Friday, August 25, 2017

クライミングとアシュタンガヨガ

アシュタンガヨガには、マイソールクラスというクラスがあります。インドのマイソール地方で行っているクラス、と言う意味。

マイソール = 自分でやる
レッドクラス = 先生の声の誘導でやる

アシュタンガヨガ以外の通常のヨガのレッスンは、ほとんどが集合レッスンで、先生の声の誘導でやります。なので、それ以外のレッスンが想像できない人が多いと思いますが…

例えると

ラジオ体操をラジオを聞きながらやる
自分でやる

の差です。一回ラジオ体操覚えてしまえば、音がなくてもできるようになるでしょう?

私のヨガクラスでは、バリエーションはあっても大体同じ、似たような内容にしていました。同じアーサナを繰り返すことによる、習熟や熟達というのは、誰にとっても、大きな自信になると思うからです。 

同じシーケンスが頻度高く出てくると、自動化、が起こり、動き自体も洗練されてきて、前より少ない力で動けます。これはクライミングと同じ。(だから慣れたらクライミングってあんまり運動量的に十分な運動にならなくて困りますよね)

■ 最初は前屈

本当の初心者の方にとって最初に課題になるのは前屈かなぁと思います。前屈は基本的には浄化のポーズです。内臓のマッサージと言われています。

最初に浄化をやる、ということは、考え方としては、前提として、カラダが汚れている、と言うことだと思います。

浄化の段階で、たぶん、きちんと前屈ができないほどの極度の肥満、というのは、解消されていくのかなぁと思うので、あんまり太ったヨガの先生というのは、他の流派の先生でも、ちょっと疑問に思うこともあります。摂食という教えがヨガの中にはあるので…。

かと言ってギスギスに痩せている必要もないとは思うのですが…。痩せ具合というのが、前屈が可能なくらいであれば、適正体重の中に入るのだろう…と。

精神面では、自分の内面を見つめることができる、かなぁと。観察力ということです。自分で自分が今、怒っているな、とか動揺しているな、とか、疲れているな、とか、そういうことが分かる状態。

ちなみにアシュタンガヨガのプライマリーシリーズはほとんど前屈です。色々なタイプの色々な体位での前屈。

■ ねじり

どうも次に来るのがねじりらしく…ツイストは、もっと強力な浄化なので…やっぱり強くなる前に、体内をキレイにしないといけないのかなぁと思います。

今マリッチアーサナDで苦労していますが、胸までの深いツイストに入れたら、できるけど、できない日もあります。

私の過去のクラスの生徒さんのほうが、絶対に上手にツイストできると思います(笑)私は寝てやるツイストが好きで、よくクラスに入れていました。みなさんもとっても気持ちよさそうなのがツイスト。

ツイストは側対やフラッギングに必須の体位です。

■ 強壮

私は強いカラダ…登山で強いカラダというのは、強い内臓、と言う意味です…が、必要だ!と思って、アシュタンガヨガが下界でクライマーがクライミングの次にするには、最適の運動だと思うのですが…内臓を強化するので…心肺機能もです…

強壮効果が出るまでには、ものすごく長い時間がかかりそうです(笑)。たとえば、プライマリーシリーズを7年やった記録とか出てきます。

強壮のポーズは、多くが後屈のようで、後屈には多少、恐怖を感じています。

というのは、昔はなぜか後屈大得意だったのに、今ではだいぶ苦手に… 骨盤を立てると言うことをするようになって、なぜか後屈が苦手になりました…

でもクライマーに最も必要なポーズは後屈ではないか?と思うのですが…。というのは、クライマーは猫背の人が多いので…

余談ですが、アルパインから入ったクライマーは歩きから入っているので、鉛直ラインへの意識が強く、スラブを登らせても背骨はまっすぐだし、地面を押す力を使って登りますが、フリーだけの人だと、すごい猫背…ちょっとの猫背ではなく明らかな猫背…の人が多いです。

クライマー体形=かっこいいってことで、男性はまんざらでもない感じみたいですが、整ったカラダと言う意味で見ると、どうなのかなぁと思うことが多いです。

つまりクライマーのアイデンティティを猫背と言うことにしなくても…。

5.13を登るツヨツヨクライマーの知り合いを見ていると、体幹の力が強く、クライマーだからって猫背にはならなくていい、という証拠なのではないか?と思ったりしてしまいます…聞いたら、初心者の頃に体幹トレーニングをいっぱいしたのだそうでした。

