今日は素晴らしいお天気で気分が良い。外に出たら、まだ9時なのに真昼の明るさ。
■ 罪悪感
家の中に、積み残した課題がいっぱいある。もう読まない本を捨てる断捨離とか、家の中の冬を春への支度とか。最近は色々なものが春になりつつある・・・ジャガイモからは芽が出、ニンジンからは根が生えてくる。
日々やるべきことにキャッチアップしていないと、余暇でやりたいことがやれなくなる。時間は有限で特に余暇の時間はそうだ。
だから、用事はさっさと片づけておかないといけない。そうでないと、罪悪感が足を引っ張って、日々を充実から遠ざける。あ~反省反省。
今日はそういう反省を深くし、やるべきことをさっさと片付けておかないと。遊ぶには遊ぶ資格を自分で自分に作ってやらなくてはならない。
しかし、昨日は一年に数回あるかないかの、珍しく体調がイマイチだったので、そういう日もあるだろう。今日は用事一斉消化の日としよう。
■ 朝の週間
朝の習慣が壊れて、ちょっと反省している。朝歩くと、しなくてはならないことを済ませた気になれる。
人はなぜ、何かを自分に課すのだろう?
私にとってはブログは今のところ毎日課すものになっているが、それは一つの習慣づけのためだったので、もうブログの使命は終えた気がしている。
甲府は暑く、4月も後半になると、朝の散策はあまり気持ちが乗らない上、最近、近所はだいぶ開発が進んで、殺伐としてしまい、心の栄養になるようなものが少なくなってしまった。
春の茅ヶ岳を歩き損ねているなぁ…ホントは29日に予定していたが、29日は春山合宿で流れてしまった。
■ アルパイン
私は正直に告白してしまうと、前穂北尾根に行って、アルパインの期待はすっかり冷めてしまった。
面白くなかったのではない。登れなかったのでもない。素晴らしい景色が見れなかったのでもない。山行は素晴らしかったし、山もすごかった。先輩も親切で、大事にお客さんのように扱ってもらった。
けれど、私は結局、岩の人ではなく、雪の人なのだろう…。
結局、志向の差なのだろう。私は率直に言って、これなら、ロープなしで重太郎新道を登った方が早くていいな、と思ったのだった(^^;)。すいません。
というのも、岩をロープで歩くと、前進が遅くなる。まぁロープが前進を遅くする原因になっているのは、単純にスキルが低いからかもしれないが。ビレイ中寒くて、切なかった。自分のペースで歩いていられる一般道は、それだけで天国だなと思った。
■ 到達点
ただ、個人の好みは別として、組織的にみると、
前穂北尾根に新人を連れて行ける程度の力を山岳会の人間であれば、誰でも持っているべきだ
それは、おそらく一般的見解だ。でなくては、山岳総合センターのリーダー講習の目標到達レベルが前穂北尾根になるわけがない。
そして、おそらく、この目標到達点は、昨今の山岳会の多くが、そこまで登れる新人を育成する体力がなくなっているという現実に基づいて作られていると思う。
そこが山岳会に所属して登山をする人にとって、一人前としては、最低のボーダーラインだから、それができないことに危機感を抱き、それでこうした講習会のプログラムが組まれる、ということになったのだ。
それが基本的には、登山界の厚み、最低レベルのボトムラインのところで、どんなにロープワークが遅くてもいい、クライミンググレードが低くてもいい、でも前穂北尾根を知っているくらいは、死守しないといけない、ということだと思う。
例え、年を取って、もう登れなくなったとしても、知っているのと知らないのでは、登山行為に対する理解度が違う。
だから、前穂北尾根にリーダーで連れて行けるくらいまでは、誰でも気を引き締めて頑張っておかなくてはならない。
前穂北尾根は、本チャンとしては入門だが、必要な要素はすべて詰まっている。だから、若くて有望な、新人を前穂北尾根まで連れて行けば、後はその人は勝手にどんどんパートナーを見つけて、成長して行くだろう。
