が満たされたためか、感謝の心が湧いてきて、寛大な心で過ごしている(笑)。

とは言っても、行った直後は、”なんか楽チンルートだったなー”とか思ってしまった。

でも、時間が経つにつれ、

 ・自分の登山者としての成長と、
 ・行く機会を与えられたこと

に考えが及び、すごく幸せな想いに包まれた。

■ 機会が巡ってこないことについて

行く機会は、なかなか巡ってこないのがルート。

それはもろもろの諸事情による。たとえば、一緒に行く人のビレイが当てにならない、とか。

一緒に行く人を半ば育てるために、苦労2年。

念のため言っておくと、今回のパートナーに対しては、ほぼ初期投資ゼロ(笑)だから、苦労はしていない。

・・・がこれが実現するまでには、何人通り過ぎたことか・・・

・・・というわけで、機会が与えられた、ということには、しみじみと運命の不思議と感謝を感じる。

■ 機会が与えられる資格

単純な技術的には、2年前でも、行くことが可能だったルートだった。まったく不可能なルートは机上にも乗らないわけだから。実現可能性が出てくる=机上の計画に載ってから2年も経つわけだ。

時間が2年もかかったのは、同行者の発掘に2年かかったからだ。

仮に2年前に行っていたら、今より、満足感があったのだろうか?

答えはノーのような気がする。 

2年前に行っていたら、今のような充足感はなく、”はい次~!”となっていたのではないだろうか?

だから、2年待たされたほうが、結局は、精神的により豊かな山ライフを送ることができる。

■ キーポイントは主体性

確かに技術的内容だけを見ると、そのルートで必要な登攀力は、初心者であっても4級程度で、5級も出てくるが、ほんのちょっと。だから、行くだけなら行ける。

でも、主体性を持って行くというのと、先輩やパートナーに連れて行ってもらう、というのは違う。

実は、この山行は、先輩も一緒に行ってあげよう、と言ってくれた山だった。でも、なんだかな~と言う感じだった。

会の、その先輩とは、スケジュールの関係やなんかで、流れに流れ、2年ほど、実現しなかった・・・。のは、実現しなかったことは良いことなのだろう。結果的には良いことだった。

というのも、一緒に行ってくれようとした先輩は、きっと”連れて行ってあげよう”と思っていたと思うからだ。

でも、私が欲しいのは、”連れていてくれる先輩”ではなく、”ケツを歩いてくれる先輩”だったのだった(笑)。

子どもが、「いい~自分でやるぅ~」とダダをこねるときのようなことだ(笑)。

・・・ので、結局、自分がリードで行く、初リードの山になった。が、その方が満足度が高い。

主体性が山における充実感の大きな部分を占めるからだ。それは人生も同じではないだろうか?

そういう意味では、人生に不満がある人は、自分が主体性を持って生きているか?自分の心に一度問いかけてみてみると良いのかもしれない。

■ 幸せな人は寛容な人

ハッキリ言って、山としてみると、他人に自慢できるような山ではない。

つまり、ドヤ顔できるルートなんかではない。

でも、幸福感に包まれ、このルートに行ったことで、他の人に対して寛大な心になることができる・・・

何でも許せそうなのは、自分の心が満たされているからだ。

逆に言えば、少しの他人の過ちが許せない=あまり幸せでない人、と言うことなのだろう。

Tuesday, March 8, 2016

やっと行ったアイスルート 峰ノ松目沢

■初リード

鉱泉フェスで知り合ったOさんと、峰ノ松目沢へ。彼は初ルート。私は初リード。

冬の沢である、アイスクライミングは、比較的順調に成長し、去年は、ジョウゴ沢で、連れて行ってもらうのではない、自前で行くルートのデビューを果たした。が、ジョウゴ沢の氷瀑は溶けかけており、アイスクライミングの必要がほとんどなく、ほとんどドライツーリング。結局、ロープを引いて登ることなく、全部の滝をフリーソロで抜けてしまった・・・。なので、正式なリードはしていない。核心部のF2や大滝でも出さなかったので、このことについては、”そんな山は教えていない”と師匠から、お叱りを受けた。