体幹トレといえば、ヨガではバランスを取るポーズです。

ちなみにスラブを登ると姿勢は整い、少し後屈すらするかも…

クラックでもワイドなら、体幹の力がすべてかもしれません… 

どっかぶりだと体幹に加えて肩と腕の力が要るわけですが、驚くことに、私はルーフちゃんと登れたんです、だから必要な筋力と言うのは、開発しないとないものではなく、一般の人でもすでに持っている筋力かもしれません。ワタシで大丈夫だったくらいなので…。私は全然体育会系ではないので。

指が曲がって固定してしまうのは、カチの課題ばかりをやるからだと思うですが…去年指を痛めて私も節が太くなりかけたのですが、指が曲がって固定するほどやると、やっぱり体には毒かも?

アシュタンガヨガ以外のヨガでは、クライマーは退屈して集中力を途切れさせてしまうかもしれないと思います。

逆に言えば、アシュタンガヨガの、サード、くらいから先がクライマーに役立つヨガかもしれません。つまり、ヨギーとしてもかなりのモノ、と言う意味です。

ヨガのアーサナは、一般にはやさしいものが多く、クライマーにとってはコンディショニング以上の効果を一般のヨガ、ハタヨガから得ることは難しいと思います。




Thursday, August 24, 2017

ロープワークは体系的には教えられない

山を学びたい!と思っているアルパインゼロ年生の頃のことです。

前の師匠の時は、少々不満を持っていました。ロープワークや支点作りなど、体系的に教えてほしい!と思っていました。原則で教えて欲しい!と書いている記事がそれに当たります。

しかし、山は、究極的に言えば、安全でありさえすれば、どっちでもいい…と言うことが多く、正解が複数あり、しかも状況に依存するので、体系的には教えられないのです・・・

教えられるとすればケーススタディです。

例:ケース1

セカンドがヌンチャクを落としました。どう取りに行きますか?

1)その登っているセカンドをローワーダウンする
2)セカンドをあげてから、トップが懸垂下降で降りる
3)セカンドをあげてから、トップがローワーダウンで降りる
登り方は
4)上にいるほうがトップロープで確保する
5)クライマーがグリグリで自己確保しながら上がってくる

と、3×2 6通りの選択肢が… もっとも楽だったのは、セカンドを下して、拾ってもらい、上に上げることなのに、この時師匠は、もっともまずい選択肢を取りました。

自分が降りて、しかもグリグリで自己確保しながら上がってきたので、クライマーが上がってもロープは上がっておらず、ロープを引き上げたらクラックに引っかかってしまい、再度降りる羽目に。なので、3回も同じところを登ることになった… しかも、トップをしている人が。

一般にトップの体力温存がセカンドの体力温存より重要なので、これは変な選択肢で、指摘したら、「ごめん、まだガイドの気分が抜けていなくて」という話でした。

普通はセカンドのミスはセカンドが落とし前をつければいいことだし、クラックを登るときは引っかかりやすいので、ロープは上にあるのがいいに決まっています。グリグリで登ると言った時、上で確保するよ、って言ったのに彼は断ってきたのです。向うはベテランですから、彼にも考えがあるのだろう、と私などは考えてゆずります。が、結果はひっかかったので、やっぱり私の方が正しかったですね。

…と言う具合に、ベテランでも判断を誤ります。まぁこれくらいの判断ミスなら、何も危険は増えておらず、単に時間ロスなだけですが…雪の山でルートファインディングの判断ミスなどは、非常に危険です。リンデワンデリングしてしまえば、死んでしまいます。阿弥陀北稜では、私の会の自称ベテランの方は、判断のミスで、仲間3名に凍傷を負わせました。

