■ 無雪期登山10年 × 60歳以上 = ベテラン?!
登山の世界では、時々、「はてな~」な世界が出現します・・・
今日はコレ。 山岳総合センターが世に出した、ベテラン登山者と一般登山者の行動比較。
http://www.sangakusogocenter.com/chousa/docs/2014_3_hikaku.pdf
山岳総合センターともあろう者が・・・という感想です。本物のベテランがニセモノに媚売って、どうするんです?
■ 登山歴10年以上?
第一に
「登山歴10年以上」 って、登山の世界では何も意味しません。リーダーで登っていない人は、
・事前研究なし
・事前の天候チェックなし
・事前の地図準備なし
・事前の危険チェックなし
ですから(笑) 登山歴が積み重なって行っても、経験が積みあがらないです。
Plan → Do → Check → Assess の Doだけでは経験ではない。他の3局面について積み重なっていないので、一回の登山あたりの経験の量は4分の1、です。
それに年に1回登山に行っても 登山歴10年。一年50回登山に行く人と登山歴10年の人では、直近で50回行っている人の方が、山の実情に沿った判断ができるでしょう。
登山の経験をみんな軽視しすぎのように思います。
■ 無雪期?
しかも、無雪期だけ・・・半年は何もしないんですよね? じゃ、通年行く人なら、同じ経験の量が5年で積めるってことですかね(笑)?
雪山は難しくはないですから、ただ先入観で雪山=自分はヤラナイ~と避けているような人を、”ベテラン”って言われても、誰も話を聞かないと思います。
山のことだって、山の半分の面しか見たことにならない。 すでにルートファインディングのイラナイ登山道が整備された夏山で、衆人環視の混雑した小屋に何年通っても、小屋があって、小屋で一泊二食食べるのが山だと思っていたら、何を知ったことにもならない。
ただの登山客です。知ったかぶりが増長して余計始末に負えないくらいです。小屋の人はそう思っていると思います。
■ 年齢?
しかも! 60歳以上・・・ が条件だと。
この定義で行くと、登山歴10年の、25歳の人は、ベテランではないことになってしまう!15歳から登れば、10年ではまだ25歳です。
要するに、若造の言うことは聞カン!って話デスカ?
でも、最近の 大の大人って、そこらの良くできた若造より、人間としてどうか?って人はいっぱいいませんか?
人間のでき不出来にに年齢は関係ない。 判断の良否にも年齢は関係ない。
■ 結局
結局、この資料がさしているベテランって・・・ 中高年の価値観なんですよ。
例えば、定年退職して、登山を始め、百名山登山が終わった人って、1年に10個くらいなら行けますからね。10年行けば100個。
それでベテランの定義に入れてしまう。
そんな人は、リスクが低いことを連想させる”ベテラン”ではなくて、徹頭徹尾、
遭難高リスクグループ
です。
いわゆる”本格的な登山”において、オーソドックスとされる技術、なにより、価値観を身に着けていません。たとえば、地図の重視です。
今、中高年登山の世界で、次々起こっているのはそういう人の遭難です。
例: 豊後ピートさんの 「ガチで考える道迷い遭難」
単純に道自体を見ていない、という、常識ではありえないような遭難です。
ここから分かるのは、常識が常識でなくなっているということです。
■山岳会の例外ではない
それは山岳会も例外ではなく、地図を持ってこないと山には行っては行けない、とか、いざとなったら自分で自分のことは何とかしないといけないのだ、とか、山へは宴会をしに行く所なのではなく、山自体を味わいに行くことだ、とか、仲間を思いやることが大事なのだ、という登山の価値観は、軽視されています。
レジャー、観光、となって、単純に、有料のツアーより安く連れて行ってくれるから、というのが参加者の理由です。
その証拠に、料金格安の団体ツアーに参加する人は多くても、個人ガイドを雇う人は非常に少ないです。
■ 山はあなたを丸裸にする
山がいいのは、たぶん、
・見せかけの経歴でもなく (例: 無雪期登山歴10年とか)
・年齢でもなく
本当の、その人の人間としての実力を暴くから・・・と言うことのような気がします(笑)。
それにしても、山岳総合センターともあろう者が、中高年に媚を売ってどうするんでしょう?
本当にそういう人たちの遭難を防いであげたいと思うなら、言ってあげなくてはならないのは、
「登山を10年もやっているのに、読図もできないんですか?」
のほうです。 なにしろ、中高年登山者の遭難リスクNo1は、道迷い、なのですから。
価値観は多様、の使い方をまちがっているんでしょうね~たぶん。
地図をもっていきなさい、は、価値観の押し付け、ではないです。
読図ができないとダメ登山者というのも、価値観の押し付けではないです。真実、という名の苦い薬です。山のリスクから自分を守るためには飲まないといけません。
というわけで、その苦い薬を甘く飲むための、おススメ読図講習。 こちらです。
読図講習
仕事場では「…→Check→Action」と教わりました。Assessかぁ…
ReplyDelete本物だろうがニセだろうがベテランさんは大変そうですねぇ♪
Actが合ってるんじゃないかなぁ。 ActとAssess ともに反映させるってことですよね、反省したことを。
Deleteニセ ベテランは楽ですよ~ 威張っているだけで、後は小屋の人が面倒みてくれますから(笑)
バスの添乗員と同じですよ