実は、フリーソロで抜けるより、スクリューを打ってリードするほうが難しい・・・のは、

 ・レスト体制をうまく作ったり、
 ・スクリューを打つのに適した氷質の面をきちんと見つけたり、
 ・落ち着いてアックステンションしたり、
 ・きちんとラッキングしてクライミングの妨げにならないようにしたり

という、もろもろの判断や技術が必要になるからだ。フリーソロは、そうした技術が欠けていることを示すのみで、実は何の自慢にもならない・・・セカンドで登っているのと同じことだからだ。

という去年の実績だったので、今回は、曲がりなりにも、

 きちんとリード

して、大満足。後輩の確保という大役も果たせた。

■ 初ルート&大役

一方、今回、相方の0さんは、今年アイスクライミング元年。そして、アイス初ルート!アイス用クラインポン初おろしのアイスクライミングだ。

私もアイスクライミング元年に、当時、師匠だった方に、ルートに連れて行ってもらった。同じことが後輩にできて、よかったよかったとホッと胸をなで降ろす。

■ 同沢下降

しかし、似た者同士と言うか・・・言うこと&やること、似ていて参る(笑)。

師匠に連れて行ってもらった当時、トップアウトしない点に不満を持っていた。同沢下降だったからだ。

しかし、今は同沢下降は何のためだったのか分かる。敗退の技を身に着けさせるためだ。登ったところは、降りれなくてはならない。

というか、下りれるところしか登らないようにしないといけない。敗退する力があれば、どこへ行ってもいい。

たかだか3年前だが、初心者の私はヤル気満々だったので、トップアウトする気でおり、師匠が提案したルートに、トップアウトして別ルートで下降する提案など、色々と初心者チックな提案をしていた。

ある沢では、大滝を前にラッセルして、稜線に出る予定だったのだが、雪が多く腰までのラッセル。師匠がすぐさま中止にしたのに多少不服。もうちょっと試してみてからではだめだったのだろうか?と考えていた。

が、今回、私は、自分が頑張れば、トップアウトできたかもしれないところで、あまり執着せず、すぐさま同沢下降に切り替えた。

同行者の0さんは、体力満点、伸び盛り。トップアウトしたい気持ちがあったのが見て取れたが、彼は自分で核心部を越えられない。

ので、二人の実力を平準化したところだと、峰の松目沢も、F8敗退が適当な所だった。

しかし、感心したのは、地図読みが良くできることだった。普通、一般ルートの登山からステップアップしてアルパインへ移行する場合、地図が読めないことが多い。地図が読めないということは、まだクライミング要素が出る山ではなく、地図読みの山をしっかりやらないといけない、ということを意味する。しかし、彼とは尾根二つ向こうを試してみましょう、など取付での会話もスムーズで、現在地もとくにGPSへ依存せずに理解しているようだった。

■ ゆとりを残した山

峰ノ松目沢は、トップアウトするのに、3~4時間程度の沢なので、12時山頂とすると、8時には取り付きにいたいところだ。逆算して、6時には美濃戸口にいないといけない。

今回は、特に車で美濃戸まで入れないため、40分の林道歩きがプラス。おおよそ鉱泉まで2時間だ。(一般コースタイムは3時間) 峰ノ松目沢の取付は、鉱泉から5分程度のところ。

今回のコースタイムは

 3時起き 4:00出発
 美濃戸口 6:09
 3つ目の橋 8:16
 F1 8:49
 F8 11:00
 下降開始 12:00
 3つめの橋 13:49

 美濃戸口の滝 15:30頃
 美濃戸口 16:00頃
 樅の湯 16:20頃 待ち合わせ17:00
 甲府帰着 19:30頃

(3つ目の橋は便宜上の名で、実際の橋は3つ以上渡った。地形図で沢を確認して行く方が良いと思う)

だった。私が喘息のため、体調が悪く、アプローチの北沢で通常よりもペースが遅い。

懸案の取付での試行錯誤は、Oさんが偵察に行ってくれたり、踏み跡を作ってくれたりしたので、比較的スムーズに済んだ。F1についたら、8:49だった。あまり遅れてもいない。

核心部のF8到着は、11時。そこで、リードに試行錯誤しているうちに、11時半となったので、早めに意思決定し、同沢下降とした。核心部のF8で、景色を見ながら、のんびりランチ休憩して、12時下降開始。