そして、私が最も懸念するのは、

 自分が間違っているかもしれない可能性を内包せずに、男性の山ヤは突っ走ってしまう

ということです…。

間違いを内包しつつ、常に前の判断が正解でなかった可能性を感じながら進み、間違いに気が付いた時点で修正し、前進する、というのが山の基本です。

その基本を習得するには、自分が間違っていた、という経験をたくさんする必要があります。しかし、自分が間違っていた、山との対峙に負けた、と言う経験を、若く体力が一杯の時の男性が経験するのは難しいんです。体力がありあまっているだけに、山での困難が判断力ではなく、体力でカバーできてしまいます。

上記の師匠の例も、彼は3回も同じところを登らなくてはならなくなり(私が2回登れば済んだところを)、しかも彼はトップなので、この山で彼が登れなくなったら終わりなのですが、山自体を易しく設定しているので、3回も同じところを行ったり来たりしても、このルートはこなせたので問題なかったです。体力のおかげです。

この体力がなければ、上のほうのピッチで「もう登れない、体力がない」ということになり、「じゃあ、降りましょう」になります。フリーのルートだったら、降りるのもカンタンでいいですが、アルパインだと降りるほうが大変で、体力使いきっていたら、即、命がけ、です。降りるより登るほうが楽ってのは、誰でも知っている常識でしょう。

というわけで、体力というのは、判断力の稚拙さを大幅にカバーするのです。

そのため、体力が豊富な若い男性は、判断力を養う経験がなかなか積めません。

経験が積めるとすれば、…今優秀なアルパインの先輩を思い浮かべているのですが…自分にとってギリギリの山を重ねてきた人…です。しかも、男性だけのパーティでもリーダーで…つまり、男性の社会の中でも優秀なリーダークラスの方です…私が山岳会に勧誘されたのは、このような方ばかりですが…

は、判断力の的確さがその人の山の大きさである、と分かっているので、無謀な判断はしないのです。仲間の命にたいして責任を持っているからです。

と、まぁ、ちょっと話がずれましたが… 要するに体力があると、判断力が学べないのはこのような理由からだと言う実例です。判断にも色々ある、という実例でもあります。

私が思うには、山ではケーススタディが最も有効です。しかし、そのケースは、山にいくことでしか発生しませんから、だから伝統的に、山のことは山で学ぶ、のです。

山で過ごした回数がモノをいうのはそのためです。

■ 咀嚼力

なので、教わる側が咀嚼力を上げるしかないです・・・ その力がない人にどれだけ教えても無駄ですので、教える側があきらめます(笑)。

咀嚼力があるかどうか?は、山行の報告を聞けば分かります。ですから、伝統的に山岳会では山行報告をきちんと書かせます。これはきちんとリスクとその対処法を学んだか?を見ているのです。

リスクとその対処法をよく知っている=それが山ヤの実力です。

凄い山に行ったかどうか、ではないのです。

ちなみに 阿弥陀北稜へ無理に突進し、仲間に凍傷を負わせた人より私は実力のある山ヤです。計画時点でその無謀さをみぬいていました。

しかし、その人と私が並んだら、一般の人は、おじさんである、その人を頼り、私を頼りにすると言うことはないでしょう。(私も頼りにされたくないのでいいんですが) 私が逆の立場に立った時だって登山歴◎十年らしい、風格の合るオジサン登山者のいうことのほうが真ぴゅう性があると思い、若くて、小さな女性の言うことはあまり耳に入れないでしょう。

私が言いたいのは、実力と他者評価は異なるということです。

したがって、私自身もよくよくホンモノの人を見際わめて、いっしょに山に行かないと、たかだか阿弥陀北稜ぐらいの初心者ルートで殺されたら、眼も当てられません…。

南谷真鈴さんは、エベレストを登った方ですが、彼女は阿弥陀北稜で滑落し一度遭難しています。しかも、ガイドさんに連れられたガイド山行で、です。その前にルートを熟知するような登山をしたか?というとしていないと思います。彼女は山では決してやってはいけない、見知らぬ沢を下るということをしていて、一晩の後に発見されたのは強運としか言えないというのが大方の山ヤの見方です。これも運と体力が味方した事例です。

この事例を出すのは、これほどの人でも、ニセモノのガイド?と行くと、ひどい目にあうという話をするためです。阿弥陀は下山の方が危険なのは、登山する人の常識です。登るより下りが危ないなんて、知らない人はいません。しかも滑落後彼女は、携帯で救助要請しているのに、電話に出なかったんですよ、そのガイドさん。

