こんにちは。アイスクライマーのKinnyです。
https://note.com/kinny2021/n/n611fd92cb81a
の転載です。
クライマー諸君は、たぶん、何をどう努力していいのかわからないので、根拠希薄に、私の経歴や経験がうらやましいのだろうと、セルフセラピーから結論しました。
私は、
・アルパインクライミングというクライミングができ、
・道がない山に登れ、
・ロープが出る山を登ることができます
が…
そこへ到達するには何をしたらいいか?
ということを今後書いていきますね。
さて…、以下は私のクライミングの登山史です。
初心者の人はたぶん、何をいたらいいか分からず、どこの山を登ったらいいか?が分からないのでは?
と思いました。09年度も登っていましたが、別のブログだったので書いていません。
10年度 26日 北岳(単独)、西穂(雪)
11年度 22日 残雪期ツルネ東稜、厳冬期鳳凰三山、自然保護ボランティア
12年度 64日 後立縦走5泊単独テント泊&山岳総合センターリーダー講習受講年
・・・・・初心者時代・・・・・
13年度 59日 師匠と出会いの年 アイス初級ルート
14年度 76日 山岳会に入会滅私奉公した年 前穂北尾根(合宿)
15年度 108日 孤軍奮闘した年 沢・岩
16年度 128日 フリーに専心 アイスで中級者へ ミックスへ
参考:日本語の山行リストはこちら。
経歴
2013年 長野県山岳総合センターリーダーコース 受講
2013年 日赤救急救命講習(3日間) 終了
2013年 雪山のリスクマネジメント講座 終了
2014年 無名山塾 雪上訓練
2014年 第21回関東ブロック 「雪崩事故を防ぐための講習会」
2015年 東京都都岳連 岩場のレスキュー講習
2016年 キャンプインストラクター資格取得
2016年 リスクマネジメント&読図講習
2016年 上高地ネイチャーガイド資格
2016年 日赤救急救命講習(3日間) 終了
2016年 四級アマチュア無線資格取得
2017年 登山ガイドステージ2 筆記試験合格
2018年 積雪期検定 合格
2020年~ 岩とお友達になる会 主催 不登校の子供たち向けクライミング教室
2021,22 年 奥村講習 日本フリークライミングインストラクー協会の会長がやっているビレイ講習
こっちはクライミングの記録で直近のモノだけです。
クライミングリスト:https://allnevery.blogspot.com/p/log-2019.html
九州での登山文化がない土地での感想
私も九州出身ですので、身内ですから、言っていいと思いますが、これだけの山行数と講習数、そこへの時間的投資、資金的投資を行ってから九州に来た私としては、これだけ真摯に努力を重ね、自分は講習に出て、お金をかけて得た知識を無料で周囲の人と共有し、さらには分かりやすく解説したにもかかかわらず、ひどい目にあったなという感想です。
自分が海外へクライミングに行く時は現地集合なのに、逆に自分がホストの時は、私の車で岩場に連れて行くばかりか、どこのエリアのどの課題を登るかまで決めてやり、運転も交代なし、そして、私がトップロープを張り、私のロープで相手は登り、しかも岩場の開拓すら手伝い、地権者への交渉取次までやって…それで、落とされて頭を7針縫い、さらにはマルチでは、自己確保でビレイしてやったうえ、相手のミスで一本のボルトにぶら下がる羽目になる…、岩場で、自分が登った課題は、即リボルトされる…(ってよほど危険だったって意味では?)
これのどこがエラソーなのか?理解が難しかったです…。
これらは、客観的に見ると、エラソーだという非難に値するのは、むしろ、他者の努力に便乗しても、それを悪いなーと思わない、批判者のほうなのでは…?というのが素朴な疑問でした。
自己責任だから…って言っている人が、一番自己責任を取っていない、という現実が見え隠れしていました。
こう書くと、「お前は5.12がのぼれねーじゃないか」とか「だからトップロープ張ってやったじゃないか」とかの批判が聞こえてきそうなのですが…、人の能力はそれぞれであり、43歳スタートの人が5.9を落ちずにオンサイト出来るだけでも素晴らしい成果であると私は思います。なんせ、40年前は、その能力は、れっきとした成人男性の能力の限界値だったんですよ?
そして、トップロープですが…岩場の作り的に自分の実力を超えるグレードの場所では、歩いてトップロープが張れるか、そもそもラオスやギリシャの岩場のように、低グレードの課題でも適正ボルト間隔で、安全にリードできるように配慮された岩場の作りであれば、誰かにトップロープを垂らしてもらう必要はないのです。つまり、私の問題ではなく、岩場の構造の問題。
以上が現状です。私と同じ目にあっている誠実なクライマーは、たくさんいそうです。
1)まずは山での生活技術をマスターしましょう
アルパインクライマーになるには、一般登山者の人よりもスマートに山の中で生活できないと話にならないです。
どういうことかと言いますと?