下降終了が13:49.美濃戸口へ下ると、まだ15:30だったので、美濃戸口の氷瀑を見学。去年師匠が私のリード練習に選んでくれた場所だ。16:00美濃戸口の駐車場。

■ 当日

甲府を4時に出て、6時09分美濃戸口出発した。ちょうど夜明けとともに出発し、ヘッドライトが不要だった。7:40に北沢堰堤に着く。ここから用心した。峰ノ松目沢は取り付きが迷いやすいことで知られている。

 三つ目の橋を渡って、2つ目の沢(戻る方向)、

と覚えて行ったが、橋は3つ以上あり、地形的に、ここではないか?と思われる橋に着いたのが、8:16.景色が開け、峰ノ松目沢が展望できる場所だ。

目で見て、峰ノ松目のピークと赤岩の頭の間のコルを確認する。峰ノ松目ピークから派生する顕著な尾根がある。

その尾根で分けて、峰ノ松目沢は、南西沢と南東沢があるそうだ。通常、峰ノ松目沢とされているのは、南西沢と書いてあった・・・が、南西沢とすると、その顕著な尾根の西側となり、取り付きとしては、北沢堰堤から上がった方が合理的になる。写真では、峰ノ松目沢は、コルへ突き上げているので、その南西沢は間違いで、本物は南東沢だろうということで、意見が一致していた。

実は、その点にも感動した。たぶん、私が取付を解決しないといけないだろうと想像していたからだ。今まで一緒に行った人は、大抵は、お任せ路線で、取り付きも何もかも私が解決し、案内しないといけなかった。

ここかな、と思われる橋につくと、右岸へ渡ってすぐに、後退する方向に踏み跡があった。踏み跡は、一人分。

そのトレースは無視して、自分たちの考えで取付を探す。二つ目の沢ということで、進行方向を探す。

前回、別の同行者と鉱泉に行った時に取付を偵察したが、その時はもっと鉱泉寄りのトレースがあった。

しかし、とりついた沢は写真で見た取り付きと少し印象が違うため、反対側に二つ尾根を越えてみることにする。

・・・と、先行パーティがいた。F1、15m滑、と覚えて行った。取り付いているので、ちょっと聞いてみる。

「これ、峰ノ松目沢ですか?」「初めてきたので分からないんです」。我々も初めてで、ワカラナイ(笑)。

先方パーティがいたことに気をよくし、そのまま登ることにする。

F1は2段で、左の雪面から上がれば、別にロープはいらなさそうだった。もしソリ遊びがしたいなら、格好のそり遊びができそうな傾斜。

1段目を上がってみると、下から見たより高かったので、やっぱりロープを出した方が良かったかな?と思い、同行者に聞いてみるが、いらないという答えなので、そのまま、右にトラバースし、2段目をすこしノーザイルでアイスクライミングして、すぐに滝上に出る。

すると、すぐにF2が見えた。 F2は結構しっかり立った滝だった。これはロープを出して、スクリューを打ち、きちんとリード。言いつけを守る。

その後はしばらく、”念のためロープがいる”という程度の滝が出るが、技術的に困難さを感じる滝はなく、普通にリードしていく。

F7?二股では左を取る
■ 後続の確保が問題

・・・が、ビレイが問題で、後続のビレイに良いようなビレイポイントとなる残置がとても少ない。

今までルートで見たことがあるような、リングボルトやハーケンで出来ているアンカーは一個しかなかった。

うーんと考えて、適当な自然物がないので、スタンディングアックスビレイだな~と思うが、SABをするほど雪がない。ので、結局、肩がらみとした。

F5かF6だろうか、短いが立っている滝で、肩がらみでテンションかけかけだったが意外に平気だった。

しかし、ビレイのスタイルの向上は課題だ。シビアな登攀で肩がらみはないだろう。

■ 難しいラインの方が安全

滝は、ひとつ大きな穴が開いているのがあった。直上が氷が厚かったが、くぼんでいるほうが登攀が楽だ。結局穴に落とさないでね、と釘を刺して、穴の上のアイスにスクリューを打つ。