北稜は基本的に入門者ルートです。その入門向けと言えるキモは、山を舐めているかどうか?の試金石ということです。

体力過信で、山の気象やプランニング、判断、雪崩れ知識など、体力以外の部分をないがしろにしてきた人にはしっぺ返しがある、という点で試される、良きルートなのです。

■ イライラはいいサイン

もし山を学んでいて、イライラ期に入ったとすれば、それは成長している時って意味です。

ものすごくイラつけば、すごく考えます。

考えても考えても良く分からない・・・

その時は心に保留しておきます。そしてそれをお酒の席で出す。盛り上がります(笑)。

例えば、私は、真砂尾根行った時、先輩がどんどん雪の急斜面…川の側壁…を上がりすぎて、怖かったんですよね。上がれば上がるほど、落ちる距離が長いので。

沢登りでも、滝を巻いていて、降りることを考えずにどんどん上に行く人が多いです。

友人の女性でも、ホント、危険を認知しない人がいて困りました・・・草や灌木などの手がかりが無いところを行こうとするのです。しかも、一回、墜ちかけた。

この人は危険認知力がない点で山やに向いていない、と判断され、山岳会から追い出されたそうで、かわいそうと思い一緒に山に行っていたのですが、ビレイパートナーも欲しかったし… あまりにも危険を認知しないので、無理だなぁとなりました。

危険を認知して、それに対処するのが楽しいというのが山で、危険を無視してどれだけ行けるか?というのはタダの肝試し。

■ プロの報告例を聞く

海外遡行同人の会なので報告を聞くと、こういう危険認知と、それをどう回避したか?ということに自然と話が収束するみたいで、そこが山ヤだなぁと思います。

質問も、危険とその回避したやり方、結果、どんな感想だったか、という点が多いです。

一方、危険認知がない山をしていると、ただ景色がきれいだった、ということで終わりです。

アルパインをする、山をする、ということは、危険を含めた、山の本当の姿に接していくということです。

本来、山とはそういうものですから、アルパインをする前はまったく山をやっていたとは言えない。

私自身が気楽な山登りと自覚してやっていました。自覚があれば、それでいいのです。ハイキングはハイキングに自らする、ということです。暴風の日に突っ込む判断をすれば、ハイキングの山をハイキングの山ではなく命がけの山にした、ということです。

山は、自然の一部です。どんなにハイキング程度の山、と言っても、悪天候というリスクはあります。したがって、人間側が判断をしなくてはいけないと言うことは、ほんの小さな一歩からでも始まっているのです。

それをしないで、人の跡について行く山をしていると、一生山に登り続けても、その人は山との対峙法を学ぶことができません。

Monday, August 21, 2017

弟子入りは2名ワンセットで

クライミングは、2名でしかできないのですが、その2名は、クライミンググレードは差があってもいいのですが、ロープワーク&レスキュー&ビレイスキル は最低限をマスター済みである必要があります。

 攻めの技術 違いがあってもいい
 守りの技術 違いがあったらダメ、ガイド山行になってしまう

山岳会に所属しているような人であっても、多くの女性登山者の甘えは、守りの技術が欠けていることです。パートナーの墜落を止めれるくらいは、当然必要なスキルです。困った時にロープワークができないでは、依存心が抜けていないと言われても仕方ありません。

女性に限らず、後輩君、という立場になると、甘えが出るようで、ビレイもマスターしていないのに、パートナー然としている、ということがまま見受けられます。

仮に、あなたがロープワークも教えてもらい、支点作りや懸垂下降も教えてもらい、ビレイ技術もおしえてもらっていたら、それは対等なパートナーシップではありません。教えてくれた人には、それなりにきちんとお返ししましょう。そう言った技術はすでにあるものを持ちこむのが対等なのです。

教えてもらった挙句、パートナーとして成立せずに、どこかに行ってしまったのでは、教えた人は教え損です。

こういう人は、自分の危険なビレイに身を任せてくれ、トップロープを張ってくれる人を探すのでしょうか?せめて自分のリードで岩登りに行ってくれるように成長してもらいたいものです。

