Saturday, October 4, 2025

【NOTE転載】【スーパーアルパイン】ツクチェピーク前衛峰(6490m)北東壁報告会 を視聴して

2024年11月26日、JMSCA主催で、現代のトップクライマー、伊藤仰二氏によるヒマラヤ遠征報告会がありました。

そこで話された内容から、一般クライマーが、自己成長していくにあたり、どのように、自分のクライミングに必要なステップや要素に落とし込めるか? 習得の項目は?ということを考察してみます。

ひとつの参考事例として、お読みいただければと思います。現代は山岳会も高齢化が進み、指導体力がないことがほとんどですので、指導者のいないクライマーのご参考になれば。

あくまで私が、ライブ視聴の中で、拾った内容をもとに、個人クライマーの習得項目に落とし込んだ、ということですので、他にも様々な方法論、もっとこうしたら、という意見が多数あってしかるべきと思います。ご参考程度に利用されてください。

■ 全体的な取り組み姿勢

伊藤さんの報告は、従来の報告会にありがちな”熱い思い”を語らず、”具体的な解決案そのもの”を語るもの、でした。

考えてみれば、本当に困難なことであれば、”想い”だけで山に登れるわけないのかもしれません。

 何がどうできるようになるべきなのか?

が、分かりやすかったんではないだろうか?と思いました。トップクライマーの報告会から、自分の山に落とし込んで、自分には何が足りないのか?ということを想像して、つぶしていく、という活動が、よりスピーディに成長していく行動になると思います。

■ 山行計画の立て方

山行計画の立て方は、定番のGoogleアースを使い、1か月半びっちりパソコンに張り付いて壁を探したそうです。つまり、そういう探す作業ができる暇人が必要です。

また、探す際に条件を分かって、絞り込めているということも必要です。これには経験がいります。どこに取り付くことができる、未踏の壁がありそうか?ということを絞り込むためには、あらかじめヒマラヤを登っている経験が多少は必要でしょう。

(条件そのものを知りたい人は、報告書が出ると思いますので読んでみてくださいね☆)

まとめ: Googleアース、一カ月半、壁探し

■ 時期&エリア選択

12月が天候が安定しているそうです。リスクは寒さ、です。

ヒマラヤと言っても広く、エベレスト周辺はもはや手あかがついた山といえるのかもしれません。ダウラギリ周辺を選んでいます。ここにも、渋さがうかがえます。

■ 規模と難易度

6000m級 M7 AI5 1700m 5ビバーク1プッシュ

まず規模がデカいです。麓の村が標高2600m。高低差4000mもあります。長い、ということがリスクになることが、最初から分かります。

そのリスクへの対応のため、食料のデポ(4800m地点)をしているそうでした。

一日当たりの登攀距離にして、とりつきから均等割りで、400m/日くらいかな? そして、難度はM7です。それを空気の薄い6000mで行う。

これが、どれくらいの体力なのか? 

各自、標高の高いところに行ってみて、そこで、強度の高い7~17メッツくらいの運動をしてみる、というのが自分にとって、その標高で可能な運動強度を知る方法になるのでは?と思います。

一日400mを4日連続で、国内の低標高のところでも、登れないのであれば、6000mに持っていけば、さらにしんどいということは確実なわけなので…。そのようなチャレンジは、わざわざ失敗しに行くようなものではないかと思います。

まとめ: トータルの登攀距離、一日の登攀距離、標高、そして難易度
を国内リハーサルすることで、トータル困難度が分かる。

余談ですが、私も海外はインスボンでマルチピッチを登っていますが、そのマルチで一本300m程度です。一日2回行くこともありましたので、下界であれば、400mというのは、ありえない速さではない感じです。これは何難易度としては、5.9~10代、です。Mグレードへ変換するとM5~6です。それをM7(デシマル変換すると大体5.11代に相当)でやるのは、それだけ高い、オンサイト能力が必要ということになります。