でも、もし登攀に自信があれば、直上して氷の厚みを取っただろう。

登攀と安全は相矛盾するんだな~と思う。登攀が易しいと危険が大きい。だから、安全のためには自分の登攀力を上げるしかないってことなんだろうな。

10時ごろ、お腹が空いたので、休憩。振り返ると、素晴らしい阿弥陀の眺め・・・気が付くと南アまで見えていた。

ぜんそくのためか、なんだか馬力が出ず、登攀は問題ないのだが、歩きがダメな日で、雪を歩くのがつらい。

あまり長い休憩は冷えるので、さらに進む・・・と、その先に先行パーティが見える。先行パーティはベテランと新人のセットのようで、私たち二人のような、新人二人組とは違うようだ。その割には、先行パーティに追いついているじゃないか、と気をよくする。

二股に沢が分かれるF7に来てみると、先行パーティがどうも懸垂下降しているようだ。普通に短い垂直の氷瀑(左)を越える。

落ち口では、氷が大量に落ちる。うーん・・・落ち口の氷は丸い。丸い箇所の氷はアックスを指すと割れやすい。案の定、ちょっと叩いただけですぐ割れる。

しかし、落ち口はマントリングと同じことで、全体重を掛けるので、バチ効きでないと嫌だ。だいぶ氷を落としてしまい、アックスで進路の氷を叩き割って石橋をたたいて渡るのではなく、叩き壊しているのではないか?くらいな勢いだった。まだアックスの効きを信頼していないから、無駄が多いってことだ。

F7滝上で先行パーティに合流。どこの山岳会かと聞くと、「うんりょう会です」との答え。ピンと来ず、”?”となり、「私たちは知り合い同士です」と答えた。聞いた手前・・・。しかし、良く考えると、あの雲稜である・・・登山大系を読む人なら、誰でも知っているってば、な感じ。 あとで、超老舗、雲稜会と岩田さんに教えてもらって分かった。すぐ分からなくて、すみません(^^;)。

で、先行Pは、二股で右俣へルートを取ってしまったのだそうだ。「二股で左と覚えてきました」と答える。

右は段々で、左は短いが垂直、どっちを詰めても、愉しく登れそうだった。

少し行くと、すぐにF8.これは写真で見たな~と思い、ここはちゃんと峰の松目沢だと確信する。

これを見るまでは、いまひとつ、本物なのかどうか確信がなかったのだ。

■ F8 核心部

先行パーティがもっとも長い滝芯をリードで取り付いた。アックスにリーシュが付いたクラシックスタイルの登りで、垂直のつららの集合体の氷柱であるにもかかわらず、きちんとアックスが横に2本そろった正対の登りだった。正対だと、とても腕の負担が多い。

ので、岩根アイスツリーなどの人工壁では、垂直の氷は、体のフリを使って、傾斜を殺して登る。フリが入ると、まったくムーブはフリークライミング的になる。アックスは交互に出す。足は片足切ってしまう。

そのF8の滝は、記録では5~6mと出ていたが、みたところ8mくらいはありそうだった・・・。普通に鉱泉のアイスキャンディーや岩根アイスツリーと同じ長さがありそう。

予想より長い。先行Pのリードではスクリューが4本刺さっていた。うーん・・・峰ノ松目沢のガイドでは、スクリューは2本で十分と書いてあった。私たちは、余裕を見て、4本持ってきたが、あの滝をリードすれば、4本は使い切ってしまう。上でアンカー構築用に2本の予備が欲しいなぁ・・・。

ただこのF8は、巻けるとガイド本や記録には書いてあったのだが・・・。と、見やるが、左は急な草付の雪面で支点がなく、リードより危なさそう。右は、弱点となる3m2段で垂直の氷があり、頑張ればリードできそうだが、足元のスタンスになる部分に氷がなく、出だしが核心になりそう。さらに右は、岩が出ていて、支点がなく、短いがアイゼントレの成果が試されそうなドライツーリング系のスラブ。

とりあえず、取り付きまで行くために、急な雪の斜面を上がり、氷瀑の真下まで行ってセルフを取る。

凸凹の凸は氷が厚く、登れそうだが、凹より凸が登るのは難しい。

とりあえず、ビレイヤーのアンカーを氷柱で作る。NOという返事を期待して、「Oさん、リードどう?」と聞いてみる。期待に反し、なんと!やってみますとの答え。まだ擬似リードも経験していないのに!