さて、言いたいのは、パートナーシップにおいて、攻めの技術に差があっても問題ないが、というか差があるのが普通です…守りの技術は最低限のスキルなので、不足があってはならないことと、

パートナーと揃って、師匠に入門するのが大事

と言うことです。 教える側は新しいルートや課題を教えたいものですが、2名揃ってくれていないと、せっかく紹介したのに、復習山行ができないではないですか…

復習山行こそが血となり肉となるもの

です。

ですから、教える人にとっては、二人で来てもらいたいのです。




Saturday, August 12, 2017

男性初心者を育てる難しさ

去年の今頃のことを考える。小川山でテント泊していたんだが…。ちょっとした事件があった。パートナーのことだ。

私は、山では、ホントに男性と女性では危険の認知力が違うと思う。おそらく、女性は子供を守ると言う本能を与えられているので、危険認知が、男性の数倍早い

Kさんという講習生の同期がいた。一緒にアイスしたりして楽しく登っていたんだが、無雪期になって沢シーズンに入ると…出てきた行くところリストは、ものすごい難しい沢山行ばかり…。当時の沢の師匠に見せると、初心者が行くには危険極まりないところばかりだそうだった…。ので、それを彼にフィードバックすると怒ってしまったのだ。ので、彼とは山に行かないことになった。

山をまだ良く知らない男性山ヤとのパートナーシップの解消はこういうケースが多い。

皆、行きたいところが、”いきなり高度”すぎる。”段階を踏んだ成長”ということを全然理解していない。

それで、私の方から 

 「無理強いされて死ぬくらいならパートナー解消」

となってしまう。Kさんの時も、この事例で、私は沢の師匠になってくれる人を見つけていたし、二人で門下に下ろう(笑)と思っていたのだが、彼は、師匠に付くなど、男の沽券にでもかかわるとでも思っていたのか、沢登りに師匠が必要とは、予想だにしていないのだった…

で、けんか別れしたのだった。私が見つけた人は、素晴らしすぎる沢経験が豊富な師匠だったからだ。彼にはその価値がワカラナイのだった…。

テント泊では、その喧嘩の事情を誤解した人が、私がKさんと登らなくなったことについて、否定的なことを言ったのだった。事情をよく知りもしないで。

■ 男子は難しい

男子というのは、ホントに山にたいして自信が一杯過ぎて、難しいです。 

大学生のO君も同じでした。 私は間違って、初級のアイスのルートにセカンドで彼を連れだしてしまったのです… 連れて行って見ると、「懸垂下降したことありません」。

懸垂下降と言うのは、アルパインでは最初に習う技です。ないとどこへも行けない。

ですから、したことがないということは、まったくのゼロ初心者、と言う意味です。敗退ができない人は、どのようなルートにも行くことが許されないのですから…。

ですから、この時のこのセリフで、私は、ハッとすべてを理解し、このルートのあとは、人工壁に連れて行き、バックアップがついた超安全モードの初心者向け、懸垂下降から、支点の作り方、セカンドの確保のセット、つるべ、基本的なムーブまで、色々教えたのでした…。これらはすべて私が有料で学んだことです。

さらに岩場もデビューしてもらわないと、ルートはないので、岩場デビューまで、先輩に頼み込んで、面倒を見たのです。山岳会も知人や友人のつてで彼の年齢にあっていそうなところを探し一緒に例会に行ったくらいです。アイゼントレのための岩トレもしてあげました。自分には必要ないけれど、後輩を安全に山に連れて行くためには、先輩の義務みたいなものです。

それでも、やっぱり、彼はビレイを習得してこなかったのです…。知り合って1年が過ぎ、彼にはリード壁での技術習得が必要だと言ってあったのに、彼のビレイを見ると、去年のままでした。

ビレイと言うのは、意識が分かります。ただ持っているだけでいいという教わり方をしてしまった人など悲劇です。

外のアイスからビレイを入門するのは、初心者に誤解を与える非常に大きなリスクで、アイスではだらりんビレイがだいぶ許容されています。落氷があるからです。しかも、アイスで通常リードするのは、絶対に落ちないベテランと決まっています。なぜなら、それだけ墜落が許されないからです。なので、結果としては、ビレイは形骸化します。つまり、落ちないから誰でもいいし、だらりんだろうがなんだろうが、クライマーとしてはリスクは変わらないので気にせず登る、ということになります。