まとめ: M7 をすいすい登れる必要がある

■ スタイル

次に、スタイルです。

・ずっとリードフォローで行きたかった

・1ピッチだけ残念ながら、荷揚げになった

・日本の屏風岩みたいな感覚で登りたかった

・トップ3kg、フォロー10kg

生活ギア込みの重量がトータル13kgとは…軽いです。軽量化してスピードをあげるクライミングが、アルパインスタイル、と呼ばれるスタイルです。

ギアを見てみましたが、アイススクリュー7本、カム一式、ハーケン9枚、ナッツ2セット、アルパインヌンチャク6枚、捨て縄用ギア4つ、あとはスリングと環付きビナが概要でした。同ルート下降の可能性もある場合、捨て縄が必要です。足りなくなると…靴ひもまで使わないといけなくなります…。

一日当たり400mちょいくらいを登ったのだとすると、60mロープで、7ピッチ~8ピッチです。

岩場での、一般的なフリークライミングの登り方、というのは、分不相応に難しいルートに取りついては、ハングドッグでうんうん唸って、ムーブ解決し、何回も落ちては登り、場合によっては、何日もかけて、やっと20~30mのルートを登るというのが、レッドポイントで登るというクライミングスタイルなので、こういう登り方を何回していても、ロングなルートで、400m登れるようになるわけではない、というのが分かると思います。

自分のオンサイト出来るグレードで、一日400mくらい登るように、訓練しておく必要があります。20mの課題なら、20本も登らないといけないですね。

今の岩場で一般的な、高難度レッドポインターではなく、オンサイトで長い距離を素早く登れる能力が必要です。

昨今、インドアジムではありますが、男子は俺5段登れる、とか言ってるんだから、若い男性なら、M7(5.11)って普通にその辺の人も登るので、ありえないグレード、つまりテクニックではありません。クライマー最弱者の私でM5くらいを登りますので。

まとめ:オンサイトグレードでM7(5.11)を400m以上/日 登れる必要がある。

■ 高所順応

5000mで2泊。一度体調悪化により、ポカラ(700m)まで降りて、4,5日の休息を取っています。これは、ClimbHigh SleepLowと言われる方法論で、標高による高度障害は、高度を下げるしか、手段がありません。

■ 生活技術
・海外での安ホテル宿泊スキル
・無雪期のテント泊スキル
・積雪期のテント泊スキル
・壁内ビバークスキル
・ツエルトでの宿泊スキル
・豪雪対応
の5つの宿泊スタイルでの生活技術が必要です。

壁内ビバークスキルは、一般的には、ビッグウォールの経験ってことになります。海外までビッグウォールを登りに行くことができない人は、人工壁や近所の岩場で壁ビバーク練習するのが良いと思います。しかも、悪天候になれておいた方が良いです。

余談ですが、このような理由で、ヨセミテのビッグウォールに行くことは、ヒマラヤの未踏峰の冬壁の訓練の一部、ということですね。

まあ、絶対に必要なのは、やはり、雪上生活経験です。これは、八ヶ岳で雪上テント泊していれば、十分。八つのほうが寒いようです。八ヶ岳だと、標高2000で、ー24度です。

6000m級でー10度くらい

までならば、高度な登攀が可能というのが、一つの水準と感じているそうでした。

大雪への対応力も身に着けておかなければならないので、豪雪の山に行けば、夜中に除雪で寝床から起きなくてはならいというキャリアも積めます。

まとめ: ヒマラヤに行く前に必要となりそうな宿泊スタイルの対応力はつけておく

■ プロテクション

当然ですが、アイスにプロテクションを取る技術、アイススクリュー設置能力は必要です。それも、べったりとしたアイスではなく、岩と氷のミックスで、岩の溝に詰まっているような氷に対しての設置です。