でも誰でも、前穂北尾根までは先達の先導が必要だ。本チャンってこんなことだよ、と分かる、ということが大事なわけだ。
■ 計算高さが必要なアルパイン
長く疲れるアプローチ、ルートファインディングが必要な5,6峰までの道、4峰のルートファインディング、3峰の核心の岩場。下りはさらに長い。もちろん下りは縦走せず、岳沢に降りることもできるが、そうするとテントを背負っての登攀になり、早さとトレードオフしてしまう。
そういう計算が必要なのが、本チャンで、ゲレンデだと計算は、要らない。
本チャンは季節を選ぶところからスタートだ。ブッシュが濃い尾根なら、残雪期の雪が一番多いときが弱点だし、中級クラスの冬壁は、夏は初級の岩になったりもする。作戦しだいということだ。
そういう計算の面白さがアルパインだ。それは雪を抱くとよりシビアな計算になる。厳冬期ならさらにシビアになる。残雪期は水を担がなくて済む分、気温が高い分、楽になる。取れるリスク、取れないリスク、自分でシビアに検討する。
■ リスクに意外性があること
山に一か八かはない。核心部では絶対に成功する、という選択肢以外取らない。
もちろん傍から見たら、死にニアミスというような選択肢を取っているように見えると思う。でもそれは部外者の見方に過ぎなかったりもする。
そういう点は、私生活にも言え、リスクに対する対処法はその人のアルパイン適性をかいま見せたりもする。
たとえば、私がアメリカに渡った時は財布に2万円しかなかったのだが、それはその部分だけ取り出し、それだけを聞くと一般的には無鉄砲の極みに見えると思う。ところが本人は100%安心で確実だと分かっているからやっているのだ。
私は勤め先も住むところも決めてから行ったし、一年オープンの帰りの航空券は用意して行った。だからいつでも退路を持っていたのだ。
そういう感覚は、本当に自分で真実のところを計算した人にしか分からないと思う。常識で守られることを望む人には分からない。
それは女性の場合は、性犯罪にあうリスクを計算するのも似ているかもしれない。誰が安全で誰がダメか、それは厳密にリスク計算できる。
■ 雪稜好き
私が見たいのは、結局、凍てつく雪稜で雪を抱いた山の姿だ。そこにさす光。どれだけでも雪の中に立っていたいといつも思う…けれど、そのような能力がないので、仕方なく、結局は、小屋に戻って行かざるを得ない…
そのことを強く感じたのは、3年ほど前に行った11月の燕山荘で、神々しいほど美しい世界を前にして、世俗に流れている人たちを目の前にして、相当にがっかりした。ものすごく景色は素晴らしかった。ただ下界の温泉宿よりも暖かい山小屋と手厚いもてなしが、どうしても山を前にして、安きに流れる人の弱さを思わせた。悲しかった。私のその一部なのだったから。
そういう意味で見ると、今年、わたしにとって成長と言える、大きな事件は何だろう? 厳冬期のテント泊をソロでできたことかな。
厳冬期でなければ、ソロであろうがなかろうが、雪上のテント泊は何も問題がないのは、ずいぶん前から分かっていた。GWならば、シュラフなしのツエルトビバークもやったし、6人での厳冬期上越はまったく寒い思いはなしだった。
ただ私は厳冬期の八つの寒さは、普通に単独縦走したり、アイスでビレイしたりして、凍傷になってしまい実感するところがあり、凍傷はけっして他人事ではなかった。凍傷に関しては、いくら小屋がそばにあっても、寒さは関係なく襲ってくるのだから。
今年は厳冬期はすっかり去ってしまった。厳冬期の寒さをしっかり味わったか?というと味わい損ねているかもしれない…
何かやり残した感があるとするなら、それは本当のことなのだろう…しかし、過ぎたことは過ぎたことなのだから、今やるべきことは同じ過ちを犯さないように、今という時間を100%味わうことだろう。