しかし、初心者は、それがアイスだけの、またベテランがリードするときだけの特別な事情とは、まだ分かっていないので…そのようなビレイを常用するようになると、非常に危険です。フリーでは全く許されないビレイ、人工壁だと完全にアウト、と言うようなビレイをします。

私はパートナーは欲しいですがビレイができないような人は、さすがに無理。どのようなクライマーでもビレイが確実なビレイヤーを求めるのは贅沢ではなく、ただの必要最低限ですので、この子はかなり大事に育てた人でしたが、やっぱり無理だな~と思いました。

男子には、誰か大人の男性が、きっちり山ヤになるにはどういう責任が附随するのか、教えてくれないとダメです。 

じゃないと、ただロープ持っているだけで、俺ってイケてる~って思っちゃうのです…。

なにしろ、アイスクライミングや岩登りは、周囲の人間には全く理解されておらず、ギアを持っているだけで、鼻高々になれる活動だからです…

一般に、山登り自体が、全体的にそんな面があります。ギアが特殊なので、特殊な感じを漂わせています。平たく言えば、知らない人からみたら、なんか凄そう…

ですから、余計に、謙虚な姿勢で臨む必要があると思います…。

■ 過去の経験から学んだこと

私はこれらの経験から何を学んだのでしょうか?

1)事情を知りもしないのに 予断で判断するのは失礼だということ

私はKさんとのことを一方的に悪人扱いされ、嫌な思いをしました。Kさんと一緒に登れないのは私だけではなく、たとえ男性でも初心者だったら無理です。命がいくつあっても、足りないことになってしまいます。自分で自分の命を守るのは自己責任なので、Kさんと登っていないのは、私は正しく自己責任を取ったということになります。

2)ビレイくらい確実な人をパートナーに欲しいと思っていること

私はビレイが良く何度も墜落を止めている経験がすでにあるなので、私自身にも、私の墜落を止めてくれると信頼できる人をパートナーに欲しいと思っています。それくらいは最低限の条件で。

3)ビレイヤーを育てるのは、男性は男性同士で。

女性に対しては男性は甘えが出るので、ダメなのではないかと。言って聞かせて分からない場合、対処法がなくなります。

一般に若い男性は、根拠なく、女より自分が上と思っています。もちろん、体力は上でしょうが、危険だよ、と指摘されたとき、理解する頭脳が停止状態になるようです。

たぶん、運転が危険だと指摘されると腹が立つのと同じなのでは?

4)ビレイヤー育ては、最初が肝心

ビレイを習得すると言う面で、落ちることがないアイスクライミングでビレイデビューすると言うのは、最悪の選択肢です。

やはり墜落が当然のように繰り返される人工壁でバンバン落ちるのをバンバン止めるというのが大事なことのように思います。

5)手放す

言って聞かせても分からない人だったら、いくら自分が一杯自分の時間を使って育てた人でも、執着を手放して、あきらめる必要があります…

時間を返してほしいと言うような気持ちになったりもしますが…その分の時間で、普通に遊びに行けたりもしたはずですから…

手放すということを学ぶ良い機会なのだ、ということなのでしょう。

6)要らないプレゼントはあげない

O君がそもそも、ビレイを習得したがっていたか?というと… もしかしたら、違ったのかもしれません。

そうなると、私が先輩を引っ張り出して岩トレしたり、色々した努力は彼にとっては、あまりあり難いことではなかったかもしれません。事実、お礼を言われたことがなかったような???

ということは、擦れ違いのプレゼントということです。

すれ違いのプレゼントは悲しい… 相手が頼んできたときだけ、プレゼントをあげる、ということが大事なこと、

特にこの辺は女性と男性では話が違います。

女性は、相手のニーズを察して、相手が言葉にする前に差し出すことを思いやりのある態度と考え、そのように行動します。相手のニーズを先回りするのです。

男性はそうではなく、自分が頼んだことでない限り、やってもらった、とは思いません。

以上が、これらパートナー候補者2名から、経験から、学んだことです。