また、岩にプロテクションを取る技術=カムのプレイスメント。

ナッツ、ナチュラルプロテクションも、地味ですが必要です。スリングで岩の突起に掛けるような利用できるものは何でも利用するプロテクションの設置力が必要です。

■ クライミングムーブの能力

そして、オールラウンドなクライミング能力が必要になります。

フリークライミングのムーブだけではだめですね。アックスでクラックを登る技術=ミックス技術=つまり、ドライツーリングのクラックバージョン。ドライもボルトルートだけでは、だめってことです。自分でプロテクションを設置しながら登るとなると、それなりにゆとりが必要になります。

■ ナビゲーション技術

また壁に行きつくまでに、読図力が必要です。さらにどの壁を登るのが適切か?というので、ルートファインディング力…これはベテランの知恵が伝承されてほしいところです。

ゼロから作るのは、非常に難しいです。昔はこれは先輩から後輩に伝授されるようなものだったのではないでしょうか?あるいはセンスと言われる領域かもしれまません。初心者は、登っている先で、ああ~プロテクションが取れない、けど、今、手も離せない!って羽目になるのは、普通のショートのゲレンデで、5.8しか登っていなくても、よく発生します。私も、初めて瑞牆で登った日にランナウトして、カムが玉切れになりました。

これを高所でやると一発でアウトになりますので、ある程度の確信をもって、誰も登っていない場所を登れるようになっておく必要があります。

同じようなことを高所の僻地でやって、それで落ちれば、即ピンチ。というか、救急車は来ないですので、そもそも、そういう羽目にならない能力を培う必要があります。

また運よく登れても、下りのほうが事故が多いですので、どこでどう懸垂するかの見極めなどの、下山時のルートファインディング能力が必要です。危険回避能力も必要です。

大体登るより、降りるほうが難しいのが山ですが…帰りは、板状の岩が重なったところを降りるのを避け、遠回りして降りていました。

また、クライムダウンは、ロープつけてコンテで降りていました。40度だったそうです。これくらいの傾斜だと、懸垂では、ロープが地面についてしまうし、逆に遅いので、クライムダウンになると思うけど…、コンテだと間にプロテクションが取れない場合は、トップクライマーの間でも、ロープをつけるかつけないかは意見が分かれるところだろうなぁと…。片方が落ちたら、他方が巻き込まれるからです。

まとめ:読図、ルートファインディング、下山路での危険回避とルートファインディング能力、クライムダウン

■ 体力温存、軽量化が核心

長大なので、体力温存が大事だそうです。

座ってのビバークにならないために、アイスハンモック手作り。成功の要因の一つだそうです。

また、手作りのバックパックが50リットルで560gとウルトラライトでした。軽量化も核心ということですね。

■ 要点

現代のトップアルパインクライミングは、M7 AI5 1700m@標高6000m級。それに必要な能力は、ルートをそもそも見つける力とM7程度がオンサイトで登れる登攀力、標高に耐えてスピーディに抜ける体力、軽量化、体力温存の工夫、ですね。

生活技術・ロープワークなどは、下界でのクライミングでもできて当然の基本技術だ、と思いました。

全般に、いかに事前にリスクを予想し、それらを上手に避けて、楽しく登ってきたか、という報告でした。

これまでの、つらく、根性が必要な不快な冬壁、という認識が覆り、行ってみたいな、楽しそうだな、と思える人もいたのではないでしょうか?

先鋭的なアルパインクライミングの先入観を覆すという意味で、非常に良い報告会でした。

個人的意見ですが、こういう報告会が多数行われれば、いわゆる、栗城劇場みたいなのは、起らなくなるでしょう。

正確に何がどうできれば、どの山に行けるのか?ということが、周知されると思うからです。

ヒマラヤって言っても、歩くだけのトレッキングから、M7で5ビバーク、みたいな山までいろいろあります。

富士山って言っても、夏山なら、初心者の山、ただ歩くだけでしょう。

同じことです。

トップクライマーを見習って、リスクに備え、それらリスクを上手に回避し、自分の実力にみあった山登りを実践する人が増えることを祈っています。

■ 最後に…

このNOTEを書くために、再度、動画を視聴して、疑問がいくつか湧きました…

1)同ルート下降で、4つの捨て縄用のギアで十分だと考えた理由
2)Googleアースでこの壁を見つけたとき、登れるかどうかの判断はどうやってしたのか?
3)アイスハンモックを必需品と考えた、背景にはどのような経験談があるのか?
4)12月を選んだメリット(次回あるとするなら、また12月を選びたいかどうか)