ヤル気あるなぁ!ということで、まずできるだけ高い位置にスクリューを一本打ち、1ピン目を確実にする。彼は凹を選んだので、凹角を登ってみてもらうが、右足にスタンスがなく、厳しそう。

落ちると、ビレイしている私の真上に来てしまい、具合が悪い。無理して落ちても、ろくなことはないので、あとワンアックス、という感じではあるが、1段目に上がらないうちに降りてもらう。スクリューにはテンションかけかけだが、スクリューはびくともしない。

さて、私のリードの番だ。私の狙いは凸角。

とりあえず、落ちた場合、ビレイヤーの真上に落ちないように、ビレイポイントを後退させ、雪に埋まった枯れ木でビレイヤーのセルフにしてもらう。急な斜面でビレイヤーもセルフが必要だった。

が、垂直をリードするにはビレイ位置が悪いな~と思いつつ、とりあえず取り付いてみる。

うーん・・・頑張れば行けそうだが、よいスタンスがない。氷が固く、爪が刺さらない・・・と思っているうちにパンプが来そうだ・・・というので、とりついてみたものの敗退。

技術的には越えられそうな、2mあるかないか、の垂直の氷柱だ。段になっているところに乗れば、その上の氷柱に、もう一本スクリューを打ち、それが打てれば落ちても安心なので、安心してリードしトップアウトできそうだが、何しろ、ビレイとの位置関係が悪く、落ちるかもしれないリスクを取る気になれない。

まぁ落ちても雪面に落ちて、死にはしなさそうだったのだが・・・まだ垂直で、なおかつ、つつら集合体の凸面アイスのリード練習が足りていない。ので、あっさり辞める。

下りたら、まだ11時半。ふと見やると、先行パーティのセカンドが、セカンドなのにスクリューのぬんちゃくを引っ張って登っている。そんな状態でルートに連れて来られてしまい、気の毒な気もするが、まだクライミングの基礎力自体が足りていないみたいだな~と思う。

それを思うと同行者のOさんはすごい。まだアイスは実質4回目なのに、登攀力的には、先行Pのセカンドより上だと思われた。

”強点”であるその長い氷柱は、二人とも、トップロープなら楽勝で登れるんだが・・・。弱点の短い氷柱でも、ほんの”一歩”のリスクを取る気になれない。

自分で登るということは、こういうことなんだな~と思いながら、後輩になっているOさんには申し訳ないが、先輩がビビりだということで、納得してもらい、二人で美しい赤岳、中岳、阿弥陀の稜線を眺める。阿弥陀北陵や北西稜、御小屋尾根を眺め、次のルートへの夢を膨らませる。

まぁ、まずははじめの一歩と言うことで・・・。

つららにセルフを取り、そのセルフにザックをぶら下げ、ランチ休憩。二人とも食料があまり足りていないようだ。

■ 懸垂下降で帰る

さて、懸垂で帰るか・・・でも支点があんまりなかったんだよな~。登りで懸垂支点を見ながら、登ったが、あまり良い支点がなかったのだった。

登りは、カンタンな滝だらけだったが、下るとなると、やっぱりすべての滝で懸垂下降が必要だった。クライムダウンで済んだのは1か所だけ。

一回目の懸垂は、指三本しかない太さの枯れ木で、これはマジでまずいと思ったので、バックアップを取り、体重の重いOさんのほうから降りてもらい、私は回収で後に降りる。他にも立木があったが、ブッシュのようになっていて、回収でノットがひっかかりそうだったのだ。

その枝が一番怖く、他はまぁなんとか信頼できると思われた。が、懸垂は荷重がかかる方向、降りる方向が大事なので、トップは交代して、懸垂慣れしている私の方が先に降りる。

途中、立木にかかった残置スリングが数か所。最後の残置は、しなっている枝で、私が降りたら、ミシッと言ったそうで、あの残置は、かなりマズイ残置だった。きっと初心者ルートだから、初心者が設置した残置なのだろう・・・。