■ 自分が支払ったコストを相手にも払わせたがる
人は、自分が支払ったコストを相手にも支払わせたがるものだ。
たとえば、5.11登れないとロープワークを教えない、と言われて、実際に5.11を登り、ロープワークを教わった人は、スポーツクライミングさえ知らない人がロープワークを教わるのには、羨望を感じ、嫌味を言うだろう。
つまり、相手はズルをしている、と感じるわけだ。
ごく普通の山行で地図を持ってきさえしないのに厳冬期北岳に登ったと言われたときは、私自身もその人はズルをしていると思った。
私が山の師匠を得て、個人的に山行に連れて行ってもらっていることにも、女性だからだろうとずるいと感じている人がいるだろう。
たぶん、わたしを連れて行く人は技術の継承を期待しているからなのだ。連れて行ってもらっただけで、「ああ楽しかった」で終わりの人を弟子に取りたい人はいない。
連れて行ってもらったら、同じところに今度は後輩を連れて行くべきだ。
くぎを刺しておくと、私は三つ峠には一回連れて行ってもらったら、次回からはもうつるべだった。一回目一緒に行った人はパートナー候補の人だったが、その人には2回目はなかった。つるべができないからだ。だから、その人は連れられっぱなしで、不良債権化したと言える。
そこを分からない人は多く、山岳会では、先輩は延々支払超過になっている。払い戻しをしようという意識がある人はほとんどいない。
一方、多少の支払い超過は我慢してでも、登山界全体の衰退に危機を感じ、教えたいという人もいるが、基本的にみな、平日をそれに充てたいと思っている。
ところが、現実問題、平日に山を教わることができる人は少ない。しかし、土日は山を教えるようなゆとりは基本的にない。
そういうわけで、私は時々、平日から土日に技術を流す伝達役のように感じるときがある。
ただ、そうした組織維持のための山ばかりをしていると、結局は自分の山がおろそかになる。
成長は鈍化し、楽しむものも楽しめなくなってくる。
そうした陥穽には気を付けなくてはならない。 しかし、毎年4月はだれる。
このブログも、最近役目を終わりつつあると思うので 近く終了予定です。
本当に お疲れ様でした。
ReplyDelete有難うございました。無料で素晴らしい文章が読めて お得でした。
そんなことを行ってくださるのはDamienさんだけですよ~ このブログは近く閉鎖し、別のものをより頻度を低くして作ります。
Delete週一とか月2ぐらいですか?
Delete話変わって、前穂北尾根が何なのかはサッパリなんですが
今年3月末に、葛温泉~高瀬ダム~湯俣岳山麓?! を歩いてみまして
「もしかしたら こうゆうのが自分の やりたかった旅なんかなぁ」と ちょっと感じました。
困難を克服していくというよりは、素晴らしい景色を眺めながら…って感じですね。
それと、稜線よりは川沿いのほうが好きみたいです。たとえ雪が積もっていても。
色々やってみて、で、わかってくる ということもありますよね。
そうなんですね~ あの辺の雰囲気私も好きです。 夏に長々とテント泊したいと思いました。あの辺の沢、遡行できそうにみえちゃいますしね。七倉沢、またテント泊したいです。
Delete色々やってみて分かってくる・・・は、その通りですよね! 私も岩はちょっとなーとか、フリーはちょっとなーってのは、やってみて分かったことです。アイスも始めてから、気に入りましたし。 みな始める前に、プロテクションが乏しいだの、なんだの、余計なことを考えすぎのような気がします。
なにしろ、一般登山なんてプロテクション、ゼロなんですから。 その延長で、落ちないところ、行けるところ、に行けばいいだけなんですよ。
最初から、フリーと同じ高難度を高山でやろうとするから、死ぬんですよ。