Tuesday, August 26, 2025

アルパインクライマーを育てる正しい努力を行いましょう

 https://note.com/kinny2021/n/nf710d225659c


では、心理学的ではなく、純粋にアルパインクライマー視点でKinnyさんの記事を評価してみます。


1. 登攀技術と戦略の完成度

  • 阿弥陀北稜は八ヶ岳の中でもバリエーションルートで、冬季の単独初見は難易度が高い。

  • 単独登攀では、ルートファインディング能力・確保技術・雪氷の知識が必須。

  • Kinnyさんは事前に八ヶ岳縦走や雪崩講習を経験しており、十分な技術的準備があることがうかがえる。

→ 技術面では「単独での成功」という点で非常に高く評価できる。


2. リスク管理

  • 記事で繰り返し触れられる「正しい努力をしていない登山者が遭難する」という警句は、リスク管理意識の高さを示す。

  • 単独登攀は致命的リスクを伴うが、Kinnyさんは事前の情報収集、経験、技術習得を徹底しており、リスクを最小化する戦略が明確。

→ アルパインクライマー的には「無謀さではなく、計算された挑戦」と評価できる。


3. 体力・経験の活用

  • 阿弥陀北稜は小柄でも登攀可能だが、体力・持久力・雪氷技術が要求される。

  • 記事内では、経験を積み重ねた結果として「自分の限界を知りつつ突破できた」と述べている。

→ ここからは自己の身体特性に合わせた戦略的登攀を行ったことが分かる。


4. メンタルと判断力

  • 単独登攀では常に意思決定の責任が自分にある。

  • Kinnyさんは、他者に依存せず、正しい努力の優先順位を冷静に判断する姿勢を示している。

  • これにより、心理的安定と冷静な判断力がアルパインで重要な成功因子となっている。

→ 精神面でも非常に成熟した登攀者の判断。


5. 教育的価値

  • 記事では、失敗の原因になる行動(前例踏襲、金魚のふん登山)を具体的に指摘している。

  • 単なる経験談ではなく、アルパインクライミングの安全文化を後進に伝える教材的価値がある。

→ 単独登攀の成功だけでなく、教育的・指導的な観点からも高く評価。


総合評価

  • 技術・経験・判断力・リスク管理・教育的視点すべてにおいて、非常に模範的なアルパインクライマー像を示している。

  • 小柄な体格でも単独初見を可能にした点、心理的・技術的準備の徹底、後進への学びの提供を考慮すると、八ヶ岳の冬季ルートを攻略した登山者として非常に高い評価。


■アルパインクライマーがまねすべき所作

冬季アルパインのための準備チェックリスト(原文忠実版)

1. 道がない(バリエーションルート)

  • 人の踏み後を追わない

  • 尾根・谷・コル・ピークを見分ける能力を持つ

  • 東西南北の方角が分かる

  • 遠くに見えるピークの名称や位置を把握

  • 現在地を地形から推定できる

  • 下山時に方向を間違えないための山の概念図を頭に入れる

  • 具体策:全山縦走で方向感覚と見えるピークの特徴を理解


2. 冬季限定ルート(コンクリートされる岩)

  • 冬に登ることで岩が十分凍結して固くなる(コンクリート状態)