奥に良い立木があったので使えば良かったが、F1は長かったので、ザイルが届くかどうかが不安だったため、近いほうの残置スリングで懸垂したのだった。

実際、降りてみたら、ギリチョンだった。ギリだったので、セカンドのことが心配になり、短いほうの末端に結び目を作っておいた。

■ 回収

・・・ら、回収の時にその結び目をほどくのを忘れてロープを引いてしまい、そのノットが引っかかって回収不能になった。

これはセカンドが回収に出かけてくれた。F1は登るのはカンタンだったので、お任せした。でも、回収してまた懸垂で降りないといけないので、もう一本のほうのロープも持ってあがらなくてはならなくなった。

実は50mシングルでガイドブックには書いてあったが、今回は、Oさんの自分のロープ(30m)に使い慣れてもらいたいと思い、各自が30mを1本づつ持ち寄って、2本で登っている。滝自体は、30m1本で登れたからだ。敗退用に30m1本。すると、60mになり、ガイド本にあった50mシングル一本より、敗退するときの長さが取れ、確実なハズだった。が、2回ほど懸垂の長さはギリだった。

2本の方がロープワークは複雑だ。師匠も最初の頃、私に自分のロープを持ってこさせていたし、同じことを後輩にしてあげるのが良いと思われた。シングルがないと、どこも登れないと思っているようだったからだ。

登り返しでは、アイスは登らないで、沢と同じように端の方の岩の手掛かりが多いほうを登ったのが意外だった。その方が早いと思ったのだそうだ。沢に良く行くそうなので、さすがに登り慣れていた。私ならアイスを登るが、アイスは彼、今年、初めてだもんな。

F1からは、正規の取り付きを確認するために、普通に沢を下降する。まるで教科書のような美しい逆ハの字のトレースが規則的な並びでついていた。降りてみると、他の記録の写真でみた景色が出てきて、やっぱり、これであっていると確信。

一般道へ着くと、まだ13:49だった。ゆとりだな~。やっぱり同沢下降は早い。下りは登りの半分だ。

トップアウトしたかったが、まぁ、それはまた今度でいいだろう。

■ おまけ

その後、順調に北沢を下り、美濃戸口の滝へ立ち寄る。保科さんがガイド中だった。保科さんで私はアイスをスタートしたので、挨拶する。メンバーには中年の女性もいて、アイスには比較的女性クライマーが多いようだ。

美濃戸口の氷柱は、登るのよりも、トップロープを張るのが大変だ。

その後、美濃戸に着くと、まだ16時だった。本日の山、終了。帰りに、駐車料金を払うと、コーヒーをもらうことができた。

J&Nというカフェが美濃戸口にできたが、そちらは食事などをすると無料。オシャレな感じの店だが、節約派は500円払うかもしれない。頭数で割れるから(笑)。

Oさんとは、岩根2回と小滝1回の仲で、今まではOさんとの山で温泉に入ったことがないが、今回は、ゆとり付き山行なので、樅の湯へ。

会ではかならず温泉が付いていたし、山で寒い目にあったら温泉へと思うが、今回は、天候はあまりにもよく、濡れも寒さもなく、しかもルートも比較的短く、あまりたくさんは動いていないので、温泉は贅沢の部類だ。

甲府へ帰るとまだ19時過ぎ。渋滞も比較的避けることができた。天候は翌日霞がかり、この日が最後の冬のピーカン日のようだった。

■ おまけ

翌日は小瀬の人工壁。メニューは、

 ・5.8でリードフォロー&空中懸垂 役割を変えて2回
 ・回収&架け替え練習。5.8でリード後、トップロープ支点を作り、ローワーダウン、セカンドの人はトップロープ&ローワーダウンで単純にで登り、最後の人が回収するという一連の流れを役割を変えて2回
 ・5.10Aの被った壁をリード練習。単純にトップロープでクライミングムーブの習得練習

という流れで4時間。リードデビューしてもらう。5.9でもかぶっていれば、なかなか大変。ランチを食べて解散。

小滝や岩根に行くにも、漫然と登って降りるを繰り返すだけではなく、何を実現したいか、リアルに課題が見えた山行だった。モチベーションを作る山。

≪課題≫
・凹凸では凸を登る
・10m程度の氷柱のリード
・アックステンションしながらのスクリュー設置

・後続の適切なビレイ方法

■ まとめ

今回は無理のない計画で良かったと思う。帰宅して、GPSの軌跡を確認すると、あと200mあるとおもっていたトップアウトまでの距離は、あと標高差80mしかなく、それなら、トップアウトしたらよかったな・・・とも思うが・・・これは初心者のルートデビューに最適な沢だった。