・山でトイレが一人でできない
・火の始末ができない
・シュラフで寝れない
・食事の支度ができない
・水の確保ができない
と登る以前の生活面でアウトだということです。これを春・夏・秋・冬の4シーズンでマスターします。4シーズン必要なのは、生活のコツがそれぞれ違うからです。これらは、山小屋泊りでは習得できません。一人でテント泊に出かけてください。できれば、後立山などの距離の長い縦走で5泊6日程度が貫徹できるくらいまでの、生活力を付けます。生活力がなければ山でのクライミングはありません。
2)次は読図です。読図とは地図をみて、安全に山を歩ける能力のことです。
尾根を歩くのは簡単ですが、緩やかな谷地形を歩くのは難しいです。尾根は登る方が楽で降りる方が難しく、読図能力は沢登では必携です。できると言っている人も誰かに連れて行ってもらって、暗記でこなしていることが多いですので、暗記ではなく、地図と現場を見て、地形から現在地を特定できる力が必要です。これには、3年ほどかかりました。私は正直偏差値が高く高校時点で74だったので…そうでない人よりも、習得が早かった可能性があります。自慢ではなく、読図というのは、一生勉強というくらい、奥が深いものです。読図の勉強をしている間に遭難してしまう人もいますので、練習課題を作るにも、安全面の保険をかけて、課題を作る能力が必要になり、これがないと、練習で迷子になってしまいます。最初はガイドの講習会でコツをつかむことをお勧めします。
3)山の数と地域性・個別性
山の場合は、一つ一つの山に天候の癖があり、それは天気予報ではつかみにくいものです。なので、富士山に登る場合は富士山について学び、阿蘇山に登る場合は阿蘇山について学ばなくてはならず、富士山に登れるから阿蘇山は楽勝、とはならないです。逆も真なり。これは、女性とのお付き合いと同じと思ってください(笑)。なので、一つの山を知りたかったら、4つの季節を変えて、毎シーズン同じ山に登ります。それをやっていると、暑い年と寒い年などの傾向もつかめてきます。私はアイスクライマーでしたので、氷瀑が発達する寒い年は張り切っていました。
苦言ですが、100名山登山をしている人が、一向に山の機微について詳しくなれないのは、毎回、その山と初対面だからではないかと思います。
山は毎週登っても、1年52回程度しか登れません。52週しかないからです。ですので、アルパインクライミングという一つ上のクラスに進みたい人は、最低でも52回は毎年登っていないと、体力の面で危険です。体力の目安は、男性30kg、女性25kgを担いで丹沢の大倉尾根を普通通りの時間で歩けることです。
それ以下の人はアルパインクライミングでは、体力面で危険があります。この時点で、一般的な大学山岳部は却下されてしまうかもしれません。
まぁ悲観しなくても、本格的なアルパインに進まなくても、楽しめる山はたくさんあります。体力が足りないなら、1泊二日のところを2泊三日にすればいいだけなのです。歩き出しを早朝にするために、体力のない人は車中泊での前夜泊のスキルを作れば、かなり有利になります。
体力ってどれくらい差があるかと言いますと、遠見尾根は、年配の人は7時間ですが、私は4時間半、若い男子は3時間。レスキューの人は年寄りでも3時間でした。一般の登山者の半分くらいに、時間に換算したらなりますが、時間はあまり意味がなく、標高差300mを1時間で歩ける力が標準で、それより遅いと一般的な登山ガイドブックが前提にしている体力より下です。
九州では登山道に標高差の案内がなく、○○mと出ている標識は、登山口からの距離です。これが、本格的な山岳地帯で九州勢が事故を起こす原因だと私は個人的に思いました。
何キロ歩いたか?という換算であれば、一日8時間で20㎞歩けるのは普通です。概算で、小屋がない山の企画をするときなどに使います。
以上のことを学習したのちに、体力が余っている人だけが、歩いた後でも、クライミングができる、という寸法なのがアルパインクライミングなのです。
例えば、前穂北尾根という初心者向けのルートは、涸沢までの6時間をこなした後にロッククライミングがスタートします。岩の基部でバテていたら…?クライミングどころではないですよね?しかも、6時間、テントとロープ、カムなどのギア、それに食事を担いでいかないといけないんですよ。最近では梓川の水が大腸菌汚染されてしまい、水も担がないといけないかもです。
若ければ体力は、1,2年で着くと思います。30代後半で私は3年かけて作りました。1年目、22山→2年目、38山→3年目、55山みたいな感じでステップアップします。
読書で知識を補う
以上で体力づくりをしている間、読書を行います。
読むべき本は?
白水社の日本登山大系です。
また、現代登山全集も役立ちます。
これらの山の本のコースタイムは、昔の岳人、20代の若い人を前提にしていますので、うのみはしないでください。また、それぞれの山に有名なガイドブックがあります。
例えば…
こうした本は、大体、大きな図書館の閉架にあります。
行きたい山の地域を見極めたら、その山に関するすべての書籍をかき集めてみることが、大変おすすめです。
山の本には、その山の個別の情報が載っています。たとえば、甲斐駒ヶ岳には、黄連谷というクライミングルートがありますが、正月を超えると雪崩が起きます。登るなら正月前。良く冷えた年で、雪が少ない年限定ですね。なんせ谷間なので、雪崩が起これば逃げ場はありません。
こうした研究なしでラッキーで登れた人の記録がネットにいろいろと溢れていますが…読んでも参考にならないのです。なぜなら、ラッキーだっただけだからです。運の上に築いた実績だと再現性がないわけなので。
以上で、10年山に登っていても、ひよっこだということが分かってもらえたでしょうか…。
さらに登る山を毎回変えていたら…何年登っても、初心者ってことになってしまいます。例えるなら、20年、毎年お嫁さんが違う人と同じお嫁さんと20年連れ添った人の違いです(笑)。
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