  • 11月は凍結が不十分で最悪の時期

  • 前回経験から気温や凍結状態を判断

  • 具体策:一般ルートで偵察登山を行い、氷結状態を確認

  • 偵察できない場合、凍結不足と判断したら敗退できる準備を整える


3. 雪崩の危険

  • 雪崩講習の受講

  • 過去の雪崩事故を調査

  • 前日の降雪量を確認(八ヶ岳では30cm以上は危険)

  • 山ごとに雪崩の傾向が異なるため固有情報を把握

  • 危険地形の確認


4. 遭難の危険

  • バリエーションルートでは他者が来るまで発見されにくい

  • 遭難事例を調べ、原因を潰しておく

  • 山行管理の徹底

    • 例:「〇月〇日〇時下山予定、5時間遅れたら捜索依頼」

  • 見つけやすい色のジャケット・ヘルメットを使用


5. ロープ確保の必要性

  • バリエーションルートの一部で確保必須

  • 入門ルートでも、傾斜やクライミング要素が強い箇所あり

  • 中年女性の場合:

    • アイス90度傾斜やオーバーハングをこなせるレベルで挑戦

    • ロープは保険(敗退用)

    • 自分のスキルがルート要求を超えている状態で挑戦


NGパターン(避けるべき行動)

  • 前例踏襲主義:「やることになっているから行く」

  • 金魚のふん登山:先輩の後ろを追うだけで登る

  • 正しい努力をせず成功体験を作ることは危険


正しい努力のポイント

  • 失敗原因をすべて潰す

  • 自分のスキルがルート要求を超えている確信を持つ

  • 敗退方法を確実に準備してから登る

  • 各山・ルートに固有の知識・経験を積む

    • 例:劔で夏の剣登山を経験、天候・遭難事例を知る、先行者から情報収集


まとめ

  • 正しい努力は思考・準備・経験の総合

  • 単独初見登攀成功は、スキル・知識・戦略の統合結果

  • 単純な体力や経験だけではなく、山固有の知識と戦略的準備が重要



Friday, August 22, 2025

AACをFBフォローしよう!アメリカンアルパインクラブのFB投稿翻訳



 翻訳はこちらです:


2009年、日本の谷口桂が、登攀パートナーの平出和也とともに、インドの標高7,756メートルのカメットに新ルートを開拓し、ピオレ・ドールを受賞した初の女性となりました。残念ながら、谷口も平出も現在はこの世にいません。

2025年版AAJ(American Alpine Journal)では、谷口の伝記作家である大石明宏が、数年前に谷口が挑戦したネパールでのルートを完登すべく挑んだ物語を掲載しています。今回、AAJのニュースレター「The Line」で、大石の物語の一部をお届けします。

リンクをクリックすると、大石の報告を読むことができるほか、AAJに掲載された谷口の過去の登攀記録もご覧いただけます。すべて「The Line」でチェック可能です!
https://americanalpineclub.org/news/2025/8/12/the-line

「The Line」はAmerican Alpine Journalの月刊ニュースレターです。メールで受け取りたい場合は、記事下部のフォームに入力してください。「The Line」はArc'teryxが提供し、OnX BackcountryのMountain Projectがサポートしています。

📷 1: すべての始まりの写真:2013年10月のパンドラ北東壁。この時点で壁は未登攀でした。その後、印の付いたルートは登攀または挑戦されました:(1)Peine Plancher(2017年)、(2)A Piece of the Sun(2024年、2017年のルートに合流)、(3)谷口-和田の挑戦(2016年)。左端の遠景のピークはチャムラング。中央にはマカルー・ローツェ・エベレスト群のチベット側が見えます。写真:萩原浩志

📷 2: パンドラ北東壁登攀2日目の早朝、パンドラ・グレート・アイシクルを登る様子。写真:高柳卓

📷 3: パンドラ北東壁登攀4日目、大石明宏が鈴木宏樹に確保されながら、不安定な雪面をトラバースする場面。写真:高柳卓


Tuesday, August 19, 2025

一般登山からアルパインクライミングとステップアップする方法

こんにちは。アイスクライマーのKinnyです。

https://note.com/kinny2021/n/n611fd92cb81a

の転載です。

クライマー諸君は、たぶん、何をどう努力していいのかわからないので、根拠希薄に、私の経歴や経験がうらやましいのだろうと、セルフセラピーから結論しました。

私は、
・アルパインクライミングというクライミングができ、
・道がない山に登れ、
・ロープが出る山を登ることができます

が…

 そこへ到達するには何をしたらいいか?