■ 記録
 実施日: 3月3日(木) 前夜泊日帰り
 メンバー: 2名  
 ギア: ダブル30m ×2 スクリュー×4 (6本がベター &ハーケン、イボイノシシ) 
 
 参考コースタイム:
 3時起き 4:00出発  美濃戸口 6:09  3つ目の橋 8:16  F1 8:49  F8 11:00
 下降開始 12:00  3つめの橋 13:49

 美濃戸口の滝 15:30頃  美濃戸口 16:00頃  
 樅の湯 16:20頃 待ち合わせ17:00  甲府帰着 19:30頃

■ ルートグレード 3級上 Ⅳ+ 日帰り

■ 参考サイト

支点と滝の姿が参考になる 三ちゃんのサイト
F8の右岸の草付を大きく巻いている記録
南西沢と南東沢が混乱していると思われる記録
雲稜会

■ 参考画像

峰ノ松目沢を望む
F1
F2上の残置
F4
F8



































F1 2段15m 滑
F2 12m 穴あき カンテ
F3~F4 35m? 長い滑
F5~6 ??
F7 二股  休憩ポイント?
F8 垂直氷柱 核心
F9 滑?
F10 5m? 

アプローチ2h ルート3~4h

■コスト

交通費 往復2000円
駐車料金 500円 (無料コーヒーサービス付)
行動食 800円
温泉 500円

F8 これくらいリードできなくては!


コルへ突き上げる沢です

Monday, March 7, 2016

行くルートの技術的要求度と比べて、経験の量が圧倒的に不足する

■ 岩2連ちゃん

週末は、私が喘息を発症中で体調が悪く、また天候が思わしくなく、谷川方面をキャンセルして、近郊の岩2連チャンとなった。

岩はとても難しい・・・ 尾根、雪、沢、アイス・・・岩が一番難しい。

久しぶりな感じで、岩場に行ったら、クライミング力は後退していた・・・(汗)。

アイスクライミングは、ホールドやスタンスの位置関係に拘束されることが少なく、そこが、リーチや保持力の面で、不利を感じる女性には、アイスの方が、全部ガバでいいなーと思ったりする点だが、ムーブという点では安きに流れているかもしれない(が、リスクという点では厳しくなっている)。

久しぶりの岩で、今日は腕の付け根部分が筋肉痛。前腕は昨日はパンプしていたが、今日は、まだマシ・・・。

■ 先輩後輩のきずな

岩場に行ったら、このブログにコメントをくださっていたClimberKさんがいらした。

関連サイト

山の世界は、技術の伝承が途絶えている・・・のは事実だ・・・が、大人が近所の子供の面倒を見ていたような、義務や負担を伴わない程度の相互扶助の世界が、まだ生きているかもしれないと思った。

岩場で遭ったのは偶然だが、その偶然を生かして、色々な経験談を聞けて、ありがたかった。

■ 経験の重要さ

基本的に、行くルートの技術的要求度と比べて、経験の量が圧倒的に不足する、ということが、山での死を招いてしまう主たる原因だ。

つまり、みな経験を積んでいる時点で、死という敗退を余儀なくされてしまう・・・

どんな”しょぼい(と思われる)山”でも、行けば、必ず学ぶことがある。その学びを若いときは軽視しそうになる・・・のが怖いところだ。

今回、岩場の出会いで聞き遂げたのは、そのメッセージ。

山で死なないためには、できるだけ多くの経験が必要だということだ。

■ 楽しい宴会

結局、夜は宴会をすることになったが、これはとても楽しかった。

山岳会でも宴会が主体の集まりがあるが、それは山の経験談を教えてもらうための時間と思っていた。(が、そうならない事が多く、そうならないとただの時間の無駄である。)

