それで槍は登ったことがありません。登りに行こうとしても、おそらく、アルパインの最初の師匠、鈴木さんから止めに入られたでしょう…彼はジャンも私には行かないように、とアドバイスしたからです。
槍は、長い渋滞で知られています…そして、毎年だれかが亡くなっています。亡くなったこと自体がさらに槍のステータスを高める結果になっていますが、その理由が上から人が落とした落石とかです…。
困難なチャレンジに挑んで亡くなった人が多いというわけではない…。上から人が落ちてきたときに自分が落ちてしまうのは、自己コントロール可能な要素とは言えない。つまり、一か八か要素が増えているだけで、事故率があがっているだけです。
■ ロープは安全のため
ロープが出る山をする、ロープを使う、習得する、というのは、安全性を増す、という意味です。
槍ヶ岳だって、ロープにつながっていれば、落ちても死なずに済むのです。
■ 誤解に基づく安全と危険
ですので、槍や剣などを志向される方…南アルプス深南部などではなく…が、ロープを習得されない、というのは、思い込みがどこかにある可能性があります。あるいは試してみる前にあきらめてしまったという可能性もあります。
かつては、先鋭的な山岳会の、さらに先鋭的な人たちだけのものであった(ように見受けられただけだと思いますが…)ロープが出る山、は、当然ですが、ロープが出ない山の延長線上にあり、それは、習得に時間がかかり、頭も使い、慣れも必要と、努力を要するのは事実ですが、危険は増さず、むしろ安全が増えるために行うことです。
私は槍には登ったことがありませんが、明神はあります。それはこのような事情です。