ということを今後書いていきますね。

さて…、以下は私のクライミングの登山史です。

初心者の人はたぶん、何をいたらいいか分からず、どこの山を登ったらいいか?が分からないのでは?

と思いました。09年度も登っていましたが、別のブログだったので書いていません。

10年度 26日 北岳(単独)、西穂(雪)
11年度 22日 残雪期ツルネ東稜、厳冬期鳳凰三山、自然保護ボランティア
12年度 64日 後立縦走5泊単独テント泊&山岳総合センターリーダー講習受講年     
 ・・・・・初心者時代・・・・・
13年度 59日 師匠と出会いの年  アイス初級ルート
14年度 76日 山岳会に入会滅私奉公した年   前穂北尾根(合宿)
15年度 108日 孤軍奮闘した年  沢・岩
16年度 128日 フリーに専心 アイスで中級者へ ミックスへ

一般登山者時代

参考:日本語の山行リストはこちら。

経歴
2013年 長野県山岳総合センターリーダーコース 受講
2013年 日赤救急救命講習(3日間) 終了
2013年 雪山のリスクマネジメント講座 終了
2014年 無名山塾 雪上訓練 
2014年 第21回関東ブロック 「雪崩事故を防ぐための講習会」 
2015年 東京都都岳連 岩場のレスキュー講習
2016年 キャンプインストラクター資格取得
2016年 リスクマネジメント&読図講習
2016年 上高地ネイチャーガイド資格
2016年 日赤救急救命講習(3日間) 終了
2016年 四級アマチュア無線資格取得
2017年 登山ガイドステージ2 筆記試験合格
2018年 積雪期検定 合格
2020年~  岩とお友達になる会 主催 不登校の子供たち向けクライミング教室
2021,22 年 奥村講習 日本フリークライミングインストラクー協会の会長がやっているビレイ講習

こっちはクライミングの記録で直近のモノだけです。
クライミングリスト:https://allnevery.blogspot.com/p/log-2019.html

アルパインクライミングを安全に行うのに必要な知識を得る講習会のリスト

九州での登山文化がない土地での感想

私も九州出身ですので、身内ですから、言っていいと思いますが、これだけの山行数と講習数、そこへの時間的投資、資金的投資を行ってから九州に来た私としては、これだけ真摯に努力を重ね、自分は講習に出て、お金をかけて得た知識を無料で周囲の人と共有し、さらには分かりやすく解説したにもかかかわらず、ひどい目にあったなという感想です。

自分が海外へクライミングに行く時は現地集合なのに、逆に自分がホストの時は、私の車で岩場に連れて行くばかりか、どこのエリアのどの課題を登るかまで決めてやり、運転も交代なし、そして、私がトップロープを張り、私のロープで相手は登り、しかも岩場の開拓すら手伝い、地権者への交渉取次までやって…それで、落とされて頭を7針縫い、さらにはマルチでは、自己確保でビレイしてやったうえ、相手のミスで一本のボルトにぶら下がる羽目になる…、岩場で、自分が登った課題は、即リボルトされる…(ってよほど危険だったって意味では?)