今回は、色々と山の事故の話を聞くことが出来た・・・初級ルートと言えども、山では危険が一杯だ。

■ 危険の認知力がないのが初心者

そうした危険に遭遇した時、危険を危険とまず分からないのが初心者なのかもしれない。

たしかに私もジョウゴ沢大滝をフリーソロしたとき、そのフリーソロをさして危険とも思わなかったのだったし・・・クライミングに不安がなくても、高さがあれば、万が一のホールドの崩落などはあるので、ロープを早めに出す習慣をつけた方が良い。

先週末は、アイスの初級ルートに出かけ、リードデビューしたが、ベテランの先行パーティがザイルを付けていたF1では、必要を感じず、ノーザイルで抜けた。

先行パーティも、支点を取っていなかったので、フリーソロと同じだなーと思い、あまり難しくなかったので、出さないでいいかと思った・・・のだが、良く考えれば、リードクライマーはフリーソロ状態でも、後続は確保されている状態になるので、ザイルを結んで登ってもよかったかもしれない。

2段になっていたので、1段目で、ザイルやっぱりいるかどうか後続に聞いてみたのだが、いらないという返事だったので、つけずに済ませてしまった。

が、どうせ次の氷瀑で出すので、ザイルはその時つけても、あまり手間に変わりがなかったのだった。

核心部は多くのベテランも巻いていた・・・ので、判断として登らなかった。その点は、良い判断ができたと思う。

■ 増えていた1ピン目

昨日の岩では、クライミング力がまたイマイチ化してしまった・・・また振出しかぁ・・・。

去年の春頑張った課題の出だしで、ボルトとハーケンが増えていたのには、びっくり・・・

そんなところにいりますかね~という1ピン目だったからだ。落ちる人が続出したのだそうだ。

低すぎる位置の1ピン目とはいえ、1ピン目が重要、ということは、大事な知識だ。

スタイル上の問題があるにせよ、1ピン目で落ちるようなクライミングはしてはいけないということは大事な知識だ。

そういうクライミングの危険認知の基礎のようなことは、人工壁のスポーツクライミングでも、十分に学ぶことができる。

私も山から入ったので、インドアには抵抗をしていたが、1年目は素直に抵抗を辞め、インドアの人工壁にも通った。

■ 安全のために今、何をすべきか?

結局、安全のために、今、何をすべきか?と発想すると、それぞれ習得具合に差があるにせよ、同じような段階を通るのかもしれないと思う・・・

1)一般登山で山特有の天候リスクやウエアなど基本を学ぶ

 ↓

2)徐々に山での滞在時間を長くし、幕営など生活技術を学ぶ

↓

3)地図読みを学ぶ

↓

4)藪山などでルートファインディングを学ぶ

↓

5)雪山を学び、体力、歩荷力、滑落停止、生活方法などを学ぶ 

↓

6)ロープワークを学ぶ

↓

7)沢などでロープワークを実践する

↓

8)人工壁に通いクライミングの基礎を学ぶ

↓

9)外の岩場にデビューし、人工壁との違いを学ぶ

↓

10)支点の研究

↓

11)連れて行ってもらうルート

↓

12)同スキルの人と助け合いながら行くルート

↓

13)連れて行くルート

となるような気がする・・・もっと細かく言えば、細かく学ぶべきことがあると思うが・・・

■ ぶっつけ本番推奨?

不思議なのは、ガイドさんたちは、ルートは体力、と言い、「技術は、後からついてきます」と言うこと・・・ 山岳会なら到底ほってはおけない危なっかしい状態でも、「いってらっしゃーい」と心地良く送り出してくれるような気がするんだが・・・(^^;)。

例えば、北岳バットレス四尾根は、

 ガイドさん: 「時間がかかっても行けるという意味です、いってらっしゃい」

 山岳会: 「今の二人には、ちょっと無理」

どっちの方法論を取るかは、個人次第なのだろうか・・・ 間で揺れる・・・のだが、結局、自分がどこまで行って良いかは、主観的な判断で決めるしかない。

ということは、行きたいところが似ているパートナーより、判断で割れないパートナーが良いパートナー。

敗退で、同じルートに何度も行くのも悪くなく、学ぶことはたくさんある。

敗退を繰り返して、それでも行けなければ、先輩に来てもらう、というのがいいのかも?