## 青い壁 Bard作
陽菜は、ジムの壁を見上げて深呼吸をした。目の前に立ちはだかるのは、高さ15メートルの青い壁。陽菜にとって、これはただの壁ではなく、恐怖の象徴だった。
数ヶ月前、陽菜はクライミングを始めた。最初は簡単な壁を登るだけで精一杯だったが、徐々に上達し、難しい壁に挑戦するようになっていた。しかし、この青い壁だけは別だった。何度挑戦しても、途中で手が滑り落ちてしまう。恐怖が身体を支配し、登り続けることができなかった。
今日は、その恐怖に決着をつける日だった。陽菜はもう一度深呼吸し、壁に手をかけた。最初の数メートルは問題なく登れた。しかし、高度が上がるにつれ、恐怖が徐々に強くなってきた。手が震え始め、足がすくむ。
「ダメだ…もう無理だ…」
陽菜は諦めようと思った。しかし、その時、耳に声が聞こえた。
「諦めるな、陽菜。君ならできる。」
振り返ると、そこには陽菜の指導者である佐藤さんが立っていた。佐藤さんは陽菜の背中を軽く押しながら、こう言った。
「恐怖は誰でも感じるものだ。大切なのは、その恐怖に立ち向かうことだ。恐怖を乗り越えた先に、君は見違えるほど成長しているはずだよ。」
佐藤さんの言葉に、陽菜は背中を押された。もう一度だけ、登ってみよう。そう決意した陽菜は、再び壁に手をかけた。
恐怖と戦いながら、陽菜は一歩一歩登り続ける。手が滑りそうになった時、佐藤さんの言葉を思い出した。「恐怖に立ち向かうこと」。その言葉を胸に、陽菜は諦めずに登り続けた。
そしてついに、陽菜は青い壁の頂点にたどり着いた。達成感と感動で、陽菜の目からは涙が溢れ出した。
壁を登りきった陽菜は、以前とは別人になっていた。恐怖に立ち向かい、それを乗り越えたことで、陽菜は自信と勇気を手に入れた。
クライミングを通して、陽菜は人間として大きく成長した。そして、その成長は、クライミングというスポーツにとどまらず、人生のあらゆる場面で役に立つものとなった。
青い壁は、陽菜にとってただの壁ではなく、人生における大きな試練だった。そして、その試練を乗り越えたことで、陽菜は真の強さを手に入れた。
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