その後、大学生の後輩ができた。私はすでにアルパインをしていると思って、アイスのルートに連れて行ってしまった…ので、そのあとに先輩の務めとして、技術的なことは全部教えた。レスキューも共有していないとどこにも行けないので、それすら。
で、最初の男性パートナーで苦い経験があったので、この本を貸し出した。
この本には、山岳同志会で、どのように新人が育てられるか、こと細かく描いてあるので、自分がどのようなプロセスをたどって成長するべきか?ということが、分かるようになっている。
現代の山ヤは、登れても敗退の技ができていない、というようなアンバランスな成長をしている人が多い…のは、先輩が無責任体質だからだ。山をするうえで必要なことを教えていない。
後輩は仕方ないから、登攀だけを頑張る…
…結果、登れても、下れない山ヤが増える。レスキュー技術ゼロで、みな本チャンに行ったりもしている。つまり、何かあればアウトってことだ。
私が思うに、北岳バットレス四尾根は、ロープが出る山を今年始めた人が、3年後の目標とするには良い。
遠くの目標がないと、今何をするべきなのか?が明白にならないからだ。
・三つ峠に通って20Pくらいを楽々こなせるようになる
・岩場のルートファインディング(弱点)を突けるようになる(それに必要なのは、フリーではないのは明白でしょう、フリーは強点を登るもの)
・ハーケン打ちに慣れておく
・ピンチの際の、リングボルト打ちなどを体験しておく
・レスキュー技術を共有する(リーダーレスキューまで)
・前座で、北岳夏山登山道は終わっておく
・ついでに池山吊り尾根も終わっておく
・近郊のゲレンデ的マルチピッチ(小川山の烏帽子岩、乾徳旗立)などを終わっておく
・テント泊縦走などで互いの生活技術を摺合せしておく
これだけでも、だいぶ、お腹いっぱいでしょう。ルートファインディング力などはつけるのに時間がかかります。
こういうプロセスを得ないで、ただ先輩の後ろをついて登っただけの本ちゃんだと、退屈なこと極まりなくなります。
ついていく=冒険性ゼロです。