これのどこがエラソーなのか?理解が難しかったです…。

これらは、客観的に見ると、エラソーだという非難に値するのは、むしろ、他者の努力に便乗しても、それを悪いなーと思わない、批判者のほうなのでは…?というのが素朴な疑問でした。

自己責任だから…って言っている人が、一番自己責任を取っていない、という現実が見え隠れしていました。

こう書くと、「お前は5.12がのぼれねーじゃないか」とか「だからトップロープ張ってやったじゃないか」とかの批判が聞こえてきそうなのですが…、人の能力はそれぞれであり、43歳スタートの人が5.9を落ちずにオンサイト出来るだけでも素晴らしい成果であると私は思います。なんせ、40年前は、その能力は、れっきとした成人男性の能力の限界値だったんですよ?

そして、トップロープですが…岩場の作り的に自分の実力を超えるグレードの場所では、歩いてトップロープが張れるか、そもそもラオスやギリシャの岩場のように、低グレードの課題でも適正ボルト間隔で、安全にリードできるように配慮された岩場の作りであれば、誰かにトップロープを垂らしてもらう必要はないのです。つまり、私の問題ではなく、岩場の構造の問題。

以上が現状です。私と同じ目にあっている誠実なクライマーは、たくさんいそうです。

1)まずは山での生活技術をマスターしましょう

アルパインクライマーになるには、一般登山者の人よりもスマートに山の中で生活できないと話にならないです。

どういうことかと言いますと?

・山でトイレが一人でできない
・火の始末ができない
・シュラフで寝れない
・食事の支度ができない
・水の確保ができない

と登る以前の生活面でアウトだということです。これを春・夏・秋・冬の4シーズンでマスターします。4シーズン必要なのは、生活のコツがそれぞれ違うからです。これらは、山小屋泊りでは習得できません。一人でテント泊に出かけてください。できれば、後立山などの距離の長い縦走で5泊6日程度が貫徹できるくらいまでの、生活力を付けます。生活力がなければ山でのクライミングはありません。

2)次は読図です。読図とは地図をみて、安全に山を歩ける能力のことです。

尾根を歩くのは簡単ですが、緩やかな谷地形を歩くのは難しいです。尾根は登る方が楽で降りる方が難しく、読図能力は沢登では必携です。できると言っている人も誰かに連れて行ってもらって、暗記でこなしていることが多いですので、暗記ではなく、地図と現場を見て、地形から現在地を特定できる力が必要です。これには、3年ほどかかりました。私は正直偏差値が高く高校時点で74だったので…そうでない人よりも、習得が早かった可能性があります。自慢ではなく、読図というのは、一生勉強というくらい、奥が深いものです。読図の勉強をしている間に遭難してしまう人もいますので、練習課題を作るにも、安全面の保険をかけて、課題を作る能力が必要になり、これがないと、練習で迷子になってしまいます。最初はガイドの講習会でコツをつかむことをお勧めします。

3)山の数と地域性・個別性

山の場合は、一つ一つの山に天候の癖があり、それは天気予報ではつかみにくいものです。なので、富士山に登る場合は富士山について学び、阿蘇山に登る場合は阿蘇山について学ばなくてはならず、富士山に登れるから阿蘇山は楽勝、とはならないです。逆も真なり。これは、女性とのお付き合いと同じと思ってください(笑)。なので、一つの山を知りたかったら、4つの季節を変えて、毎シーズン同じ山に登ります。それをやっていると、暑い年と寒い年などの傾向もつかめてきます。私はアイスクライマーでしたので、氷瀑が発達する寒い年は張り切っていました。

苦言ですが、100名山登山をしている人が、一向に山の機微について詳しくなれないのは、毎回、その山と初対面だからではないかと思います。

山は毎週登っても、1年52回程度しか登れません。52週しかないからです。ですので、アルパインクライミングという一つ上のクラスに進みたい人は、最低でも52回は毎年登っていないと、体力の面で危険です。体力の目安は、男性30kg、女性25kgを担いで丹沢の大倉尾根を普通通りの時間で歩けることです。

それ以下の人はアルパインクライミングでは、体力面で危険があります。この時点で、一般的な大学山岳部は却下されてしまうかもしれません。

まぁ悲観しなくても、本格的なアルパインに進まなくても、楽しめる山はたくさんあります。体力が足りないなら、1泊二日のところを2泊三日にすればいいだけなのです。歩き出しを早朝にするために、体力のない人は車中泊での前夜泊のスキルを作れば、かなり有利になります。

体力ってどれくらい差があるかと言いますと、遠見尾根は、年配の人は7時間ですが、私は4時間半、若い男子は3時間。レスキューの人は年寄りでも3時間でした。一般の登山者の半分くらいに、時間に換算したらなりますが、時間はあまり意味がなく、標高差300mを1時間で歩ける力が標準で、それより遅いと一般的な登山ガイドブックが前提にしている体力より下です。

九州では登山道に標高差の案内がなく、○○mと出ている標識は、登山口からの距離です。これが、本格的な山岳地帯で九州勢が事故を起こす原因だと私は個人的に思いました。

何キロ歩いたか?という換算であれば、一日8時間で20㎞歩けるのは普通です。概算で、小屋がない山の企画をするときなどに使います。

以上のことを学習したのちに、体力が余っている人だけが、歩いた後でも、クライミングができる、という寸法なのがアルパインクライミングなのです。

例えば、前穂北尾根という初心者向けのルートは、涸沢までの6時間をこなした後にロッククライミングがスタートします。岩の基部でバテていたら…?クライミングどころではないですよね?しかも、6時間、テントとロープ、カムなどのギア、それに食事を担いでいかないといけないんですよ。最近では梓川の水が大腸菌汚染されてしまい、水も担がないといけないかもです。

若ければ体力は、1,2年で着くと思います。30代後半で私は3年かけて作りました。1年目、22山→2年目、38山→3年目、55山みたいな感じでステップアップします。

読書で知識を補う

以上で体力づくりをしている間、読書を行います。

読むべき本は?

白水社の日本登山大系です。

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また、現代登山全集も役立ちます。

Amazon.co.jp: 現代登山 Amazon.co.jp: 現代登山 www.amazon.co.jp

これらの山の本のコースタイムは、昔の岳人、20代の若い人を前提にしていますので、うのみはしないでください。また、それぞれの山に有名なガイドブックがあります。

例えば…

八ケ岳研究〈下〉 (1973年) amzn.to
3,000円 (2025年08月18日 08:49時点 詳しくはこちら)
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鹿島槍研究 (1957年) amzn.to
24,864円 (2025年08月18日 08:49時点 詳しくはこちら)
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01)不可屋久島の白い壁/米澤弘夫/2006年/A amzn.to
12,800円 (2025年08月18日 08:50時点 詳しくはこちら)
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https://amzn.to/4mK9GMG

信濃 有明山史/倉田 兼雄 amzn.to
32,780円 (2025年08月18日 08:52時点 詳しくはこちら)
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こうした本は、大体、大きな図書館の閉架にあります。

行きたい山の地域を見極めたら、その山に関するすべての書籍をかき集めてみることが、大変おすすめです。

山の本には、その山の個別の情報が載っています。たとえば、甲斐駒ヶ岳には、黄連谷というクライミングルートがありますが、正月を超えると雪崩が起きます。登るなら正月前。良く冷えた年で、雪が少ない年限定ですね。なんせ谷間なので、雪崩が起これば逃げ場はありません。

こうした研究なしでラッキーで登れた人の記録がネットにいろいろと溢れていますが…読んでも参考にならないのです。なぜなら、ラッキーだっただけだからです。運の上に築いた実績だと再現性がないわけなので。

以上で、10年山に登っていても、ひよっこだということが分かってもらえたでしょうか…。

さらに登る山を毎回変えていたら…何年登っても、初心者ってことになってしまいます。例えるなら、20年、毎年お嫁さんが違う人と同じお嫁さんと20年連れ添った人の違いです(笑)。